更新日:2025/10/02
ED治療薬(PDE5阻害薬)の比較|EDに対する有効性と作用機序

ED治療薬(PDE5阻害薬)の比較|EDに対する有効性と作用機序

ED治療薬とは、ED(勃起不全)を改善するために用いられる医薬品です。
EDに対する有効性が高く、重度の副作用リスクも低いことからEDの代表的な治療法としてED治療薬の服用が推奨されています。

代表的なED治療薬には、以下が挙げられます。

  • バイアグラ(シルデナフィル)
  • レビトラ(バルデナフィル)
  • シアリス(タダラフィル)

当院ではオンライン診療によるED治療薬の処方を行っています。
どのED治療薬を選べばよいかわからない場合はお気軽にご相談ください。

ED治療薬とは

ED治療薬とは、ED(勃起不全)の治療に用いられる薬剤であり、現在の第一選択はホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬です。
代表的な薬剤として以下が挙げられます。

  • シルデナフィル(バイアグラ)
  • バルデナフィル(レビトラ)
  • タダラフィル(シアリス)

米国ではアバナフィル(ステンドラ)も承認されています。

EDは「満足な性交のために十分な勃起を得られない、または維持できない状態」と定義され、PDE5阻害薬が標準的治療と位置づけられています。
これらの薬剤は、性的刺激により陰茎海綿体で産生される一酸化窒素(NO)により増加する環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を阻害し、平滑筋を弛緩させ血流を増加させることで勃起を助けます。
国内では、バイアグラ、レビトラ、シアリスがED治療薬として承認されています。

ED治療薬国内外の承認の流れを年表にした図

PDE5阻害薬が第一選択薬となっている理由

PDE5阻害薬がED治療の第一選択薬になっている理由は、ED治療への有効性、安全性が確立されているためです。
多数の比較試験で有効性が実証されており、長期投与・追跡試験でも安全性が概ね良好である点も安全性を示しています。
ただし、硝酸薬との併用は禁止されており、心血管疾患などがある場合は医師の診察で使用の可否を判断する必要があります。

ED治療薬の作用機序

ED治療薬の作用機序を図解:PDE5を阻害して血流を改善し、勃起を維持しやすくす

勃起は陰茎海綿体内の平滑筋が弛緩し、血流が増加することで起こります。
この過程には、一酸化窒素(NO)-環状グアノシン一リン酸(cGMP)経路が重要で、性的刺激によりNOが放出されるとcGMPが生成され、海綿体平滑筋が弛緩して勃起が生じます。

PDE5阻害薬は、このcGMPを分解する酵素PDE5を阻害することで、cGMP濃度を維持し、血管平滑筋の弛緩を促進、勃起機能を改善します。
器質性EDでは血管や神経の障害によりこの経路が低下しているため、PDE5阻害薬による血流改善効果が期待できます。

心因性EDの場合、PDE5阻害薬単独の治療よりも、心理療法を併用した治療が望ましいとされています。

ED治療薬(PDE5阻害薬)の有効性を比較

  バイアグラ レビトラ シアリス ザイデナ ステンドラ
製品画像
バイアグラ
レビトラ
シアリス
ザイデナ
ステンドラ
勃起力 強い 最も強い マイルド やや強い 強い
持続時間 3~5時間 5~8時間 30~36時間 11~13時間 3~6時間
効き始め 30分~1時間 15~30分 1~3時間 30分~1時間 15~30分
食事の影響 受けやすい やや受けにくい 受けにくい 受けにくい 受けにくい
副作用 ほてり、潮紅、
鼻づまり
など
頭痛、ほてり、
鼻づまり
など
頭痛、潮紅、
ほてり
など
頭痛、ほてり、
結膜充血
など
頭痛、ほてり、
鼻づまり
など
成分 シルデナフィル
クエン酸塩
バルデナフィル
塩酸塩水和物
タダラフィル ウデナフィル アバナフィル
メーカー ヴィアトリス社 バイエル薬品
※2022年販売終了
日本新薬 東亜製薬 ヴィーヴァス社
価格 342円~1,600円 720円~1,100円 560円~1,600円 960円~1,200円 960円~1,200円
詳細 詳細 詳細 詳細 詳細
  製品画像 勃起力 持続時間 効き始め 食事の影響 副作用 成分 メーカー 価格
バイアグラ
バイアグラ
強い 3~5時間 30分~1時間 受けやすい ほてり、潮紅、
鼻づまり など
シルデナフィル
クエン酸塩
ヴィアトリス社 342円~1,600円 詳細
レビトラ
レビトラ
最も強い 5~8時間 15~30分 やや受けにくい 頭痛、ほてり、
鼻づまり など
バルデナフィル
塩酸塩水和物
バイエル薬品
※2022年販売終了
720円~1,100円 詳細
シアリス
シアリス
マイルド 30~36時間 1~3時間 受けにくい 頭痛、潮紅、
ほてり など
タダラフィル 日本新薬 560円~1,600円 詳細
ザイデナ
ザイデナ
やや強い 11~13時間 30分~1時間 受けにくい 頭痛、ほてり、
結膜充血 など
ウデナフィル 東亜製薬 960円~1,200円 詳細
ステンドラ
ステンドラ
強い 3~6時間 15~30分 受けにくい 頭痛、ほてり、
鼻づまり など
アバナフィル ヴィーヴァス社 960円~1,200円 詳細

