男性への感染が多い傾向にある淋病は、ヒトからヒトへと感染する性感染症の1つです。
性器以外にも感染するおそれがあり、ここ最近では、のどへの感染が増加しつつあります。
また女性に感染させてしまい悪化すれば、子宮外妊娠や男女ともに不妊の原因にもなる怖い病気でもあります。
このページでは男性の淋病について詳しく解説しているので、正しい知識を身につけて感染予防に役立ててみてください。
なお、フィットクリニックでは淋病の検査キットを取り扱っております。
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男性の淋病について
淋病とは「淋菌」という細菌による感染症であり、正しくは淋菌感染症と呼ばれています。
国内で感染者数の報告がもっとも多い「クラミジア感染症」に次いで感染者数が多く、2011年頃から減少傾向にありますが、近年は感染者数の報告が少しずつ増えているので注意が必要です。
厚生労働省が発表する2020年の男女別の淋病感染者総数は以下の人数です。
男性:6,781人
女性:1,756人
男性は女性の約4倍の感染報告があることから、淋病は男性に多い性病の1つとも言えるでしょう。
また淋病の感染者数の報告が多い理由としては1回の性行為による感染率が高いことがあげられ、30〜50%ほどになると考えられています。
これによると2回ないし3回に1回は感染するおそれがあり、治療で完治しても何度でも感染する厄介な病気でもあることは覚えておきたいところです。
感染箇所
男性が淋病に感染するおそれがある箇所は、キャリア(菌を持っている人)と直接粘膜や分泌物が触れてしまう部位になります。
- 尿道
- のど
- 肛門や直腸
- 眼(結膜や角膜)
淋病は性病の1つとされているだけに性器への感染のみのイメージがあるかもしれませんが、こうした部位にも感染します。
さらに「上行感染」といって、尿道にいる菌が睾丸内の組織(精巣上体)にまで広がることも。
また1箇所だけの感染では済まないこともあり、行為によっては複数箇所に同時感染することもあります。
人によっては性器への感染は完治したものの、のどにはまだ菌が残っているといった場合、パートナーと互いに移しあうピンポン感染の原因にもなるので注意したいところです。
感染経路(原因)
淋病の主な感染経路は、性行為やそれに準ずる行為です。
ポピュラーなのはセックスですが、オーラルセックスや人によってはアナルセックスなどが感染の原因になってしまいます。
また感染部位に触れ、そのまま目をこすったりしてしまうと、手が感染経路になることもあります。
- 性行為(オーラルセックス、アナルセックスを含む)
- 感染部位に触れた手(手を介して目などに感染)
- キス(唾液を介して菌をもらう場合のみ、軽いキスでは感染可能性低い)
とは言っても、原因となる淋菌は弱い菌であり、キャリア(菌を持っている人)の粘膜から離れてしまうと数時間で感染性を失うほどの弱さです。
日光や乾燥、温度の変化に弱く、さらに消毒すれば簡単に死滅するため、人の身体の中でしか生きられません。
そのため入浴やトイレ、ドアノブ、洗濯など、日常生活で感染者を避ける必要はありません。
あくまでも性行為やそれに準ずる行為が感染経路になり、それ以外で淋病に感染することは稀なケースです。
主な症状
男性が性器に感染すると、尿道に炎症が起きることで次のような症状が出ます。
- 尿道にかゆみや違和感がある
- 排尿時の痛み
- 尿道から黄白色の膿性のドロっとした分泌物が出てくる
分泌物に関しては一度ぬぐい去っても、根元から押し出すようにすると再度出てきます。
そのため人によっては下着の陰部が当たる部分に汚れが付いたり、時間が経っていれば乾いてパリパリになった分泌物が確認されることがあります。
また、痛みや違和感については個人差があります。
そのため上記で述べた症状がないからといって、淋病に感染していないとは言い切れません。
もし気づかず悪化させてしまうと炎症が広がり「前立腺炎」や「精巣上体炎」を起こしてしまいます。
この場合、治っても感染時のダメージにより精子の通り道が塞がってしまい無精子症となるおそれがあります。
男性不妊の原因となり、将来的に子作りが難しくなることもあるので注意しましょう。
潜伏期間
潜伏期間とは、感染してから症状が出るまでの期間を指します。
この期間中に感染部位で淋菌が発育し、やがて炎症を起こすことで症状となって現れます。
潜伏期間には個人差があり、感染した部位や菌量によっても変わってきます。
- 2~7日(他の性病に対して早いのが特徴)
- ※クラミジアの場合1~3週間
※眼については感染から24時間で症状が現れるケースもある
ただし淋病については感染に気づかないケースもあるので必ずしも潜伏期間どおりとはいきません。
無症状のリスクもありえるだけに、潜伏期間をあてにして淋病への感染を個人で判断しないようにしてください。
他の性病との同時感染
淋病は他の性病と同時感染していることがあり、特に性器クラミジアとは20〜30%の割合で合併しているとされています。
どちらも尿道炎を起こすため症状がより自覚しやすいとされる淋病が疑われ、性器クラミジアが見逃されてしまいがちです。
ここ最近になって急増している梅毒や、淋病やクラミジアと並んで増えてきているマイコプラズマ・ウレアプラズマなど、尿道炎を起こす性感染症はいくつもあります。
