梅毒検査はいつからできる?検査キットの使い方、費用についても解説

このページでは梅毒への感染をいつから調べられるかや、検査方法、セルフチェック可能な検査キットの購入方法、費用などについても詳しく解説しています。

梅毒はふたたび流行しており、年間で1万人以上が新規感染しているとの報告もあります。

性行為の経験があれば誰でも感染するリスクがあるので、感染を見逃さないためにも今後の梅毒検査にお役立てください。

梅毒検査はいつからできるか?

梅毒検査は一般的な性病検査に比べ、感染機会からウイルスを検出できるようになるまでの期間(ウインドウ・ピリオド)が長くなっています。

●ウインドウ・ピリオド

抗体や病原体を検出できない空白期間のこと。
血清学的検査では感染してからある一定の期間はウイルスを検出することができないのでこのような空白期間が存在する。

上記を踏まえて、梅毒検査が受けられるようになるまでには以下の期間を目安にしてください。

●梅毒検査が受けられるようになるタイミング

感染機会から2〜4週間以上が経過

ウインドウ・ピリオドによって、上記期間よりも前に検査を受けた場合、梅毒に感染していても陰性反応(感染していない)が出る可能性があります。

つまり、感染機会から日が浅い段階での検査は精度を欠くため、ウインドウ・ピリオドを考慮した上での早期発見・治療につなげるようにしてください。

なお、梅毒は無症候性といって症状が出ないこともあります。

必ずしも「症状=感染」ではないことから、近年感染者が急増している背景を踏まえると、不安な行為があっただけでも、積極的に検査を受ける十分な理由と言えます。

梅毒の検査方法

梅毒の感染を調べるためには採血を行い、血液中にある特定の抗体があるかを調べます。

●梅毒の検査方法

■ STS(RPR)検査
STS(Serologic Test for Syphilis)検査は、梅毒に感染したことでできる「カルジオリピン(脂質)」への抗体を調べる検査です。主にRPR(Rapid Plasma Reagin)法があります。 検査感度が非常に良く、早期に感染を発見できる一方、感染していなくても陽性反応(偽陽性)が出てしまうことがあります。

■ TP検査
TP検査は、梅毒に感染した際に作られる抗体の有無を調べる検査です。 STS検査よりも2週間ほど遅れて陽性になることが多く、梅毒の感染が確認できるものの、感染初期(第1期)では症状が出ていても陰性の結果が出る可能性もあります。

また、一度感染し抗体ができると、感染していなくてもほぼ生涯にわたって結果は陽性になります。

それぞれの検査にメリット・デメリットがあり、通常はSTS検査を受け、陽性であった場合にTP検査を受けて梅毒感染を診断する流れとなります。

検査キットによる検査

梅毒検査は血液検査が必要ですが、検査キットを使用すればセルフチェックが可能です。

●検査キットのメリット
  • 郵送検査なので通院の手間がかからない
  • プライバシーを重視した匿名検査
  • 登録衛生検査所で検査を行うので検査精度は医療機関と同等
  • Web上で結果の確認が可能

自宅で人知れず検査を受けられるので心理的な負担も抑えられ、ご自身のタイミングで梅毒の感染を調べることができます。

また、血液の採取方法は自己採血になり、ランセットという特殊な器具を使って指先から血液を採取します。

●ランセット(穿刺針)

人体に直接触れて皮膚に小さな穴を空け、微量採血を行う器具。

チクッとする程度の痛みと、出血もごくわずかなので、初めて検査キットを使用される方でも説明書の手順に沿って行えば大きな心配はありません。

医師による診察

医師による直接の診察を希望される方は、以下の科が併設されている医療機関を受診してください。

●梅毒を相談できる科

  • 泌尿器科
  • 性感染症内科(性病科)
  • 皮膚科
  • 婦人科

なお、陰部以外の皮膚などに発疹がみられる場合、梅毒ではない可能性もあります。

こうした場合、皮膚科を受診すれば、受診回数も少なく済む可能性があります。

複数同時検査がおすすめ

梅毒の第1期症状である「小丘疹(ポツポツとした盛り上がり)」や「びらん(ただれ)」は、ヘルペスと症状が非常によく似てます。

こうした場合、梅毒検査を受けて陰性だったとしても、ヘルペスに感染しているリスクもあることから、検査は複数同時に受けるのがおすすめです。

また、梅毒に感染していると粘膜に傷や潰瘍ができることで、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)への感染率は2倍以上になるとも言われています。

