この記事では、以下の内容について詳しく解説しています。
- 禁煙で太る原因
- 禁煙後に太らないための対策
- 体重増加を防ぐ禁煙治療について
禁煙を決意したものの、体重が増えるのではないかと心配される方も多いはず。
本記事ではタバコと体重増加の関係、体重増加を防ぐ対策、そしてクリニックでの禁煙治療を詳しくお伝えしています。
禁煙後も健康的な体重を維持するためのポイントを知り、安心して禁煙生活をはじめていきましょう。
禁煙すると太る?
禁煙後は約2〜4kg体重が増加するといわれています。
しかし、全ての人が同じように体重が増えるわけではなく、生活習慣や体質によって個人差があります。
禁煙後は体重増加する可能性があるものの、その多くは一時的であり、見た目が大きく変わるほどではありません。
また興味深いことに、喫煙自体も肥満の原因となり得ます。
タバコには一時的に食欲を抑える効果がありますが、長期的には代謝機能の低下や脂肪の蓄積を促進することが知られています。
禁煙による体重増加を気にするのではなく、タバコをやめた後に得られる多くのメリットに目を向けることが大切です。
体重増加はいつまで続く?
禁煙後の体重増加は、一般的に1年ほど続くと考えられています。
禁煙から10週間以上は70%の割合で食欲の増進がみられ、1日の喫煙本数が多いヘビースモーカーほど体重が増加する割合も大きくなるとされています。
体重増加量 | 1日19本以下 | 1日20本以下 |
---|---|---|
維持・減少 | 24.4% | 10.9% |
3kg未満の増加 | 56.1% | 35.9% |
3~5kgの増加 | 14.6% | 37.5% |
出典:禁煙後の体重増加と喫煙本数,食行動の関連
また、厚生労働省のデータによると禁煙から1年後に禁煙者の80%に平均2kgの体重増加がみられたものの、5kg以上増加した人は約7%でした。
体重増加は禁煙2年目以降は落ち着くため、上記の割合をみても外見が変化してしまうほどの体重増加は稀と言えます。
前述の繰り返しになりますが、禁煙による体重増加は一時的かつ、急激に太る可能性も少ないため、心配しすぎずに挑戦してみることが禁煙成功への近道です。
禁煙により太る原因
禁煙すると太る理由は以下の通りです。
- 禁煙の離脱症状で食欲が増す
- ニコチンが減り基礎代謝が落ちる
- 味覚や体調が元に戻る
- 口寂しさやストレスで間食が増える
- 腸内細菌が変化する
禁煙で太る原因を理解することで、対策を講じやすくもなります。
以下で、それぞれの具体的な原因について詳しく解説していきます。
禁煙の離脱症状で食欲が増す
禁煙の離脱症状の1つに、食欲亢進があります。
これは、タバコに含まれるニコチンの摂取が切れることが影響するためです。
↓
満腹感を知らせる神経細胞の働きが弱まる
↓
食欲が増す
禁煙前の食欲はニコチンによってコントロールされていましたが、禁煙でニコチン切れ(離脱症状)を起こすことで満腹感が得にくくなってしまいます。
そのため、気づかぬうちに普段よりも食事量が増えてしまい、結果として体重が増えることがあります。
ニコチンが減り基礎代謝が落ちる
禁煙すると、基礎代謝が低下しやすくなります。
ニコチンには交感神経を刺激し、アドレナリンの分泌を促進する作用があります。
このホルモンは体内のエネルギー消費を増加させ、基礎代謝を高めます。
喫煙中はこの作用で基礎代謝が高まっていたので、禁煙によりニコチンの影響がなくなり、基礎代謝が元の状態に戻ります。
その結果、禁煙前と同じ食生活を続けると消費カロリーが減少し、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。
禁煙により基礎代謝レベルはタバコを吸う前に戻るので、同じ食生活を続けてしまうと太りやすくなったと感じやすくなります。
味覚や体調が元に戻る
禁煙すると、味覚や嗅覚が回復し、食事が以前より美味しく感じられるようになります。
禁煙するまでは、タバコに含まれる有害物質が味蕾(みらい)を鈍らせていたため、食べ物の味を十分に感じにくくなっていました。
