ニコチン依存度が高い方ほど難しくなり、ニコチン切れによる離脱症状が強く出やすくなるためです。
1日に1箱以上吸ってしまう方は依存度が高い可能性があるので、医師に相談して禁煙補助薬の使用をご検討ください。
禁煙は体からニコチンが抜けるまでがツラく、タバコを吸うのを我慢できない方も多いです。
いくら禁煙への意志が強くともニコチンに依存してしまっていると、吸いたい気持ちをコントロールするのはとても難しくなります。
このページでは、禁煙のコツについて詳しく解説しています。
少しでも楽に禁煙したい方は、まずは禁煙の準備からスタートし、ツラい離脱症状を乗り越える術を身につけていきましょう。
禁煙したいと思っても、数時間ももたずに失敗したという経験は禁煙ではよくあることでしょう。
ただ、「禁煙失敗=意志の弱さ」と結びつけてはいけません。
多くの方がコツを知らずに禁煙に挑戦してしまっているだけで、これからご紹介するコツを実践すれば成功率は高まります。
ついタバコを吸わないことをゴールに置いてしまいがちですが、その前にどう禁煙するのか、プロセスを練ることに禁煙成功のコツがあります。
行き当たりばったりで無計画にタバコをやめるのではなく、決心・実行・維持の3つのサイクルを計画的にこなしていきましょう。
3つのプロセスについてそれぞれ詳しく解説していくので、自力で禁煙に挑戦するのであれば参考にしてみてください。
喫煙者にとって、禁煙は大きなイベントですが、まずは「禁煙する!」と決心しましょう。
そして決心した後に、最初に取り組んでほしいのはイメージすることです。
この時イメージする上で注意したいのは「禁煙に成功している自分」をイメージするのではなく「禁煙するまでのプロセス」をイメージすることです。
◯:「禁煙するまでのプロセス」をイメージする
✕:「禁煙に成功している自分」をイメージする
禁煙に成功している自分をイメージするだけでは、禁煙できたような気分になって終わってしまい実際には禁煙できないことが多いです。
そうではなく、禁煙に必要なものや禁煙までのプロセスをイメージしましょう。
プロセスをイメージすることで実際に行動に移すことができるので禁煙ができます。
次に、禁煙を決心した上で具体的に起こすと良いプロセスをご紹介します。
禁煙計画を立てる際にポイントになるのが、自分がどんなシチュエーションでタバコを吸いたくなるかです。
寝起き、食後、ほっと一息つく時、時間潰しなど、人によってタバコを吸いたくなるタイミングはさまざまでしょう。
当たり前になった喫煙習慣をもう一度見直すことによって、いつが我慢のしどころかが分かるようになります。
「タバコをずっと我慢しなきゃ」と力むよりも、吸いたい時にどう我慢するかだけを考えれば良いので気持ちが楽になるはずです。
また、タバコを吸ってしまった時の考え方も大切です。
◯:「しょうがない」と割り切って禁煙を再スタートする
✕:「自分には無理だ」と禁煙をやめてしまう
自力での禁煙はスモールステップアップの繰り返しなので、一度失敗したからといって諦めず、吸わないでいられる時間を少しずつ伸ばしていきましょう。
「禁煙する!」と声に出し、周囲に禁煙の決意を宣言することが大切です。
家族、恋人、友人、職場、誰でも構わないので、ツラい時に支えてくれるサポーターを周囲に増やしてみてください。
また、周囲に宣言するのは、引っ込みがつかない状況を作り出す意味もあります。
周囲は「無理でしょ」「続かないよ」と言ったり、あえて誘惑してくるかもしれませんが、マイナスな言葉や逆境がモチベーションをUPさせることも。
1人でこっそり禁煙する方が良いという方もいますが、孤独感はタバコに手を伸ばす原因にもなりがちです。
禁煙を宣言するメリットの方が多いので、思い切って禁煙宣言をしてみましょう。
吸いたい気持ちをうまくコントロールするためにも、時には他人をあてにすることが禁煙への近道といえます。
禁煙する決心がついたら、その日からスッパリやめましょう。
中途半端に吸ったり吸わなかったりを繰り返してしまうと、ニコチン依存症が解消できず、いつまでもニコチン切れによる離脱症状に悩まされます。
ツラい経験を重ねてしまうと、かえって禁煙が難しくもなるので、「ツラい症状は1回きり」の気持ちで挑戦してみてください。
禁煙を実行に移す際のコツがあるので、チェックしてから禁煙をスタートさせていきましょう。
ズルズルと禁煙を先延ばしにしてしまい行動に移せないという事態を避けるために、締め切りは2つ作るのが理想です。
①禁煙スタートの締め切り
(いつまでにはじめるか)
②完了の締め切り
(どのくらい吸わずにいられたか)
禁煙を始める具体的な締め切りを設定すると、ズルズルと禁煙を延ばすことを防ぎ、具体的な目標に向けて進むことができます。
