ただ症状や感染部位によっても変化するため、必ず担当医師の指示に従いましょう。
また耐性菌を発生させないためにも、処方された日数分は飲み切るようにしてください。
このページでは、淋病に使われる薬について詳しく解説しています。
淋病に効果が認められている薬は限られており、市販薬で治すことはできません。
自己判断で症状を悪化させないためにも、淋病にはどんな薬が必要なのか知っておきましょう。
淋病に使われる薬は、抗菌薬です。
抗生物質とも呼ばれ、細菌を壊したり、増殖を抑えたりする効果があります。
薬品名 | 投与方法 |
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アジスロマイシン | 内服 |
オーグメンチン | 内服 |
セフトリアキソン | 点滴 |
スペクチノマイシン | 注射 |
抗菌薬ならどれも同じではなく、このように淋病の原因である淋菌に対して有効とされる薬は限られています。
また、薬の種類によって投与方法も異なるので、それぞれ詳しく解説します。
投与方法 | 内服、点滴 |
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副作用 | 吐き気、胃痛、下痢など |
投与期間 | 3~7日程度 |
アジスロマイシン(ジスロマック)は、「マクロライド系」というタイプに分類される抗菌薬になります。
1日1回500mgを3日間服用することによって効果が1週間ほど持続するのが特徴です。
以下のような時に、医師の判断によって使用されます。
またアジスロマイシンはさまざまな細菌に効果が認められているので、子供から大人まで幅広く処方されている薬です。
人によっては以前に処方してもらったものが手元にあるかもしれませんが、淋病に対して自己判断で服用するのは控えるようにしましょう。
投与方法 | 内服 |
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副作用 | 発疹、吐き気、嘔吐など |
投与期間 | 3~7日程度 (1日3~4回、6~8時間ごとに服用) |
オーグメンチンは、アモキシシリン・クラブラン酸カリウムといった2種類の有効成分が含まれたペニシリン系の薬です。
ペニシリン系の薬は淋病に対して耐性がついたため使われなくなりましたが、オーグメンチンはペニシリンを分解する酵素を阻害するため、今も淋病治療に使われています。
1日3~4回の服用が必要です。
投与方法 | 点滴、静脈注射 |
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副作用 | 発疹、じんましんなど |
投与期間 | 15~30分程度 |
淋病に対して点滴薬として使用されるのが、セフェム系の抗菌薬であるセフトリアキソンです。
点滴で静脈に投与するため、素早い効き目が特徴となっています。
特に国内では投与量の上限が1,000mgと高用量で、即効性が期待できます。
また、性器に感染している人の10〜30%は咽頭にも感染しているため、咽頭感染にも有効なセフトリアキソンは、淋病に対してもっとも使われる治療薬となっています。
投与方法 | 筋肉注射 |
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副作用 | 疼痛、皮疹など |
投与期間 | 注射1回分 |
淋病の注射薬として使われるのが、スペクチノマイシンです。
淋病にのみ効果を発揮するアミノグリコシド系の抗菌薬で、血管の多い筋肉に注射するので、静脈注射の次に早く効果が現れやすい とされています。
またセフトリアキソンの点滴とは以下の点で異なります。
そのため性器のみに感染しているケースや、症状や体質によってセフトリアキソンが使用できない際に使われます。
淋病の原因である淋菌は、多くの抗菌薬に対して耐性を持つ厄介な菌です。
これまで治療に使われてきた抗菌薬には以下のものがあります。
新しい抗菌薬が誕生しては次々に耐性をつけていくため、いたちごっこのような状態です。
蔓延こそしていないものの、第一選択薬であるセフトリアキソンですら2009年に国内で耐性菌が確認されています。
淋病は治療可能な性感染症ではあるものの、いずれは治療が難しくなる恐れもあります。
コンドームなどによる予防はもちろんですが、菌に耐性をつけさせないためには抗菌薬を正しく使用することが望まれます。
淋病の治療に使われる抗菌薬は、いずれも市販薬としては販売されていません。
そのため必ず医師に処方してもらう必要があり、以前に処方され余っていた抗菌薬を代用することもNGです。
また抗菌薬は海外通販で販売されているのが見受けられますが、以下の懸念点があります。
安さや誰にも知られずに薬を購入できるメリット以上に、こうした様々なリスクを孕んでいます。
なにより自己判断で抗菌薬を使用しては効果が期待できないばかりか、菌に耐性がついてしまい治療を難しくするおそれも。
感染している菌を特定し適切な治療を受けるためにも、必ず専門の医療機関で処方を受けるようにしてください。
淋病の治療薬の処方にかかる費用は、保険診療と自費診療で異なります。
まずはそれぞれの特徴を確認しましょう。
自費診療 | 保険診療 |
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では、それぞれどのくらいの費用になるのか、ここから解説します。
自費診療 | 7,000~9,000円程度 |
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保険診療 | 1,000~2,000円程度 |
内服薬は3日~1週間分の処方が一般的です。
点滴や注射よりも安くすむという特徴があります。
自費診療 | 9,000~22,000円程度 |
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保険診療 | 2,000円前後 |
自費診療での点滴や注射は、それぞれのクリニックによって独自の価格設定が認められているため、処方価格に幅がみられます。
点滴を受ける際は、ホームページなどで事前に価格を調べておきましょう。
「スーパー淋病」とは通常の抗菌薬が効かない淋菌を指します。
スーパー淋菌の事例はいくつかありますが、対処法や使用した薬は事例によって異なっています。
事例1 2009年、日本 |
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治療①:セフトリアキソン→失敗 |
治療②:セフトリアキソン→治癒 |
事例2 2022年、オーストリア |
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治療①:セフトリアキソン+アジスロマイシン →失敗 |
治療②:アモキシシリン・クラブラン酸→治癒 |
通常の治療が失敗した際は、どの薬が効くか調べた上で、患者に合った薬を投与します。
このように、世界中で淋病の治療は難しくなってきており、1度の治療だけでは完治させられないこともあります。
いつかどの薬も効かない淋菌が出てくる可能性もあるため、まずはとにかく感染しないように予防することが大切です。
淋病は性器クラミジアと同様、国内でも感染者数が多い性病です。
もし性行為から数日後に性器やのどに違和感や痛みなどを感じれば検査を受けるようにしましょう。
もちろん、症状がなくても心当たりがある場合は検査が必要です。
検査で陽性が出ればその日から治療はスタートできるので、早期発見・早期治療のためにもパートナーといっしょに医療機関を受診してください。
また淋病は何度でも感染するので、1度完治したからと言って油断はできません。
お互いが予防を意識すれば感染は防げるため、日頃からセーフセックスを心がけていきましょう。