
禁煙すると「健康になる」「お金が貯まる」といったメリットを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、禁煙で得られるメリットは、健康・経済面だけではなく、生活や仕事の面にまで及び、タバコをやめただけで得られるリターンに驚くはずです。
このページでは、禁煙に挑戦しようとしている方に向けて、禁煙のメリットや成功率の高い禁煙方法をランキング形式で紹介します。
禁煙を成功させるコツや失敗する原因についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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あなたにぴったりの禁煙方法を診断
自分に合った禁煙方法を知るためにも、まずは今の状態を把握しましょう。
「TDS(Tobacco Dependence Screener)」と呼ばれるニコチン依存度テストを使えば、10個の問いに当てはまるものを選択するだけで依存度を判定できます。
当院では、各禁煙方法の成功率をもとに、ニコチン依存度に応じたおすすめの禁煙方法を独自に設定しました。
ぜひ参考にしてみてください。
禁煙方法のランキングを見たい方はこちら
(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
※(注)禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。ㄣ>
あなたの結果
0点
5点以上でニコチン依存症です。
おすすめの禁煙方法は…

喫煙本数の少ないライトスモーカーといえます。
依存度が少なく、薬に頼らずご自身の力で克服を望む方が適しています。
ただし自力での禁煙は失敗する確率が高いため、ご自身の状態に合わせて別の禁煙方法も検討してみてください。
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おすすめの禁煙方法は…

ニコチン依存度が平均的なミドルスモーカー向けの禁煙方法です。
体重を増やしたくない、比較的楽に禁煙したい方が適しています。
正しい方法ではないと効果が得られにくく、普段の生活でパッチやガムが使用できない方には不向きな治療法になるため注意が必要です。
成功率2位:ニコチン製剤での禁煙方法 成功率1位:飲み薬での禁煙方法
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喫煙本数の多いヘビースモーカー向けの禁煙方法です。
他の方法で禁煙に失敗したことのある方や、楽に効果の高い方法でスパッと禁煙したい人に選ばれています。
治療を受ける際に条件がある場合があります。
もし5点以上であれば、「ニコチン依存症」です。
自力での禁煙が難しく、1日の喫煙本数によってはつらい離脱症状も出やすくなります。
ここからは各禁煙方法について、「向いている人」も含めてランキング形式で解説します。
禁煙方法のランキング
禁煙方法の成功率が最も高いのは「飲み薬の服用」です。次に、「ニコチン製剤」「自力での禁煙」になります。
- 成功率1位:飲み薬
- 成功率2位:ニコチン製剤
- 成功率3位:自力で禁煙
次の項目でそれぞれの特徴を解説します。
禁煙補助薬の紹介には、それぞれ「向いている人」についての情報も入れているため、自分にどの禁煙方法が合うか考えながら確認してみてください。
成功率1位:飲み薬での禁煙方法
禁煙成功率が最も高いとされているのは、飲み薬のチャンピックスです。

何も使わず禁煙するのに比べて3.1倍の禁煙成功率があります。
チャンピックスは離脱症状を抑えるほか、ニコチン製剤にはない「タバコをおいしくなく感じさせる機能」があり、禁煙がグッとやりやすくなる禁煙補助薬です。
さらに、チャンピックスジェネリックはニコチン成分を含まないため、循環器疾患のある方でも使用しやすい特徴があります。
- 1日1箱以上吸うヘビースモーカー
- パッチやガムなどの禁煙補助薬で禁煙に失敗した人
- ニコチンを含んでいない薬を求める人
- 自力での禁煙が難しいと感じる人
当院の禁煙治療では、チャンピックスジェネリックの処方をおこなっています。
禁煙治療について詳しくは下記のページをご覧ください。
禁煙治療について
成功率2位:ニコチン製剤での禁煙方法
成功率2位は、ニコチンパッチ・ガムなどのニコチン製剤による禁煙方法です。