禁煙から数日で、これらの感覚が正常に戻るため、食欲が増して食事の量が増えることがあります。
また、喫煙は肺や心臓に負担をかけ、体調不良や倦怠感を引き起こしやすくなります。
禁煙後は呼吸が楽になり体調が良くなるため、活動量が増えて食欲も増加する可能性があります。
口寂しさやストレスで間食が増える
タバコを吸っていた習慣がなくなると、手持ち無沙汰から何かを口にしたいという欲求が強くなり間食が増えがちになります。
気持ちを紛らわすために、ついお菓子やスナックなどの間食に手を伸ばしがちです。
特に、甘いものや高カロリーな食べ物を摂取することが多くなれば、体重増加の原因になってしまいます。
禁煙初期にはニコチンの離脱症状としてイライラや不安感が強くなり、感情を和らげるために食に走ってしまうことが多くなることもあります。
このように、喫煙習慣やメンタル面の影響が間食によるカロリーオーバーを招いてしまい、結果として体重が増えることが多くなるのです。
腸内細菌が変化する
禁煙すると腸内細菌のバランスが変化して、栄養を取り込みやすくなります。
タバコは腸内細菌に影響を与えるため、禁煙すると腸内環境が正常に戻り始めるのです。
禁煙によって腸内フローラ(善玉菌・悪玉菌・日和見菌)のバランスが変わることで、栄養の吸収効率が高まる場合があります。
体にエネルギーが取り込まれ、体重が増加しやすくなる可能性があります。
また、腸内細菌のバランスの変化は、消化器にも影響を与え便秘になることも。
腸内に残った糖や脂質が再吸収されてしまい、体脂肪の蓄積を助長する場合があります。
Smoking cessation induces profound changes in the composition of the intestinal microbiota in humans
禁煙後に太らないための対策
禁煙後の軽度の体重増加があっても、適切な対策をして防ぐことができます。
以下の方法を取り入れて、禁煙後も健康的な体重を維持しましょう。
- こまめに体重を測る
- 食生活を見直す
- 禁煙と同時に適度な運動を始める
- 低カロリーな間食に変える
- 禁煙補助薬を使う
重要なのは、自分の体重や健康状態を常に把握し、必要に応じて生活習慣を見直すことです。
それぞれの対策について、ここから詳しく解説していきます。
こまめに体重を測る
こまめに体重を測ることは、禁煙後の体重管理において非常に重要です。
毎日同じ時間に体重を測定することで、自分の体重の変化を正確に把握できます。
特に、禁煙後は体重が増えやすいため、早めに体型変化を察知して対策を講じることが大切です。
また日々の体重の変化を記録することで、体重管理のモチベーションを維持することもできます。
体重の増減を見ることで、自身の努力を成果として実感でき、継続する意欲が高まります。
食生活を見直す
以下の食事や食べ方を意識し、太りにくい食習慣づくりを心がけてみてください。
項目 | 対策 |
---|---|
食事の内容 | 野菜や果物を多く取り入れる。 高タンパク・低脂肪の食品を選ぶ。 |
食べ方 | よく噛んでゆっくり食べる。 一度に食べる量を減らし、回数を増やす。 |
間食の管理 | 間食は低カロリーなものを選ぶ。 果物やナッツなど健康的なスナックを選ぶ。 |
飲酒量の管理 | アルコールの摂取量を制限する。 飲む場合は低アルコールのものを選ぶ。 |
飲み物の選択 | 水やお茶を多くとる。 砂糖入りの飲み物を避ける。 |
食事のタイミング | 夜遅くに食べるのを避ける。 規則正しい食事時間を守る。 |
なにを、いつ、どう食べるか、この3つが食事の見直しにおける重要なポイントです。
また、機械的あるいは無意識的に食べるのではなく、「食事は楽しむもの」と考えてみてください。
普段の食事もゆっくり味わってみることで満腹感を得られやすくなり、自然とカロリーオーバーを防ぐことができます。
禁煙と同時に適度な運動を始める
禁煙後の体重増加を防ぐためには、適度な運動が体重マネジメントに役立ちます。
特に、有酸素運動はエネルギー消費量を増やすだけでなく、禁煙成功率を高めることもわかっています。
項目 | 内容 |
---|---|
