
女性はホルモンバランスの変化や妊娠・出産など、禁煙を難しくする要因が多くあります。
しかし、禁煙によって得られるメリットは「見た目の若返り」から「不妊リスクの軽減」までさまざまで、禁煙が成功すれば、心身ともに大きな変化を感じられるはずです。
この記事では、女性が禁煙しにくい理由や成功のポイント、妊活への影響についてわかりやすく解説します。
話題の禁煙補助薬「チャンピックスジェネリック」についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
禁煙が女性にもたらす効果

禁煙が女性にもたらす効果はさまざまです。
味覚や嗅覚の変化によって食べ物が美味しく感じられたり、体そのものが健康に向かうことに加え、美容や女性機能の面でも嬉しい効果があります。
禁煙へのモチベーションをUPさせるためにも、どんな効果が期待できるのか詳しく見ていきましょう。
しみ・しわ改善し見た目が若返る

タバコを吸っている人は吸わない人よりも老化が早く進み、肌トラブルによって見た目が大きく変化する「スモーカーズフェイス」になってしまいます。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、大量のビタミンCを破壊します。
肌への栄養補給が滞ってしまい、シミ・シワをはじめ、たるみや色素沈着などの肌トラブルが老け見えの原因に。
さらに口腔トラブル(黄ばみや口臭など)や髪質の劣化も招くため、「タバコ=美の天敵」とも言えるでしょう。
禁煙するだけで美に関するあらゆるトラブルを回避でき、継続することで次第に状態も回復していきます。
もちろん禁煙の継続は必要ですが、禁煙後2~3週間だけでもくすみが改善されトーンアップします。
後悔しないためにも、早いうちから禁煙をはじめましょう。
女性ホルモンの低下を防ぐ
喫煙は、卵巣から分泌される女性ホルモン(特にエストロゲン)に大きな影響を与えます。
そもそもの分泌量が減るのはもちろん、必要とする器官で機能する前にホルモンが失活することで、本来の働きを果たせなくなります。
- 生理トラブル(生理痛の悪化や生理不順など)
- 骨粗しょう症
- 閉経が早まる
など
こうしたトラブルを招いてしまい、人によっては日常生活に支障が出てしまうことも。
禁煙すれば、将来トラブルが起こるリスクを防ぐことができるため、タバコをやめるに越したことはありません。
重大な病気のリスクが減る

喫煙はがんをはじめ、脳、心臓、肺などの疾患、さらには歯周病など、多くの病気と関係していることがわかっています。
タバコを吸い続けてしまうと、こうした生命に関わる重大な病気のリスクが高まるだけでなく、吸い始めた年齢が若いほど死亡率も高くなってしまいます。
また、タバコに含まれる有害物質が「子宮頸がん」に直接影響を及ぼす可能性も示唆されており、免疫機能が下がってしまうことで発癌リスクが高まる可能性もあります。
必ずしも喫煙だけが重大な病気のリスクを高めるわけではありませんが、禁煙が予防につながることは間違いありません。
禁煙に遅いということはないので、今からでも将来の健康を見据えてタバコ離れを考えるようにしましょう。
不妊のリスクが減る
喫煙は卵子やホルモンの働きに影響を及ぼし、不妊のリスクを高めることがわかっています。
実際、受胎までの期間が長くなり、パートナーの精子の質が低下するケースもあるほか、妊娠後の胎児への影響、受動喫煙のリスクなども見逃せません。
喫煙による妊活への影響の詳細は、以下のリンクをご覧ください。
女性が禁煙する時のポイント

女性は生理周期などの関係から、禁煙開始時期を選ぶにもコツがあります。
そのほかにも禁煙成功のためのコツがいくつかあるので、ポイントを事前に押さえて計画的に進めていきましょう。
卵胞期の早い段階で禁煙を始める