またHIVについては他の性病にかかっていると、感染リスクが高まるおそれもあります。
淋病の治療をしても症状がなかなか治らないという人は、他の性病との同時感染を疑い、万が一のことをもし考えるのであれば性病検査は複数項目を受けるのが理想的です。
淋病の抗菌薬耐性化
淋病はとても厄介なことに、抗菌薬(抗生物質)の効かない耐性菌が増えているのが注視されています。
薬に抵抗力を持った菌に対しては十分な治療効果を得ることができず、抗菌薬の種類によっては効果が認められないケースもあります。
淋病は飲み薬だけでの治療がすでに難しくなっており、このまま抗菌薬耐性化がさらに進んでしまうと治療薬の選択肢は狭まっていくことが予想されます。
治らない病気ではありませんが、蔓延させないためには自己判断で治療を中断せず、完治させるまで治療を続けるようにしましょう。
淋病の予防方法
淋病に対しての予防接種などはありません。
また、感染経験があるからといって免疫も付かないことから、感染しないための予防がとても大切です。
- コンドームの装着
- 性行為は特定のパートナーに限定する
- 性風俗の利用はできるだけ控える
菌が存在している部位の粘膜が直に触れる機会を減らすようにすることで、感染リスクを大幅に減らすことができます。
また、性行為あるいはそれに準ずる行為をする以上は、淋病への感染を100%防ぐことは難しいと言えます。
それだけに定期的に性病検査を受けるのも、症状の悪化や感染拡大を防ぐための予防と考えましょう。
女性側への対策
女性側への対策としてあげられるのが、次のようなことです。
- 女性用コンドーム
- オーラルセックス用のコンドーム
あまり知られてはいませんが、コンドームは女性でも使えるものがいくつもあります。
使用するだけで膣やのどへの感染予防になり、正しい使い方を身につけられれば淋病への感染リスクを抑えられます。
- 女性器にキツい臭い
- 帯下(おりもの)の異常
↓
淋病やその他の性感染症のリスクも考えられる
いつもと違うと感じた時は、性行為はもちろん、のどへの感染の可能性を考えればオーラルセックスも控え、男性も膣分泌液には触れないよう注意しましょう。
淋病の検査方法
淋病の検査方法は、性器は尿、のどについてはうがい液によって、検体を採取して感染を調べていきます。
感染機会から24時間以上が経過していれば検査が可能です。
複数箇所への感染や合併症の可能性も踏まえて検査することもあります。
最近ではオーラルセックスが一般的になりつつあり、淋病がのどに感染しているケースが増加の傾向にあります。
そのため性器のみの検査では足らず、「のど→性器」への感染を防ぐためにも、性器とのどを一緒に検査するのが一般的です。
- ⇨ 性器とのど
- ⇨ 淋病(性器とのど)+性器クラミジア(性器とのど) など
また淋病などの性感染症は、外見だけで原因となる病原体を判断することはできません。
そのため症状の訴えと診察から別の性感染症の疑いもあれば、必要に応じて検査項目を追加していく流れになります。
なお、フィットクリニックでは郵送の検査キットを取り扱っています。
フィットクリニックの検査キットには、淋菌の他に咽頭淋菌、クラミジア、咽頭クラミジアが検査項目に含まれます。
淋病は他の性病と同時感染していることがあり、特に性器クラミジアは20~30%の割合で合併しているとされているため、あわせて検査を推奨しています。
検査キット | 価格 (税込) |
クラミジア | 淋菌 | 咽頭クラミジア | 咽頭淋菌 | トリコモナス | カンジダ | HIV | 梅毒 | B型肝炎 | C型肝炎 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
女性10項目セット | 33,000円 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
女性8項目セット | 29,000円 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
女性5項目セット | 25,000円 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
女性4項目セット | 23,000円 | ● | ● | ● | ● | ||||||
女性2項目セット | 6,000円 | ● | ● | ||||||||
男性10項目セット | 33,000円 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
男性7項目セット | 28,000円 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||
男性5項目セット | 25,000円 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
男性4項目セット | 23,000円 | ● | ● | ● | ● | ||||||
男性2項目セット | 6,000円 | ● | ● |
検査キット2個セット | 10%引き |
