結論から言うと、運動や筋トレはEDの改善に効果的です。
本記事では、運動がED改善に有効な理由や、EDを改善する効果的な運動方法を解説します。
運動や筋トレによってEDを改善したいとお考えの方は、是非参考にしてください。
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運動や筋トレがなぜED改善に良いのか?
運動や筋トレがED改善に効果的な理由は以下です。
次の章で順に解説していきます。
血流の改善
EDの主な原因として血流の悪化があります。
血流が悪いと、陰茎への血液が集まらなくなり勃起(または勃起の維持)ができません。
運動や筋トレ、ストレッチを行えば、滞った血流をスムーズにするためEDの改善にも効果的と言えます。
実際にストレッチや有酸素運動が血流を改善し、さまざまな疾患の予防に効果的であることが研究によって示されています。
したがって、ストレッチや運動による血流改善はEDの改善にも有効です。
テストステロンの増加
テストステロンの増加はEDの改善に効果的です。
テストステロンとは性欲を司る男性ホルモンで、筋トレで分泌を促すことができます。
このホルモンを増加させると勃起力が増し、性機能も向上するためEDの改善に有効です。
テストステロンは性機能のほか、性的特徴の発現や筋肉の発達、骨密度などあらゆる身体機能に関与しています。
ただし、テストステロンは20代をピークに減少するホルモンです。
特に50代以降は著しく減少する傾向があるため、テストステロンの分泌量を維持するためにも運動や筋トレを継続しましょう。
運動不足は生活習慣病のリスクが高まる
運動不足は、EDの危険因子(リスクファクター)です。
さらに、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病になる確率が高まります。
主な生活習慣病は以下です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肝疾患(肝炎、脂肪肝、肝硬変など)
- 心疾患(急性心筋梗塞、心不全、狭心症など)
- 脳血管疾患(脳梗塞、くも膜下出血など)
これらの疾患は、総じてEDの発症とも深い関連があります。
EDの多くは生活習慣病に起因するからです。
生活習慣病の原因である運動不足を解消することによって、結果的にEDの改善が見込めます。
ED改善におすすめの運動・筋トレ5選
EDの改善に推奨したい運動・筋トレは以下の5つです。
以下の章で順に解説していきます。
有酸素運動
有酸素運動は血行を促進し、勃起力の改善にも効果的です。
また、有酸素運動には脂肪燃焼効果もあるため、EDの原因である肥満や糖尿病、高血圧(生活習慣病)の予防にもなります。
主な有酸素運動は以下です。
- ウォーキング
- ジョギング
- スイミング
- サイクリング
- 踏み台昇降運動
- 腿上げ運動
- ハーフスクワット
(※通常のスクワットよりも浅めにかがむスクワット)
有酸素運動は1日20~30分程度でも十分に効果が期待できます。
ジョギングやウォーキングなど、手軽にできる運動から継続できる範囲で始めてみましょう。
●ED診療ガイドライン 第 3 版‐p60|日本泌尿器科学会
●生活習慣病の予防|日本脈管学会機関誌
●Body fat loss and compensatory mechanisms in response to different doses of aerobic exercise - a randomized controlled trial in overweight sedentary males. AJP: Regulatory, Integrative and Comparative Physiology, 2012; DOI: 10.1152/ajpregu.00141.2012|M. Rosenkilde
長時間のサイクリングはNG
長時間のサイクリングは、かえってEDの症状が悪化する可能性があります。
なぜなら、自転車に長時間乗ることで、勃起にかかわる神経や血管が圧迫されてしまうからです。
「会陰部」と呼ばれる股の部分には、陰茎海綿体とつながる動脈が存在しています。