生理(月経)初日が卵胞期の1日目。生理痛などの様子を見ながら卵胞期の早い段階で禁煙を始めると良い
海外の研究からは「喫煙欲求」と「生理周期」には関連があることがわかっており、卵胞期の早い段階で禁煙を始めることが勧められています。
これは排卵後の黄体期に離脱症状(イライラや落ち着かないなど)が強く出やすく、PMS(月経前症候群)もあいまって再喫煙率が高くなってしまう傾向にあるためです。
少しでも禁煙しやすくするためにも、やみくもに禁煙をはじめるのではなく、ご自身の生理周期に合わせて禁煙日を設定するようにしてみてください。
生理予定日を確認する
生理前や生理中は、ホルモンバランスの変化が離脱症状に影響し、症状が強く・長くなりやすいことがわかっています。
また、禁煙による離脱症状にくわえて、人によっては生理のツラい症状が重なってしまうため、生理中の再喫煙率は高い傾向にもあります。
そのため生理予定日は毎月確認して、離脱症状に備えましょう。
その上で、離脱症状が悪化した場合、喫煙の代わりにどのような行動をとるか決めておくと、吸いたい気持ちもコントロールしやすくなるはずです。
体重よりも禁煙を優先する
禁煙すると基礎代謝が落ち、さらに口寂しさやイライラによって食べすぎてしまうことがあります。
太ることを不安に感じ再びタバコに手を伸ばしてしまう女性もいますが、ここで禁煙を持続できるかどうかが重要です。
禁煙1年目は平均して2kgほど体重が増えるものの、その後は徐々に減少する傾向が見られるという研究データもあります。
体重増加が気になる方は、間食を昆布など低カロリーのものにしたり運動したりして体重をコントロールするようにしましょう。
その他、早食いは肥満の原因にもなるためよく噛んでゆっくり食べることも大切です。
ある程度体重が増えることは仕方ないため、身体のことを考えてまずは禁煙を優先してください。
その上で、食事内容や食べ方に気を付けながら、体重が増える要因を減らすようにしましょう。
周りの人に協力してもらう
女性は離脱症状の出方が強い分、1人よりも周りを巻き込んだ禁煙の方がうまくいきやすいです。
禁煙は孤独との戦いでもあり、寂しさからタバコにふたたび火をつけてしまう方もいます。
孤独感を少しでもやわらげるためにも、禁煙を応援・協力してくれるサポーターを周囲に増やしましょう。
- 禁煙宣言をする
- 禁煙仲間を見つける
- 医療機関に相談する
サポーターを増やすのは、「つい1本」を防ぐ状況を作る目的もあり、後ろめたさからも禁煙を続けやすくなります。
家族や友人、恋人など、誰でも構わないので、ご自身の禁煙に良い意味で周囲を巻き込んでみてください。
禁煙補助薬を使うと成功しやすい

自力での禁煙がなかなか上手くいかないようであれば、禁煙補助薬に頼ってみるのも1つです。
継続して使用することで、離脱症状をやわらげたり、お薬によってはタバコを嫌いにさせる作用もあり、禁煙のツラい時期を乗り越えるサポートをしてくれます。
禁煙補助薬は大きく分けると2種類あるので、ここからの解説を参考に、自分にあった禁煙補助薬を選んでみてください。
チャンピックス

引用:チャンピックス | Champix ファイザープロ
チャンピックスは、ニコチンを含んでいない「非ニコチン製剤」にあたる禁煙補助薬です。
使用を試みた方の65.4%が禁煙に成功しており、日本で販売開始された2008年以降、禁煙治療において主力の薬となりました。
有効成分バレニクリンがニコチンの代わりとなって作用し、離脱症状の緩和、喫煙による満足感の抑制(不味いと感じたり、嫌いになる効果)といった効果を発揮します。
妊娠中や授乳中の方をはじめ、体質や健康状態によっては服用できないため、必ず医師の診察を受ける必要があります。
なお、チャンピックス先発薬は現在出荷停止中です。
フィットクリニックのチャンピックスジェネリック
フィットクリニックでは、チャンピックスジェネリック0.5mg・1mgを使った禁煙治療を行っております。
禁煙治療(自費診療) | 価格(税込) | 1日あたり |
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12週間禁煙プログラム | 36,000円 | 429円 |
24週間禁煙プログラム | 64,800円 | 387円 |
各プログラムの要点 | |
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12週間禁煙プログラム | チャンピックスでの治療では基本の期間である12週間をまるごとカバーできるプログラム。 |
24週間禁煙プログラム |
禁煙の継続をしっかりサポートする24週間の長期プログラム。 1日あたりの費用を抑えられ、コストパフォーマンスにも優れています。 |
処方薬 | その他費用 |
---|---|
チャンピックスジェネリック(0.5mg・1mg)
|
0円 (診察料・送料なし) |
当院の禁煙治療は薬の処方のみとシンプルである一方で、医師の診察も受けられるため安全に治療を進めることが可能です。
来院診療に加えオンライン診療も行っているため、通院の時間が取れない方も受診しやすくなっております。
離脱症状を抑えて禁煙したい方は、当院の診察をご予約ください。
WEB・LINE予約ではカレンダーからご希望のお日にちをお選びいただけます。
禁煙治療についてニコチン製剤

