
ニキビ治療は、症状や進行具合に応じて適切な薬を選ぶことが大切です。
このページでは、皮膚科で処方される外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)の種類、効果、そして副作用について詳しく解説します。
当院で取扱いのあるニキビ治療薬「イソトレチノイン」にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
ニキビの重症度によって処方薬は異なる

ニキビは症状によって「白ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」などに分類され、それぞれに適した治療薬があります。
症状が軽度な場合は外用薬で改善が見込めることもありますが、中等症〜重症になると内服薬による治療が必要になるケースもあります。
特に重症化したニキビでは、イソトレチノインのような強力な治療薬が使われることもあります。
軽度〜中等度ニキビに処方される塗り薬
皮膚科で処方される外用薬には、毛穴の詰まりを防ぐ薬や、アクネ菌を殺菌する成分、炎症を抑える薬など、複数の種類があります。
代表的なものにアダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌薬(オゼノキサシンなど)があり、症状や肌質に合わせて選ばれます。
ディフェリンゲル・アダパレンゲル(アダパレン)

名称/有効成分 | ディフェリンゲル/アダパレン(レチノイド様作用を有するナフトエ酸誘導体) |
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効果・ 特徴 |
ビタミンA誘導体と似た成分で、抗炎症作用や、毛穴の詰まりの改善、皮膚のターンオーバーを促進する効果があります。 アダパレンゲルはディフェリンゲルの後発薬です。 |
副作用・注意点 | 乾燥、赤み、ヒリヒリ感、かゆみ、皮むけなどの副作用があります。 服用した約8割の方に副作用が現れますが、十分な保湿や使用量の調整で副作用を少なくすることができます。 |
使用方法 | 就寝前に1日1回、患部に適量を塗布します。 |
ベピオゲル・ローション(過酸化ベンゾイル)