ニコチン製剤は、ニコチンを少量摂取することで離脱症状を抑えながら禁煙を目指します。
ただし、チャンピックスのような「タバコをおいしくなく感じさせる効果」はありません。
ニコチンパッチ |
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ニコチンパッチが向いている人
|
ニコチンガム |
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ニコチンガムが向いている人
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第一類医薬品のため、市販薬として購入が可能です。ただし市販薬は成分量が少ないため、重度のニコチン依存症の場合は、医療機関で処方される成分量の多いものをご利用ください。
なお、フィットクリニックではニコチン製剤の取り扱いはないためご了承ください。 ニコチンニコチンパッチとガムの詳細
ライトスモーカー・ミドルスモーカーの方で、ニコチン製剤を使用してもタバコをやめにくい場合は、是非チャンピックスジェネリックを利用してみましょう。
成功率3位:自力での禁煙方法
自力で禁煙に挑戦する場合は、物理的な対策と精神面で対策が必要になります。
- 離脱症状の対処法を決める
- 喫煙の代替行動を知っておく
- 喫煙具を処分する
- 身近な人に禁煙を宣言する
「薬に頼るほどではない」「まずは自力で禁煙してみたい」という方におすすめです。
ただし、自力での禁煙は成功率約10%とされており、失敗する人がほとんどといわれています。
ニコチン依存が強い場合は、自力より3倍成功率が高い禁煙補助薬での禁煙も検討してみましょう。
成功率1位:飲み薬(禁煙補助薬)はこちら
禁煙の効果がすごい理由
禁煙の効果がすごいと言われる理由として、禁煙をするとあらゆる面で良い効果をもたらします。
禁煙は自身の健康はもちろん、家族や周囲にも多くのメリットがあります。
ここからは、健康状態、経済面、日常生活と項目を分けて解説します。
禁煙の健康効果
禁煙の健康効果には、見た目の変化や病気のリスク低下が期待できます。
タバコを吸う方は吸わない方に比べ、病気になるリスクが高まると言われています。
代表的な例として、喫煙による「がん」のリスク(がんになるまたは死亡する危険性)は、男性・女性共に何倍にも跳ね上がります。
肺がんになるリスクは男性が約4.8倍に、女性は3.9倍に上るとのデータもあるほどです。
喫煙者の肺が黒くなる原因
現役世代だけでなく、老後の生活も豊かにしたいとお考えの方には、少しでもリスクを軽減できる禁煙は必要な選択です。
見た目の変化
禁煙を続けていると、見た目に嬉しい変化が現れるようになります。
禁煙による見た目の変化 | |
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肌のトーンアップ 血の巡りが良くなり、健康的な肌色に近づく |
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シミやたるみの改善 喫煙によるビタミンCの破壊を防ぐことで、肌にハリや弾力が生まれる |
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髪質の改善 ハリ・コシが戻り、キューティクルが回復することでツヤが出る 白髪の改善 |
タバコには肌を老化させる作用があるため、スモーカーズフェイスと呼ばれる目じりや口元のしわ・まぶたのたるみ、歯や歯茎の着色、口臭、顔色の悪さなど喫煙者特有の老化した顔になります。
禁煙することで、タバコによる老化スピードを抑え、口腔内の環境や顔全体の印象の改善にも繋がります。
もちろん老化は、誰もが避けて通れない道です。
しかし、「喫煙による老化」に限っては、ご自身の意志で食い止められるものだと覚えておいてください。
タバコヤニによる歯の黄ばみについて
禁煙による病気リスクの低下
禁煙直後からタバコによる体へのダメージは回復に向かい、禁煙わずか1日でも病気のリスクは低下していきます。
直後 | 大切な人の受動喫煙リスクがなくなる。 |
---|---|
20分後 | タバコによって収縮していた血管が元に戻り、血圧や脈拍が正常値に下がり、体温も上がる。 |
8時間後 | 血液中の酸素濃度が上がり、呼吸が楽になる。 |
24時間後 | 心臓発作のリスクが低下する。 |
