脂漏性脱毛症は、脂漏性皮膚炎による頭皮の炎症に伴って、一時的に抜け毛が増えた状態です。
このページでは、脂漏性脱毛症の原因や症状、治療方法、自宅でできる頭皮ケア、AGAとの違いについて解説します。
なお、脂漏性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は原因や治療法の異なる脱毛症です。
頭皮の赤みやかゆみ、フケがある場合は皮膚科での治療が必要ですが、生え際や頭頂部の薄毛が進んでいる場合はAGAを併発している可能性もあります。
AGA(男性型脱毛症)については、こちらで詳しく解説しています。 AGA(男性型脱毛症)とは
脂漏性脱毛症とは
脂漏性脱毛症とは、頭皮の脂漏性皮膚炎による脱毛症の一種です。
炎症によって頭皮環境が悪化したり、かゆみのために繰り返し掻いたりすることで、一時的に抜け毛が増える場合があります。
脂漏性皮膚炎が改善すると抜け毛も落ち着くことがありますが、炎症が治まっても薄毛が続く場合は、AGAなど別の脱毛症が関係している可能性があります。
脱毛を起こす「脂漏性皮膚炎」
脂漏性皮膚炎は、頭皮や生え際、眉、鼻の周囲、耳の周辺など、皮脂の分泌が盛んな部位に起こりやすい炎症性の皮膚疾患です。
- 頭皮の赤み
- 白色または黄色っぽいフケ・鱗屑
- かゆみ
- 頭皮のベタつきや乾燥感
- 掻いた部分を中心とした抜け毛
顔では眉間や鼻の周囲など、左右に症状が現れることもあります。
頭皮では赤みを伴わず、フケだけが目立つ軽い状態から、炎症やかゆみを伴う状態までさまざまです。
痛み、出血、膿、強い腫れがある場合は、細菌感染や別の皮膚疾患も考えられるため、早めに皮膚科へご相談ください。
脂漏性皮膚炎による抜け毛は回復するのか
抜け毛が脂漏性皮膚炎による頭皮の炎症や掻きむしりに伴うものであれば、皮膚炎を治療することで改善が期待できます。
治りやすさは年齢により違いがあります。
- 乳児型(新生児期~乳児期)
⇨ ほとんどが一過性で、自然治癒する - 成人型(思春期以降)
⇨ 一度発症すると改善や悪化を繰り返し、慢性化しやすい
乳児の場合の多くは一過性で自然治癒する可能性が高く、成人では症状が改善しても再発を繰り返すことがあります。
そのため、症状が落ち着いた後も、医師の指示に従って頭皮ケアを続けることが大切です。
脂漏性脱毛症とAGAの違い
脂漏性皮膚炎に伴う抜け毛とAGAは、原因や症状、主な治療方法が異なります。
ただし、両方を同時に発症することもあります。
| 比較項目 | 脂漏性皮膚炎に 伴う抜け毛 |
AGA(男性型脱毛症) |
|---|---|---|
| 主な症状 | 赤み、フケ、かゆみ、炎症 | 髪が細く短くなる |
| 薄毛の 範囲 |
炎症のある部分を中心に抜け毛が増える | 生え際・前頭部・頭頂部から進行 |
| 主な原因 | 脂漏性皮膚炎による炎症など | DHTと遺伝的要因 |
| 受診先 | 皮膚科 | AGAを診療する医療機関 |
| 主な治療 | 抗真菌薬や抗炎症薬など | フィナステリド、デュタステリドなど |
表は横にスクロールできます
脂漏性脱毛症は皮膚炎の悪化によって脱毛が起こる症状です。
AGAは、男性ホルモンの一種であるDHTと遺伝的な影響により、生え際や頭頂部を中心に徐々に進行する脱毛症です。
かゆみやフケの有無だけでは、脂漏性脱毛症かAGAかどうかは判断が難しいため、医師にご相談ください。
AGAを併発している可能性がある症状
次のような変化がある場合は、脂漏性皮膚炎だけでなく、AGAを併発している可能性があります。
| AGA併発チェックリスト | |
|---|---|
| 生え際が以前より後退している | |
