ED・勃起不全

男性ホルモン塗り薬はEDに効果的か|グローミン、トノスも解説

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。
男性ホルモン塗り薬はEDに効果的か|グローミン、トノスも解説 ED・勃起不全

男性ホルモンの塗り薬は「テストステロンクリーム」とも呼ばれ、男性更年期障害の治療にも用いられる医薬品です。

結論から言うと、塗り薬は「男性ホルモンの分泌低下によるED」には効果を発揮しますが、ストレスや薬の副作用に起因するEDには効果が期待できません。

本記事では男性ホルモンの塗り薬の主な効果や副作用、グローミンやトノスなど代表的な塗り薬の使用方法について解説しています。

その他の塗り薬や代替薬についても触れていますので、男性ホルモンの減少や性機能の衰えにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

男性ホルモンの塗り薬はED治療薬の代わりにならない

男性ホルモンの塗り薬は、経皮吸収により間接的に性機能を向上させる働きがあります。

性機能に直接働きかけるわけではないため、ED治療薬と混同しないようご注意ください。

ED治療薬については以下で解説しています。

男性ホルモンの塗り薬に期待できる効果

男性ホルモンの塗り薬は男性ホルモンであるテストステロンを配合した医薬品で、男性ホルモンの分泌低下による以下の諸症状を改善する働きがあります。

  • 性力低下
  • 肥満
  • 筋力低下
  • 腎障害
  • 冠動脈疾患 
  • など

飲み薬と違い肝臓で分解されないため、成分が体内に巡りやすいというメリットがあります。

医療機関では、塗り薬をはじめとしたホルモン補充剤を用いた治療を「テストステロン補充療法」と呼びます。

本記事で紹介する男性ホルモンの塗り薬は「精力剤」ではなく「医薬品」という位置づけなので混同しないようご注意ください。

男性ホルモン塗り薬の主な効果は以下です。

以下、順に解説していきます。

男性更年期障害(LOH症候群)の改善

男性ホルモンの塗り薬は、男性の更年期障害の治療にも用いられます。

男性更年期障害は別名「LOH症候群」と呼ばれており、加齢男性・性腺機能低下症候群(Late Onset hypogonadism Syndrome)」の略称です。

男性更年期障害は、副腎や精巣などから分泌される「男性ホルモン(テストステロン)」の減少により引き起こされます。

発症時期や期間も人により異なり、要因も身体的なものから精神的なものまで様々ですが、精機能の衰えを初期症状として感じる方が多いです。

男性ホルモンの塗り薬は「ftm(女性から男性へ性別移行を望む方)」のホルモン治療にも使われており、用途は多岐に渡ります。

勃起力の改善

勃起力の低下が「男性ホルモンの減少」に起因する場合は、男性ホルモンの塗り薬で勃起力の改善効果が得られる可能性があります。

ただし、心因性のEDや薬剤性のEDなど、男性ホルモンの低下に起因しないケースは塗り薬での勃起力改善効果は見込めないためご注意ください。

早漏の改善

男性ホルモンの塗り薬には早漏にも効果が期待できます。

早漏は射精中枢が過敏になることにより生じるため、その感覚を鈍らせて早漏を改善するという仕組みです。

テストステロンの塗布により陰茎に伝わる感度が適度に調整され、射精までの時間を遅らせることができます。

潜伏睾丸の改善

潜伏睾丸とは、両側の睾丸が腹の中に留まっているために、性機能が正常に働かない状態を指します。

胎児の発育過程で、精巣が腹部から陰嚢へ移動する過程が完了しないために発生する症状です。

男性ホルモンが含まれる塗り薬を使用することで、局所的にテストステロンの濃度を高め、精巣の移動を促進できます。

グローミンやトノスの効果的な塗り方

男性ホルモンの塗り薬として一般的なのが「グローミン」「トノス」です。

以下、それぞれの特長をまとめていますので参考にしてください。

  グローミン グローミンの商品画像 トノス トノスの商品画像
分類 第一類医薬品 第一類医薬品
特長 ・体内のテストステロンと同じ化学構造で自然な補充が可能
・低刺激、無香料で体に優しい
・3つの局所麻酔成分により射精遅延効果が期待できる
・陰嚢部に塗布することでより効果的に吸収される
・アレルギー体質を考慮した成分処方
効果・効能 男性性器神経衰弱症(勃起力の減退、性器不全、精力減退、早漏など) ・男性更年期障害
・男性性器神経衰弱症(勃起力の減退、性器不全、精力減退、早漏など)
副作用 発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、はれ、水疱、にきび、脱毛、多毛 発疹、かゆみ、じんま疹
1回の塗布量 チューブの先から2㎝程度を目安に指先に取る チューブの先から5㎜程度を目安に指先に取る
※男性更年期障害の場合は患部に約0.1g(小豆大)ずつ擦り込む
勃起力・精力改善に効果的な塗り方 陰のう部または腹部全体に擦り込むように塗布 陰のう部全体に擦り込むように塗布
塗る頻度 2回/日(朝・晩)
症状改善後は1回/日
1回/日
症状改善後は1回/日か週2回程度
入手方法 医療機関又は薬剤師が在籍する全国の薬局・ドラッグストア 薬剤師が在籍する全国の薬局・ドラッグストア

※スクロールしてご覧ください
画像引用元:大東製薬工業株式会社 製品情報

男性ホルモンを増やすその他の医薬品

その他、男性ホルモン補充剤には以下のような種類があります。

次の章で順に解説していきます。

塗り薬「アンドロフォルテクリーム」

アンドロフォルテクリーム
アンドロフォルテクリームの商品画像
分類 処方箋医薬品
※一部クリニックでのみ取扱い
特長・効果 ・海外製のためテストステロンの含有量が高い
・体内の男性ホルモンを増加させる
塗り方・塗る頻度 0.5ml程度を朝1回/日、陰のう、あご下、腹部などの全体に塗布する
副作用 赤み・発疹・かゆみ・かぶれ・腫れ・水ぶくれ・にきび
入手方法 医療機関で処方を受ける
※市販品ではありません

画像引用元:アンドロフォルテクリーム5%(テストステロン)

塗り薬「プリズマホルモン軟膏」

プリズマホルモン軟膏
分類 第一類医薬品
特長・効果 ・肝臓への負担が少ない
・男性ホルモン分泌不足による勃起力減退 ・男性更年期障害の改善
塗り方・塗る頻度 約0.1g(小豆大)/回、1日1~2回、表皮の薄い部位や亀頭部、陰のうに塗布
副作用 発疹・発赤、はれ、かぶれ、かゆみ、水疱、にきび
入手方法 薬剤師が在籍する一部の薬局・ドラッグストア
Amazonや楽天などの通販

画像引用元: <第1類医薬品>プリズマホルモン軟膏

注射薬「テスチノンデポー」

テスチノンデポー
分類 処方箋医薬品
※医療機関での治療のみで使用されます
特長・効果 ・男子性腺機能不全
・造精機能障害による男子不妊症
・男性ホルモン分泌不足による勃起力減退
使用方法・使用頻度 (性機能不全の場合)100mg/回を7~10日間ごとに、または1回250mgを2~4週間ごとに筋肉内注射
副作用 陰茎肥大、持続性勃起、(大量継続投与による)睾丸機能抑制(睾丸萎縮・精子減少・精液減少)、発疹、かゆみ
入手方法 個人での入手不可
※医療機関での治療のみで使用されます

画像引用元:【ホルモン治療】薬の投与間隔と料金について

紹介したテストステロンの補充剤は、人によって使用できないケースがあります。

  • 前立腺がん、前立腺肥大症の方
  • 睡眠時無呼吸症候群の方
  • 重度の心臓病、腎臓病、肝臓病、高血圧の方、あるいは既往歴のある方
以上の病気を患っている方は使用を控えるか、使用の際は必ず医師にご相談ください。

ED治療用塗り薬「eroxon(エロクソン)」

eroxonの商品画像

画像引用元:https://www.eroxon.co.uk/eroxon

「eroxon(エロクソン)」はイギリスの製薬会社が開発した塗るタイプのED治療薬です。

男性ホルモン補充剤ではありませんが、イギリスを含む欧州ではED治療薬として承認されています。

5分で効果が感じられると言われており即効性が期待できますが、現在日本では未承認のため、医療機関でも処方は受けられません。

EDに効果的と正式に承認された塗り薬はこの薬のみです。

同等の効果を得られるのはバイアグラやシアリスなど、服用するタイプのED治療薬となります。

ED治療薬については、次の章で触れていますので参考にしてください。

未承認薬を入手する手段として個人輸入(海外通販)の利用者が増えていますが、偽造薬による副作用や詐欺のリスクもあり大変危険です。必ず国内の承認を受けた薬剤を使用しましょう。

また、ここまででご紹介した塗り薬は副作用のリスクもあるため、自己判断での使用も危険です。

使用の際は必ず医師の判断を仰いでください。

ED治療薬は性機能に直接効果を発揮する

男性ホルモンの塗り薬は手軽な治療薬ですが、ED治療を目的として考えた場合、改善の効果を実感できるのは「男性ホルモン低下によるED」に限ります。

すなわち、塗り薬には間接的に勃起力を改善する効果しか見込めないということです。

ED治療薬は性機能のメカニズムに直接働きかけるため、ストレスによるEDや、薬の副作用によるEDなどあらゆる勃起不全に効果が期待できます。

また、即効性と強い効果(※1)も持ち合わせているため、場合によっては塗り薬よりも早くに改善可能です。

※1・・・男性ホルモンの塗り薬と比較した場合

フィットクリニックのED治療薬

当院で取扱いのあるED治療薬は以下です。

  バイアグラ
バイアグラ
レビトラ(※ジェネリックのみの取扱い)
レビトラ(ジェネリック)
シアリス
シアリス
ステンドラ
ステンドラ
ザイデナ
ザイデナ
価格
(後発薬含む)
270円~1,600円 900円~1,200円 700円~1,600円 1,300円 1,000円
主な特長 一番知名度の高いED治療薬 即効性に加えて強い勃起力がある 持続時間が他の治療薬より長い バイアグラの効果はそのままに、より効果が持続 アジア人向けに作られた新しいED治療薬
勃起の強さ 強い 最も強い マイルド 強い やや強い
副作用 出やすい 出やすい 出にくい 出にくい 出にくい
効果持続時間 3~5時間 5~8時間 30~36時間 3~6時間 11~13時間
効果開始時間 30分~1時間 15~30分 1~4時間 15~30分 30分~1時間
食事の影響 受けやすい やや受けにくい 受けにくい 受けにくい 受けにくい
有効成分 シルデナフィルクエン酸塩 バルデナフィル塩酸塩水和物 タダラフィル アバナフィル ウデナフィル

※スクロールしてご覧ください
※感じ方には個人差があります

人によって効果の出方や副作用の強さに差がありますので、ED治療薬をご検討の方は必ず医療機関で診察を受け、適した治療薬を処方してもらってください。

男性ホルモン塗り薬についてのまとめ

ここまで、男性ホルモン塗り薬の効果を紹介してきました。

最後に記事の内容をまとめます。

  • 男性ホルモンの塗り薬には、すべてのEDを改善する効果は無い(男性ホルモン分泌低下によるEDにのみ効果を発揮する)
  • 男性ホルモンの塗り薬は血中のテストステロン値を上昇させ、男性更年期障害やその他男性ホルモンの欠乏による諸症状を改善する効果がある
  • 「グローミン」「トノス」などの塗り薬が一般的だが、その他注射薬など種類は多数
  • 直接性機能に作用するのはED治療薬のみであり、EDのお悩みがある方はED治療薬の服用が推奨される

当院ではED治療薬を豊富に取り揃えております。

ドクター
性機能の衰えを感じ始めた方や、塗り薬よりも即効性や強い効果が欲しいという方は是非一度ご相談ください。

よくある質問

テストステロンを増やす塗り薬はありますか?
一般的な男性ホルモン補充剤として「グローミン」「トノス」があります。陰のう部に直接擦り込むことで、男性ホルモン経皮吸収させる血中のテストステロン濃度を上昇させる仕組みです。飲み薬と違い、肝臓で分解される前にテストステロンが血中に入るため、高い吸収性が期待できます。これらの塗り薬は男性更年期障害による諸症状の改善や、早漏、潜伏睾丸の改善に効果的です。
男性ホルモンの塗り薬は何に効きますか?
男性性器神経衰弱症(勃起力の減退、性器不全、精力減退、早漏など)や男性更年期障害、潜伏睾丸など、男性ホルモンの減少によって起こる諸症状に効果的です。男性ホルモン欠乏によるED(勃起不全)の改善にも用いられます。
男性ホルモンの塗り薬はどれくらいで効きますか?
効果の発現期間には個人差があります。塗り薬によっても異なりますが、男性ホルモン補充剤である「グローミン」を例に挙げるとだいたい3ヶ月程で優位に効果が得られたという報告があります。短い期間で効果が十分に得られた場合は一旦投薬を中止したり、用量を減らしたりして、様子を見ながら使用してください。なお、即効性を求めて用量を多くしても効果の増進は見込めませんので、用法・用量を守って使用しましょう。
EDを治す塗り薬はありますか?
男性ホルモンの減退によるEDに効果的な塗り薬としては「グローミン」「トノス」が一般的です。男性ホルモンを経皮吸収させることにより血中のテストステロンを上昇させるため、勃起力の改善が期待できます。ただし、ストレスによるED(心因性ED)や薬剤の副作用によるED(薬剤性ED)には有効ではありません。性機能に直接アプローチできるのはED治療薬のみとなります。
男性ホルモンの塗り薬を毎日使用してもいいですか?
男性ホルモンの塗り薬の使用頻度は薬剤によって異なり、さらに症状の改善具合によっても変わってきます。1日に1回の塗布から、症状が改善次第2週間に1回の塗布にするなど、変化に合わせて塗布の回数を使い分けるのが一般的です。ご使用の薬剤の使用方法については十分にご確認ください。
男性ホルモンの塗り薬で毛深くなりますか?
正常の範囲内で使用すれば、毛深くなることはありません。ただしもともと男性ホルモンの分泌が少ない方は、正常範囲内の男性ホルモン補充であっても体毛が濃くなる場合がありますので様子を見ながら使用してください。男性ホルモンの副作用としては、過剰投与による多血症などが報告されていますが、用量を守った使用方法であれば副作用に関して過度な心配は不要です。