数日後 | 味覚や嗅覚、胃の働きも正常になり、体も軽くなる。 |
2週間〜 3ヶ月後 |
循環機能(心臓や血管)が改善される。 |
1ヶ月〜 9ヶ月後 |
せきや喘息の改善しスタミナが戻る。免疫機能が回復する。 |
1年後 | 肺機能の改善がみられる。 (軽度あるいは中等度の慢性閉塞性肺疾患がある人) |
2〜4年後 | 虚血性心疾患のリスクが、吸い続けた場合と比較して35%減少。脳梗塞のリスクも明らかに低下する。 |
5〜9年後 | 喫煙者と比較して肺がんリスクが明らかに低下する |
10〜15年後 | さまざまな病気のリスクが非喫煙者のレベルに近づく。 |
イギリスタバコ白書「Smoking Kills」,1998 / IARCハンドブック11巻, 2007より
この他にも寝起きや寝つきの良さ、口臭など、喫煙者だったからこそわかる体の変化も感じられるようになります。 受動喫煙のリスクについて
EDの改善
禁煙することで間接的にEDの改善につながる場合があります。
喫煙は、勃起機能に次のような悪影響を与えることが知られています。
喫煙による勃起機能への影響 | |
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血管内皮障害 | NO(一酸化炭素)の産生が低下し、血管が収縮しやすくなる |
交感神経の 刺激 |
交感神経が優位な状態が勃起を難しくする |
血流障害 | 陰茎内を十分な血液で満たせなくなる |
タバコに含まれるニコチンには、末梢血管を収縮させる作用があります。
陰茎の血管は1〜2mmと非常に細い末梢血管のため、血流の妨げが起きると思うような勃起や維持が困難になります。
このように、喫煙はEDのリスクの1つに数えられ、欧米やアジア各国で行われた研究では、非喫煙者のおよそ1.5倍以上のリスクがあるとされています。
タバコとEDの関係
ただし、喫煙はあくまでもEDの原因の1つとして考えられており、必ずしも禁煙だけで改善するわけではありません。
EDの改善には、禁煙も含めたED治療に取り組む必要があります。
フィットクリニックではED治療薬の処方を行っていますので、お悩みの方はぜひご相談ください。 ED治療について
早産や低出生体重児のリスクが低下
妊娠中の喫煙は母親の健康状態への悪影響だけでなく、受動喫煙によるさまざまなリスクが胎児にまで及びます。
タバコに含まれているニコチンや一酸化炭素は、お腹の中を低酸素状態にし、胎盤が変化することで、早産や低出生体重、周産期死亡などにつながる原因となります。
また、胎児への直接的な影響としては、次のようなことがあげられます。
- 発育・発達遅延
- 小児がん
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)
妊娠前に禁煙すれば、平均出生体重は非喫煙者の妊婦とほぼ同じになります。
また、妊娠早期に喫煙していた場合でも、妊娠3〜4ヶ月までに禁煙すれば、早産や低出生体重、周産期死亡のリスクも低下します。
喫煙期間が長かったとしても、この期間中に禁煙が出来れば問題ないので、ご安心ください。
禁煙による経済面でのすごい効果
禁煙による経済効果は、タバコ代の削減だけでなく、時間の節約や保険料が安くなります。

タバコ代 |
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1日1箱600円と仮定すれば、1ヶ月(30日)で18,000円。 1年間(365日)で219,000円の節約になります。 |
喫煙時間 |
1本の喫煙に5分かかるとすれば、1日1箱計算で100分。 1ヵ月(30日)で、3000分(50時間)になります。 1年間続けると36500分(609時間)、日に換算すれば約25日と8時間の節約になります。 |
また、厚生労働省のデータによると、禁煙期間5年未満の人と10年以上の人の年間医療費は81,800円もの差がありました。

タバコを吸うことで、これだけの出費と時間が発生しています。
年間に換算すると大きな数字になるため、このお金と時間を好きなことに費やせば、生活の豊かさや充実度も大きく変わるでしょう。
また、タバコによって病気を患ってしまうと、医療費や通院・入院のための時間がさらにかかってしまいます。
お金も時間も有限です。限られた中で将来設計を立てる上では、禁煙による経済効果はとても大きいと言えます。
禁煙すると保険料が安くなる
禁煙すると保険料が安くなることも経済的なメリットのひとつです。