この部分が損傷を受けることで神経障害にも発展する恐れがあり、ひいてはEDにつながります。
以上の理由から、長時間のサイクリングには注意が必要です。
下半身全体を鍛えるスクワット
スクワットで下半身の血流をスムーズにすることによりEDを改善できる可能性があります。
スクワットは、下半身全体を鍛えるトレーニングとして大変効果的です。
下半身には大きな筋肉が集まっているため、鍛えることで血流や代謝の向上が期待できます。
スクワットで鍛えられる筋肉は以下の3つです。
- 大殿筋
- 大腿二頭筋
- 大腿四頭筋
これらの筋肉は下半身の血流と密接に関係しており、鍛えることで血流の増加、ひいてはEDの改善が見込めます。
男性機能を高めるPC筋の筋トレ
PC筋とは、肛門から恥骨にある筋肉のことです。
「恥骨尾骨筋(ちこつびこつきん)」とも呼ばれます。
恥骨尾骨筋は陰茎の根元を締め付け、血液をとどめる作用があり勃起力の維持に欠かせません。
このPC筋を鍛えることにより、性行為時の持久力も保持され、性機能に自信が持てるようになります。
PC筋の鍛え方は、以下で解説の「ケーゲル体操」と同様です。
鍛えることで射精力アップにもつながります。BC筋も、以下で解説するケーゲル体操で鍛えることが可能です。
両方を鍛えることにより、さらに勃起力の改善が期待できます。
骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操
「骨盤底筋」とは、骨盤の下部にある筋肉の総称です。
ケーゲル体操は「骨盤底筋体操」とも呼ばれており、肛門を締めることで骨盤底筋を鍛えます。
前項で説明したPC筋やBC筋も、骨盤底筋のひとつです。
PC筋・BC筋を鍛えることで勃起力がアップし、性行為時の持久力が高まります。
ケーゲル体操の手順は以下の通りです。
- 床に仰向けになる
- 膝を立て、肩幅に開く
- 肛門を締める・ゆるめるを10回繰り返す
- 肛門を締めた状態で5秒間キープする
- 1~4を5回繰り返す
ケーゲル体操の効果が実感できるのは、開始から1~3ヶ月程とされています。
継続することで効果が表れるので、気が付いたときに体操を行うようにしましょう。
また、ケーゲル体操は早漏にも効果的です。
股関節の血流をアップさせるストレッチ
股関節の血流を良くすることでも、EDの改善が期待できます。
ストレッチによって血流が良くなれば、陰茎に血液が行き渡り、EDを改善できるという仕組みです。
以下の手順で、股関節のストレッチ(開脚ストレッチ)を行いましょう。
- 両足を大きく開いて床に座る(痛くない程度に)
- 背筋を伸ばし、伸ばした脚の方に上体を倒す
- 反対側も同様に行う
股関節のストレッチを行うことで、骨盤周辺の筋肉の柔軟性が高まり陰茎に血液が流れやすくなります。
運動や筋トレでのED改善は継続が大事
運動や筋トレは短期間で効果が出るものではありません。
継続して初めて結果があらわれるので、できることから始めてみましょう。
即効性をお求めの方は、ED治療薬の服用を検討してみて下さい。
ED治療薬との併用
早くに効果を実感したいという方には、運動や筋トレと並行して、ED治療薬を服用することを推奨します。
その理由は以下です。
- 即効性がある
- 性機能に直接働きかける
- 運動との組み合わせで相乗効果がある
ED治療薬は即効性があるため、服用しながら運動や筋トレを行うことでより効果を実感できます。
薬によって効果の強さや持続時間は異なるため、医療機関で適した薬を処方してもらいましょう。
ED治療薬の服用前後の運動について
ED治療薬を併用して運動や筋トレをする場合は、服用の前後に激しい運動はお控えください。
ED治療薬には血管拡張作用があるため、運動との相乗効果で血流が良くなり過ぎてしまいます。
めまいや立ちくらみ、頭痛が出やすくなるため、運動前後の服用には十分に注意が必要です。
その他のED改善・予防に繋がる習慣
その他、EDの改善や予防が期待できる習慣は以下です。
日頃の習慣を少しずつ変えていくことで健康体質になり、結果的にEDの改善にも繋がります。
次の章で順に解説していきます。
バランスの取れた食事
食生活の見直しはEDの改善に欠かせません。
バランスの良い食事を取ることで、心身共に健康的な状態を維持できます。
