たくさんお酒を飲んだ後「勃起しない」あるいは「勃ちが悪い」と感じたことはないでしょうか。
過度な飲酒と勃起機能の低下は密接に関係しています。
本記事では、過剰なアルコール摂取がEDにつながる原因や対策方法について解説していきます。
飲酒によるEDにお悩みの方は、是非参考にしてみて下さい。
※クリックすると説明に飛べます
お酒を飲み過ぎると勃たなくなる原因
冒頭で述べた通り、過剰なアルコール摂取はEDにつながります。
主な原因は、以下の2つです。
以下の章で解説していきます。
神経の働きが抑制される
アルコールの過剰摂取は、中枢神経系を抑制する作用があります。
中枢神経は性的興奮を伝達する役割を果たしているため、その神経が上手く機能しないと勃起が困難になるという仕組みです。
結果として、脳では興奮しているはずなのに身体は反応しない(勃起しない)という現象が起こります。
また、厳密に言うと勃起の妨げとなるのは「過剰な飲酒」であり、適度な飲酒であれば問題ありません。むしろ、リラックス効果が期待できます。
ただし、過剰な飲酒量であれば中枢神経の鎮静効果が大きくなるため、適量にとどめましょう。
そして、アルコールは血管を拡張させる作用もありますが、過度に摂取することにより、かえって血管を収縮させます。
勃起には十分な血流が必要なため、血管の収縮によりEDを発症する可能性は高いです。
総じて、アルコールの過剰摂取はEDのリスクを高める可能性があり、健康な性的機能を維持するためにも過剰飲酒は控えましょう。
体調不良による性欲の低下
過度な飲酒により、吐き気や頭痛などの体調不良が起こるケースは多いです。
体調不良となれば当然、性欲や性機能は低下し勃起しづらくなります。飲みすぎには注意しましょう。
また、過剰な飲酒はあらゆる臓器にダメージを与えます。
以下は、過剰飲酒によって起こりうる病気を示した図です。
健康を考え、適切な飲酒量を守りましょう。
適切な飲酒の量については、こちらで言及しています。
過度な飲酒を続けるとEDになる?
過度な飲酒を継続すると、以下のような症状が起こります。
これらの症状は、EDにつながる可能性が高いため注意が必要です。
次の章で順に説明していきます。
アルコール依存症
長期的な過剰飲酒は、アルコール依存症を招く可能性が高いです。
また、アルコール依存症の患者の多くがEDを起こしている事実があります。
アルコール依存症は、EDなどの性機能障害になる率が高いということです。
自身の健康のためにも、適切な飲酒量を守ってください。
男性ホルモン分泌の低下
さらに、過剰飲酒は男性ホルモンの分泌も低下させます。
飲み過ぎによる睡眠不足や睡眠の質の低下によって、男性ホルモンが正常に分泌されなくなるのです。
過度の飲酒は控えましょう。
男性ホルモン(テストステロン)の低下により勃起障害が発生するという研究結果も報告されています。
テストステロンは性的興奮や性機能に重要な役割を果たしているため、その低下は結果的にEDを引き起こすのです。
体重の増加
体重の増加も、勃起不全の原因のひとつです。
過剰な飲酒による肥満は、EDの原因となりやすいという研究結果も出ています。
性機能を正常に保つためには、健康に気を遣うことが何より重要です。
適量のお酒は勃起に効果的
過剰な飲酒は勃起力に悪影響ですが、飲酒自体が悪なのではありません。適量の飲酒であればリラックス効果があり緊張を和らげ、勃起にプラスに働くことがわかっています。
性行為に自信が無い方でも、飲酒によって気が大きくなり自信につながる場合もあるので、適度な量を守れば性行為の助けとなってくれるのです。
お酒の適度な量とは?