タバコを吸っていると統計的に病気になるリスクが高まり、なかには命に関わる場合もあります。
そのため、喫煙者の医療保険・生命保険は非喫煙者に比べ割高になっているのです。
一方で、保険会社が定める基準のひとつに「健康体」というのがあり、タバコを吸わない非喫煙者であれば保険料が割り引かれます。
-
非喫煙者料率
過去1年ないし2年間、タバコを吸っていなければ通常より保険料率が下がる -
優良体料率
BMIや血圧、血液などの数値が正常値となると保険料率が下がる
2つどちらにも当てはまれば「非喫煙優良体」として、さらに保険料率が下がります。
割引率は保険会社によっても異なりますが、健康でいること自体が節約につながります。
禁煙による生活面でのすごい効果
喫煙者だったからこそ、タバコから離れて気づく生活面での変化は多いものです。
心身のコンディションが整うことで、普段の何気ない些細なことにもポジティブになれます。
さらに禁煙により周囲の評価が変わることで、臭いや副流煙など肩身の狭い思いからも解放されます。
変化を実感する日々は自分の自信にもなり、禁煙を続けていくモチベーションにも繋がります。
禁煙がもたらすライフスタイルの変化について、解説していきます。
1日を気持ちよく過ごせる
禁煙による生活の変化を時系列ごとに確認していきます。

- スッキリとした目覚め
- 寝起きの口臭が抑えられる
- 歯磨き時の嗚咽(おえつ)が減る

- 体力が戻ることで活発に行動できる
- 咳や痰、息切れといった呼吸器系の症状の改善

- 寝付きが良くなる
- 夜中に目が覚めることがなくなる
- 睡眠の質が上がる(深い眠りにつける)
以上のように1日を通して気持ちよく過ごすことができ、いかにタバコがコンディションを崩す原因だったのかに驚くはずです。
また、タバコによるストレスが軽減されるので、小さなことでイライラしたり、ニコチン切れによる集中力低下も防げます。
生活がタバコに左右されることがなくなれば、今まで知らなかった新しい自分と出会うこともできるはずです。
美味しさや香りを楽しめる
禁煙するとさまざまな機能が正常に働くようになることで、食べることが楽しみに変わります。
-
味覚・嗅覚の回復
タールによる影響を受けなくなることで、普段の食事でも味や香りが楽しめる -
胃腸のコンディションが良くなる
消化機能がしっかり働くことで、胃もたれや吐き気といった不快感がなくなる -
本来の空腹を感じられる
ニコチンは血糖値を上昇させるため、禁煙によって自然な空腹を感じるようになる
これらの変化により、「〇〇ってこんな味がしたんだ」「〇〇を食べても胃の負担にならない」「空気が美味しい」など、まるで新しい発見のように感じる方もいるようです。
つまり喫煙することで、当たり前だった感覚や体調が、失われてしまうとも言えます。
食べることもその1つなので、禁煙によって食の喜びをふたたび感じられるようになってみてください。
家族や周囲に不快感を与えない
タバコが与える不快感は以下のものになります。
-
■ 受動喫煙
年間1.5万人もの人が受動喫煙により死亡している -
■ 臭いや汚れ
体臭と混ざったイヤな匂いやタールによる壁の黄ばみ -
■ 周囲からの印象
ネガティブな印象を抱かれやすい
タバコの受動喫煙による健康被害は本人だけでなく、家族や大切なパートナー、まったく関係のない他人にも及びます。
さらに独特の臭いは口臭や衣服への付着により、周囲に不快感を与えかねません。
禁煙するだけで、これらのリスクは避けられます。
喫煙者というマイナスイメージが禁煙により変わることで、周囲の見る目や評価も変わり、人間関係が良好に働く場合もあります。
禁煙による仕事面での効果
禁煙すると集中力の向上や周囲の評価など、仕事面でもさまざまなメリットがあります。
- 集中力の向上
- 仕事の効率が上がる
- ニコチン依存を乗り越えることで自分に自信が持てる
1時間に1本5分程度のタバコ休憩をはさむと、8時間の就業時間の中で40分は時間を無駄にしている計算になります。
タバコを断ち切ればそんな時間がなくなるため、仕事に対する集中力や効率アップにつながるでしょう。
また、禁煙に挑戦するとニコチン依存度によっては、イライラや不安感などの離脱症状が現れる場合があります。
しかし、手強いニコチン依存を乗り越えられた先には、そのまま自信に繋がるはずです。
さらに、タバコが吸えないイライラから脱却すれば、精神的な余裕を取り戻し、周囲の印象も変わるでしょう。
最近では、海外だけでなく国内でも「タバコを吸う人=自己管理ができない」と評価する企業もあるようです。
タバコに対してネガティブなイメージが強い現代社会で生きづらさを抱えないためにも、禁煙によるメリットは大きいと言えます。
禁煙を失敗させる3つの依存
ニコチン依存には、「身体的依存」「心理的依存」「習慣的依存」の3つの依存があります。

タバコをやめたいのにやめられないのは、ご自身の意志が弱いからではありません。
ニコチンの強い依存性が原因で、タバコをやめたくてもやめられない状態に陥っているためです。
依存性のみでいうと、タバコは大麻やアルコールよりも依存性が高く、嗜好品というより薬物に近い依存性があります。
薬物(合法・非合法)の依存度 | |
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薬物名 | 依存性スコアの 平均値 |
ヘロイン | 3.00 |
コカイン | 2.39 |
タバコ | 2.21 |
アルコール | 1.93 |
アンフェタミン(覚醒剤) | 1.67 |
マリファナ(大麻) | 1.51 |
【出典】Nutt D, et al. Development of a rational scale to assess the harm of drugs of potential misuse. Lancet 369:1047-53,2007.
こうしたタバコへの依存を「ニコチン依存症」と呼び、身体に悪いとわかっていても、喫煙による快感や欲求を満たすため、タバコに火をつけてしまう行動が繰り返されるのです。
原因01:身体的依存
身体的依存とは、ニコチン依存症のことを指します。
身体がニコチンに依存する仕組みを見てみましょう。

タバコを吸うと気分が良くなり美味しさを感じるのは、ニコチンによりドーパミンを始めとした様々な脳内神経伝達物質が放出され、快感やリラックス、目が覚める感覚になるからです。
喫煙が繰り返されると、気分が良くなる脳内神経伝達物質の放出が自力では出来なくなり、 喫煙時のニコチン頼りになってしまいます。
そのため、ニコチンが欠乏すると脳内神経伝達物質の放出も無くなるため、脳が不快感を覚えるようになります。
これがいわゆる「ニコチン切れ」と呼ばれる離脱症状になり、イライラや集中力の欠如、喫煙が我慢できなくなるなどの症状が現れます。
またニコチンの特徴として、喫煙の回数が増えてくると同じニコチン量では満足できなくなり、より喫煙量が増えていきます。
依存の悪循環に陥り、タバコをやめようにも「ニコチン切れ=不快感・ストレス」と強く感じてしまい、禁煙失敗の原因になってしまいます。
原因02:心理的依存
タバコを吸うと、「ストレスの解消」「スッキリする」「気分が良い」「仕事がはかどる」などと感じる方も多いでしょう。
しかし、こうした気持ちは脳が起こしている錯覚で、「心理的依存」と呼ばれるものです。
あたかも喫煙によりコンディションやモチベーションをUPさせると思い込んでしまい、気付けばタバコが心の拠り所になってしまいます。
何か嬉しいことや良いことがあった場合の一服も、より充実感を感じるものとして結びつくようになります。
そしてそれは、喫煙歴が長い方ほど心理的依存が強くなり、思い込みだと自覚できない傾向にあるのです。
人によってはお酒を飲む時、パチンコ、食後など「タバコ=楽しみ」が結び付き、タバコが必要なものだと認識してしまう場合もあります。
錯覚や思い込みによるタバコに対する良かった思い出やプラスのイメージが、禁煙を失敗させる原因の1つになっていることは覚えておきましょう。
原因03:習慣的依存
事あるごとについ一服してしまうのが、習慣的依存です。
生活パターンの中に「タバコを吸う」ことが組み込まれてしまい、喫煙と行動が結びついてしまいます。

何かのアクションの前後に必ずタバコを吸いたい衝動にかられ、間が持たない場合など無意識にタバコに手が伸びてしまうこともあるでしょう。
長年染み付いた習慣はある種の癖のようなもので、わかっていても意識的に抑えるのが難しいです。
しかもタバコが吸いたくなるシチュエーションが所々にあるので、タバコをやめられない原因につながってきます。
【独自調査】禁煙経験者の失敗した理由
当院が独自に行ったアンケート調査では、以下のような結果が出ています。

禁煙に失敗した人に行った調査では、禁煙の失敗理由として「周りの喫煙者の影響」が55.5%を占め、最も多い結果となりました。
依存性の強さだけではなく、周囲の環境も禁煙の失敗に大きく関わっていることがわかります。
なお、禁煙に成功した人に行った調査では、禁煙に成功した理由として以下の項目が上位となりました。
【独自アンケート】禁煙経験者の成功した理由
1位 自制心が強かった(60.5%)
2位 薬やパッチ、ガムなどのサポート(30.5%)
3位 周りの協力があった(21.0%)
禁煙には「今度こそ禁煙を成功させよう」という強い意志も大切ということが、調査結果にあらわれています。 禁煙に関するアンケート
禁煙を成功させるコツ
禁煙を成功させる実践的なコツとして、「決心」・「実行」・「維持」の3つのサイクルを計画的にこなしましょう。
決心 |
|
---|---|
実行 |
|
維持 |
|
禁煙の第一歩として、まずは「禁煙する!」と決心しましょう。
決心した後は、「禁煙に成功している自分」よりも「禁煙するまでのプロセス」をイメージすることが大切です。
禁煙に成功しているイメージだけでは、禁煙した気分になって終わってしまうことも多いです。
次に紹介する具体的な実践法を参考に、禁煙までのプロセスを明確にしていきましょう。
なぜ禁煙したいかをはっきりさせる
禁煙に取り組む前に、まず「タバコをやめたい理由」をはっきりさせる必要があります。
ゴールが定まっていれば、モチベーションの維持につながり、タバコに手を伸ばすきっかけを防ぐことができます。
- 病気で苦しみたくない
- タバコ代を貯金に回したい
- 子供や家族のため
- タバコによる見た目の変化や口臭が気になる
パートナーの妊娠など、自分のためだけでなく誰かのために禁煙を始める方も多いようです。 受動喫煙のリスク
禁煙計画を立てる前段階として理由を明確にしてみましょう。
運動や歯を磨くなど吸いたい時の対処法を身に着ける
禁煙中に吸いたい気持ちが起きたときの対処法を身に着けることが、禁煙を成功に導くポイントになります。
代替行動
- 深呼吸する
- 冷たい水やお茶を飲む
- ガムやアメ、フリスクなどを噛む
- 散歩など軽い運動を挟む
- 喫煙所に近づかない
- コーヒーやアルコールなどタバコを連想させるものを避ける
特に禁煙スタートから3日以内のピーク時は辛く、このタイミングで挫折する方も少なくありません。
「吸いたい!」と思った時の対処方法を実践してみると、うまく紛らわせることができます。
禁煙の離脱症状について
禁煙補助薬を利用する
喫煙補助薬を利用することで、自力での禁煙にくらべて3〜4倍禁煙しやすくなるとされています。
禁煙中に起こる離脱症状をやわらげるため、日常生活への支障が出にくく、一度の治療でタバコ離れしやすくなります。
自力で禁煙が難しいと感じていたり、失敗した経験がある方は、医師または薬剤師と相談しながら自分にあった禁煙補助薬を利用してみてください。
あなたにぴったりな禁煙方法を診断する
禁煙すると太るといわれる理由と対策
禁煙すると太ると言われる理由として、味覚や嗅覚の変化により、食事の味や香りを楽しめるようになりつい食べ過ぎてしまうことが考えられます。
また、以下も食欲を増加させる原因といわれています。
- 口寂しさ
- 禁煙ストレスの解消
- 味覚や嗅覚の改善
通常は2〜4kgほどの体重増加が見られるため、禁煙で太らないためには食生活のコントロールが必要です。
吸いたい気持ちを紛らわせることも兼ねた、適度な運動もしてみましょう。
ただし、禁煙とダイエットを同時に行うのは負担が大きいため、ダイエットをするのであれば、禁煙が安定してくる6〜8週以降がおすすめです。
なお、当院ではメディカルダイエットの診察も行っており、禁煙治療の後にメディカルダイエットに取り組む方もことも可能です。 ダイエット薬について
禁煙方法と禁煙効果のまとめ
- 禁煙方法には飲み薬・ニコチン製剤の使用、自力での禁煙がある
- 薬を使えば、自力よりも禁煙成功率が2~3倍に高まる
- 自力で禁煙するなら環境・習慣(行動)を見直すことが大切
- 禁煙すると見た目の変化や病気のリスクが低下する
- 禁煙による経済効果は、タバコ代だけでなく、時間や保険料の節約になる
- 禁煙は日常生活や仕事、家族や周囲にも良い影響を与える
タバコは「百害あって一利なし」と言われるとおり、吸い続けることにメリットはなく、喫煙歴が長くなるほどニコチンへの依存を強めてしまう場合があります。
少しでも楽に禁煙を成功させるためにも、この機会に禁煙に挑戦してみてください。
よくある質問
-
- Q
成功率の高い禁煙方法はなんですか?
