EDの予防・改善方法として、運動や筋トレが紹介されることがあります。
これらの方法は、血管や全身の健康状態を改善し、EDの改善に役立つ可能性があります。
このページでは、ED改善に役立つ運動や筋トレ、実践する際の注意点、併用できる改善方法について解説します。
ただし、運動の種類によってED改善効果に関する医学的根拠の強さは異なります。
また、短期間での改善を保証するものではなく、効果には個人差があります。
運動や筋トレを実践してEDの予防や改善をしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
EDの治し方について詳しくは、以下のページで解説しています。 EDの治し方について
EDに運動・筋トレが有効な理由
運動や筋トレは、血流や心身の健康状態を整えることで、EDの予防・改善に役立つ可能性があります。
EDの予防・改善を支える可能性がある理由として、以下が挙げられます。
EDに与える影響
なお、ED(勃起不全)については、以下のページで詳しく解説しています。 ED(勃起不全)とは
血流の改善
運動は、血管や心肺機能の健康維持に役立ち、勃起に必要な血流を保ちやすくします。
勃起は、性的刺激によって陰茎の血管が広がり、海綿体へ血液が流れ込むことで起こります。
そのため、糖尿病や肥満などによって血管の状態が悪化すると、EDにつながる可能性があります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 肥満
- 喫煙
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、体重や血圧、血糖の管理に役立ち、血管性EDの改善にも良い影響を与える可能性があります。
テストステロンの維持
適度な運動や筋トレは、テストステロン値の維持に役立つ可能性があります。
男性ホルモンの一種であるテストステロンが低下すると、性欲の減退などが現れ、結果としてEDにつながる可能性があります。
そのため、テストステロンの維持は、男性の性機能の維持にもつながります。
- 神経伝達や血流の調節に関わるため、勃起機能に影響する
- テストステロン値が低下すると、性欲や興奮が低下しEDにつながる場合がある
- テストステロン値の低下は男性不妊、持久力の低下、肥満、更年期障害などに関係する場合がある
運動や筋トレを通じて肥満を予防し、筋肉量を維持するなど、テストステロン値の維持につながる生活習慣を整えることが大切です。
ただし、継続的な運動が安静時のテストステロン値を大きく上昇させるという結果は確認されていません。
テストステロンの働きや低下によるEDへの影響については、以下のページで詳しく解説しています。 EDとテストステロン(男性ホルモン)
ストレスの緩和
運動には、リラックス効果があり、ストレスが関係するEDの改善に間接的に役立つ可能性があります。
勃起には自律神経が関係しており、緊張や不安が強いと交感神経が優位になり、勃起しにくくなる場合があります。
特に、性行為へのプレッシャーや過去の失敗への不安は、心因性EDの原因になります。
ウォーキングなどの運動は、気分転換や緊張の緩和につながります。
ED改善に取り入れたい運動・筋トレ5選
ED改善を目的とする場合は、有酸素運動や骨盤底筋トレーニングなどを継続的に取り入れることが大切です。
特に有酸素運動は、複数の臨床試験をまとめた研究で勃起機能への良い影響が報告されています。
ただし、運動や筋トレによる効果には個人差があります。
PC筋・BC筋のトレーニング
PC筋・BC筋を含む骨盤底筋を鍛えるトレーニングとして、肛門開閉トレーニングがあります。
- 肛門に力を入れ、10秒ほどキープする
- ゆっくりと肛門の力を緩める
- ①②を10回繰り返す(1日3セット)
※回数は目安です
PC筋は恥骨尾骨筋、BC筋は球海綿体筋と呼ばれ、いずれも骨盤底を構成する筋肉です。
これらの筋肉は排尿や射精に関係するほか、勃起時に陰茎の根元を支える働きにも関係します。
PC筋・BC筋を含む骨盤底筋のトレーニングは、勃起機能の改善に役立つ可能性があります。
骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操
ケーゲル体操は、アメリカの産婦人科医が考案した、PC筋やBC筋を含む骨盤底筋を締めたり緩めたりするトレーニングです。
骨盤底筋を鍛えることで、勃起機能の改善に役立つ可能性があります。