重複感染している可能性もあるので、梅毒と診断された時点でHIV抗原・抗体検査を受けるようにしてください。

検査キットの使い方

検査キットの使い方の一例として、フィットクリニックで販売している梅毒検査キットの使い方をご紹介します。

●検査キットの使い方

①手を洗う
手洗い後はよく乾かしてください。

②手を温める
血行が悪いと採血量が不足することがあるので指先をマッサージします。

③ランセットの保護キャップを外す
ランセットの使用は1回きりの使い捨てになるので試し打ちはできません。

④ランセットの先端を指の腹に当てて押し付ける
消毒綿で指を清潔な状態にしてから押し当てるようにしてください。
なお、針は1回しか出ないのでご注意ください。

⑤採血用ろ紙に血液をつける
血液が出にくい時は、手のひらから指先に向かって押し出すようにマッサージを行います。

⑥返送用の封筒に入れて返送
検査申込書(性別と採血日のみ記入)と採血用ろ紙を忘れずに同梱してください。

検査キット使用上の注意点

検査キットを使用する上で、以下の注意点は守るようにしてください。

●検査キット使用上の注意

人体に直接触れて皮膚に小さな穴を空け、微量採血を行う器具。

抗凝固剤を服用している人
⇨バイアスピリンなどを服用していると止血困難になることがあるので購入はできない

一般ゴミとして破棄できない
⇨ランセット(ひ鍼)は医療廃棄物となるので返送用の封筒に入れて返却する

ランセット(ひ鍼)の使い回しはしない
⇨血液感染を防ぐためにパートナーと共有して使用するのは控える

服用している薬がある方は、念のため購入前に医師に相談することをおすすめします。

また、検査キットは使い捨てとなるので、繰り返しの使用などもお控えください。

フィットクリニックの梅毒検査キット

梅毒検査キットは、クリニックで入手することが可能です。

フィットクリニックでも梅毒検査キットの販売を行っております。

梅毒だけの単体検査ではなく、各種性感染症(STD)や、症状の似ているヘルペス、重複感染の可能性があるHIVなど、同時検査を行うことができます。

フィットクリニックの梅毒検査では以下の全6種類の検査キットの取り扱いをしています。

 

●クラミジアの検査ができる当院の性病検査キット

検査キット 価格 クラミジア 淋菌 咽頭クラミジア 咽頭淋菌 トリコモナス カンジダ HIV 梅毒 B型肝炎 C型肝炎
女性10項目セット 33,000円
女性8項目セット 29,000円
女性5項目セット 25,000円
男性10項目セット 33,000円
男性7項目セット 28,000円
男性5項目セット 25,000円
検査キット2個セット 10%引き
マイコプラズマ検査 +12,000円
送料 無料

数年後に感染が発覚した例などもあり、重症化や慢性化してしまったり、男女ともに不妊の原因になってしまうこともあります。

ご自身の身体はもちろん大切なパートナーを守るためにも、同時検査が可能な当院の検査キットをお役立てください。

フィットクリニックの検査キットお求めは以下よりご予約ください。

梅毒検査の費用相場

クリニックで梅毒検査を「単体」で受ける際の費用相場は、以下のとおりです。

梅毒検査の費用相場:10,000円前後

ただし、他の性病の場合、改めてクリニックを受診する手間がかかり、新たに検査料も支払う必要があります。

更にクリニックによってはこの他に診察料が加算されることもあります。

自由診療クリニックでの梅毒検査は保険が適用されませんが、自由診療だからこそのメリットもあります。

●自由診療で梅毒検査を受けるメリット

  • 「医療費のお知らせ」に残らないので会社や家族に知られる心配がない
  • 症状がなくても不安なだけで検査を受けることができる
  • オンライン診療に対応していれば通院せずに検査が可能

クリニックでの検査は、症状がなくても不安という理由だけで検査を受けることが可能です。

また、保険証の提示が不要なことから、身近な人に梅毒感染を知られる心配がなく、内々で検査を受けられます。

そのため「他人に知られず、できるだけ早く解決したい」という方は、自由診療で梅毒検査を受けるメリットが大きいと言えます。

梅毒検査後の治療について

梅毒検査後、「陽性反応(感染している)」が出てしまった場合には治療が必要になります。

残念ながら自然治癒は期待できない上、梅毒は病期が進行すると命に関わることもある大変危険な感染症です。

必ず医師の指示に従い、適切な治療を受けるようにしてください。

ここからは梅毒の治療方法や完治の目安、治療中の注意事項などについて詳しく解説していきます。

梅毒の治療方法

梅毒の治療は、「サワシリン(アモキシシリン)」というペニシリン系抗生物質を第一選択薬とします。

原因である梅毒トレポネーマ(細菌)を死滅させることができ、薬の効かない耐性菌の報告もないことから通常2〜4週間(14〜28日)の服用で完治が可能です。

またペニシリン系抗生物質にアレルギーがある場合、他の系統の抗生物質に切り替えます。

●梅毒の治療薬

テトラサイクリン系抗生物質
⇨ミノマイシン(ミノサイクリン)

