
厚生労働省は2022年4月より、ED治療薬「バイアグラ」、「バイアグラODフィルム」、「シアリス」を不妊治療目的に限り、保険適用の対象と定めました。
ED治療に保険が適用された場合は、通常薬価の3割負担で処方されます。
バイアグラやシアリスといったED治療薬が保険適用されるのは、不妊治療を希望する夫婦やカップルの負担を軽減し、少子化に歯止めをかけるのが目的です。
このページでは、ED治療が保険適用となる条件や基準、対象となるED治療薬などについて解説します。
ED治療について詳しくはこちらのページをご覧ください。
ED治療は「不妊治療」に限り保険適用
ED治療は現在、不妊治療が目的の場合は保険適用となります(2022年4月より)。
保険適用でのED治療の場合、男性は年齢制限はなく一般的な治療と同様に医療費(薬代)の3割負担で治療が受けられます。
また、この保険適用は、不妊治療を望む既婚だけではなく、事実婚や未婚のカップルも対象です。
その他、射精障害(早漏、逆行性射精障害など)や性機能障害(精菅閉塞、造精機能障害など)、先天性の障害などが原因で不妊になる場合の治療にも保険が適用されます(精子濃度などを調べるスクリーニング検査には保険適用されません)。
- ED治療(条件あり)
- 射精障害改善の手術・薬物療法(早漏・逆行性射精障害など)
- 性機能障害改善の手術・薬物療法(精菅閉塞、造精機能障害など)
- 先天性の形態異常 など
不妊治療が目的でない一般的なED治療では、基本的に保険適用外となり自由診療となります。
ED治療が保険適用となる条件・基準
ED治療が保険適用となるためには、以下の条件を満たす必要があります。
これらの条件・基準が満たされない場合は、ED治療の保険適用はできません。
①泌尿器科で5年以上の経験がある医師から処方を受ける
原則として、泌尿器科で5年以上の経験がない医師からの処方は保険適用外です。
運営歴の長い病院やクリニックでも、泌尿器科での経験が浅い医師が在籍している場合があるため、担当の泌尿器科医が必ずしも保険適用で処方できるとは限りません。
そのため、保険適用が可能か事前に、医療機関への電話やホームページなどで確認しましょう。
ただし、
・近隣に要件を満たす医師がいない
・投与可能な他の保険医療機関に患者を紹介できない
といった場合は、一般不妊治療管理料に係る施設の届出を行っている保険医療機関に限り処方可能です。
②他の医療機関での不妊治療における必要な情報の共有を行う
他の医療機関で不妊症患者に対し、紹介を受けてED治療を行う場合は、紹介元の施設と連携し必要な情報を共有する必要があります。
これは治療薬の投与の際に、紹介先が正確な情報を把握するためです。
他の医療機関で不妊治療を受けている場合、ED治療を保険適用で行いたいことを伝え、紹介状を書いてもらいましょう。
③ED診療ガイドラインに従い勃起不全と診断される
日本泌尿器科学会が作成した勃起不全に関するED診療ガイドラインの診断に従い、勃起不全と判断された患者でないと、ED治療の対象外となります。
なお、その旨を診療録に記載する必要があります。
勃起不全(ED)と診断されるには、病歴確認、身体所見、臨床検査(血糖値やテストステロン値の検査)をする必要があります。
受診する医療機関で、検査ができるか事前に確認しておきましょう。
④本人もしくはパートナーが6ヶ月以内に不妊治療をしている
ED治療の保険適用には、パートナーもしくは本人のどちらかが6ヶ月以内に不妊治療を受けている必要があります。
不妊治療を受けていない場合は、不妊の原因を確認するためにも専門の医療機関を受診しましょう。
なお、現在不妊治療を行っている場合は問題ありません。不妊治療を中断している状態でも、最後の受診が6ヶ月以内であれば保険適用します。
⑤処方されるED治療薬の数量は1か月で4錠以下
女性の生理周期が約1ヶ月(タイミング法の1周期分)のため、ED治療薬を処方できるのは1ヶ月につき4錠以下です。
不妊治療におけるタイミング法とは、女性の生理周期に合わせ、排卵日付近で性行為を行って妊娠確率を高める方法です。
⑥保険適用は6か月
不妊治療目的のED治療では、保険が適用される期間は6ヶ月です。
6ヶ月を超えてED治療を継続する場合は必要性が検討され、原則として治療初期から1年以内とします。
ED治療を開始して6ヶ月経っても妊娠しない場合、治療の継続が可能です。
その際「必要と判断した理由」「初回投与の年月」を診療録・診療報酬明細書の摘要欄に記載することが必須条件です。
⑦処方箋の備考欄に保険診療との旨を記載
保険適用でのED治療では、処方箋の備考欄に保険診療である旨を記載が必要となります。
処方箋の備考欄に記載がない場合は、医療機関にお申し出ください。
ED治療で保険適用の対象となる薬
ED(勃起不全)治療で保険適用となるED治療薬は「バイアグラ」、「バイアグラODフィルム」「シアリス」の3つです。
(2022年4月より、男性不妊治療も保険適用となりました)
それぞれ、用量と薬価は以下の通りです。
薬品名 | 用量 | 薬価/錠 | 成分名 |
---|---|---|---|
バイアグラ錠 | 25mg | 914.6円 | シルデナフィルクエン酸塩 |
50mg | 1,214.8円 | ||
バイアグラODフィルム | 25mg | 974.6円 | |
50mg | 1,404.1円 | ||
シアリス錠 | 5mg | 1,118.9円 | タダラフィル |
10mg | 1,233.5円 | ||
20mg | 1,300.6円 |
※薬価は2023年(令和5年)4月1日適用の薬価改定後の価格(2025年2月現在)
保険適用の医薬品を処方される際には、自治体から送付される書類「医療費のお知らせ」に詳細が記載されます。