お酒の適量は人によってさまざまなため、自分の体質をよく理解する必要があります。
お酒に含まれる純アルコール量は、
「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」
で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化が可能です。飲酒をする場合には、お酒に含まれる純アルコール量(g)を認識し、自身のアルコール摂取量を把握することで勃起不全のリスクを避けることができます。
以下の表は、純アルコール20gの目安です。
【純アルコール量20gの目安】お酒の種類 | 内容量 | アルコール度数 |
---|---|---|
ビール |
500ml | 5% |
日本酒 |
180ml | 15% |
ワイン |
200ml | 12% |
チューハイ |
350ml | 7% |
ウイスキー |
60ml | 43% |
焼酎 |
100ml | 25% |
これ以上の飲酒は、健康状態悪化のリスクが高まるので注意が必要です。
身体の構造的に、女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いことや、体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても、女性は男性に比べて臓器障害を起こしやすいことも報告されています。よって、女性の飲酒量は男性に比べて1/2~2/3程度(上記の表より少なめ)が適当です。
性行為の前に飲み過ぎない対策
お酒を飲むと、つい楽しくなって飲み過ぎてしまう、という方も多いのではないでしょうか。
以下の方法で、飲み過ぎを防ぎましょう。
自分の適量を把握する
前述のアルコール摂取量はあくまで目安であり、適量には個人差があります。
1~2単位のお酒でも許容範囲を超えてしまう人もいるため、まずは自分の適量を知り、飲みすぎないことが大切です。
自分の適量を知る方法のひとつに「エタノールパッチテスト」があります。
お酒に弱いかどうか(悪酔いしやすいかどうか)は、アルコールが肝臓で分解された際に発生する「アセトアルデヒド」を分解する酵素「ALDH2」が体内にどの程度あるのかで決まります。
その酵素の有無をチェックできるのが、エタノールパッチテストです。
- テープに少量のガーゼを貼り、ガーゼを消毒用アルコール(70%エタノール)で湿らせる
- 上腕の内側などの皮膚が柔らかいところに貼る
- 5分経ったらテープをはがす
- テープをはがしてから20秒後と5分後に皮膚の反応をみる
※必ず飲酒していない状態で行ってください。
※毎日飲酒されている方は正確な結果が出ない場合があります。
20秒後に貼った部分が赤くなっていればお酒に弱い体質(ALDH2活性がまったくない方)であり、目安量よりも少なめの飲酒が望ましいです。
20秒後には変化が無くても5分後に赤くなっていれば、ややお酒に弱い体質(ALDH2活性が弱い人方)であると言えます。
自分の適量を知る目安にしてみてください。
また、日頃運動不足の方や、肥満(BMIが高め)の方、過度な喫煙など生活習慣に問題がある方はアルコールによるED発症率も高い傾向があります。
日常的に自分の健康状態をチェックし、適切な量を把握しましょう。
お酒に依存し過ぎない
性行為前は緊張のあまり、普段より多くお酒を飲んでしまう方も少なくありません。
ただ、お酒に依存してしまうと思わぬ健康被害を招きます。
我を忘れるほどお酒を飲まないことが大切です。
途中からノンアルコールドリンクやお茶、ソフトドリンクに切り替えるなど、節度をわきまえて性行為に臨みましょう。
また、長時間にわたっての飲酒もよくありません。
アルコールが蓄積することで、スピードは遅くとも徐々に中枢神経の働きは鈍っていくからです。
あくまで心を落ち着かせる目的で飲酒をし、適量にとどめることを心がけてください。
お酒を飲む際は食事またはつまみと一緒に
空腹時にお酒を飲むと胃が荒れやすくなるだけでなく、アルコールの吸収も早く酔いが回りやすくなります。
飲酒時は、なるべく食事も一緒に摂ることが大切です。
特に、タウリンの多く含まれるおつまみは利尿作用が働き、肝臓の働きを良くするため積極的に取り入れましょう。
- 刺身(特に貝類、タコ、イカ)
- 牡蛎、あさり、しじみ
- 魚、低脂肪の肉、卵、大豆・大豆製品
