こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。

このページでは、クラミジアの治療と咽頭クラミジア治療について詳しくお伝えします。
治療や検査への不安の解消はもちろん、どのくらいでクラミジアが完治するのかまでもわかる内容となっております。
なお、クラミジアは男性・女性を問わず無症状で進行することも多いため、症状がある人だけでなく、不安な行為に心当たりがあるような人もぜひ参考にしてください。
クラミジアの症状については以下のページで解説しています。 クラミジアの詳細 性病治療について
クラミジアの治療方法
クラミジアの治療方法は感染部位(性器・のど・目・肛門)にかかわらず、いずれも抗生物質で行います。
細菌による感染症に有効で、微生物が成長(増殖)するのを阻止する物質
ただし、自宅にある一般医薬品では治療ができないため、医師のもとで処方を受け治療する必要があります。
クラミジア感染の多くは抗生物質の内服薬で治療が可能ですが、重症化した場合は点滴が行われることもあります。
また、治療を受けなければならないのは感染が発覚した人だけではありません。
ピンポン感染の可能性からパートナーと検査を受け、検査結果によっては一緒に治療することが大切です。
パートナーと自分どちらもクラミジアに感染している場合に、片方だけしか治療せず、いつまでもお互いに感染させあってしまう行為
クラミジアの治療薬で治療は可能
クラミジアの治療薬として処方される抗生物質の中でもポピュラーなのが、次の2つです。
アジスロマイシン (ジスロマック) |
●服用方法 1回1000mg(250mg×4)の服用 ●特徴 ・1回の服用で済むため飲み忘れがない ・腸内細菌にも影響し下痢を起こしやすい |
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レボフロキサシン (クラビット) |
●服用方法 1日1回500mgを7日間 ●特徴 ・幅広い菌に対して抗菌作用がある ・発疹、不眠、めまい、頭痛など |
ジスロマックでの治療が多く選択されますが、服用できない場合もクラビットなどの医薬品を選択して治療することが可能です。
クラミジアが完治しないと言われる理由は完治率
クラミジアが完治しないと言われる理由は一度の治療での完治率70~80%程度とされるためです。
治療した10人に2~3人は治療に失敗する計算です。
これはクラミジアに耐性菌(抗生物質が効かない菌)の報告が増えていることも影響しています。
以下はクラミジアの薬に耐性の付いた菌を増やす原因の例です。
- 抗生物質の長期使用
- 処方された薬を飲み切らない
- 自己判断での用量の変更
このように抗生物質の誤った使用が、知らず知らずに耐性菌を増やし、結果、薬を飲んでもクラミジアが完治しない状態を招くおそれがあります。
もちろんクラミジアは不治の病ではないので、耐性菌であっても医師の指示のもと薬の種類を変えて治療を続ければ完治は可能です。
クラミジアの治療期間
クラミジアの治療期間は症状の程度によっても個人差がありますが、完治が確認できるまでには、約1ヶ月の治療期間が必要です。
- 治療期間:1~7日間
- 完治の確認(再検査):治療後2~3週間
ただしクラミジアは無症状のまま症状が進行していくこともあります。
感染してから長い時間が経過し悪化していると治療期間を長引かせます。
また、男女共に重症化していると入院の必要があり、治療が数ヶ月に及ぶ可能性もあります。
加えて、感染した菌の量や体調、感染に気づくタイミングによっても、クラミジアの完治までの期間は異なります。
クラミジアの症状と無症状について
治癒検査で完治を確認する
クラミジアの症状が治ったとしても完治しているとは限りません。
菌が感染部位に残っている可能性があるため、感染を拡大させないためにも治療後の治癒検査はとても大切です。
- 治療薬を服用してから約3週間後、または2週間以上経過後に実施
- 核酸増幅法(PCR法、TMA法、SDA法)を用いて菌の有無を調べる
- 検査結果が陰性(菌が検出されない)であれば、完治
検査にて陰性を確認できた場合は完治となり、性行為をしても問題ありません。
咽頭クラミジアやクラミジア結膜炎の治療方法
咽頭クラミジアも性器クラミジアと同様で、抗生物質による内服治療を行います。
重症の場合は点滴での治療を行います。
- ニューキノロン系、マクロライド系、テトラサイクリン系を内服する
- 抗生物質により用量や服用期間は異なるが、1〜7日間服用で多くは完治が可能
クラミジア結膜炎(封入体結膜炎)の治療には、ニューキノロン系、マクロライド系、テトラサイクリン系の点眼薬や眼軟膏や内服薬を用いて治療します。
- ニューキノロン系の点眼薬は1~2時間ごとに点眼
- マクロライド系の眼軟膏は1日5回程度使用