時間 | 30分以上 |
運動レベル | 中等度(やや汗ばむ程度) |
内容 | ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど |
いきなり身体を動かすと負担により継続が難しくなるので、はじめは気分転換がてらに近所を散歩することからスタートするのも1つです。
また有酸素運動は、禁煙中の喫煙欲求や離脱症状をやわらげるのにも役立ちます。
運動を通じて、体重管理だけでなく、再喫煙を防ぐ意味でも、毎日のルーティンの中に組み込んでみてください。
低カロリーな間食に変える
間食が増えてしまうようであれば、低カロリーなものを選ぶ癖をつけましょう。
余計なカロリー摂取を避けることができるので、以下の間食リストを参考にお好みのものを選んでみてください。
- ヨーグルト
- 果物
- ナッツ(無縁、無油)
- 野菜スティック
- 低脂肪チーズ
- プロテインバー(抵糖)など
噛み応えがあるものを選ぶと満腹感を得やすいので、野菜スティックや甘さが欲しいときはプロテインバーも間食には最適です。
また外出時は、シュガーレスのアメやガム、タブレット菓子などを携帯するのをおすすめします。
口寂しさを紛らわしたり、「噛む」ことがストレス解消にもつながるので、長時間噛んでいられるガムは特におすすめです。
禁煙補助薬を使う
禁煙補助薬には、体重の増加を抑える効果があることが報告されています。
特に「ニコチン代替療法」として用いるニコチンパッチやニコチンガムは、タバコよりも少量のニコチンを摂取することから、短期的であれば体重増加に役立ちます。
また、禁煙成功率の高いバレニクリン(チャンピックス)も、治療終了時の体重増加がわずかに減少したという信頼性の高いエビデンスもあります。
タバコを吸いたい気持ちを抑えつつ、体重増加を防ぐには食事もコントロールしなければならず、これらを両立することはそう簡単なことではありません。
辛さから禁煙に失敗する可能性も高まるので、少しでもスムーズに禁煙できるようサポートする禁煙補助薬の積極的な使用がおすすめです。
フィットクリニックの禁煙治療
フィットクリニックの禁煙治療では、チャンピックスジェネリックの処方により禁煙成功をサポートします。
1日1〜2回の服用というシンプルな治療方法ですが、この薬は禁煙時の辛い離脱症状だけでなく、喫煙欲求も軽減させる効果も持っています。
タバコを嫌いにさせる効果があるため、ガムやパッチよりも禁煙成功率が高く、基本の治療期間である12週間で約2人に1人が禁煙に成功しています。
また、当院の禁煙治療は、初診からオンライン診療のみで完結させることが可能です。
定期的に通院する必要がなく、5〜10分ほどの診察なのでスキマ時間を利用した禁煙治療をスタートさせられます。
体重が増えるのを気にして禁煙をためらっているのであれば、フィットクリニックの禁煙治療の利用をぜひご検討ください。
まとめ:食習慣の改善や禁煙補助薬の使用で太らない対策を
この記事のまとめは以下となります。
- 禁煙時の離脱症状により食欲が増すことがある
- 平均で約2〜4kg程度、体重が増加する
- ヘビースモーカーの方ほど体重増加の割合が大きい
- 体重増加は禁煙1年目にみられやすく、2年目以降は落ち着く
- 食事の見直しは体重増加を防ぐのに役立つ
- 有酸素運動は消費カロリーを増やすだけでなく、禁煙成功率も高める
禁煙後の体重増加は一時的であることもわかっているため、禁煙によって得られるメリットの方が大きいことは間違いありません。
食事・運動管理を実践しつつ、必要に応じて禁煙補助薬の利用も検討しながら、太らない禁煙を実践してみてください。
よくある質問
また、味覚や嗅覚の回復、口寂しさやストレスを紛らわすための間食なども太る原因となってきます。
- こまめに体重を測る
- 食生活を見直す
- 有酸素運動を取り入れる
- 禁煙補助薬を利用する
セルフコントロールが難しい場合には、禁煙補助薬を利用しながら、太らない禁煙生活をはじめていきましょう。
しかし、2年目以降は体重が安定するため、禁煙によって太るのは一時的であり、日常生活で十分にコントロールできる範囲となっています。