また、禁煙を続ける期間を明確に設定することは、モチベーションを高める上で効果的です。
完了の締め切りを設けることで、一定期間禁煙を続ける目標ができ、それに向かって取り組むことができます。
また、完了の締め切りが近づくにつれて、自身の成果を実感することができ、禁煙を継続する意欲が高まるでしょう。
「一生吸わない」と気負ってしまうと、終わりのない目標に途中で疲れてしまうこともありえます。
小さな目標をいくつも作って乗り越えていくことで、禁煙を続ける自信につながりやすくなります。
気づけば禁煙○○年くらいの感覚がちょうど良く、やがては「吸わない」を選べる生活が訪れるはずです。
禁煙できるか自分を試したいからといって、ウォーミングアップするのはNGです。
罪悪感による逃げ道や言い訳を生み出す原因になってしまうので、タバコに関わることは生活から全て取り払うようにしましょう。
こうしたNG行動がニコチンへの依存を強めることも示唆されており、つい出来心のお試し感覚が今後の禁煙を難しくしてしまう可能性があります。
タバコの種類を変えても、禁煙したことにはなりません。
せっかく禁煙を決心したのであれば、やめると決めたその日からスッパリやめ、目標に対し吸わずにどれだけいられたかに挑戦してみてください。
タバコをどれだけ吸わずにいられたかの禁煙状況は、毎日記録したり、身近な人に報告することを習慣にしてみましょう。
わざわざ記録したり、報告するのは面倒と思うかもしれませんが、毎日記録することで自分の行動をコントロールできるようになります。
「口に出すと叶う」と言われていますが、禁煙も例外ではありません。
「かならず禁煙する!絶対やる!」と言いながら喫煙してしまうのは、言葉と行動が一致しないため、心理的に抵抗感が生じます。
人間は「自分の言葉と行動を一致させたい」と思っているため、言葉にすることで、言葉の通りの自分に近づく行動が取れ、セルフマインドコントロールができます。
また、メモ程度でも日記をつけてみたり、ブログやツイッターなどを使って禁煙仲間が増えれば、それだけでも心強いはずです。
日々の禁煙状況を文字に起こしたり、発信し続けることで、不思議と禁煙日数も1日、2日と伸びていく可能性が高まります。
自力での禁煙よりも、禁煙補助薬に頼った方が禁煙成功率は高まることがわかっています。
2017年の全国的な調査では、最後まで治療を受けた人の約80%が少なくとも4週間以上の禁煙に成功し、約50%が9ヶ月以上にわたって禁煙を持続できたというデータもあるほどです。
自力での禁煙は、成功率が10%程度と考えられています。
これを踏まえると、2人に1人が1年近くの禁煙に成功している禁煙補助薬は積極的に用いるべきと言えます。
治療費こそかかりますが、タバコ代が浮くことを考えれば、将来にわたっての金銭的なメリットは大きいです。
「1回で禁煙に成功したい」という思いがあるならば、クリニックなどに相談して禁煙補助薬の処方を受けてから禁煙することも検討してみてください。
禁煙スタートから3日以内は山場とも言われ、離脱症状が強く出るタイミングです。
そこから約1週間、長くても2~3週間で、ニコチンによる依存から解放されます。
この時期さえ乗り越えてしまえば、後は禁煙を維持していくだけです。
ただし、ここで気を緩めてはいけません。
ふとした時に吸いたい気持ちがぶり返されることもあるので、禁煙を維持するコツについてもしっかりおさえておきましょう。
「自分は絶対に禁煙できる!」と自己イメージを高く持ち、タバコが恋しいと思う気持ちをセルフコントロールしていきましょう。
「自分は絶対に禁煙に成功できる」と口に出して言えば、行動も伴うようになり、タバコへの考え方も変わっていくことで禁煙成功率も高まります。
また、タバコに良いイメージを残してしまうと、ふたたびタバコに火をつけてしまう危険性があります。
できるなら、タバコを吸うことに対してのマイナスイメージを持つようにしてみてください。
つい出来心のたった1本が、全てを台無しにすることも珍しくありません。
吸いたくなったら踏ん張りどころと思って、気持ちの面でタバコの誘惑に負けないようにしましょう。
タバコを吸っている人を見れば、吸いたい衝動にかられることもあります。
そのため、自らタバコを遠ざける環境を作ることが大切です。
「捨てる・買わない・もらわない」の3つをルールとしてみてください。
また、できることならタバコの臭いが染み付いたものは捨てたり、消臭するようにしましょう。
ふとした時にタバコの臭いがすると、吸いたい気持ちが駆り立てられてしまうこともあり、落ち着く環境ほど誘惑に負けやすくなります。
環境が変わると気分も一転するので、意識的に吸わない環境づくりを整えるよう心がけていきましょう。
喫煙者のほとんどがタバコを吸うことが習慣化されており、生活パターンと行動が結びついてしまっています。
習慣を見直すことでタバコと行動を切り離し、吸いたい気持ちをコントロールしていきましょう。
他にもタバコとセットになっている行動はいろいろあり、無意識にタバコを探してしまうこともあるはずです。
癖のようなものとも言えるので最初は戸惑うかもしれませんが、少しずつでも行動パターンを矯正していってみてください。
どうしてもタバコを吸いたくなった時のために、代わりのものを用意しておくことで気分を紛らわせることができます。
タバコが吸いたくなる場面と代替行動
吸いたくなる場面 | 代わりの行動 |
---|---|
口寂しさを感じる | ⇒ ガムやアメ、フリスクなどを使う |
気分転換 | ⇒ 歩いたり、体操する |
お酒を飲んだ時 | ⇒ 冷たい水やお茶などを飲む |
イライラした時 | ⇒ ゆっくりと深呼吸する |
手持ち無沙汰 | ⇒ 掃除や細かい作業をする |
ひょんなことからタバコが欲しくなることがあり、さまざまなシチュエーションで吸いたい気持ちが突然現れます。
吸いたくなった時の保険として、タバコの代わりになるものを見つけておくと、楽に禁煙を維持できるようになるはずです。
ニコチンへの依存度が低く、1日数本しか吸わない場合であれば、費用をかけずに自力で禁煙できる方もいます。
しかし、たとえニコチン依存度が低くても、喫煙したくなるシチュエーションは日常にたくさん潜んでいます(例:ストレスを感じたとき、お酒を飲む場面、朝食の後など)。
また、自力だと離脱症状を強く感じる場合があるため、禁煙補助薬を使った方が、離脱症状を緩和でき禁煙が楽になるといえます。
一方、ニコチン依存度が高い場合、ほんの数分、数十分タバコを我慢しただけで、落ち着かないことやイライラするといった離脱症状に苛まれます。
そのため、自力で禁煙しようとせずに禁煙補助薬をうまく活用することが禁煙成功への近道といえます。
ツラい症状を和らげるためにタバコを吸ってしまうという負の連鎖が続くと、いつまで経っても禁煙は成功しません。
禁煙補助薬は費用こそかかりますが、ツラい離脱症状を緩和し、種類によってはタバコを嫌いにさせる作用もあります。
自力での禁煙が難しいと思ったら、クリニックなどで専門家に相談することも検討してみてください。
いくつかある禁煙補助薬の中でも、禁煙成功率がもっとも高いのが、飲み薬である「チャンピックス」です。
自力での禁煙にくらべ成功率が3~4倍高まるとされ、2つのアプローチによって禁煙をサポートします。
これまでの禁煙補助薬は離脱症状を和らげる効果のみでしたが、チャンピックスはタバコを嫌いにさせる作用もあります。
吸いたい気持ちや衝動を起こしにくくさせるので、タバコ離れをよりスムーズにします。
また、チャンピックスには海外製ジェネリックもあります。
コスパに優れ、保険が適用されないニコチン依存度が低~中程度の方でも治療が受けやすくなっています。
ニコチンパッチは禁煙成功率が若干劣るものの、少量のニコチンを含んでいるため離脱症状の緩和に役立てられます。
ニコチン用量が異なる「市販薬」と「医療用医薬品」の2種類あるのが特徴で、ニコチン依存度によって使い分けられます。
またニコチンパッチは目立たない部分に貼るだけで効果を発揮するので、使用上の手間もほとんどありません。
ニコチンパッチを使用中にタバコを吸ってしまうとニコチン過剰摂取となるので注意が必要ですが、人によっては通院せずとも使える禁煙補助薬です。
ニコチンガムはパッチタイプと同じニコチン製剤で、少量のニコチンを口の中から吸収することで禁煙時の離脱症状を抑える効果を発揮します。
ガムタイプなので口寂しさを紛らわすのにも有効で、ミントやマンゴーといった好みのフレーバーから選べるのが特徴です。
市販薬(第2類医薬品)のみの販売となり、医師が処方する禁煙補助薬に比べてしまうと効果はマイルドです。
ニコチン依存度が高い方は効果が十分に得られない可能性があるので、使用者を選ぶのはデメリットと言えます。
ただ、吸いたくなったら噛むだけなので使用しやすく、はじめて禁煙治療するなら試してみるのも1つの手です。
最後に、禁煙のコツをおさらいしておきましょう。
禁煙しようという意志だけでなく、「○○の時どうする」の回答を持っておくと禁煙成功率は高まります。
また、ニコチン切れによる離脱症状が強く出るようであれば、禁煙補助薬を組み合わせることで症状が楽になります。
禁煙に遅すぎるということはなく、吸いたい気持ちを抑えるのがツラいのは最初だけです。
時には周囲やお薬に頼って、タバコのない生活を送ってみてください。