名称/有効成分 | ベピオゲル・ローション/過酸化ベンゾイル |
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効果・ 特徴 |
アクネ菌や黄色ブドウ球菌などに対する抗菌作用でニキビの増殖を抑え、ピーリング作用により毛穴のつまりを改善します。 炎症性皮疹および非炎症性皮疹に対して効果があります。 |
副作用・注意点 | 乾燥、赤み、ヒリヒリ感、かゆみ、皮むけなどの副作用があります。 妊娠・授乳中の方でも使用可能な場合がありますが、医師・薬剤師に相談の上使用してください。 |
使用方法 | 洗顔後に1日1回、患部に適量を塗布します。 |
ゼビアックスクリーム・ローション(オゼノキサシン)
名称/有効成分 | ゼビアックスクリーム・ローション/オゼノキサシン |
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効果・ 特徴 |
キノロン系の外用抗菌薬でアクネ菌や黄色ブドウ球菌に対して抗菌作用を発揮し、炎症しているニキビを改善します。 クリームとローションの2種類があるため、乾燥を抑えたい場合や塗りやすさで選ぶことができます。 キノロン系の塗り薬として、アクアチム(ナジフロキサシン)もニキビの原因菌を殺菌する治療薬として使用されます。 |
副作用・注意点 | 乾燥、赤み、ヒリヒリ感、かゆみ、皮むけなどの副作用があります。 |
使用方法 | 洗顔後に1日1回、患部に適量を塗布します。 |
イベルメクチンクリーム(イベルメクチン)
名称/有効成分 | イベルメクチンクリーム/イベルメクチン |
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効果・ 特徴 |
2014年に米国食品医薬品局(FDA)から酒さ治療薬として認可を受けている治療薬です。 毛包内に生息するニキビダニに対して殺菌効果を発揮し、赤ら顔などの炎症を抑える作用があります。 |
副作用・注意点 | 赤み、ヒリヒリ感、かゆみなどの副作用があります。 |
使用方法 | 洗顔後に1日1回、患部に適量を塗布します。 |
【注意】ステロイド薬
ステロイド外用薬は炎症を抑える力が強く、赤く腫れたニキビに対して一時的な効果が期待できます。
しかし、長期的な使用は肌への負担となり、皮膚が薄くなったり、逆にニキビが悪化することもあります。
- ステロイド薬はニキビの炎症を一時的に鎮めるため、対症療法としては有効です。ただし、ニキビの元である「アクネ菌」の殺菌や、皮脂の過剰分泌抑制などの効果は期待できません。
- ステロイド薬(内服薬・外用薬)の使用によって、「ステロイドざ瘡」と呼ばれるニキビが発生するリスクも指摘されています。
ニキビ治療においてはあくまで一時的な対症療法にとどめ、継続的な使用は避けましょう。
急に中断してしまうと「リバウンド現象(症状悪化)」が起こる場合があるため、現在ステロイド薬を使用中の方も、自己判断での中止ではなく医師への相談を推奨します。
炎症が進行したニキビに処方される飲み薬
抗菌薬はアクネ菌の増殖を抑える目的で使用され、赤ニキビや膿ニキビなど、炎症があるタイプに処方されます。
ドキシサイクリンやミノサイクリンはよく使われる薬ですが、長期使用により耐性菌のリスクがあるため、定期的な経過観察が必要です。
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
名称/有効成分 | ビブラマイシン/ドキシサイクリン |
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効果・ 特徴 |
全身の幅広い細菌感染症に使用されるテトラサイクリン系の抗菌剤です。 アクネ菌の増殖を抑え、炎症している赤ニキビや、膿を持った黄ニキビがたくさんある場合に用いられます。 塗り薬の併用も行われる場合があります。 |
副作用・注意点 | 吐き気、食欲不振、腹痛、下痢、口内炎、発疹などの副作用があります。 併用注意薬として、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄剤、経口避妊薬などがあります。 |
使用方法 | 初日:1日1回~2回、200mgを服用します。 2日目以降:1日1回、100mgを服用します。 |
ミノマイシン(ミノサイクリン)
名称/有効成分 | ミノマイシン/ミノサイクリン |
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効果・ 特徴 |
ビブラマイシン同様に、全身の幅広い細菌感染症に使用されるテトラサイクリン系の抗菌剤です。 アクネ菌を含む、細菌のタンパク質の合成を阻害し、増殖を抑えます。 また、抗菌作用だけではなく、抗炎症作用でニキビの炎症を抑えることも可能です。 |
副作用・注意点 | 吐き気、食欲不振、腹痛、下痢、発疹、悪心などの副作用があります。 併用注意薬として、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄剤、経口避妊薬、外用剤を除くビタミンA製剤やレチノイド製剤などがあります。 |
使用方法 | 初回:100mg~200mgを服用します。 2回目以降(12時間あるいは24時間ごと):100mgを服用します。 |
ニキビ治療のサポートとして処方される漢方薬
体質改善を目的とした漢方薬は、繰り返しニキビができる方や、ストレス・ホルモンバランスの乱れが原因となっている方に処方されることがあります。
桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)
名称/有効成分 | 桂枝茯苓丸料加薏苡仁/薏苡仁(ヨクイニン)・桂枝(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)・桃仁(トウニン)・茯苓(ブクリョウ)・牡丹皮(ボタンピ) |
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効果・ 特徴 |
6種類の生薬を配合した顆粒状の漢方で、血流や肌のターンオーバーの促進をし、ニキビの改善をします。 特に女性の月経周期に伴う肌トラブルの改善に効果があります。 |
副作用・注意点 | 発疹、発赤、かゆみ、蕁麻疹、食欲不振などの副作用があります。 |
使用方法 | 1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に服用します。 ※ツムラ桂枝茯苓丸料加薏苡仁エキス顆粒(医療用) |
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
名称/有効成分 | 十味敗毒湯/桔梗(キキョウ)・柴胡(サイコ)・川芎(センキュウ)・茯苓(ブクリョウ)・樸樕(ボクソク)・独活(ドクカツ)・防風(ボウフウ)・甘草(カンゾウ)・荊芥(ケイガイ)・生姜(ショウキョウ) |
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効果・ 特徴 |
10種類の生薬を配合した顆粒状の漢方で、炎症や化膿したニキビの初期治療として用いられます。 |
副作用・注意点 | 発疹、発赤、かゆみ、蕁麻疹、食欲不振などの副作用があります。 |
使用方法 | 1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に服用します。 ※ツムラ十味敗毒湯エキス顆粒(医療用) |
ニキビケアや美肌効果で処方されるビタミン剤・サプリメント
ビタミン剤は、皮脂の分泌を抑えたり、肌の新陳代謝をサポートする働きがあり、軽度のニキビや肌荒れ予防にも効果が期待されます。
美容目的での処方も多く、治療の補助として使われるケースが一般的です。
シナール(アスコルビン酸・パントテン酸カルシウム)