マクロライド系抗生物質
⇨スピラマイシン

ただし、マクロライド系抗生物質については、薬に耐性を持つ菌が世界的に拡がっています。

そのため、アレルギーなどの特別な理由がない限り、使用することはほぼありません。

なお、神経梅毒に発展してしまうと、内服薬による治療はできません。

10〜14日ほどの入院となり、「ステルイズ(ベンジルペニシリンベンザチン)」や「ペニシリンGカリウム(ベンジルペニシリンカリウム)」という点滴薬の投与により治療を行います。

治療後の再検査は必須

処方された薬をすべて服用し終えた後は、完治したかを確認するために再検査が必須です。

●再検査の時期と回数

おおむね1ヶ月の間隔を空けながら可能な限り1年間検査を行う

梅毒の完治判断は他の性病にくらべ特殊であり、梅毒に感染したことでできる抗体の「数値の下がり具合」を定期的に確認することで判断します。

人によっては半年かからず完治判定となることもありますが、個人差があるため上記期間を目安に血液検査を受けるようにしてください。

なお、検査は一貫して同じ検査キットを用いることが望ましいとされています。

そのため、検査を受けた医療機関で再検査を受けるようにしましょう。

治療中の性行為は厳禁

性行為は感染者の病変に触れてしまうおそれがあるため、治療中も性行為やそれに類似する行為による感染リスクがあることから厳禁です。

仮にコンドームを使用したとしても、梅毒はキスやオーラルセックスでも感染するため、避妊具での完全な予防も難しいのでお控えください。

また、梅毒は一度治療を受けて完治しても、原因である梅毒トレポネーマに免疫がつくことはありません。

何度でも再感染するので、お互いに菌を移し合う「ピンポン感染」を避けるためにも、パートナーとセットで完治の診断が出るまで性行為できないことは覚えておいてください。

まとめ

最後に、梅毒検査について要点をまとめてお伝えします。

  • 梅毒は感染機会から2〜4週間以上が経過すると検査が可能になる
  • 検査は「STS(RPR)検査」と「TP検査」の2種類を受ける
  • 検査キットを使用すればセルフチェック可能
  • 他の性病やHIVの重複感染リスクがあるので複数同時検査が望ましい
  • 治療後はおおむね1ヶ月の間隔で完治判定がでるまで再検査を受ける

梅毒は国内感染者数が急増しており、無症状で進行したり、症状が出たり・消えたりを繰り返す人もいます。

感染を見逃したり、重症化や感染蔓延のリスクを防ぐためにも、積極的に梅毒検査を受けるようにしてください。

当院でのご予約は以下より承っております。

よくある質問

Q1
梅毒の検査はどのようにして行いますか。
A1
梅毒の検査は血液検査(抗体検査)を実施します。
他の性感染症の検査とは異なり、「STS(RPR)検査」と「TP検査」の2種類の血液検査を受けた後の結果を元に診断を行います。
また通院して医師に採血してもらう以外にも、自宅で使用できる梅毒検査キットを用いることでセルフチェックも可能です。
Q2
梅毒の感染に気づく方法はありますか。
A2
梅毒に感染すると3週間ほどの潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。

・初期硬結(硬いしこり)
・びらん(ただれ)
・小丘疹
・潰瘍
など

ただし、上記の症状は目安になり、人によっては無症状のまま進行するケースもあります。
そのため、症状を頼りにするのではなく、少し不安があるだけでも積極的に梅毒検査を受けるのが望ましいと言えます。
Q3
梅毒はいつから検査が受けられますか。
A3
梅毒の検査は、感染機会から2〜4週間ほどが経過すると受けることができます。
性行為直後に検査は受けられず、梅毒に感染したことでできる「カルジオリピン(脂質)」が増えることで検査が可能な状態になるためです。
Q4
梅毒は治療しなくても治りますか。
A4
梅毒は自然治癒することは絶対にありません。
「偽装の達人」とも呼ばれ、症状が出てもしばらくすると消えますが「症状が消える=治癒」ではありません。
感染状態が続いている状態で、時間が経つに連れて病期が進んで重症化し、症状によっては入院が必要になることもあります。
そのため感染がわかった時点で、早めに治療を受けるようにしてください。