ただし、次のような行為は、治りを悪くしたり、症状がぶり返す恐れがあるので注意が必要です。
- 薬の飲み忘れ
- 自己判断による服用中止
- パートナーの治療が完了していないうちの性行為
国内でも10代後半から20代を中心に感染者が多いクラミジアは、特定の薬を使わなければ完治することができません。
正しい薬の使用が感染者数を減らすことにもつながるので、感染の疑いがある方だけでなく、他の方も今後の参考にしてみてください。
クラミジアの薬は、細菌が生きるために必要な「タンパク質の合成を阻害するタイプ(タンパク合成阻害薬)」の薬と「核酸の合成を阻害するタイプ(核酸合成阻害薬)」が使われます。
また、抗生物質には他にも「細胞壁の合成を阻害するタイプ(細胞壁合成阻害薬)」がありますが、クラミジアは細胞壁(細胞の外側の膜)がないので効果はありません。
抗生物質にはさまざまな種類があり、症状や服用者の体質に合わせて適切な薬を選ぶ必要があります。
クラミジアの薬(抗生物質)は、大きく分けて「マクロライド系」「テトラサイクリン系」「ニューキノロン系」があります。
クラミジアの薬(抗生物質)
主な薬 | 主な副作用 | |
---|---|---|
マクロライド系 |
|
悪心、嘔吐、下痢といった胃腸症状 など |
テトラサイクリン系 |
|
悪心、食欲不振、腹痛、嘔吐、めまい など |
ニューキノロン系 |
|
下痢、吐き気、食欲不振 など |
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クラミジアの薬(抗生物質)の特徴などについて詳しく見ていきましょう。
マクロライド系の抗生物質は、クラミジア治療で処方される機会が多く、胎児への影響がほとんどないため妊娠中でも使用できる薬です。
マクロライド系の特徴は以下の表の通りです。
マクロライド系(抗生物質)の特徴
効果 | 感染部位で細菌が増殖するのを抑えて殺菌する |
---|---|
副作用 | 悪心、嘔吐、下痢といった胃腸症状 など |
服用方法 | 1日1~2回を単回あるいは7日間服用 |
注意点 | 長時間効き目が持続するので、服用した翌日以降に副作用が出ることがある |
また、「アジスロマイシン(ジスロマック)」や「クラリスロマイシン(クラリス/クラリシッド)」は、次の特徴からニューマクロライドと呼ばれることもあります。
クラミジア治療では、飲み忘れや自己判断による服用中止が問題になりやすいです。
そのため1回の服用で治療を済ませられるジスロマックが、クラミジアの治療薬として選ばれやすくなっています。
テトラサイクリン系の抗生物質は、抗菌作用のある薬です。
菌の増殖をストップし、体に備わっている防御機能によって細菌を除去するのを助けます。
なお、胎児の歯や骨の発育に影響を及ぼす可能性があるため、妊婦については服用が禁忌とされています。
テトラサイクリン系の特徴は以下の表の通りです。
テトラサイクリン系(抗生物質)の特徴
効果 | 感染部位で細菌が増殖するのを抑える |
---|---|
副作用 | 悪心、食欲不振、腹痛、嘔吐、めまい など |
服用方法 | 1日1~2回を7日間の服用 |
注意点 | 服用中に直射日光を長時間浴びると光線過敏症を起こすことがある |
薬の種類もいくつかあり、クラミジア治療では長時間型に分けられる「ドキシサイクリン(ビブラマイシン)」と「ミノサイクリン(ミノマイシン)」のどちらかを使用します。
また飲み薬では対処できない重症例になると、点滴を使って静脈に直接ミノマイシンの投与を行うこともあります。
ニューキノロン系の抗生物質は、テトラサイクリン系の抗生物質と同じく抗菌作用のある薬です。
胎児の発育に影響することから妊娠中の服用は禁忌とされ、妊婦は服用することができません。
また、ニューキノロン系の中でもクラミジア治療に用いられるのが次の薬です。
ニューキノロン系の特徴は以下の表の通りです。
ニューキノロン系(抗生物質)の特徴
効果 | 感染部位で細菌が増殖するのを抑えて殺菌する |
---|---|
副作用 | 下痢、吐き気、食欲不振 など |
服用方法 | 1日1回を7日間の服用 |
注意点 | ミネラル製剤や食品との併用で効果が弱まることがある |
レボフロキサシン(クラビット)については使用実績が豊富であり、長期の服用にも適していることから処方の機会が多くなっています。
クラミジアの薬は「処方せん医薬品」になるため、市販では購入できません。