| 額の左右から薄毛が進んでいる | |
| 頭頂部の地肌が透けて見える | |
| 生え際や頭頂部に細く短い髪が増えた | |
| 頭皮の炎症が治まっても薄毛が進んでいる | |
| 家族にAGAと思われる薄毛の人がいる | |
※セルフチェックだけでAGAを診断することはできません
当てはまるものが多い場合、脂漏性脱毛症だけでなくAGAとの併発の可能性があります。
併発している場合は、脂漏性皮膚炎と並行して治療を進めることで、効果を出しやすくなります。
AGAの症状や進行パターンを詳しく見る
なお、AGAのお悩みに対して、フィットクリニック公式LINEでは、AGA治療や診療の流れに関する情報をご案内しています。
AGAのお悩みや気になることについて情報収集から始めたい方も、お気軽にご登録ください。
※LINE登録後はオンライン診療の予約も可能です
脂漏性脱毛症の原因と悪化に関係する要因
脂漏性皮膚炎の原因は一つではなく、マラセチア、皮脂、皮膚のバリア機能、体質など、複数の要因が関係すると考えられています。
また、食事や睡眠などの生活習慣も皮膚の状態に影響する可能性もあるため、皮脂のバランスを崩してしまう原因について見ていきましょう。
マラセチアと頭皮の炎症
マラセチアは、健康な人の皮膚にも存在する常在真菌の一種です。
人から感染して発症するものではなく、皮脂を利用して皮膚上に存在しています。
脂漏性皮膚炎では、マラセチアの増殖やその代謝物に対する皮膚の反応などによって、赤みやかゆみ、フケといった炎症症状が起こると考えられています。
頭皮の炎症が続くと、掻きむしりによる物理的な刺激も加わり、抜け毛が増える場合があります。
皮脂バランスの乱れ
皮脂には、皮膚の水分を保ち、外部からの刺激から守る役割があります。
そのため、皮脂そのものが悪いわけではなく、皮脂が多いだけで必ず脂漏性皮膚炎や脱毛が起こるわけでもありません。
一方、皮脂の量や性質、皮膚のバリア機能などのバランスが崩れると、マラセチアが増えやすくなり、炎症につながる可能性があります。
皮脂を落とそうとして頭皮を強く洗うと、かえって刺激や乾燥を招くことがあるため、過度な洗浄は避けましょう。
偏った食生活や睡眠不足などの生活習慣
脂質や糖質に偏った食事、過度な飲酒、睡眠不足などが続くと、体調や皮膚の状態に影響する場合があります。
特定の食品や栄養素だけで改善しようとせず、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事と、十分な睡眠を心がけましょう。
生活習慣を見直しても赤みやかゆみ、フケが続く場合は、セルフケアだけで改善しようとせず、皮膚科を受診してください。
食事と脂漏性皮膚炎との関係については、現時点で十分に確立されていない部分もあります。
刺激の強いシャンプーや誤った洗髪方法
頭皮を清潔に保つことは大切ですが、洗浄力の強いシャンプーを頻繁に使用したり、爪を立てて強くこすったりすると、頭皮への刺激となります。
また、熱いお湯で洗う、シャンプーを十分にすすがない、洗髪後に濡れたまま放置するといった習慣も、頭皮の状態を悪化させる可能性があります。
フケやベタつきが気になっても、必要以上に何度も洗わず、刺激を抑えながら汚れを落とすことが大切です。
ホルモンバランスの乱れ
男性ホルモンなどの変化は、皮脂腺の働きや皮脂の分泌量に影響することがあります。
場合により、ホルモンバランスの乱れから皮脂の過剰分泌や炎症により頭皮環境が悪化することで、脂漏性脱毛症に繋がることがあります。
脂漏性皮膚炎には、マラセチアや皮膚の炎症反応、体質など複数の要因が関係すると考えられています。
脂漏性脱毛症の治療方法
脂漏性脱毛症を改善するには、抜け毛だけでなく、原因となっている脂漏性皮膚炎の治療を優先する必要があります。
頭皮に赤みやかゆみ、フケなどがある場合は、まず皮膚科を受診しましょう。 ※当院では脂漏性皮膚炎の診察・治療は行っていません。
皮膚科で使われる主な薬
脂漏性皮膚炎の治療では、症状や部位に応じて、抗真菌外用薬やステロイド外用薬などが使用されます。
抗真菌外用薬はマラセチアに作用し、ステロイド外用薬は赤みやかゆみなどの炎症を抑える薬です。
国内では、ケトコナゾール外用薬に脂漏性皮膚炎の適応があります。
かゆみが強い場合には、症状を抑える目的で以下の薬やサプリメントが併用されることもあります。
-
ひどいかゆみを抑える
⇨ 抗ヒスタミン薬 -
皮脂の分泌を抑える
⇨ ビタミンB2やビタミンB6
薬の種類や使用期間は症状によって異なるため、医師の指示に従って使用してください。
自己判断で治療しない
頭皮の赤みやフケ、かゆみは、脂漏性皮膚炎以外にも、乾癬、接触皮膚炎、頭部白癬などで現れることがあります。
見た目だけで原因を判断し、市販薬や薬用シャンプーを使い続けると、症状に合わず悪化する可能性があります。
特に、痛みや出血、膿、急激な脱毛がある場合や、セルフケアを続けても改善しない場合は、皮膚科で診断を受けましょう。
脂漏性脱毛症の改善方法・自宅でできる頭皮ケア
脂漏性脱毛症を改善するためには、生活習慣の改善や頭皮への刺激を抑えるケアが必要です。
自宅での頭皮ケアは、脂漏性皮膚炎の治療を補助し、症状の悪化を防ぐために行います。
患部を清潔に保つことは、症状の改善はもちろん抜け毛予防にもつながるので、ここからは皮脂のバランスを保つ方法を詳しくご紹介していきます。
食事を改善する
食事の内容がジャンクフードやファストフードが多い場合、どうしても脂質や糖質に偏ってしまう場合があります。
なるべく肉・魚・野菜・果物などを組み合わせ、ビタミンやミネラルを含む栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
また、飲酒や特定の食品によって症状が悪化すると感じる場合は、摂取量を見直すのも一つの方法です。
また、ビタミンB2やB6が含まれている食材は、体内の脂質の代謝を助け、皮脂の分泌をコントロールする働きがあると言われています。
不足すると、皮脂が過剰分泌しやすくなるため、食事やサプリメントで補いましょう。
きちんと睡眠をとり生活リズムを整える
睡眠不足が続くと、皮膚だけでなく体調にも影響が出るため、質の良い睡眠は全身の健康を保つうえで大切です。
必要な睡眠時間には個人差があるとされていますが、厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人は6時間以上の睡眠が目安だとされています。
無理なく続けられる範囲で、起床・就寝時間や休養の取り方を見直してください。
ストレスを発散する
皮脂の過剰分泌を起こす原因になるストレスをコントロールするのも脂漏性脱毛症の改善方法の1つです。
ストレスの原因がわかっているものについては一定の距離を置き、なんだかモヤモヤする時は自分の好きなことをして適度に発散してみてください。
ただしストレスによる暴飲暴食は、皮脂が増える原因にもなるので注意です。
またストレス発散は、自律神経のバランスも整えます。
頭皮への血の巡りも良くなるので、定期的にストレスを発散することは脂漏性脱毛症にも髪にも良い影響になります。
頭皮に優しい洗髪をする
洗髪する際は、頭皮に余計な刺激を与えず、皮脂や整髪料などの汚れを落とすことが大切です。
次の手順を意識して洗いましょう。
- ぬるま湯で髪と頭皮を十分に濡らす
- シャンプーを手のひらで泡立てる
- 爪を立てず、指の腹で優しく洗う