- ニューキノロン系、マクロライド系、テトラサイクリン系の内服を行う場合もある
クラミジアは完治しても再発率が高い
クラミジアは完治しても、免疫がつくことはないため再発率は高く、感染者との接触があれば、何度でも感染を繰り返します。
クラミジアの再発率 (再陽性率) |
15~30% |
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クラミジアの再発率が高い背景として、性的パートナーからの再感染が多いことが挙げられます。
そのため、クラミジアの感染がわかった時点で、パートナーの症状の有無に関わらず、お互いに検査・治療しピンポン感染を防ぐことが重要です
クラミジア治療中の禁止事項
クラミジア治療中の禁止事項はあらゆる性的接触です。
たとえ症状が収まっていても治癒検査によって完治とわかるまでに性的行為を行ってしまうと、パートナーへの感染や、症状の悪化につながります。
- あらゆる性的接触
(性行為、唾液の接触、マスターベーション) - 自己判断での薬の服用中止
軽いキス程度では感染は起こらないとされますが、唾液の接触がある場合、感染が起こるおそれがあります。飲み物の回し飲みもリスクがあります。
マスターベーションを禁止する理由はクラミジアが尿道に炎症を起こしているためです。
マスターベーションのやり方によっては雑菌が侵入し、尿道の炎症をさらに悪化させます。
また、精液が付着した手で目を触ってしまうと、手を介してクラミジア結膜炎になる可能性もあります。
性行為はいつからできるか
性行為はいつからできるかについては、治療薬を服用してから約3週間後、もしくは2週間以上経過後に「治癒検査」を行ったうえで陰性が出れば性行為を行っても構いません。
それまではクラミジアの症状が収まっていても菌が消えたわけではないので禁止です。
もし性行為をしてしまった場合は、行為から24時間以上で検査が可能となるため、パートナーの検査をおすすめします。
陽性の場合、潜伏期間中でも治療は可能です。
性行為後72時間以内であれば、ビブラマイシンによってクラミジアを予防する方法も選択できます。
自己判断で薬の服用を中止しない
症状がなくなってもクラミジアが完治していない場合があるため、自己判断による薬の服用を中止することは禁止です。
1日1回1錠を7日間服用するクラビットの場合こうしたリスクがありますが、ジスロマックの場合1回の投与のため、飲み忘れや服用をやめてしまうリスクもありません。
検査の前に症状が治まっても、 抗生物質は処方された日数分は必ず飲み切るようにしてください。
中途半端に服用してしまうと再発や耐性菌を発生させる原因となります。
クラミジアの予防方法について
治療せずに放置して自然治癒することはない
クラミジアは自然治癒することはありません。
自然治癒しない理由
- 免疫が成立しにくい特異な特徴の菌である
- 2~3日で増加する増殖サイクルである

画像引用:国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト 「図2.クラミジアの生活環−松本原図」
クラミジア菌は宿主に依存するタイプの細菌であるため、免疫が成立しにくいという特徴を持っています。
そのため外敵を攻撃する白血球の攻撃力が弱く、自然には治癒しません。
攻撃力が弱いということは炎症も弱いため、自覚症状が弱く、無自覚の感染が多いのはこの理由からです。
進行した場合、不妊や深刻な病気になるおそれ
クラミジア治療を先延ばしにしたり、無症状で気づかず進行してしまうと、男性は尿道炎や精巣上体炎(副睾丸炎)、女性は子宮頸管炎症となる可能性があります。
さらに進行している場合、肝周囲炎や救急外来を受診するケースも報告されています。
また、症状の進行が男性は精巣炎、女性は卵管の狭窄といった炎症を起こすことで、男女どちらも不妊の原因となり、将来の妊娠にも影響があるため、早期の治療を行う必要があります。
なお、妊娠した状態でクラミジアに感染している場合、赤ちゃんが産道を通る段階で感染するリスクがあります。
もし感染してしまった場合、赤ちゃんには以下の疾患を引き起こす可能性があります。
赤ちゃんに起こるリスク
- 結膜炎
- 新生児肺炎
男性、女性のクラミジアについての詳細は以下のページでも解説しています。 男性のクラミジアの詳細 女性のクラミジアの詳細
感染に気付かない場合も多いので注意
クラミジアは症状が少なく、半数以上の人に自覚症状がおこらないと報告されています。
そのため感染に気付かないケースが多く、結果的に放置となる可能性があるので注意が必要です。
性行為のほかオーラルセックス、アナルセックス、相手の性器に触れた手で自分の身体(性器、目、口など)を触れたという自覚がある場合は、感染の24時間後から検査が可能となります。
自然治癒したようにみえるケースもあり注意