名称/有効成分 | シナール/アスコルビン酸(ビタミンC)・パントテン酸カルシウム(ビタミンB5) |
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効果・ 特徴 |
ビタミンCとビタミンB5が配合されたビタミン剤で、抗酸化作用と肌のバリア機能の改善によりニキビの炎症を改善し、新たなニキビの発症を予防します。 |
副作用・注意点 | 胃の不快感、嘔吐、下痢などの副作用があります。 水溶性ビタミンは体内に蓄積されないため、継続して摂取する必要があります。 |
使用方法 | 1日1回~3回、1錠~3錠を服用します。 |
ユベラ(トコフェロール酢酸エステル)

名称/有効成分 | ユベラ/トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE) |
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効果・ 特徴 |
ビタミンEの血行促進作用と抗酸化作用、抗炎症作用により、肌のターンオーバーの活発化やニキビ・ニキビ跡の改善と予防をします。 |
副作用・注意点 | 便秘、胃部不快感、下痢、過敏症、発疹などの副作用があります。 |
使用方法 | 1日2回~3回、1錠~2錠を服用します。 |
ハイチオール錠(L-システイン)
名称/有効成分 | ハイチオール錠/L-システイン(アミノ酸) |
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効果・ 特徴 |
肌のターンオーバーを正常化させる作用や、肌のバリア機能を強化する働きがあり、毛穴を詰まりづらくし、ニキビの改善と予防をします。 |
副作用・注意点 | 悪心、下痢、口渇、腹痛などの副作用があります。 |
使用方法 | 1日2回~3回、1錠~2錠を服用します。 |
スキンマリア(美容5合剤内服)

名称/有効成分 | スキンマリア(トラネキサム酸、アスコルビン酸(ビタミンC)+パントテン酸カルシウム、ビタミンE、L-システイン、グルタチオン) |
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効果・ 特徴 |
シナール・ユベラ・ハイチオール・トランサミン・タチオンの成分を1錠に凝縮。 ニキビやシミ、色素沈着の予防・改善を内側からサポートし、透明感のある肌へ導きます。 不足しがちな美容成分を効率よく補給できる高機能内服薬です。 |
副作用・注意点 | 食欲不振、悪心、胸やけ、胃の不快感、胃痛、下痢などの副作用があります。 |
使用方法 | 朝と夜に2錠ずつ服用します。 |
「根本治療」に処方されるニキビ治療薬