- ゴマ(含有成分「セサミン」の抗酸化作用が肝機能を高める)
後の性行為に響かせないためにも、適切なお酒の量と適切な飲み方を守りましょう。
酔わない薬やサプリメントを飲む
お酒を飲む前に、あらかじめ酔い過ぎない薬や悪酔いを防ぐサプリなどを服用することで体調不良を防ぐことができます。
こうした薬やサプリメントは「ウコンエキス」が配合されているものが一般的です。
ウコンには「クルクミン」という成分が含まれており、肝臓の働きを改善する効果が示唆されています。
ただし、ウコンが酔いに効くという医学的な確証はありません。
悪酔い予防の薬やサプリメントは、あくまで気休め程度に服用しましょう。
また、薬やサプリメントは悪酔いや二日酔いによる体調不良は緩和できますが、性機能の回復は不可能です。まずは、お酒を飲み過ぎない工夫をしていきましょう。
その他、以下の方法で性行為前の飲みすぎを防ぐことができます。
- 水を多めに飲む
- 低い度数のお酒を時間をゆっくり飲む
- お店ではなくホテルや家で飲む
- その日飲む分だけを買う
まとめ:性行為前の適量なお酒は良い影響となるが、過度なお酒はNG
ここまで、性行為前の過剰飲酒がEDにつながる理由や対策方法について説明してきました。
最後に、記事の内容をまとめます。
- お酒の飲みすぎは中枢神経の抑制や体調不良の危険性があり、勃起不全を招く
- お酒の飲み過ぎによって、アルコール依存や肥満など健康状態も悪化する
- 適量のお酒であれば勃起に効果的
- お酒の適量は缶ビール500ml1本程度
- 自分の適切な飲酒量の把握やサプリメントの使用で飲み過ぎは防げる
EDがお酒によるものなのか、その他の原因によるものなのか不明な方は、一度医療機関に相談しましょう。
飲み過ぎによるEDは、ともすると「次も勃起しなかったらどうしよう」というプレッシャーとなり、慢性的な症状に発展する可能性もあります。
EDになるのではないか、と不安な方は、専門クリニックへの相談も検討してみて下さい。
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当院ではオンライン診療も行っており、人目を気にせず薬を購入できます。
診察料は無料なので(薬代と郵送料は別途)、お気軽にご相談ください。
お酒と勃起の関係についてよくある質問
Qお酒とたばこも勃起には良くないですか?
はい、お酒(厳密に言うと過剰飲酒)とたばこは勃起機能に悪影響を及ぼすことがあります。お酒の摂取が過剰な場合、性的機能や勃起能力を低下させる可能性があるためです。また、たばこに含まれるニコチンやその他の有害物質は、血管を収縮させたり、血流を妨げたりすることで、勃起障害のリスクを高めることが知られています。
健康な勃起機能を維持するためには、お酒やたばこの摂取を控えるか、適切な量にとどめることが重要です。
Qお酒を飲み続けるとEDになりますか?
適量であれば問題ありません。お酒を「過剰に」飲み続ければ、EDになる可能性は高まります。過剰なアルコール摂取は中枢神経を鈍らせ、脳では性的興奮を覚えていても勃起しないという現象が起こりやすくなるためです。
その他、お酒の飲み過ぎによってアルコール依存や男性ホルモンの分泌低下、体重増加などの悪影響が出ますので、適切な飲酒量を心がけましょう。
Qお酒とED治療薬の併用はOK?
一般的には控えるか避けることが推奨されます。お酒は血管を拡張させる効果がありますが、同時にED治療薬も同様の作用を持っているためです。両者を併用すると血圧が急激に低下し、めまいやふらつき、意識の混濁などの副作用が増加する可能性があります。
また、一部のED治療薬にはアルコールとの併用を避けるように明示されている場合もあります。ED治療薬を処方された場合は、医師の指示に従い、お酒との併用について相談することが重要です。
Q不安でお酒を飲むのはやめた方がいい?
適度な飲酒であれば問題ありません。適正な量であれば、血行の促進や精神的なリラックスによって副交感神経を優位にするため、自律神経にプラスの影響を与えます。ただし、長期的にはアルコールに頼ることで不安感が増大する恐れがあり注意が必要です。アルコールがうつ症状やうつ病を起こす可能性も報告されています。
さらに、過剰にお酒を飲むとアルコール依存やED(勃起不全)、男性ホルモンの分泌低下などのリスクも高いです。過度の飲酒は控え、適量を飲むよう心がけましょう。