少量のニコチンを摂取することで、禁煙時の離脱症状をやわらげるのがニコチン製剤です。
ニコチンパッチやニコチンガムは市販でも入手できます。
ニコチンパッチは医療用もあるため、ニコチン依存度が高い場合は病院で処方を受けるのが望ましいです。
治療のハードルが低いニコチン製剤ですが、有効成分が「ニコチン」のため、胎児や乳児に影響を及ぼすおそれがあることから妊娠中や授乳中の女性は使用できません。
ニコチン製剤を使用できるかは、医師または薬剤師に相談するようにしてください。
なお、当院ではニコチン製剤は取り扱っておりませんのでご了承ください。
女性は禁煙しづらい?男性との違い

女性は男性にくらべ、1日の喫煙本数が少ない傾向にあります。
なので、男性よりも禁煙に成功しやすいと思われがちですが、次のような理由から女性は禁煙が難しいと考えられています。
- 1本に対する喫煙の満足度が男性より高い
- 離脱症状が強く出やすい
- 喫煙以外のストレス発散方法に乏しい
- 禁煙による体重増加への不安
- 家族内に他の喫煙者がいる確率が高い
- 女性がターゲットのメンソール入りタバコは禁煙しづらい
もちろん個人差はありますが、タバコ1本に対する依存度が高く、ストレスや環境、太りやすさなどが禁煙への足枷になりやすいです。
こうしたことから、一度喫煙習慣がつくとやめにくくなり、人によってはタバコ離れに苦労することも。
女性の禁煙はタバコを吸わないだけでなく、禁煙に伴う心と身体の変化をうまく乗り越えていくことが成功の鍵と言えます。
喫煙による妊活への影響
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素、その他の化学物質は、卵子や精子の質を低下させます。
それによって、不妊のリスクが高まります。
妊娠できても胎児の健康にも悪影響を及ぼすリスクがあるため、一刻も早く禁煙を始めることが大切です。
次の章から、喫煙が妊活に与える影響について詳しく解説していきます。
受胎待ち時間が長くなる
喫煙を続けていると、受胎待ち時間(妊娠が成立するまでの時間)が長くなることがわかっています。
たとえば、ある研究では、最初の月経周期で妊娠した女性の割合が非喫煙者は38%であるのに対し、喫煙者では28%に留まったと報告されています。
さらに、喫煙者は非喫煙者と比べ、妊娠するまでに1年以上かかった可能性が3.4倍高かったことも報告されています。
なかなか妊娠に結びつかず時間が経つほど、夫婦の年齢も上がっていきます。
つまり喫煙者が妊活に入るタイミングによっては、受胎待ち時間が長引くことで妊娠適齢期を超えてしまう可能性があります。
妊娠できる確率はさらに下がるリスクも考えられることから、喫煙は妊娠を望む夫婦間にとって大きな問題となり得ます。
精子の質が悪化する(男性不妊)
喫煙は、精子を作る機能に影響を及ぼすことが指摘されています。
造精機能障害といって、数や動き、形などに影響を及ぼし、精子の質が低下することが男性不妊の主な原因です。
実際、一般男性の20人に1人は男性不妊症とされ、そのうち約80%は造精機能障害と考えられています。
また、精子検査で異常がみられない場合でも、遺伝子レベルで精子が喫煙によるダメージを負っているケースもあります。
その結果受精機能が弱まり、妊娠に結びつかないこともあるため、まずは精子の質を大きく下げる喫煙をやめることから始めましょう。
閉経が早まる
タバコを吸う女性は、閉経が平均2年早まる と言われています。
これは女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されにくくなり、卵巣機能が低下するためです。
またエストロゲンの減少は、他にも以下のような影響があります。
- 骨粗鬆症
- 動脈硬化
- 不妊治療(体外受精)の成功率低下
- 月経トラブル(生理不順など)
- 脂質代謝異常
など
妊娠後も胎児に影響が出る
タバコの影響は、妊活中だけではありません。
妊娠後であっても、喫煙時に発生する有害物質によって胎児に十分な栄養や酸素が届かなくなり、さまざまなトラブルの原因になります。
- 流産、早産、死産
- 低出生体重
- 先天異常(生まれつき病気を持つ)
など
これらの異常は、喫煙歴の長さや本数が多いほどリスクが高まるとされています。
また、それまで元気だった新生児が眠っている間に突然死亡してしまう、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクも増加します。
妊娠中は母子ともにデリケートな状態であり、たった1本のタバコで取り返しのつかないことになる可能性もあります。
禁煙に遅いということはないので、赤ちゃんが健康で生まれてくるためにも積極的に禁煙に挑戦することを推奨します。
受動喫煙も妊娠に影響を与える
妊活を行う上で、禁煙は夫婦で乗り越えるべき問題です。
タバコは吸っている人だけでなく、受動喫煙によって周囲にも害が及びます。
女性だけが禁煙しても、パートナーがタバコを吸い続けていれば、吸っているのとほぼ変わりません。
受動喫煙は喫煙しているのとほぼ変わらないリスクを負ってしまい、妊娠しづらくなるほか、妊娠できても胎児や新生児の健康上のリスクが増えてしまいます。