例外として、自然治癒したかのようなケースもあります。
風邪や他の病気による抗生物質の服薬が、クラミジア菌に効果を与える場合
しかしこの場合、知らないうちに治癒したと安易に喜ぶことはできません。
なぜなら、クラミジア菌への効果はあったとしても、完全に滅菌できたかはわからないためです。
もし少しでも菌が残存していた場合、また増殖を繰り返したり、身体の奥へと侵入し深刻な他の病気への原因となります。
クラミジア治療のまとめ
最後にクラミジアの治療についてまとめてお伝えします。
- クラミジアの治療方法は感染部位(性器・のど・目・肛門)にかかわらず抗生物質で行う
- 治療中に症状が治まっても薬は中止せず飲み切る
- クラミジアは自然治癒しないため、治療を受ける
- 無症状のまま進行している場合も多いので検査を受けて陽性か確認する
- 治療後は必ず治癒検査で完治を確認する
また、クラミジアはご自身の治療が済んでもパートナーに感染させてしまっていた場合、相手から感染が起こるおそれがあります。
お互いを感染させあう「ピンポン感染」による長期化、重症化を防ぐためにも、パートナーと一緒に検査、治療、および治癒検査を受けることをおすすめします。
クラミジア治療に関するよくある質問
-
- Q
クラミジアの治療方法はどのようなものでしょうか
- A
クラミジアの治療方法は、抗生物質(飲み薬)を使った治療になります。
これは感染部位によっても変わらず、アレルギーなど服用上での問題がなければジスロマックという薬を処方するのが一般的です。
ちなみに抗生物質にはいろいろ種類がありますが、他の病気で処方された抗生物質で代用することはできません。
いくら服用しても治癒しない可能性があるので、必ず医師に新しいものを処方してもらうようにしてください。
- Q
-
- Q
1日ですぐに治りますか
-
A
1日で治ることはありませんが、1回のみの服用で完治させる治療薬もあります。
ただ完治の確認は治療してから2〜3週間目の治癒検査が必要になるので、その間は性行為やそれに準ずる行為は控えるようにしてください。
- Q
-
- Q
パートナーとしか性行為をしていませんが、クラミジアの治癒確認で陰性だったのに、再び感染してしまったようです。
-
A
クラミジアは何度でも感染する厄介な病気で、再陽性率は15〜30%にもなるとされています。
そのためパートナーが完治していないにも関わらず性行為を行うと、ピンポン感染を引き起こしていることが考えられます。
うつしうつされを繰り返してしまうことが、いつまでも治らない原因になります。
必ずペアで治療を受け、再検査によって陰性が出るまでは性行為は控えるようにしてください。
- Q
-
- Q
治療せず放置するとどうなりますか
-
A
クラミジアに感染すると、男性は尿道炎、女性であれば子宮頸管炎を起こします。
これを放置してしまうと「上行感染」といってさらに奥へと菌が侵入し、症状を悪化させるおそれもあります。
男性:精巣上体炎(副睾丸炎)
女性:子宮内膜炎症、卵管炎、卵巣炎、腹膜炎、肝周囲炎
炎症によって精管や卵管が癒着・狭窄してしまうと、不妊症の原因になるケースもあります。
- Q
-
- Q
治療はどこでうけられますか?
-
A
クラミジアの治療は主に以下の場所で行われています。
- 性感染症内科(性病科)
- 泌尿器科
- 耳鼻咽喉科
- 眼科(目に感染した場合に限る)
- 性病を扱う自由診療のクリニック
性感染症内科や、自由診療の性病を専門に取り扱っているクリニックはほとんどの検査・治療が受けられます。
- Q
-
- Q
クラミジアの治療中に性行為してしまったのですが、相手にうつっているでしょうか?
-
A
クラミジアの感染率は1回の性行為で30~50%と言われています。コンドームをしていても唾液でも感染が起こるため、感染確認の検査が必要とお考え下さい。
検査についてはリスク行為の24時間後以降は感染の確認が可能です。
- Q
-
- Q
症状がなくなったので完治したとみなして良いですか?
-
A
クラミジアは無症状なこともあり、表面的な症状だけで治ったかどうか判断することはできません。
もし体の中に菌が残っていれば感染を繰り返すおそれもあるので、治癒検査によって「陰性」の確認ができるまでは完治にならないことは覚えておきましょう。
- Q
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- Q
手元に残っている抗生物質を服用してもクラミジアは治療できますか?
-
A
抗生物質といっても種類がいくつかあり、その種類によってはクラミジアへの効きが良くないものもあります。
また感染部位や症状の程度によって服用方法も異なるので、再度医師から処方してもらうようにしてください。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください