休止期脱毛症は、髪の成長が一時的に止まり、通常よりも多くの髪が抜ける脱毛症です。
強いストレスや出産、過度なダイエット、病気などがきっかけとなり、数カ月遅れて抜け毛が増えることがあります。
このページでは、休止期脱毛症の原因や症状、対策について詳しく解説していますので、急な抜け毛が気になっている方はぜひ参考にしてください。
女性にみられる薄毛・脱毛(FAGA)の原因について詳しくは、以下のページで解説しています。 FAGAの原因と症状
休止期脱毛症とは
休止期脱毛症とは、髪が成長する「成長期」から、成長が止まる「休止期」へ通常よりも多くの毛髪が移行することで、抜け毛が増える脱毛症です。
- 長い硬毛が抜ける
- 側頭部も含めた頭部全体から脱毛する
- 軟毛(うぶ毛のような髪)にはならない
髪には成長期・退行期・休止期という周期があります。
休止期に入った髪は、数カ月後に新しい髪に押し出されるように抜けます。
そのため、原因となる出来事が起きてから、実際に抜け毛が増えるまでには時間差があります。
休止期脱毛症の種類
休止期脱毛症は以下の種類に分けられます。
| 急性休止期脱毛症 | 慢性休止期脱毛症 | |
| 症状 | 髪が急激に抜ける | 6ヵ月以上かけて髪が抜ける |
| 原因 | ストレス、高熱、手術、大量出血、栄養失調、出産によるホルモンバランスの乱れなど | 甲状腺疾患、膠原(こうげん)病、慢性腎不全、肝障害、糖尿病などの慢性的な病気や、薬剤性、原因不明な場合など |
| 治し方 |
自然に治ることが多い 原因を取り除くことで回復することが多い |
根本の原因を改善したら治ることが多い |
原因も多岐にわたり、複数の原因が重なることで休止期脱毛症になることもあります。
急性休止期脱毛症は、高熱や手術、出産、急激なダイエット、強いストレスなどをきっかけとして発症します。
原因が解消されれば、時間の経過とともに新しい髪が成長し、毛量も徐々に回復していきます。
慢性休止期脱毛症は、抜け毛が6カ月以上にわたって続くタイプです。
栄養不足や慢性的なストレス、甲状腺疾患、貧血など、原因となる状態が長期間続いている可能性があります。
一方で、検査をしても明確な原因を特定できないこともあります。
休止期脱毛症はいつ治る
休止期脱毛症は、原因が解消されれば3〜6ヶ月ほどで抜け毛が落ち着き始め、6ヶ月〜1年ほどかけて髪全体のボリュームが回復していくことがあります。
休止期(3ヵ月) + 成長期(3ヵ月) = 6ヵ月
一般的には、ストレスや出産、病気などの原因が生じてから2〜3ヶ月後に抜け毛が増え始めます。
その後、休止期へ移行する髪が減ると抜け毛も落ち着き、新しい髪が徐々に成長します。
ただし、栄養不足やストレス、病気などの原因が解消されていない場合は、抜け毛が6カ月以上続くことがあります。
回復までの期間には個人差があり、原因や症状の程度、健康状態などによって異なります。
なお、薄毛治療薬を併用することで回復を促せる場合があります。
※身体の状態や病状によっては薄毛治療薬を使えない場合もあるため、かかりつけの医師に相談してください
FAGAの治療薬
休止期脱毛症の主な症状
休止期脱毛症では、特定の部分だけではなく、頭部全体から抜け毛が増える傾向があります。
主な症状は以下のとおりです。
- シャンプーやドライヤー時の抜け毛が急に増えた
- 枕や衣服に付着する髪が多くなった
- 髪全体のボリュームが減った
- 髪を束ねたときに細くなったと感じる
- 地肌や分け目が以前より目立つ
- 頭部全体が均等に薄くなった
円形脱毛症のように一部分の髪がまとまって抜けるのではなく、頭部全体から抜けることが特徴です。
休止期脱毛症の原因
休止期脱毛症の原因は、生活習慣や病気、ライフイベントなど多岐にわたります。
ここからは休止期脱毛症の代表的な原因について、いくつかご紹介します。
原因①ストレス
ストレスは"万病のもと"と言われていますが、これはストレスによって免疫力が低下し、全身の機能を低下させるからだと言われています。
髪も例外ではなく、精神的あるいは肉体的なストレスによって自律神経のバランスが保てなくなり、血行不良によって脱毛を起こします。
ストレス社会とされているだけに、現代人は日々何かしらのストレスに晒されて生活をしています。
溜め込まないことも大切ですが、ストレスとどう付き合うかを考えるのも非常に重要です。
原因②栄養不足
身体の栄養不足は髪の成長にダイレクトに影響します。
- 理由①:
髪は身体の中で最後に栄養が届けられる器官だから - 理由②:
髪は生命維持に関係ないから
身体の必要な部分に優先して栄養が届けられるため、生命維持に関係のない髪は抜けていくのです。
過度なダイエットはもちろん、偏食なども必要な栄養を補えないため、食生活には注意が必要です。
その他、休止期脱毛症の原因としてビタミンD不足の可能性があります。
ビタミンDは食事の他に、日光を浴びることで生成されるため、あまり外出していないと休止期脱毛症になるリスクが高まります。
原因③出産
妊娠時、大量に分泌されていたエストロゲンが出産後に元のホルモンバランスに戻ることで、成長期にある髪が一気に休止期に入ってしまい脱毛の原因になることがあります。
-
脱毛のタイミング
⇨ 産後2〜3ヶ月 -
回復のタイミング
⇨ 産後6ヶ月〜
エストロゲンには髪の成長期を維持する働きがあるため、大量に分泌される妊娠中には髪の健康が保たれているのです。
産後の抜け毛は多くの人が経験するため過度に心配する必要はありませんが、あまりにも長く続くようであれば医師への相談も検討してみてください。 産後の抜け毛について
原因④全身疾患
全身疾患に付随して脱毛が1つの症状として現れる場合があります。
休止期脱毛症を起こしやすい疾患には、以下の例があります。
休止期脱毛症を起こしやすい疾患
- 甲状腺機能障害
- 膠原病
- 腎臓や肝臓の障害
- 糖尿病
など
上記のほかにも「貧血」によって抜け毛が起こることもあります。
身体全体の調子が、髪にも影響を与えることがわかります。
疾患自体を治療することで、脱毛も改善されるケースが多いです。
原因⑤薬剤投与
お薬の影響で休止期の髪の割合が増え、これにより服用期間中に脱毛が増えることがあります。
その種類もとても多いので、すべてのご紹介はできませんが、代表的な薬剤には次のようなものがあげられます。
抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、高脂血症薬、レチノイド、インターフェロン製剤、β遮断薬、ヘパリンなど
その他、ビタミンA製剤の過剰摂取や薄毛治療薬の使用開始に伴って髪が抜けていくことがあります。
また抗がん剤による脱毛は、成長期が急に中断されて起こる「成長期脱毛」のケースもあります。
休止期脱毛症の治し方・対策
休止期脱毛症の治し方や対策は、原因によっても異なります。
誤ったケアによって状態を悪化させないためにも、ご紹介する治し方や対策方法を参考にしてみてください。
原因に対処する
もし休止期脱毛症の原因が病気や服用中のお薬である場合は、まずは原因に対してできる対処をしましょう。
-
病気が原因の場合
⇨ 病気の治療 -
服用中のお薬が原因の場合
⇨ 主治医に相談し、治療を継続するか判断
こうした選択肢がありますが、自己判断で行動すれば病気が悪化することもあります。
治療後に休止期脱毛症が回復するケースもあるので、今必要な治療はなにかを主治医に相談し判断を仰ぐようにしてください。
薬剤で治療する
休止期脱毛症の治療では、原因への対処を基本とし、症状や薄毛の状態に応じて薬剤の使用を検討することがあります。
また、抜け毛が長引く場合は、FAGAなど別の脱毛症を併発している可能性もあります。 当院では診察結果に応じてFAGA治療薬を処方していますので、抜け毛や髪のボリューム減少が気になる方はご相談ください。
FAGA治療薬の選び方については以下のページで解説しています。 FAGA治療薬の選び方
生活習慣を整える
規則正しい生活習慣は健康な髪の成長を支える土台とも言えるほど重要です。
-
食事
⇨ 髪が成長するためのエネルギーを補給できる -
睡眠
⇨ 睡眠時に成長ホルモンがもっとも分泌される -
運動
⇨ 代謝を高め、血行促進にもつながる
少なくともこの3つは見直す必要があります。
またストレスに感じていることがあれば、その原因から一定の距離を取ったり、好きなことをして定期的に発散するようにしてみてください。
バランスの良い食事をする
「髪の3大栄養素」を意識的に摂りながら、バランスの良い食事を心がけましょう。
髪の3大栄養素
- タンパク質
- ビタミンB群
- 亜鉛(ミネラル)
タンパク質は髪の材料になる栄養であり、その他の栄養は代謝がスムーズになるようサポートします。
いくらお薬を使って治療していても、肝心の栄養が摂れていなければ髪はうまく成長しません。
バランスを考えた食事は健康を維持するためにも大切です。
治療と並行してバランスの取れた食生活を心がけてみてください。
帽子などで隠す
休止期脱毛症の一番楽で簡単な対処法は、帽子やウィッグで「隠す」ことです。
根本的な解決にはなりませんが、休止期脱毛症によって周りの視線が気になりストレスが起こるのであれば、一時的に帽子などで隠すのも1つです。
ある研究ではかつらによる薄毛患者のQOL(生活の質)の向上が確認されており、「ストレス→抜け毛→ストレス…」といった悪循環を防ぐのにも有効と言えるでしょう。
ただし休止期脱毛症そのものを改善できるわけではないので、治療と並行しながら必要に応じて取り入れてみてください。
抜け毛が続く場合はクリニックに相談を
休止期脱毛症は、原因が解消されれば回復が期待できますが、毛量が戻るまでには6ヵ月〜1年ほどかかる場合があります。
抜け毛が6カ月以上続く場合や分け目・頭頂部の薄毛が進行している場合は、慢性化やFAGAの併発も考えられます。 抜け毛が長引いている方は、症状に応じて治療薬を用いることで対処できるケースもあります。
脱毛範囲が広がる前であれば、改善までの期間も短くなる可能性があるため、1人で抱え込まず当クリニックまでご相談ください。
休止期脱毛症についてよくある質問
-
- Q
休止期脱毛症とFAGAの違いを教えてください。
- A
違いは以下です。
- 休止期脱毛症:
一時的な脱毛を起こす脱毛症状。 - FAGA:
加齢やホルモン分泌の変化による進行性の薄毛。
ただし、症状だけで正確に見分けるのは難しく、併発する場合もあります。
時間が経過しても抜け毛が続く、細い髪が増えた場合などはクリニックにご相談ください。 - 休止期脱毛症:
- Q
-
- Q
男性にも休止期脱毛症はありますか?
- A
男性でも休止期脱毛症を起こすことはあります。
ただし症状から見て、生え際や前頭部、頭頂部といった部分から脱毛の進行がみられればAGA(男性型脱毛症)の可能性が疑われます。
- Q
-
- Q
休止期脱毛症とAGAの治し方は同じですか?
- A
完全に同じではありませんが、共通してミノキシジルが有効と考えられています。
またAGAであればミノキシジルにくわえ、原因にアプローチできるフィナステリドと呼ばれる抜け毛予防薬も有効となっています。
- Q
-
- Q
休止期脱毛症は自然に治りますか?
- A
原因が一時的なものであれば、自然に改善することがあります。原因が解消されてから抜け毛が落ち着くまでには3〜6ヶ月ほどかかり、髪のボリュームが戻るまでにはさらに時間を要する場合があります。
- Q
-
- Q
抜け毛のピークはいつ頃ですか?
- A
原因となる出来事から2〜3ヶ月後に抜け毛が増え始め、その後数ヶ月ほど続くのが一般的です。ただし、原因や体調によって時期には個人差があります。
- Q
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- Q
市販の育毛剤で改善できますか?
- A
市販の育毛剤だけで、休止期脱毛症の原因そのものを改善するのは困難です。まずはストレスや栄養不足、病気、薬剤などの原因を確認し、適切に対処する必要があります。
- Q
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- Q
新型コロナ感染後に抜け毛になりますか?
- A
新型コロナウイルス感染症をはじめ、高熱を伴う感染症にかかった後は、身体的な負担によって多くの髪が休止期へ移行し、抜け毛が増えることがあります。
抜け毛は感染から2〜3ヶ月後に始まり、3〜6ヶ月ほど続くのが一般的です。
多くは自然に発毛が再開しますが、半年以上続く場合や円形または部分的に抜ける場合は、ほかの脱毛症も考えられるため医療機関に相談しましょう。
- Q
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参考サイト
この記事の監修
(はっとり けいた)医師
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務