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マイコプラズマ検査 | +12,000円 |
送料 | 1万円以上で送料無料 ※一部例外有り(セット商品/代引き) |
なお、検査キットを2個セットで購入すると合計から10%引きとなります。
もしご自身が淋病に感染している可能性がある場合、パートナーも感染している可能性が高いため、2個セットで購入されることをおすすめします。
ご希望の方は以下のボタンよりお気軽にご予約ください。
なお、検査キットに関する詳しい内容については、以下のページをご確認ください。
淋病の治療方法
淋病の治療方法については、抗生物質が用いられます。
抗生物質は飲み薬のイメージがあるとは思いますが、基本的には「注射剤」による治療となり、症状によっては「ドライシロップ(粉薬)」が用いられるケースもあります。
- セフトリアキソン(ロセフィン)
⇨ 第一選択薬(静脈注射) - スペクチノマイシン(トロビシン)
⇨ 第二選択薬(筋肉注射) - アジスロマイシン(ジスロマックSR / ジスロマック点滴静注)
⇨ アレルギーなどから上記2種類が使用できない時に用いられる - クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(オーグメンチン配合錠250RS)
⇨ 経口投与。ただし内服のみでの治療は推奨されていない
このように飲み薬のみでの治療は推奨されておらず、さらに注射については個人使用はできないため、淋病治療は必ず医療機関に受診する必要があることは覚えておきましょう。
また検査によって淋病への感染が確認できれば、その日から治療ができます。
注射については1回のみで完治するケースが多いですが、感染に気づくのが遅れ、重症化しているようであれば回数や薬の用量を増やすため通院が必要になることもあります。
治療期間
淋病の治療期間については、2〜3週かかるのが一般的です。
ここで注意したいのが、以下の点です。
- 治療しても菌は身体からすぐには消えない
- 表面的に症状が治っても菌が感染部位に残っている可能性がある
こうした理由から、治療を受けてから経過をみる期間が必要になります。
治療後2〜3週間ほどの期間をあけて、そこから再検査によって「陰性(菌がいない)」の確認が取れれば完治です。
淋病は治療してから再検査までに一定期間かかるので、菌がいなくなったか確認できるまでが治療だということは忘れないでください。
治療後の性行為は?
注射による治療後7日間が経てば、性行為は可能とされています。
ただし、上記はあくまで目安であることと、以下の点にも注意が必要です。
- 1回の注射で治らないことがある
- 他の性感染症にも感染している場合がある
こうしたリスクが考えられ、ペアで治療を受けているのであればパートナーの予後にも影響があります。
どちらか一方が治っていなければ再感染することもあり、うつしうつされのピンポン感染によって症状が長引く原因にもなりかねません。
治療後7日で性行為はできるとされているものの、淋病の菌は強い感染力を持っています。
不安を残さないためにも、再検査によって陰性の結果が得られるまでは性行為を控えるのが望ましいと言えるでしょう。
よくある質問
国内では2番目に患者数が多く、その中でも20代の男性に感染者の報告が多いのが特徴です。
感染者の粘膜に触れてしまうと感染するおそれがあるため、男女の性器をはじめ、のどや肛門、眼などへも感染します。
そのため通常セックスだけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染することから、性行為やそれに準ずる行為には注意が必要です。
また原因となる淋菌については人の身体の中でしか生きられないので、日常生活でそこまで感染をおそれる必要はありません。
一方でディープキスに関しては、唾液を介して菌が侵入する可能性があるとされています。
ただディープキスによる感染報告はなく、感染部位の菌量は「尿道→子宮頸管→直腸→咽頭」の順に少なくなるため、性行為にくらべれば感染リスクは低いとも言えます。
いずれにしてもキスによる感染リスクはゼロではないため、不安であれば完治まではキスやディープキスも控えるようにしましょう。
・性器クラミジア
・マイコプラズマ・ウレアプラズマ
・トリコモナス
・大腸菌や腸球菌
など
診察する上で自覚症状は1つの判断材料にはなりますが、細菌やウィルスなどの種類が違えば治療方法も異なります。
まずは自覚している症状を医師に伝え、必要と考えられる検査によって何が原因かを特定するようにしましょう。
尿道から感染が広がってしまい前立腺や睾丸(精巣上体)にまで達してしまうと、無精子症といって男性不妊に陥るケースもあります。
風俗店でも検査は実施しているようですが、その方針は店舗によっても異なり、100%感染していないと言い切れないのが現状です。
利用頻度が高いのであれば、1ヶ月に1回を目安に検査を受けるようにしてみてください。
ただ1回の治療だけでは治らないケースもあり、もしパートナーも感染していれば相手の治療経過によっても性行為ができるようになるまで期間は異なるでしょう。
あくまでも目安と考え、感染に対する不安をなくすためにも治療後の治癒検査を受けてからにしてみてください。