- シャンプーが残らないようにすすぐ
- 洗髪後は頭皮まで乾かす
フケを無理にはがしたり、強い力でこすったりすると、炎症が悪化する可能性があります。
シャンプーの選び方
脂漏性皮膚炎が疑われる場合は、洗浄力だけで選ばず、頭皮への刺激が少ない製品を選びましょう。
フケやかゆみ向けの薬用シャンプーには、ミコナゾール硝酸塩などの抗真菌成分が含まれているものがあります。
また、サリチル酸は抗真菌成分ではなく、フケや角質を落としやすくする目的で配合される成分です。
良いシャンプーの成分
- 抗真菌成分:ミコナゾール硝酸塩、ケトコナゾールなど
- フケ・鱗屑を落としやすくする成分:サリチル酸など
※症状の強い方は使用前に必ず医師にご相談ください
医療用のケトコナゾール外用薬は医師の診断に基づいて使用する薬であり、一般的なシャンプーと同じように自己判断で使用するものではありません。
製品選びに迷う場合は、医師や薬剤師に相談してください。
脂漏性皮膚炎は皮膚科で治療を
脂漏性脱毛症を改善するには、原因となっている脂漏性皮膚炎を治療する必要があります。頭皮の赤み、かゆみ、フケ、湿疹などが軽い場合は、セルフケアを試してみましょう。
症状が強く出ていると感じる場合は、自然治癒や自力での治療が難しい場合があるため皮膚科を受診してください。
一方、皮膚炎が改善しても生え際や頭頂部の薄毛が続く場合や、髪が徐々に細くなっている場合は、AGAを併発している可能性があります。
当院では脂漏性皮膚炎の診察・治療は行っていませんが、AGAの診察・治療を行っているため、頭皮の炎症とは別に薄毛が進んでいる方はご相談ください。
脂漏性脱毛症でよくある質問
-
- Q
脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎はうつりますか?
- A
どちらもほかの人にうつる症状ではありません。
原因となるマラセチアは、多くの人の皮膚に存在する常在菌です。
マラセチアへの感染だけで発症するのではなく、皮脂や皮膚のバリア機能、炎症反応などが複合的に関係します。
- Q
-
- Q
脂漏性脱毛症による抜け毛はフィナステリドで抑えられますか?
-
A
フィナステリドはAGAの治療薬であり、脂漏性皮膚炎や、それに伴う炎症を治療する薬ではありません。
ただし、脂漏性皮膚炎とAGAを併発している男性には、AGAの進行を抑える目的でフィナステリドが処方される場合があります。
- Q
-
- Q
朝シャンは脂漏性脱毛症には良くないですか?
- A
朝にシャンプーをすること自体が、脂漏性皮膚炎や抜け毛の直接的な原因になるとは限りません。洗髪する時間帯よりも、1日に何度も洗うこと、強くこすること、すすぎや乾燥が不十分になることに注意が必要です。
朝に洗髪する場合も、十分な時間を確保して優しく洗い、頭皮まで乾かしましょう。
- Q
-
- Q
脂漏性皮膚炎による抜け毛は生えますか?
- A
抜け毛が頭皮の炎症や掻きむしりに伴う一時的なものであれば、脂漏性皮膚炎の改善後に回復する可能性があります。
ただし、炎症が治まっても抜け毛が続く場合や、生え際・頭頂部の薄毛が進む場合は、AGAなど別の脱毛症も考えられます。
- Q
-
- Q
脂漏性脱毛症は完治しますか?
- A
成人の脂漏性皮膚炎は、治療によって症状が改善しても、再発を繰り返すことがあります。症状が治まった後も、頭皮への刺激を避け、医師の指示に従ってケアを続けることが大切です。再発した場合は、早めに皮膚科へ相談しましょう。
- Q
関連記事
参考サイト
この記事の監修
(はっとり けいた)医師
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務