医師以外が処方できない理由として、主に次のようなことがあげられます。
医師の処方なしにクラミジアの薬を自己判断で服用することは、大変危険な行為です。
クラミジアに感染しているか特定し、症状に合わせた正しい薬の種類、適切な投与量、治療期間などを専門的な知識を持つ医師が判断する必要があります。
一般の方が自己判断で薬を服用すると、症状が改善しないだけでなく、健康に深刻な影響を及ぼすこともあります。
したがって、クラミジア感染症の疑いがある場合は、医師の診察を受け、適切な処方と指示を受けることが重要です。
インターネットで海外通販を利用すると、海外製のクラミジアの薬を購入することができてしまいます。
国内通販と同じように決済するだけで薬が届く便利なサービスではあるものの、トラブルが後を絶たないので海外通販の利用は控えましょう。
抗生物質による治療は、症状によって必要な量と服用期間が異なってきます。
自己判断で薬を服用しても治らないばかりか、場合によっては体の奥にまで感染が広がることがあるので、必ず医師処方の薬を使用するようにしてください。
また、自己判断で薬を乱用すると、抗生物質の効果に対して耐性のある耐性菌が増えて治療が効かなくなる恐れがあります。
治療の選択肢が減ってしまうことで自らの首をしめないように、必ず薬は医師の処方のもと服用してください。
クラミジアの薬は、これまで通院によって処方を受けるのが当たり前でしたが、最近ではオンライン診療で完結できます。
直接来院するのに抵抗がある方でも、オンライン上で診察・検査・治療をワンストップで行え、自宅にいながらクラミジアを治療することが可能です。
診察は医師と専門スタッフのみなのでプライバシー面は保護され、他人の目を気にする心配がありません。
全国のクリニックでオンライン診療は普及しているので、最寄りに治療できる医療機関がない方や通院の時間がない方にもおすすめです。
クラミジアは放っておくと重症化することもあるので、気になる症状があればオンライン診療で医師に相談してみてください。
クラミジアの菌に効くとされる抗生物質は限られており、別の病気の治療で処方された抗生物質を代用することはできません。
例えば、細菌感染症に効果的なペニシリン系抗生物質は、クラミジアには効果がありません。
クラミジアに効果のない薬を服用している間に症状が悪化してしまう恐れがあり、悪化してしまうと、男女ともに不妊によって将来的に子供を望めなくなってしまうことも。
また、むやみな抗生物質の使用は、新たな耐性菌を生み出す原因にもなりかねません。
薬剤耐性菌ができてしまうと、その抗生物質が本当に必要な時に治療の手立てが失われてしまいます。
そのため、その都度症状に適した抗生物質を医師に処方してもらうようにしましょう。
クラミジア治療薬による治療期間は、「1日」または「7日」と薬の種類によって異なります。
症状によっては追加で服用が必要になることもあるので、上記はあくまでも目安と考えてください。
また、クラミジア治療薬を服用したからといって、感染部位から菌がすぐに消えることはありません。
場合によっては、クラミジアは治療に時間がかかることがあります。
理由としては2つあります。
クラミジアのライフサイクルは以下の図の通りです。
このように、クラミジアの薬を服用しても、感染部位から菌が消滅するのには一定の時間がかかります。
完治までの目安は服用後から2~3週間となり、検査によって菌がいない「陰性」の結果が得られれば治療が完了となります。
そのため、クラミジア治療は薬の服用だけでなく、再検査までが治療ということは覚えておきましょう。
治癒が確認できれば完治
以上の期間を踏まえると、パートナーへのクラミジアをうつすリスクがないと言い切れるまでには、約1ヶ月と見ておくと良いでしょう。
わずかでも菌が残っていれば再感染する恐れがあるので、医師に完治が認められるまでは性行為やそれに類似した行為は控えるようにしてください。
最後に、大切なポイントごとにクラミジア治療薬についておさらいしておきましょう。
クラミジアを治療できる薬の種類は限られてはいるものの、適切な薬を正しく服用できれば完治は可能です。
医療機関に直接受診することに抵抗があればオンライン診療も検討し、悪化させないために早期治療につなげるようにしていきましょう。
また、海外通販で薬の購入は控えてください。
健康へのリスクは拭えず、いつまでも治らなかったり、薬の効かない耐性菌を増やすことにもなりかねません。
必ず医師が必要と判断し処方した抗生物質を服用するようにしてください。