※効果や副作用については個人差があります。
※価格はジェネリックを含みます。

それぞれの特徴は次の見出しで解説しています。

バイアグラ(シルデナフィル)の有効性

シルデナフィルは、1998年に米国で承認された最初のPDE5阻害薬であり、勃起不全(ED)の治療において広く使用されています。
国外の経口シルデナフィル(25、50、100mg)とプラセボを比較した試験では、性交試行の成功率がシルデナフィルが69%(プラセボ22%)と有意な改善が見られました。[1]
最も一般的な副作用は頭痛、ほてり、潮紅、消化不良、鼻閉などです。

バイアグラについて詳しくは、以下で解説しています。 バイアグラの詳細

レビトラ(バルデナフィル)の有効性

バルデナフィルは、15〜30分と短時間で効果を発揮することが特徴として知られています。
日本人ED患者283名を対象とした二重盲検ランダム化試験で、勃起機能を有意に改善し、最大20mgで約86%の改善が報告されています。[3]
最も一般的な副作用は頭痛、ほてり、消化不良、鼻閉、めまいなどです。

レビトラについて詳しくは、以下で解説しています。 レビトラの詳細

シアリス(タダラフィル)の有効性

タダラフィルは、36時間の半減期を持ち、長時間作用型のPDE5阻害薬として知られています。
軽度から重度の勃起不全患者を対象とした臨床試験では、20mg投与で勃起機能スコアの平均改善は7.9ポイント、性行為成功率は75%、治療終了時に81%の患者が勃起の改善が確認されています。[2]
最も一般的な副作用は潮紅、頭痛、消化不良、背部痛、鼻閉などです。

シアリスについて詳しくは、以下で解説しています。 シアリスの詳細

ザイデナ(ウデナフィル)の有効性

ウデナフィルは、韓国で開発されたPDE5阻害薬であり、第4のED治療薬と言われています。
アジア人を対象に開発が進められたED治療薬で、約11~13時間と長時間効果が持続します。
ウデナフィル1日1回投与は、ED患者346名を対象とした24週間の二重盲検試験で、IIEF-EFスコアを有意に改善しました。[4]
最も一般的な副作用は、ほてり、頭痛、結膜充血、消化不良、鼻閉などです。

ザイデナについて詳しくは、以下で解説しています。 ザイデナの詳細

ステンドラ(アバナフィル)の有効性

アバナフィルは、迅速な作用発現が特徴のPDE5阻害薬であり、EDの治療に使用されます。
ED患者200名の12週間試験では、IIEF-EFDスコアやSEP・GAQでプラセボより有意に改善しました。[5]
最も一般的な副作用は頭痛、ほてり、咽頭炎、鼻閉、背部痛などです。

ステンドラについて詳しくは、以下で解説しています。 ステンドラの詳細

ED治療薬を使用する上での注意

ED治療薬を使用する上で、副作用や併用禁忌薬に注意する必要があります。

ED治療薬を
使用する上での注意

ED治療薬を使用する前に、必ず注意点をご確認ください。

副作用

PDE5阻害薬の共通の副作用は主に、頭痛やほてりなどが挙げられます。

ED治療薬
(PDE5阻害薬)の副作用
  • 頭痛
  • ほてり
  • 消化不良
  • 鼻閉
  • 視覚症状

まれに、重篤な副作用として、急性の視覚障害である非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)や勃起が4時間以上続く持続勃起症などが報告されています。

副作用が続く場合は、速やかに医師に相談することが大切です。

併用禁忌・併用注意

PDE5阻害薬の共通の併用禁忌薬は、硝酸薬と可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬(リオシグアト)です。
いずれも併用により、著しい血圧の低下を招く危険性があります。
また、以下との併用は併用注意に該当します。

PDE5阻害薬共通の併用注意
  • CYP3A4阻害薬
  • 抗HIV薬/抗真菌薬
  • α遮断薬
  • 降圧薬
  • アルコール
  • 不整脈の治療薬
    (アミオダロンなど)等

上記は一般的な例であり、併用禁忌薬や注意すべき薬剤は医薬品ごとに異なります。

持病や使用中の薬によって、ED治療薬を服用できない場合もあります。

記載のない薬剤が該当する場合もあるため、使用中の薬剤については必ず医師に相談してください。

EDとED治療薬の位置づけ

勃起不全(ED)は男性の性生活や生活の質に影響する病気で、体の問題や心理的要因が関係します。
治療には生活習慣の改善や心理的サポート、器具を使った方法、薬の使用があります。
中でもPDE5阻害薬は、ED治療の第一選択薬として広く使われている薬です。

安全性と有効性を確保するため、医師の診断・指導のもとでの使用を推奨します。

当院のED治療については、以下からご確認ください。

参考サイト

この記事の監修

服部圭太院長画像
服部 圭太
(はっとり けいた)医師

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務