根本治療に処方されているニキビ治療薬にはイソトレチノインがあります。
イソトレチノインは、海外で40年以上前から使われている内服タイプのニキビ治療薬です。
保険診療で処方される塗り薬や抗菌薬では改善しにくいニキビや、繰り返しできるニキビにも効果が期待されており、中等度から重度のニキビに限らず、皮脂分泌が多い方や再発を繰り返す方にとって有力な治療の選択肢となっています。
名称/有効成分 | イソトレチノイン(ビタミンA誘導体) |
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効果・ 特徴 |
皮脂の分泌を抑え、毛穴詰まりや炎症の原因を根本から改善。 アクネ菌のエサとなる皮脂を減らすことで、赤く腫れたニキビの改善はもちろん、新しいニキビの予防にも効果を発揮します。 乾燥しやすくなるため、保湿剤と併用しながらの治療が一般的です。 |
副作用・注意点 | 発疹、唇や肌の乾燥、頭痛、視覚障害、嘔吐、鼻出血、うつ病などの副作用があります。 流産や胎児奇形のリスクがあるため、服用期間中と前後1ヵ月間は避妊が必要です。 |
使用方法 | 1日20mg~40mgを服用します。 ※症状や体重により用量は異なります。 |
イソトレチノインが処方薬に指定されている理由
イソトレチノインは皮脂の分泌を強力に抑制し、毛穴の詰まりや炎症を根本から改善する作用があります。その一方で、胎児に深刻な奇形を引き起こす催奇形性や、肝機能・脂質代謝への影響などの副作用リスクがあるため、日本では必ず医師の処方が必要な医薬品とされています。
安全に治療を行うためには、定期的な診察、医師の管理が不可欠です。自己判断での服用は非常に危険ですのでお控えください。
処方前に理解しておきたいイソトレチノインの注意点
イソトレチノインを服用する際は、副作用や治療期間の目安について事前に理解しておくことが大切です。
特に女性の場合、治療中および治療後も一定期間の避妊が求められます。また、服用中は肝機能や中性脂肪の値が変動しやすいことからも、医師の定期的な問診が不可欠です。
乾燥や肌の刺激感などの軽度な副作用も多く、継続して治療を受けるうえでは医師のサポートが欠かせません。事前の説明を受けたうえで、安全に治療を進めましょう。
なお、フィットクリニックでもイソトレチノインの処方を行っております。詳細は次の章をご覧ください。
当院のニキビ治療薬の処方
フィットクリニックでは医師が定期的に問診を行い、イソトレチノインを適切に処方します。副作用へのリスクにも十分に対応しているため、安心してニキビ治療を始められます。
イソトレチノインは重度のニキビに処方されるニキビ治療薬ですが、保険診療では改善が見られなかった方や、再発を繰り返している方にも多く選ばれており、再発予防まで見据えたニキビ治療が可能です。
ご興味のある方は、ぜひ当院へご相談ください。
まとめ|症状に合ったニキビ治療薬を選ぼう
ニキビ治療薬は、症状や体質に合わせて適切な薬を選ぶことが重要です。
自己判断せず、医師と一緒に治療法を決めることでより効率的に改善が期待できます。
まずはお気軽に当院へご相談ください。
治療の流れの詳細は、以下のリンクからもご確認いただけます。
ニキビ治療薬についてのよくある質問
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- Qニキビ治療薬はどれを選べばいいですか?
- Aニキビの種類や重症度によって使用する治療薬は異なります。医療機関で相談し、自分に合った薬を選ぶことが大切です。
- Q
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- Qニキビ治療薬の副作用はありますか?
- A使用する治療薬によって副作用は異なります。治療薬を使用して現れた副作用が気になる場合は、速やかに医師に相談してください。
- Q
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- Qニキビ治療薬はどのくらい続けたら効果が出ますか?
- Aニキビの症状や治療薬の種類によって異なります。どの治療薬を使用する場合もそうですが、特に抗生物質を使用する場合は、耐性菌が現れる可能性もあるため、必ず決められた用法・用量を守ってください。
- Q
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- Qニキビ治療薬と市販薬の違いは何ですか?
- A処方薬は、配合されている有効成分の量が多く、より効果が期待できる場合があります。一方、市販薬は比較的軽度のニキビの改善・予防目的で使用されます。
軽症のニキビで、まずは市販薬で様子を見たい場合は、「サリチル酸」「イオウ」「レゾルシン」「イソプロピルメチルフェノール」「グリチルリチン酸ジカリウム」などの殺菌や抗炎症作用のある医薬部外品を選ぶのがよいでしょう。
「炎症がひどい」「市販薬が効かない」「ニキビ跡を残したくない」「繰り返しできてしまう」などのお悩みがある場合は、できるだけ早く医療機関の医薬品を処方してもらうことを推奨します。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
イソトレチノインについて | |
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未承認医薬品等であることの明示 | イソトレチノインは日本国内では未承認医薬品となります。 |
入手経路等の明示 | 厚生局の正式なプロセスを経て、当院医師の判断により輸入しています。 |
国内の承認医薬品等の有無の明示 | 同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。 |
諸外国における安全性等に係る情報の明示 |
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医薬品副作用被害救済制度について |
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万が一重篤な副作用が出た場合は、日本国における医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。 |