アフターピル

アフターピルの市販化についての最新情報

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。
アフターピルの市販化について|フィットクリニック渋谷笹塚院 アフターピル

2023年11月時点で、日本ではアフターピルをドラッグストアや薬局で入手することはできません。

ただし2023年11月28日、全国145の薬局でアフターピルの試験販売が開始されました。

世界的にはアフターピルを入手するまでのハードルが低くなっていますが、日本はここ数年で検討・議論が繰り返し行われている段階です。

このページではアフターピルの市販化に向けての動きや、海外との違いについても解説します。

なお、今すぐアフターピルが必要な方は、当院がオンライン処方も行っておりますのでこちらからお電話ください。

平日・土曜10:00~20:00 / 
日・祝日10:00~18:00

※なお、効果時間内のお届けが難しい場合は、お近くの産婦人科を受診するようにしてください。

日本でアフターピルは市販化されている?

2024年度3月時点で、アフターピル(緊急避妊薬)は薬局やドラックストアでは市販されていません

というのもアフターピルは、医師が処方してはじめて購入できる処方薬だからです。

市販化されていない理由としては以下が挙げられます。

  • アフターピルが転売される
  • コンドームをはじめとした避妊が行われなくなる
  • 妊娠した場合に対応が遅れる
  • 性暴力へ悪用される

アフターピルの市販化はされていないものの、現在政府ではアフターピルを市販化する動きはあります。

2023年11月から全国の指定の薬局で、試験的にアフターピルが処方せん無しで購入できるという取り組みです。

アフターピルが風邪薬のように薬局にふらっと立ち寄って購入できるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

アフターピルの市販に関する議論

現在、アフターピルの入手には処方せんが必要ですが、2017年からスイッチOTC化(市販化)に向けて議論が繰り返されているのはご存知でしょうか。

市販化されれば手が届きやすくなる一方で、悪用等を懸念する声もあり、議論が長引いているのが現状です。

これまでの議論の流れや賛成・反対の声など、アフターピル市販化の動きについて詳しく見ていきましょう。

議論の流れ

アフターピルの市販化をめぐる流れは以下の通りです。

2017年
検討会(厚生労働省による「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」[1])にて、アフターピルのOTC化が議題に上がる
→悪用や不十分な性教育などを理由に「時期尚早」として見送られる
2019年
アフターピルのオンライン診療が可能になる
2020年
「第5次男女共同参画基本計画[2]」の閣議決定により、アフターピルが処方箋なしでも薬局で入手できる市販薬化の方針が盛り込まれる
2021年6月
「経済財政運営と改革の基本方針2021[3]」により、アフターピル市販化の検討を年度中に開始することを閣議決定
2021年10月
検討会が再開され、産婦人科医のアンケート結果[4]等を用いた議論がなされる
→アフターピルのOTC化について海外調査を行い、次回会議にて結果報告をする方針
2022年3月
海外の実態調査の結果を踏まえた検討会を実施[5]
→次回会議にて課題点の整理・解決策の検討を行う
2022年4月
性暴力ワンストップ支援センターの現状の共有、海外実態調査報告書やOTC化の課題についての検討会議[9]
→次回会議にてパブリックコメント調査をどう進めるか議論
2022年9月
パブリックコメント調査の進め方について議論[10]
→次回はパブリックコメントの調査結果を踏まえて会議
2022年12月
パブリックコメント募集開始[11]
2023年5月
パブリックコメントを受けての検討会議[12]
2023年6月
緊急避妊薬のOTC化の試験的運用に向けての検討会議[14]
2023年11月
全国145の薬局で緊急避妊薬の試験販売を開始[15]
2024年3月
緊急避妊薬の試験販売を来年度も継続することを発表

最初の議論から約7年が経過した2024年に入ってからも、未だにアフターピル市販化についての見通しは立っていません

【2023/11/29追記】
2023年11月28日より、全国145の薬局で試験販売が開始されました。

【2024/03/04追記】
2024年3月に、来年度も緊急避妊薬の試験販売を継続することが発表されました。

賛成の声

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  • 市販化によって、診察に対する心理的・費用的な問題が解決する
  • 一刻も早く服用できる
  • 病院が遠い地方でも入手しやすい

医師の処方が必要な現状では、アフターピル服用までに多くのハードルがあります。

市販化されれば、医師の診察が不要なため、心理的・費用的(診察料等)なハードルが解消されます。

さらに、近い場所で入手できれば妊娠阻止率が高い時間帯での服用が可能です。

2017年の検討会に伴なって集められたパブリックコメントでは、市販化について賛成320件、反対28件と賛成が圧倒的に多いものでした[6]

しかし当時の検討会では、産婦人科医から「悪用の可能性がある」「薬剤師の知識が不十分」との意見があり、市販化が見送られました。

【2023/5/15追記】
2023年5月に行われた検討会では、新たに実施されたパブリックコメントにて、市販化について賛成 45,314件、反対412件、賛否不明586件と約98%が賛成意見だったことが発表されました。[13]

一般市民の多くが、アフターピルを気軽に入手できる状況を求めていることが分かります。

懸念の声

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  • 転売の可能性がある
  • コンドーム使用率の低下による性感染症リスク拡大の可能性がある
  • アフターピル服用後の妊娠への対応が遅れる可能性がある

上記は2021年10月の検討会に伴なって実施された、アフターピルOTC化に関する産婦人科医へのアンケートで集まった意見です。[4]

SNS等での転売、性感染症予防に効果的なコンドーム使用率の低下、万が一妊娠していた場合の対応の遅れへの懸念が特に多くあがりました。

また、市販化されれば他の避妊方法への正しい理解を得るチャンスも失いかねず、今日の性教育が不十分として、市販化は時期尚早との声も。

リスクに対する慎重な姿勢がうかがえます。

一方で、一般女性からは、医師の診察なしでの服用について副作用などへの不安を感じる声もあります。

2023年夏、アフターピルを一部の薬局で試験的に販売へ

厚生労働省は2023年6月の会議で、一定の条件を満たす薬局にて医師の処方せんなしで緊急避妊薬(レボノルゲストレル)を試験的に販売する方針を発表しました。

一定の条件とは、以下の4点です。

試験運用が行われる薬局の条件
  1. 研修を受けた薬剤師が販売する
  2. 夜間・土日祝の対応可能
  3. 個室などがありプライバシーを確保できる
  4. 近隣の産婦人科などと連携できる

試験的運用は2023年11月下旬から2024年3月までを予定していましたが、現在2025年3月まで継続されることが決まっています。

2023年11月、全国145の薬局で試験販売が開始

2023年11月28日、全国145の薬局でアフターピルの試験販売が開始されました。

価格7,000円~9,000円程度実施店舗全国145の薬局期間2025年3月末まで(予定)
薬の種類ノルレボ錠・レボノルゲストレル
対象者研究の参加に同意できる16歳以上の女性
※16歳~17歳は保護者同伴

試験販売は「調査研究」として行われるため、薬局への事前連絡や研究参加への同意、アンケートへの回答が必要になります。

調査を実施する薬局リストは、以下のサイトを確認すると閲覧することができます。

アフターピルを市販で購入できる方

アフターピルを購入できるのは、「アフターピルの購入・服用を希望し、研究の参加に同意できる16歳以上の女性(本人)」です。

また、16歳~17歳の方は、本人の同意に加え保護者の同意も必要になるため、保護者同伴で薬局を訪れる必要があります。

アフターピルを市販で購入できない方

以下に当てはまる方には、アフターピルは販売できません。

アフターピルを市販で購入できない方
  • 男性
  • 代理人
  • 研究参加に同意できない方
  • 妊娠中の方
  • 妊娠が心配な性交から服用までの時間が72時間を超える方
  • 重篤な肝障害があるなど、身体の状態によって緊急避妊薬が使用できない方
  • 16歳未満の方
  • 日本語での確実な説明・同意などのコミュニケーションが行えない方

試験販売の研究参加の流れ

研究に参加してアフターピルの試験販売を受ける際は、以下の流れに沿って行います。

研究参加の流れ ①研究について理解する
薬局へ電話で事前相談
③持ち物を確認する
  • 公的身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証等)
  • 自身のスマートフォン、メールアドレス
  • 緊急避妊薬の購入費用+妊娠検査薬の購入費用(妊娠している可能性がある場合)
④薬局で薬剤師と面談
⑤説明と同意・購入・その場で服用
⑥アンケートへの回答(購入時)
⑦アンケートへの回答(服用の3~5週間後)

ポイントとして、薬局に直接行く前に電話での事前連絡が必要になる点には注意が必要です。

薬が売り切れていないか、どれくらいの金額が必要になるか、何時ごろ行くのかなど事前に相談しましょう。

また、研究参加への同意の際は、スマートフォンを使って二次元バーコードを読み取ります。

そのため、スマートフォンを忘れないようにしましょう。

なお、アフターピルの服用は、薬剤師の前で行います。

持ち帰って1人で服用することはできません。

試験販売をする薬局は各都道府県につき2~6店舗

試験販売が行われている全国145の薬局は、各都道府県に最低2店舗、最大で6店舗です。

そのため薬局が遠く、すぐに購入できない地域も少なくありません。

また、試験販売されるアフターピルは、72時間以内に服用する必要があるお薬です。

薬局に行けず、効果時間内に服用できなければ妊娠につながる可能性もあります。

身近に対象の薬局がない、移動手段がない、移動する時間もない方にはオンライン診療を推奨します。

フィットクリニックのアフターピルオンライン診療

フィットクリニックでは、アフターピルのオンライン診療を行っております。

フィットクリニックのオンライン診療
  • 自宅での予約~処方まで完了
  • 診察は5分~10分で終了
  • 通常配送で最短翌日到着(15時までにご入金が確認できた場合)

※薬の効果時間内にお届けが難しい場合には、お住まいの地域の婦人科を受診してください。
※17歳以下の方には処方できませんのでご了承ください。

フィットクリニックの通常配送は送料940円のため、総額7,940円~処方が可能です。

最長120時間有効なエラのほか、試験販売で利用されているレボノルゲストレルも取り扱っております。

処方薬の種類価格(税込)服用時間
レボノルゲストレル
(海外製)
レボノルゲストレル(海外製)
7,000円/2錠(1回分)72時間以内
レボノルゲストレル
(日本製)
レボノルゲストレル(日本製)
12,000円/1錠(1回分)72時間以内
エラ(ella)
エラ(ella)
8,000円/1錠(1回分)120時間以内

※お電話でご予約いただくと、空きがある場合そのまま処方に移ることも可能です。
※15時までのご入金で即日配送可能なため、即日配送をご希望の方は14時半までの診察を推奨しています。

平日・土曜10:00~20:00 /
日・祝日10:00~18:00

アフターピルのオンライン診療について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【追記】緊急避妊薬(アフターピル)の試験販売は2024年度も継続

2024年3月4日に、厚生労働省は医師の処方せん無しで購入できる緊急避妊薬(アフターピル)の試験販売を来年度も継続することを発表しました。

緊急避妊薬の試験販売を実施し、2023年度のデータだけでは適正な販売ができるか検証できなかったものと見られ、来年度も同じ有識者らが研究を続けるものとされています。

現段階では市販化の目途は立っていないものの、緊急避妊薬の早期の市販化を目指す姿勢は変わっていないようです。

【追記】販売薬局を増やすか、購入希望者への情報提供の内容見直しを検討

2024年度の試験販売の継続に伴い、新たに検討されているのが以下です。

  • 試験販売の対象となる薬局を増やす
  • 緊急避妊薬の購入希望者への情報提供の内容を見直す

というのも、前述したように現在緊急避妊薬の試験販売を行っているのは、全国145の一定の条件を満たした薬局のみです。

そのため購入できる薬局が都市部に偏在しており、「買える人が限定されている」という課題があります。

またそのほかにも緊急避妊薬の購入希望者は、事前に薬局に連絡を取り、アンケート調査に協力しなければならないフローがあります。

購入希望者の中には性行為について話すことに抵抗がある方や偏見への不安を持つ方も多く、購入までのハードルも高かったようです。

これら購入までの前提条件の見直しが2023年度のデータをもとに改善される可能性があります。

アフターピルの市販に関する今後の展望

アフターピルは近年ニュースで取り上げられることもあり、徐々に認知されはじめてきています。

さらに市民団体である「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は、2022年2月に厚生労働省へ緊急避妊薬の早期OTC化を求める要望書[8]を提出し、翌月10日には検討会が行われました。

しかし、具体的なOTC化の時期などについては特に決まっておらず、議論はさらに長引くことが予想されます。

次回の検討会の開催時期は未定ですが、資料等を見ると2022年夏までには開催される可能性が高いです。

世間のアフターピルOTC化を求める声は大きいにもかかわらず、世界的に見ても遅れをとっている日本。

今は議論がなかなか進まない印象ですが、今後に期待していきたいです。

【2023/1/12追記】
2022年9月に新たに議論が行われ、12月にはアフターピル市販化についてパブリックコメントの募集[11](意見公募)が開始されました。

募集は2023年1月31日23時59分までとなっています。

【2023/5/15追記】
次回の検討会議の日程などは未定となっています。

【2023/6/27追記】
試験的運用を行う薬局を条件に基づいて選定したのちに、2023年夏ごろから実際に運用を始める方針です。

【2023/11/29追記】
試験販売は2024年3月末まで行われる予定です。

【2023/03/04追記】
試験販売は延長となり、来年度(2025年3月末まで)まで継続される予定です。

試験販売による研究結果を踏まえ、今後の方針について検討が進められます。

まとめ

現時点では医師による処方が必要なアフターピルですが、購入まで一定の時間を要したり、費用や手間の面でのハードルが高いことから、市販化を望む声は少なくありません。

もし市販化が実現すれば、救われる人が増えることは間違いないでしょう。

市販化に向けた今後の流れに要注目です。

アフターピルの市販化に関するよくある質問

アフターピルはなぜ市販されないのですか?
検討会議では何度も議論が繰り返されていますが、今のところ個人でアフターピルを使用するには懸念点が多いという声があるためです。
挙げられる懸念点は以下の通りです。
  • 避妊が成功したか、月経状況(消退出血)を自己判断するのは難しい
  • 転売や感染症のリスク増加
  • 使用者のリテラシーが不十分 など
アフターピルは海外ではどのように扱われていますか?
日本は海外と比較すると“アフターピル後進国”であるといえます。
海外ではアフターピルの価格が安く、国によっては無料処方・配布をしていたり、自販機で購入できるなどとても身近な存在です。
日本では試験販売を除き、医師の処方が必須で、なおかつ高額なので、海外に大きく遅れをとっている状態といえます。
アフターピルはいつ市販されますか?
アフターピルがいつから市販化されるかは未定です。
しかし2023年11月28日より、全国145の薬局でアフターピルの試験販売が行われています。
すべての薬局ではないため、まずはお住まいの都道府県のどこの薬局で取り扱われているか確認しましょう。


2024年も継続して販売されるとのこととの発表がありました。
アフターピルが必要な場合はどうすれば良いでしょうか?
現時点でアフターピルが必要になった場合、必ず医師の診察を受ける必要があります。
当クリニックでは、対面処方とオンライン処方から選ぶことができます。


オンラインであっても都心であればバイク便で最短60分でお届けに上がることができます。
ただ関東圏以外にお住まいの方はどうしても配送にお日にちがかかってしまいます。
アフターピルは服用までのスピードが重要であるため、予期しない妊娠の可能性が生じた場合には速やかにお近くのクリニックへ受診するようにしてください。

参考資料

[1]第2回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

[2]第5次男女共同参画基本計画(第7分野 生涯を通じた健康支援)

[3]経済財政運営と改革の基本方針2021

[4]産婦人科における緊急避妊薬処方の現状~緊急避妊薬のOTC化に関する緊急アンケート調査より~

[5]第19回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

[6]要望された成分のスイッチOTC化の妥当性に係る検討会議結果(案)について

[7]Emergency Contraception

[8]緊急避妊薬の早期OTC化を求める要望書

[9]第20回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

[10]第22回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

[11]「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議での議論」に関する御意見の募集について

[12]第24回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

[13]「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議での議論」 に対して寄せられた御意見等について

[14]第25回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

[15]緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業(厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業)|公益社団法人 日本薬剤師会