そのため、どちらかがタバコをやめるだけでは十分ではなく、妊娠を考えた時点でお互いが禁煙することが望まれます。
妊活中でも禁煙補助薬は使える?
妊娠前であれば、禁煙補助薬の使用ができます。
むしろ自力での禁煙よりも成功しやすくなり、特にチャンピックスという飲み薬は、服用した方の2人に1人以上が禁煙に成功したというデータもあるほどです。
約3ヵ月の服用が一般的なので、妊娠を考えたタイミングから内服をはじめ、妊娠4週目までには治療を終えているのが望ましいです。
また妊娠後の禁煙補助薬については、ニコチンパッチやガムなどのニコチン製剤は使用できません。
チャンピックスについても、禁煙治療のメリットが服用上のリスクを上回る場合にのみ服用が認められます。
薬剤が胎児に影響を及ぼす可能性があるので、禁煙補助薬を使用するのであれば、早めに医師に相談して治療に取り組むようにしてください。
女性特有の問題を理解し、禁煙を成功させよう
女性はホルモンバランスや生活環境、体型の変化など、禁煙のハードルが多くあります。
さらに男性よりも離脱症状が強く長引く傾向があり、依存度が高いほど禁煙は難しくなります。
だからこそ、女性特有の課題を理解しながら禁煙に取り組むことが成功のカギです。
禁煙補助薬の活用も検討しましょう。当院でも「チャンピックスジェネリック」を取り扱っておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
禁煙治療について女性の禁煙に関するよくある質問
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- Q
妊活を始める場合、いつから禁煙しないといけませんか
- A
妊活に入る前に禁煙するのが理想的です。
妊娠前の禁煙で平均出生体重は非喫煙妊婦とほぼ同じになり、妊娠早期に喫煙していても妊娠3~4ヵ月までに禁煙すれば、低出生体重、 早産、周産期死亡のリスクが低下します。
妊活の予定に合わせて早めに禁煙するようにしましょう。
- Q
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- Q
加熱式タバコだったら健康上のリスクが減りますか
- A
残念ながら加熱式タバコであっても、健康上のリスクが減ることはありません。
紙タバコに含まれるタールなどの有害物質は含まれていませんが、加熱式タバコにはその他にも多くの化学物質が含まれています。
健康を意識しているのであれば、タバコの種類を変えるのではなく、禁煙に挑戦してみてください。
- Q
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- Q
禁煙したいのですが、パートナーが吸っていてやめられません
- A
禁煙の成功は喫煙環境にも左右されるので、パートナーと話し合って一緒に禁煙することをおすすめします。
もし折り合いがつかないようであれば、共有スペースでタバコを吸わないようにしてもらったり、喫煙具を目の届かないところに置くよう協力してもらいましょう。
- Q
-
- Q
妊活中のストレス発散方法は喫煙以外に何がありますか?
- A
喫煙以外でのストレス発散方法としては、趣味や興味のあることに時間を割くのが効果的です。
また、無理のない範囲であれば、少し身体を動かすことで気分転換になり、禁煙による離脱症状をやわらげる助けにもなります。
- Q
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- Q
妊活中なのにパートナーが禁煙してくれません。
- A
まずは、パートナーに禁煙のメリットを伝えることからスタートしてみましょう。
頭ごなしに「禁煙して」は逆効果にもなりかねないので、徐々に妊活中に禁煙の必要性について理解を得るようにしてみてください。
またパートナーがタバコを我慢できた時は、自分の事のようにその努力を認めてあげることが大切です。
- Q
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- Q
禁煙しましたが性行為がうまくいきません。いい方法はありますか?
- A
禁煙後に性行為に問題が生じている場合、まずは医療機関に相談することをおすすめします。
うまくいかない原因がED(勃起不全)であった場合、ED治療薬を使うことで性行為がスムーズになるはずです。
当院でも処方を行っており、子供への影響もないとされているので、妊活中でも安全に使用することができます。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
参考サイト
女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
Tobacco withdrawal in women and menstrual cycle phase - PubMed
禁煙支援における性差の考慮|厚生労働省
禁煙後の体重増加と喫煙本数,食行動の関連
内田クリニックの禁煙外来の状況と禁煙成功率の検討,女性の禁煙成功率が低い理由|内田 和宏