- A
成功率の高い禁煙方法は、飲み薬(チャンピックス)による禁煙です。
- Q
-
- Q
なぜ飲み薬での禁煙治療がおすすめなのですか?
- A
チャンピックスには離脱症状を抑え、タバコをおいしくなく感じさせる効果があるため、他の禁煙方法よりもスムーズに禁煙を進めることができます。
ただしチャンピックス先発薬は現在出荷停止中のため、ジェネリック薬を使う必要があります。
- Q
-
- Q
自力で禁煙する方法はありますか?
- A
例として、以下の方法があります。
- 吸いたくなった時に代わりに取る行動を決めておく
- 周囲に禁煙宣言をする
- タバコやライターを処分する
そのため禁煙補助薬などと併用して上記の対応をするのが望ましいです。
タバコを吸いたい時どう我慢するかなどについては以下で詳しく解説しています。 禁煙の離脱症状と対処法
- Q
-
- Q
飲み薬が向いている人はどんな人ですか?
- A
飲み薬(チャンピックス)が向いているのは、以下の人です。
- 1日1箱以上吸うヘビースモーカー
- パッチやガムなどの禁煙補助薬で禁煙に失敗した人
- ニコチンを含んでいない薬を求める人
- 自力での禁煙が難しいと感じる人
- Q
-
- Q
妊娠中の禁煙方法について教えてください。
- A
妊娠がわかっても喫煙を続けている場合は、禁煙成功率が高いチャンピックスの使用を担当医と相談してみてください。
ニコチン製剤は妊娠中は使用できないので注意しましょう。 妊娠中の禁煙方法について
- Q
-
- Q
タバコをやめた何日目が一番きついですか?
- A
ファイザーのアンケート調査によれば、自力で禁煙に挑戦した1,414人のうち、再び喫煙してしまうまでの期間の割合は3日以内が31.8%と一番多い結果となりました。
このことからタバコをやめて3日以内が一番きつい期間といえます。 禁煙開始から1週間までに現れる症状
- Q
-
- Q
タバコをやめたら見た目が良くなるって本当ですか?
- A
本当です。
タバコに含まれる有害物質は、細胞をサビつかせてしまうフリーラジカル(活性酸素)を発生させたり、コレーゲンをつくるために必要なビタミンCを大量に破壊します。
それによって肌にはうるおいやハリが失われ、さらに血色が悪くなることで透明感が下がることも。
年相応の老けこみを禁煙では避けられませんが、タバコをやめれば「喫煙による老化」は食い止めることができます。
いつまでも若々しさをキープするためにも、積極的に禁煙にチャレンジしてみてください。
- Q
-
- Q
禁煙したら、集中力が切れやすくなりますか?
- A
禁煙して間もない頃は、離脱症状によって集中困難な状態に陥ることがあります。
ただ、一時的な症状であり、ニコチンがないことに体が慣れてしまえば次第に治っていきます。
また、「タバコを吸っている時は集中できた」という方もいますが、ニコチンによって錯覚を起こしているに過ぎず、本来の意味での集中とは言えません。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください