ED・勃起不全

テストステロンとは?EDや薄毛との関係、増やす方法について

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。
ED・勃起不全

男性ホルモンの1つであるテストステロンは、「男らしさ」に通ずるホルモンです。

テストステロンの分泌が高いと心身ともに良い影響を望めますが、分泌量が減少すると様々な不調の原因となります。

このページではテストステロンが持つ働きや、不足すると起こりがちなEDや薄毛、更年期症状などについても詳しく解説していきます。

テストステロンの働き

男性の成長に欠かせないホルモンであるテストステロン。

筋肉、骨格、ヒゲ、体毛、etc…、こうした男らしい体をつくる働きを持つため、"男性の源"と言い換えることもできます。

また、テストステロンは身体の変化のみならず、精神面の健康や欲求をも左右します。

ここからはテストステロンの持つ働きについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

身体面

以下はテストステロンの働きをライフステージに当てはめたものです。

母親のお腹の中にいる時から男性はテストステロンの影響を受けており、成長に伴い男性の肉体にさまざまな変化を起こします。

また成人以降の筋肉量や体脂肪減少は、テストステロンだけでなく食事や運動も関係してきます。

そのため成長のピークを迎えた後でも肉体的な若々しさを保つには、テストステロンが必要になってきます。

性衝動

性衝動とは、わかりやすく言えば性欲のことです。
これもテストステロンの働きによるもので、性的な面では「天然の媚薬」と表現されることもあります。

性衝動(テストステロンの働き)
  • フェロモンを発生させる
  • 興奮作用をもつドーパミンを増やす

これらがスイッチとなって、性行為に必要な興奮や勃起を促してくれます。

さらに性機能を維持する働きもあるので、肉食系と呼ばれる男性はテストステロンの分泌が盛んとも言えるでしょう。

また「テストステロン=男性」のイメージが強いですが、なにも男性専用ではありません。

女性もわずかながら分泌されており、メカニズムが複雑なことから一概には言えませんが、女性の性衝動にもテストステロンが関係していると考えられています。

精神面

テストステロンは、男性のモチベーション維持(自信)やバイタリティー(活力)などの精神面に働きかけます

また前向きにしてくれるだけでなく、物事の捉え方、思考、決断力など脳にも影響すると考えられ、仕事や勉強といった日常生活に役立つ働きをしてくれます。

女性に対して積極的になれるのもテストステロンが関係していると言われています。フェロモンを発し男性的魅力が溢れる方がモテるのは当然ではないでしょうか。

ただその一方で、荒々しさが増すのも事実です。

わかりやすいところで言えば、攻撃性、短気、怒りっぽさ、といった人間性にも影響が出ます。

こうした側面はワイルドや強い男性とも表現できないこともないですが、度が過ぎた振る舞いには注意したいところです。

テストステロンが減る原因とは?

テストステロンが減る原因には以下の2点があります。

  • 加齢
  • ストレス

また食生活が影響していることもあり、偏食などを続けているとテストステロンを作る機能が低下するとも考えられています。

ここからは「加齢」と「ストレス」の2つについて、解説していきます。

加齢

テストステロンは20代をピークにゆるやかに減少し、その後も加齢に伴いその分泌量は減っていきます

急激に減少はしないのでしばらくは気づきませんが、やがて誰にも年齢を感じる瞬間が訪れるでしょう。

  • 体力、集中力などが続かない
  • 性欲が落ちた
  • おなかが出てきた

など

こうしたことは歳ではなく、テストステロンの減少が原因です。

さらに40〜50代以降に差し掛かってくると、心身の不調を訴える方もいると思います。

若い頃にくらべてパフォーマンスが落ちたと感じるのであれば、「歳のせいだ」で済ませるのではなく、テストステロンの減少を疑ってみましょう。

ストレス

テストステロンの安定して分泌させるには、健康な脳から分泌される2つの刺激ホルモンのバランスがカギとなってきます。

  • ゴナドトロピン
  • 副腎皮質刺激ホルモン

この2つは睾丸を刺激しテストステロンの分泌を促すホルモンで、男性はテストステロン分泌の95%を睾丸に頼っています。

しかしストレスが溜まってくると、副腎皮質刺激ホルモンの分泌が過多の状態になります。

するとゴナドトロピンの分泌量が減ってしまい、睾丸から分泌されるテストステロンが減ってしまうようになります。

テストステロンが減ると現れる症状

テストステロンが減ってくると、心身にさまざまな不調が現れるようになります。

特に加齢によりテストステロンが過剰に減少すれば、病気ではないものの男性更年期障害(LOH症候群・加齢性腺機能低下小)と呼ばれるトラブルに見舞われることに繋がります。

次でテストステロンが減ると現れる症状をいくつかあげ、簡単に解説していきます。

ED

ED(勃起不全)は、勃起しないだけでなく、それを維持できないことも含み、満足のいく性行為ができない状態を指します。

先ほどのおさらいになりますが、テストステロンは「性欲」「体脂肪を減らす」という働きを持っています。

つまり逆にその分泌が減ってしまうと、性欲の減退や肥満によってEDを引き起こすリスクが高まります。

また性機能を維持するための"朝立ち"の回数が減ってくると、EDのサインである可能性があります。

勃起は男性の健康バロメーターでもあるだけに、EDも更年期症状の1つの目安にしてみてください。

薄毛

薄毛でもっとも多いとされるAGA(男性型脱毛症)は、テストステロンが活性化したDHT(ジヒドロテストステロン)が原因になっています。

テストステロン + 酵素 = DHT(ジヒドロテストステロン)

これだけ見れば、「テストステロンが減るならAGAのリスクはないのでは?」と思われるかもしれません。

しかしテストステロンが減ると、それを補うために酵素の働きが活発になります。

するとDHTが作られる量が増えてしまうため、テストステロンが多すぎても少なすぎてもAGAのリスクが考えられます。

ただDHTを作り出す酵素の活性度合いは、遺伝による影響が大きいとも言われています。

そのため、生え際の後退や頭頂部のボリュームダウンなどの薄毛症状は、テストステロン減少が影響している可能性もあることは覚えておきましょう。

更年期障害

男性の更年期障害で起こる心身の不調は、個人差が大きいです。

人によってはまったく症状を感じない方もいれば、終わらない症状に苦しむ方もいます。

どんな症状が現れるのか簡単にご紹介しておくと、

<身体的症状>

  • 疲れがとれない
  • 頻尿や残尿感
  • 筋力の衰え
  • 腹部の脂肪増加

など

<精神的症状>

  • 不眠
  • イライラ
  • 気分が落ち込む
  • 不安感

など

<自律神経症状>

  • 動悸や息切れ
  • 汗をかきやすい
  • のぼせ

など

このように、心身共にさまざまな不調が起きるので、以上に当てはまる症状があれば医師に相談するのが望ましいでしょう。

テストステロンを増やす方法

テストステロンは加齢に伴って減少するだけに、老いに抗うのは無理のようにも思えます。

しかし、ライフスタイルを見直すことで、テストステロンの分泌を増やせる方法がいくつかあります。

  • 筋トレ
  • 食事

他にもホルモン補充療法などがありますが、副作用というリスクもあります。

それだけにまずは日々を振り返ってみて、ご自身でできることからスタートしてみることが望まれます。

それぞれ方法について、もう少し詳しく見ていきましょう。

筋トレ

筋肉に刺激を与える筋トレを行うと、テストステロンの分泌が促されます

しかも基礎体力の向上にもなるので一石二鳥であり、体を動かすことはモチベーションアップにもつながりやすいです。

また週に2〜3回を目安に、30分ほど適度な運動(ウォーキングやランニング、水泳など)を取り入れるのもオススメです。

ただし、激しい運動については控えましょう。

急に負荷をかければ身体がついてこないのはもちろん、血中のテストステロンを一気に下げてしまうおそれもあります。

できる範囲での運動を心がけてみましょう。

食事

テストステロンを増やすには、栄養を意識した食事が大切になります。

亜鉛

亜鉛は"セックスミネラル"と称され、精子の働きや老化を進めてしまう活性酸素の除去に役立ちます

老化防止という間接的な効果ではありますが、亜鉛はたんぱく質の合成も促進してくれるので意識的にとっていきたい栄養素となります。

亜鉛の吸収効率をUPさせるなら、ビタミンCやクエン酸といっしょにとりたいところです。

たんぱく質

たんぱく質には2種類(動物性・植物性)あり、お肉などの動物性たんぱく質はもちろん、植物性の大豆たんぱく質にもテストステロンの分泌量UPが期待されます。

過度なダイエットをしなければ現代人の食生活では不足しない栄養素ではありますが、たんぱく質は筋トレには必須とも言えるだけに積極的に摂っていきましょう。

まとめ

テストステロンは20代をピークに減少し、さらに40代以降の分泌量はさらに下り坂になります。

ピークがわかっているだけに、さまざまな心身の不調に悩まされないためにも日頃から予防を心がけるようにしましょう。

また男性の多くは、多少の不調があっても「今だけ」「そのうち治る」と我慢するの傾向があります。

しかし、急激なホルモンの変化に対して個人でできることは限られています。

辛い時には日常生活に支障を来さないためにも、医師に相談するようにしてください。