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【医師監修】シルデナフィルクエン酸塩とは

【医師監修】シルデナフィルクエン酸塩とは

シルデナフィルクエン酸塩(Sildenafil Citrate)とはホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬です。

ファイザー社(現在はヴィアトリス製薬に移管)の勃起不全治療薬バイアグラ(Viagra)、および肺動脈性肺高血圧症治療薬のレバチオ(Revatio)の有効成分として、同一の有効成分で2つの効果効能を厚労省より認可された成分です。

このページではシルデナフィルクエン酸塩の概要および、勃起不全への効果を中心に解説します。

なお、バイアグラに関する詳細情報は以下をご参照ください。

シルデナフィルクエン酸塩の基本情報

一般名 シルデナフィルクエン酸塩
(Sildenafil Citrate)
化学名 1-[[3-(6,7-dihydro-1-methyl-7-oxo-3-propyl-1H-pyrazolo[4,3-d]pyrimidin-5-yl)-4-ethoxyphenyl]sulfonyl]-4-methylpiperazine monocitrate
分子式 C22H30N6O4S・C6H8O7
分子量 666.70
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末。
N,N-ジメチルアセトアミドに溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
構造式 シルデナフィルの構造式
販売名 バイアグラ(勃起不全
レバチオ(肺動脈性高血圧症)
投与経路 経口
代謝 肝臓 (mostly CYP3A4, also CYP2C9)
半減期 3 - 4 時間
排泄 糞 (80%)、腎臓(13%周辺)

シルデナフィルクエン酸塩は、サイクリック GMP特異的ホスホジエステラーゼ タイプ 5(cGMP phosphodiesterase type5・PDE5)に対する選択的阻害薬です。

ファイザー社での開発当初は抗狭心症薬として研究が進められ、その臨床試験において被験者から陰茎の勃起が報告されたことにより勃起不全への有効性が認められます。

以降、1993年7月からED患者への臨床試験を開始し、有効性と安全性が認められ、我が国においては1999年1月より承認を受けED治療薬「バイアグラ」として販売され、「レバチオ」が肺動脈性肺高血圧症の治療に用いられます。

また、薬理学的に関連のある化合物に「バルデナフィル塩酸塩水和物」「タダラフィル」があります。

シルデナフィルクエン酸塩の作用機序

シルデナフィルクエン酸塩はcGMP(サイクリックGMP)分解酵素であるPDE5(ホスホジエステラーゼ5)を阻害しcGMP濃度を上昇される作用により血管を弛緩、通常より血流を増幅させます。

この作用により勃起不全(ED)に以下の効果をもたらします。

なお、現在は勃起不全をED(Erectile Dysfunction)と表現します。以前の「インポテンス」という表現は侮蔑的な意味合いがあるとされるため使用することはありません。

勃起不全(ED)への効果

シルデナフィルクエン酸塩の選択的 PDE5 阻害作用に基づき、性的刺激後の勃起機能を改善します。

シルデナフィルクエン酸塩の勃起不全に対する臨床試験

シルデナフィルクエン酸塩が「性交時の挿入の頻度」「勃起の維持」にどの程度影響するか、6段階のスコアで表す臨床試験の結果は以下の通りです。

6段階のスコア

スコア
毎回orほぼ毎回(10回中9回以上) 5
おおかた毎回(10回中7回程度) 4
時々(10回中5回) 3
たまに(10回中3回程度) 2
全くなしorほとんどなし(10回中1回以下) 1
性交の試み一度もなし 0

挿入頻度の平均スコア(抜粋)

投与前 投与後
25mg 50mg
1.65(243例) 3.52(60例) 3.82(58例)

勃起の維持の平均スコア(抜粋)

投与前 投与後
25mg 50mg
1.30(243例) 2.97(60例) 3.53(58例)

シルデナフィル50mg投与の結果、挿入の頻度:1.65→3.82 勃起の維持:1.30→3.53 と、スコアが有意な改善が認められます。

これは、シルデナフィルクエン酸塩がED治療において実際に勃起補助効果を発揮していることを意味します。

また、勃起不全の診断方法に関しては、国際勃起機能スコア(IIEF)に基づく 5 つの質問(IIEF5)や日本性機能学会 の調査表も参考とされます。

シルデナフィルクエン酸塩の用法及び用量

同じシルデナフィル製剤でも、ED治療と肺動脈性肺高血圧症で服用方法は異なります。

この章では勃起不全に対する用法及び用量について記述します。

【シルデナフィルクエン酸塩の用法及び用量】
  • 成人に 1 日 1 回、25mg~50mg
  • 性行為の約 1 時間前に経口投与
  • 投与間隔は24時間以上とする

高齢者(65歳以上)及び肝障害のある患者、重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者については血漿中濃度の増加が認められていることから、25mgが開始用量とされます。

また、用法の注意点として、食前または食中との投与において空腹時と比較し効果発現時間の遅延が確認されています。

シルデナフィルクエン酸塩の副作用

シルデナフィルクエン酸塩の安全性について、副作用として報告されているのは以下の通りです。

1%以上
  • 血管拡張(ほてり、潮紅)(5.78%)
  • 頭痛(3.87%)

0.1〜1%未満
  • 胸痛、動悸、頻脈
  • めまい、傾眠、昏迷
  • AST増加
  • 悪心、胃腸障害、口渇、消化不良、腹痛
  • 鼻炎
  • 関節痛、筋肉痛
  • 発疹
  • 眼充血、結膜炎、彩視症、視覚障害
  • CK増加、疼痛、熱感

0.1%未満
  • 高血圧、不整脈、不完全右脚ブロック、末梢性浮腫
  • 異常感覚、下肢痙攣、記憶力低下、興奮、緊張亢進、錯乱、思考異常、神経炎、神経過敏、神経症、不安、不眠症、無気力
  • ALT増加、LAP上昇、LDH増加、血中トリグリセリド増加、γ-GTP増加、血清リン脂質上昇、血中アミラーゼ増加、血中アルブミン減少、血中ビリルビン増加、総蛋白減少
  • おくび、胃炎、胃不快感、下痢、口唇乾燥、舌障害、白舌、腹部膨満、便秘、嘔吐、嚥下障害
  • 陰茎痛、射精障害、朝立ちの延長、半勃起持続
  • 呼吸障害、鼻閉、咽頭炎、喘息
  • 骨痛、背部痛
  • そう痒症、眼瞼そう痒症、脱毛症、男性型多毛症、発汗、皮膚乾燥、皮膚障害、紅斑
  • ヘマトクリット減少、ヘマトクリット増加、ヘモグロビン減少、リンパ球減少症、リンパ球増加症、好酸球増加症、赤血球減少症、赤血球増加症、白血球増加症
  • 眼乾燥、眼痛、屈折障害、光視症、味覚異常、味覚消失、流涙異常、羞明
  • BUN増加、インフルエンザ症候群、リンパ節症、血中ナトリウム減少、血中リン増加、体重増加、血中尿酸増加、ウロビリノーゲン陽性、尿中ブドウ糖陽性、尿中赤血球陽性、尿中蛋白陽性、疲労、無力症

頻度不明
  • 心筋梗塞注)、低血圧、失神
  • 勃起の延長、持続勃起、尿路感染、前立腺疾患
  • 鼻出血、気道感染症、副鼻腔炎
  • 霧視、視力低下、網膜出血、網膜静脈閉塞、突発性難聴
  • 過敏性反応、感染症

副作用が出たときの対処法

バイアグラの副作用発現割合は低く表記されていますが、顔の火照りや頭痛といった症状は実際には約4割に認められる症状で、これらはさほど心配はありません。

動悸や消化不良、光に過敏に反応し、見え方が変化するといった症状も、効果時間の4〜6時間程度で収束する傾向にあります。

頭痛や胃痛の対処にはロキソニン、バファリン、イブプロフェンといった頭痛薬、胃薬、整腸剤の使用も可能です。

重篤な視力低下、NAION発現歴がある場合はNAION発症のリスクが高く視力喪失のおそれもあります。

6時間以上の持続勃起は持続勃起症で生殖機能喪失の可能性もあるため、これらの症状が発現した場合、速やかに医療機関を受診ください。

シルデナフィルクエン酸塩の注意点

シルデナフィルクエン酸塩が催淫剤や精力増進剤であるというのは誤っ た認識のため、用法・用量に従っての服用が必須です。

投与に際しては、「勃起不全」及び基礎疾患の診断と、既往歴の調査ならびに諸検査を行った上、客観的な診断に基づいて臨床上治療が必要とされる患者に限定投与します。

重篤な副作用を未然に防ぐためにも、持病や服用中の薬、アレルギーの既往歴があれば医師に申告するようにしてください。

併用禁忌

併用禁忌(併用禁忌薬剤)とは、併用することで効果の増減副作用の増悪や重大な健康被害の可能性がある医薬品です。

  • 硝酸剤及びNO供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)
  • sGC刺激剤(リオシグアト)
  • アミオダロン塩酸塩(アンカロン)
【投与の禁忌】次の患者には投与しないこと
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 重度の肝機能障害のある患者
  • 低血圧(特に最大血圧90mmHg未満、または最小血圧50mmHg未満)の方
  • 高血圧(最大血圧170mmHg以上、または最小血圧100mmHg)の方
  • 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヶ月以内にある方
  • 網膜色質変性症(進行性の夜盲症)と診断された方

バイアグラ臨床試験においては心血管系障害を有するなど、性行為が不適当と考えられる方も除外されています。

また、レバチオについてはその他にも抗HIV薬も併用投与試験から除外されています。

その他、グレープフルーツの果汁や果肉に含まれる「フラノクマリン類」は体内酵素の働きを弱め薬理作用が大幅に増強され、シルデナフィルの代謝の妨げになり併用禁忌とされます。

この影響は十数時間〜数日持続するとの報告もあるので、服用中はジュースや果肉、果皮を使用したジャムなどにも注意が必要です。

併用注意

併用注意とは同時服用で副作用が増強・減弱したり、効果が変化するおそれが生じることから、併用に注意を要する組み合わせです。

シルデナフィルクエン酸塩においては、主に薬の代謝に影響する成分が含まれる薬や、血圧を下げる降圧剤などが併用注意とされます。

  • CYP3A4阻害薬(エリスロマイシン、シメチジンなど)
  • CYP3A4誘導薬(ボセンタン、リファンピシンなど)
  • 降圧剤
  • α遮断剤
  • カルペリチド

シルデナフィル製剤について

シルデナフィルの製剤である勃起不全治療剤「シルデナフィルクエン酸塩錠」についての詳細は以下の通りです。

主な勃起不全治療剤の概要

バイアグラ バイアグラジェネリック
錠形 バイアグラ バイアグラジェネリック
効能または効果 勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)・勃起のサポート
有効成分 シルデナフィルクエン酸塩
当院の処方価格

先発薬:1,300~1,600円/1錠

ジェネリック:270~1,000円/1錠
製造販売元

ヴィアトリス製薬

2021年9月までは
ファイザー
国内外各製薬会社

フィットクリニックでは、ED治療薬バイアグラおよびシルデナフィルクエン酸塩錠(バイアグラジェネリック)の処方を行っています。

オンライン診療または来院処方どちらにも対応しております。

診療方法のご確認及びご予約は以下をご覧ください。

シルデナフィルクエン酸塩についてまとめ

シルデナフィルクエン酸塩は、狭心症治療薬の開発中に偶然発見された有効成分でしたが、男性の勃起不全へ効果が現れたことから、世界初の勃起不全(ED)治療薬「バイアグラ」が誕生しました。

現在では男性のQOL(生活の質)を向上させるために広く用いられています。

また、血液循環を改善する作用から難病指定されている肺動脈性肺高血圧症の治療にもレバチオが貢献しています。

EDの治療成分としての使用機会が多く、バイアグラは現在ジェネリック医薬品も各メーカーより販売され、世界中で使用されているほか、シルデナフィルクエン酸塩に続く勃起不全を治療する成分も開発されています。

よくある質問

Q1:シルデナフィルクエン酸塩を服用できない人はどんな人ですか?

A1:シルデナフィルを服用できない人は主に以下の人です。

  • シルデナフィルに対し過敏症の既往歴のある人
  • 併用禁忌薬を投与中の人
  • 重度の肝機能障害がある人

など

勃起不全での利用に際し、主に心血管系の疾患や肝臓に障害が認められる場合には服用できません。
そのほかにも服用している薬がある場合は、医師に必ず報告してください。

Q2:シルデナフィルクエン酸塩錠50mgの効果は何ですか?

A2:シルデナフィルクエン酸塩錠50mg(バイアグラジェネリック)はバイアグラと同一用量が含まれ効果も同等のため、勃起不全改善に効果があります。
性行為の1時間前を目安に服用することで、勃起を促すサポートや行為中の硬さを維持する効果が期待できます。

Q3:バイアグラとレバチオの違いは何ですか?

A3:バイアグラとレバチオは同じシルデナフィルを有効成分としていますが、治療目的や用法及び用量がそれぞれ異なります。

バイアグラ
⇒ED治療を目的に、性行為の約1時間前に1錠服用

レバチオ
⇒肺動脈性肺高血圧症の治療を目的に、1日3回の服用

この記事の監修

フィットクリニック院長
服部圭太

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務
フィットクリニック院長・服部圭太
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