いつどこで、どれくらいの量を処方されたのか、保険による負担、支払った金額等が確認できます。
自由診療の場合は、保険適用外となるため記載されません。
保険適用の対象に選ばれた理由
バイアグラやシアリスなどのED治療薬が保険適用の対象に選ばれた理由は、日本生殖医学会のガイドラインにおいて男性不妊の治療で、レベルA「強く推奨する」に該当しているためです。
日本生殖医学会の推奨レベル | 主な治療・検査 |
---|---|
レベルA (強く推奨) |
●体外受精 ●EDなど勃起障害を伴う男性不妊への薬物治療 |
レベルB (推奨) |
●射精障害に対する抗うつ薬の治療 |
なお、レベルB「推奨」と評価されている抗うつ薬も、早漏などの射精障害が原因となる不妊治療に限り保険適用となっています。
一般のED治療(保険適用外)で費用を抑える方法
不妊治療を行っていない場合、保険適用でのED治療薬の処方は難しいとお考えください。
一般的なED治療(保険適用外)で費用を抑えたい方には、先発薬と同等の効果があり、安価なジェネリック医薬品(後発医薬品)の選択をおすすめします。
フィットクリニックでは、バイアグラ・シアリスのジェネリックを取り扱っており、自己負担を抑えたい方に最適です。
まとめ:ED治療の保険適用には条件がある
- 基本的にED治療は保険適用外のため自由診療となる
- 不妊治療や特定の疾患、手術後の治療などは、保険適用となる場合がある
- ED治療の保険適用には7つの条件を満たす必要がある
- 不妊治療で使用するED治療薬では「バイアグラ」「バイアグラODフィルム」「シアリス」の3種類が保険適用
- 理由は日本生殖医学会の推奨レベルA「強く推奨する」に該当するため
- 一般のED治療で費用を抑える場合はジェネリックの選択がおすすめ
通常のED治療は保険適用外ですが、不妊治療目的に限り保険適用となります。
保険適用には以下の条件・基準を満たす必要があります。
①泌尿器科で5年以上の経験がある医師から処方を受ける
②他の医療機関での不妊治療における必要な情報の共有を行う
③ED診療ガイドラインに従い勃起不全と診断される
④本人もしくはパートナーが6ヶ月以内に不妊治療をしている
⑤処方されるED治療薬の数量は1か月で4錠以下
⑥保険適用は6か月
⑦処方箋の備考欄に保険診療との旨を記載
対象となる方はED治療薬の「バイアグラ」「バイアグラODフィルム」「シアリス」を選択し、ED治療を行うことができます。
しかし、保険適用には7つの条件を満たす必要があり、使用できるED治療薬の種類も限られています。
フィットクリニックでは、種類が豊富で保険適用外(自由診療)でも費用が抑えられるジェネリックのED治療薬を取り扱っています。
- 不妊治療目的でない
- 保険適用の条件を満たさない
- ED治療の費用を抑えたい
という方は、ぜひフィットクリニックにご相談ください。
バイアグラの保険適用についてよくある質問
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- Q泌尿器科でバイアグラの保険適用はされますか?
- A泌尿器科でバイアグラの処方を受けることができ、「不妊治療目的」に限り保険適用されます。厚生労働省は2022年4月より、ED治療薬である「バイアグラ」、「バイアグラODフィルム」、「シアリス」を不妊治療目的に限り、公的医療保険の対象と定めました。
- Q
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- Q70歳以上でもED治療は保険適用になりますか?
- A男性の不妊治療目的のED治療には、女性の不妊治療(43歳未満が対象)のような年齢制限はありません。
ただし医療機関により、50歳を超えるとED治療は保険適用されず自由診療になるなど、年齢制限を設けている場合もありますので、治療前に確認が必要です。
※当院でのED治療は自由診療のみとなります
- Q
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- Q保険適用の虚偽申告をしたらどうなりますか?
- A不妊治療を偽り、保険適用での処方が行われると、医療保険制度や法律に違反する行為になります。発覚すると、医療費の返還義務が生じます。一般のED治療の場合は自由診療で行ってください。
- Q
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- Q男性不妊の治療は保険適用になりますか?
- A男性不妊の治療の場合、保険適用となります。
ED治療薬の処方では「バイアグラ」、「バイアグラODフィルム」、「シアリス」が対象となります。
また、男性不妊の原因である精管閉塞、先天性の形態異常、逆行性射精障害、造精機能障害などに対する手術療法や薬物療法も保険適用となります。
- Q
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- QED治療薬は妊娠に影響しない?
- AED治療薬を使用しても精子の運動量、数、射精の際の精液量に影響はありません。
精液への成分の移行もごく少量(投与量に対して0.0002%未満)なため、妊娠しても胎児に影響はありません。
- Q
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- QED治療は医療費控除の対象になりますか?
- A不妊治療のために行うED治療の場合は、医療費控除が受けられます。
ただし、自由診療でのED治療の場合は医療費控除を受けることはできませんので、ご注意ください。
- Q
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