以下の画像は、農林水産省が提示している食事バランスガイドです。
1日に何をどれくらい食べると良いのか、判断する目安としてください。
加えて、EDの改善に効果的な栄養素もプラスすれば相乗効果が見込めます。
- 亜鉛(テストステロン分泌促進作用)
牡蛎、チーズ、アーモンド、カシューナッツ、牛レバーなど - シトルリン(血管拡張作用)
スイカ、メロン、クコの実など - アルギニン(成長ホルモン分泌作用)
大豆、マグロ、鶏卵、うなぎなど - カルニチン(細胞の活性化作用)
羊肉(マトンのロース・肩)、赤貝、牛肉など
以上の食品を取り入れて、EDの改善により効果的な食生活を目指しましょう。
十分な睡眠を取る
十分な睡眠をとることも、EDの改善に非常に有効です。
睡眠中に男性機能にかかわるホルモンの分泌が行われるためです。
EDを患っている方は、同時に睡眠にもトラブルを抱えていることが研究でも明らかにされています。
十分な睡眠を取るために推奨したい習慣は、以下です。
- 寝る1時間前からスマホを触らない
- 1日のカフェイン摂取量は400mgを超えないようにする
- 運動は就寝の2時間前に済ませる
- 晩酌は控えめにする
- 入浴は就寝の2~3時間前に40度以下で20~30分ゆったりとつかる
- 寝床は寝る時だけ入る(スマホを見たり、本を読んだりしない)
できることから習慣づけていきましょう。
過度な飲酒や喫煙は控える
適度な飲酒は血流を良くしますが、過剰飲酒はEDを引き起こす恐れがあります。
血行が過剰に促進されるためです。
また、喫煙もEDの原因となる可能性があります。
タバコにはニコチン、タール、一酸化炭素など有害物質が含まれており、その物質によって男性ホルモンの異常や血流の減少を引き起こされるためです。
陰茎の血流不足は、EDに繋がります。
以上の理由から、過度な飲酒や喫煙はお控えください。
まとめ:ED改善には運動が有効だが時間がかかる
ここまで、EDの改善に運動が有効である理由や、効果的な運動方法について解説しました。
以下に記事の内容をまとめます。
- 運動には、血流の改善やテストステロンの増加などEDに効果的な作用がある
- 有酸素運動やPC筋トレーニング、ケーゲル体操などがEDの改善に有効である
- 運動や筋トレと並行して、ED治療薬を服用することで相乗効果が見込める
- その他、睡眠や食生活など生活習慣の改善もEDに効果的である
運動や筋トレは継続することでEDの改善効果が期待できます。
ただし、継続しても100%EDが完治するわけではないため、運動や筋トレはあくまで「ED改善のサポート」と考えましょう。
そのため、EDに対して有効性が認められているED治療薬を並行して服用することを推奨しています。
当院ではED治療薬の処方も行っておりますので、気になる方は以下よりED治療の詳細を確認してみてください。
運動・筋トレでのED改善についてよくある質問
Q1.やっては行けない運動や筋トレはある?
A1.ED(勃起不全)の改善において、基本的に運動や筋トレは推奨されますが、いくつか注意点があります。以下は、避けた方が良いとされる運動や筋トレです。
- 長時間のサイクリング 長時間のサイクリング(またはエアロバイクなど座る運動)は、会陰部への圧迫が原因で血流を阻害することがあります。これにより、EDのリスクが高まる可能性があるため、適切な休憩を取りながら行いましょう。
- マラソンなどの長時間にわたる高強度の有酸素運動 高強度の有酸素運動は、一時的にテストステロンレベルを低下させる可能性があります。これは一時的なものであり、適度な有酸素運動は健康に良いですが、極端に長時間の運動は避けましょう。
- 過度の重量挙げ 非常に重い重量を扱う筋トレは、誤ったフォームや過度の負荷により筋肉や関節に過度のストレスをかける可能性があります。特に骨盤底筋に負荷をかけすぎるとEDの改善には逆効果です。
Q2.運動によるEDの改善にはどれぐらいかかる?
A2.運動によるED(勃起不全)の改善には個人差がありますが、一般的な目安として数か月~半年以上の期間が考えられます。運動によるEDの改善は性機能に直接アプローチする方法ではないため、長期での改善が必要です。即効性を求める方には、ED治療薬との併用を推奨しています。