このページでは、性病の1つであるトリコモナスが自然治癒しない理由について詳しく解説しています。
トリコモナスを放置してしまうと症状が長引くだけでなく、人によっては合併症や悪化のリスクも伴います。
感染を疑うような症状や心当たりのある方は、この機会にトリコモナスの検査・治療を受けるようにしてください。
なお、トリコモナスの詳しい症状や原因については、以下のページを参考にしてください。
トリコモナス原虫は自然に死滅しない
結論から言いますと、トリコモナスは自然治癒することはありません。
これは、「トリコモナス原虫」と呼ばれる寄生虫の一種が性器に寄生しているので、適切な治療を行わなければ原虫を駆除することが難しいためです。
また、トリコモナス原虫はグリコーゲン(糖の一種)をエサに増殖するため、膣内の自浄作用を保っている乳酸桿菌(ラクトバルチス)が減少します。
トリコモナス膣炎になる原因 |
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トリコモナス原虫の増加 ↓ 乳酸桿菌の減少 ↓ 乳酸が減少 ↓ 膣内の酸性度が上がる ↓ 悪玉菌が侵入・繁殖しやすい状態になる |
トリコモナスの症状が悪化するだけでなく、他の雑菌まで増殖し、膣内環境の悪化を招いてしまいます。
なお、男性については尿道だけの感染であれば、排尿によって原虫が洗い流されることがあります。
ただし、尿道からさらに奥の前立腺や精嚢に寄生することもあるので、自然治癒を期待せずに治療を受けるようにしてください。
トリコモナスを治療しないとどうなる?
【女性】治療しなかった際に起こりうる症状 |
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女性の場合、膣や子宮頸管(子宮の入り口)に寄生した原虫が「卵管」や「骨盤内」にまで達して炎症を起こすことがあります。
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トリコモナスは治療せずに放置してしまうと、原虫が身体の奥へと感染を広げてしまいます。妊娠機能に関わる器官での炎症は、不妊や早産・流産のリスクを高めるのでご注意ください。
【男性】治療しなかった際に起こりうる症状 |
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男性の場合、「前立腺」や「精巣上体」、まれに尿道の外に出て「亀頭・包皮」に炎症を起こすことがあります。
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前立腺での炎症は精子の運動機能を低下させ、精巣上体での炎症は精子の通り道をふさいでしまい通過障害を起こすことがあります。
どちらの炎症も男性不妊の原因になることがあるのでご注意ください。
気になる症状が現れたらすぐに検査
トリコモナス感染時にみられる初期症状をお伝えするので、該当する症状があれば感染を確認するための検査をすぐに受けるようにしてください。
女性の初期症状 | 男性の初期症状 |
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フィットクリニックでは、通院せずに感染を調べられる「検査キット」のご用意があります。
以下よりご予約を承っていますので、お気軽にお問合せください。
トリコモナスの治療
当院ではトリコモナスの治療に、抗原虫薬である「フラジール内服薬」を処方しています。
フラジール内服薬の概要
価格 | 10,000円 |
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用法 | 1日2回、10日間の服用 |
治療期間 | 10日間 |
副作用 | 末梢神経障害、四肢のしびれ、四肢異常感、中枢神経障害、脳症、痙攣、錯乱、幻覚、小脳失調、ふらつき |
フラジール内服薬は、古くからトリコモナス治療の第一選択薬として選ばれています。
また、2012年には追加で「細菌性膣症」への適応も認められたため、トリコモナスとの合併が認められる場合にも一度の治療で完治させられます。
男女ともに10日間の治療で90〜95%の方が完治するので、疑わしい症状は医師に相談し早期発見・治療につなげるようにしてください。
市販薬での治療は可能?
トリコモナスは、薬局やドラッグストアなどに販売される市販薬では治療ができません。
治療の第一選択薬であるフラジール内服薬は「医療用医薬品」にあたるため、検査・診断に基づいた医師の処方が必要になります。
また処方箋なしで病院薬が購入できる零売薬局では、女性の治療薬であるフラジール膣錠が販売されています。
しかし、トリコモナスの検査や治療の経験がない場合には購入ができず、膣錠の使用は内服ができない「やむを得ない場合」に限定されます。
トリコモナスの再発・再燃を防ぐためにも、医師処方のフラジール内服薬による治療を受けてください。
検査より治療が優先される場合
トリコモナスの検査は、採取した尿や膣分泌物を培養検査にかけて感染を確認します。
ただ、男性の検査は性質上、検査精度が安定しません。
このため前立腺や精嚢への感染を見逃すリスクがあることから、パートナーの感染が発覚した時点で男性は治療を優先して行う場合があります。
なお、トリコモナスの初期症状は感染を疑う目安にはなりますが、症状がないからといって感染していないとも言い切れません。
無症状で症状が進行することもあり、気づいた時には重症化や、治療したパートナーにふたたび感染させてしまうおそれもあります。
パートナーの感染と診断された時点で、お互いの身体を感染から守るためにお二人で治療を受けるようにしてください。
性行為以外での感染に注意
トリコモナスは感染者との性行為が主な感染経路となりますが、膣分泌液や精液にも原虫がいるため手指を通して感染することもあります。
また原虫を原因とした場合、性行為以外に日常生活でも感染するリスクがあるのでご注意ください。
日常生活での感染経路 |
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現在の日本の環境は衛生的なため、公衆浴場やトイレでトリコモナスに感染するのは稀です。
ただし、下着やタオルなどの生活用品を通じて感染する可能性があり、性行為経験のない子供にも感染します。
トリコモナスの感染がわかった時点で日用品の共有は控え、家族やパートナーへの感染を防ぐようにしてください。
予防方法について
トリコモナスは性行為以外でも感染するため、感染者との不用意な接触を控えることが感染予防につながります。
- コンドーム
- 性行為の相手を限定する
- 生理中の性行為は控える(トリコモナスが繁殖しやすい時期になるため)
- 性行為後の排尿
- 定期的な検査
- タオル・下着の共有、便座、浴槽などと性器との接触を避ける
トリコモナス原虫は自然発生しないため、感染していないパートナー同士の性行為であれば感染を心配する必要はありません。
また、日用品を通して感染するリスクは、不衛生な状態が原因です。
トイレや浴槽の使用後は掃除や除菌を行うことで感染リスクは下がるため、清潔な状態をキープするよう心がけてください。
完治する前の性行為はNG
トリコモナスは治療中であっても性行為はNGです。
わずかでも感染力のある原虫が残っていれば、感染させてしまうリスクがあります。
「症状がない=完治」ではなく、治療後の再検査により原虫がいないことが確認されて完治となることは覚えておいてください。
なお、トリコモナスに感染した経験があっても、原虫に対する免疫がつくことはありません。
そのため何度でも感染し、どちらか一方が完治していなければ「ピンポン感染」といって再発のループに陥ることもあります。
トリコモナスの治療は必ずパートナーとペアで行い、お互いが完治と診断されるまでは性行為をお控えください。
よくある質問
感染から時間が経つほど症状が悪化するリスクがあり、炎症が妊娠に影響することで男女ともに不妊の原因につながることもあります。
症状を自覚しているのであれば速やかに医師に相談し、適切な治療を受けるようにしてください。
ただし、男性は検査の性質上、精度が安定しないため、検査よりも治療を優先して行う場合もあります。
必ず医師処方の抗原虫薬が必要になるので、性器などに疑わしい症状がある場合には医療機関にご相談ください。
コンドームは感染を100%防げるものではなく、ピンホールや破れ、行為中に外れるなどのアクシデントによる感染リスクも考えられます。
再検査によって完治が確認されるまでは、いかなる理由があっても性行為やそれに類似する行為はお控えください。
まとめ
最後に、このページの要点をまとめておきます。
- トリコモナスは自然治癒しない
- 放置すると合併症を起こしたり、原虫が身体の奥へと感染を広げてしまう
- フラジール内服薬を使用すれば90〜95%が完治する
- トリコモナスの治療期間は10日間
- 市販薬ではトリコモナスの治療はできない
- 性行為以外でも日用品や生活環境からトリコモナスに感染することがある
原虫を原因とするトリコモナスは、治療しない限り感染部位でその数を増やし、身体の奥へと感染を広げてしまいます。
通常10日間の治療でほとんどの方が完治するので、不快な症状を長引かせないためにも積極的に検査・治療を受けるようにしてください。
当院では検査キット・薬をオンライン診療で処方しています。
ご希望の方は以下のボタンからご予約が可能です。