- リラックスした状態でひざを立て床に仰向け、または椅子に座る
- 肛門を締める・緩めるを10回繰り返す
- 肛門を締めた状態で5秒間キープする
- 1~3を5回繰り返す
骨盤底筋トレーニングによる改善がみられる時期には個人差がありますが、ED患者を対象とした研究では、3か月時点で勃起機能の改善が報告されています。
無理のない回数と頻度で継続することが大切です。
下半身全体を鍛えるスクワット
スクワットは、下半身の筋力や全身の代謝を維持するうえで役立つトレーニングです。
下半身には大きな筋肉が集まっているため、鍛えることで血流や代謝の向上が期待できます。
スクワットで鍛えられる筋肉は以下の3つです。
- 大殿筋
(お尻にある人体最大の筋肉の一つ) - 大腿二頭筋
(ふとももの後ろにある大きな筋肉) - 大腿四頭筋
(ふとももの前面にある4つの筋肉の総称)
スクワット自体による直接的なED改善効果は十分に確立されていませんが、下半身の筋力維持に役立つ運動です。
運動習慣の改善は、肥満などEDに関連するリスクの軽減につながる可能性があります。
以下は、ED改善に良いとされるスクワットの方法です。
- 足を肩幅から腰幅に広げ、つま先を45度外側に向ける
- 手を後頭部で組むか胸の前に伸ばす
- 息を吸いながら、お尻を突き出すように腰を落とす
- 太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下げて、2秒ほどキープ
- 息を吐きながらゆっくりと立ち上がる
- 10回ほど繰り返し、3セットほど行う
厚生労働省は、成人に週2〜3日の筋力トレーニングを推奨しています。
毎日行う必要はないため、筋肉痛や疲労が強い日は休みましょう。
股関節の柔軟性を高めるストレッチ
股関節のストレッチは、骨盤や太もも周辺の筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を高めるのに役立ちます。
以下の手順で、股関節のストレッチ(開脚ストレッチ)を行いましょう。
- 両足を大きく開いて床に座る
(痛くない程度に) - 背筋を伸ばし、伸ばした脚の方に上体を倒す
- 反対側も同様に行う
継続的なストレッチは血管機能の改善に役立つ可能性があるものの、開脚ストレッチによるED改善効果は十分には確認されていません。
有酸素運動
有酸素運動は、血管内皮機能や体重、血圧、血糖などの改善を通じて、血管性EDの改善に役立つ可能性があります。
また、有酸素運動には脂肪燃焼効果もあるため、EDの原因である肥満や糖尿病、高血圧(生活習慣病)の予防にもなります。
以下はED改善に適した主な有酸素運動です。
効果的な有酸素運動
- ウォーキング
- 軽いジョギング
- 水泳
- 踏み台昇降運動
- エアロビクス
-
ハーフスクワット
(※通常のスクワットよりも浅めにかがむスクワット)
まずは1回20〜30分を週3回程度から始め、体力に合わせて時間や頻度を調整しましょう。まとまった時間を取れない場合は、手軽にできる運動を10分ずつに分けても構いません。
※すべての方にED改善効果が保証される運動量ではありません。あくまでも目安として体調などを考慮して行ってください。
運動する際の注意点
ED改善のための運動は、無理のない強度で継続することが重要です。
体調や持病を考慮せずに急に強い運動を始めると、けがや心血管系への負担につながる場合があります。
運動を始める際は、以下に注意してください。
- 運動習慣がない場合は、ウォーキングなど軽い運動から始める
- 痛みや強い疲労がある日は休む
- 息を止めたまま筋トレをしない
- 胸の痛み、強い息切れ、めまいが出たら中止する
- 心臓病、高血圧、糖尿病などの持病がある場合は医師に相談する
- 骨盤や会陰部に痛みがある場合は骨盤底筋トレーニングを控える
特に、以下のような運動や筋トレを行う際は注意が必要です。
-
長時間のサイクリング
長時間のサイクリング(またはエアロバイクなど)は、会陰部への圧迫が原因で血流を阻害することがあります。適切な休憩を取りながら行いましょう。 -
高強度の有酸素運動
マラソンなどの長時間にわたる高強度の有酸素運動によって、一時的にテストステロンレベルを低下させたという報告があります。体力や健康状態に合わせて運動量を調整しましょう。 -
過度の重量挙げ
非常に重い重量を扱う筋トレは、誤ったフォームや過度な負荷によって筋肉や関節を痛める可能性があります。体力に合わせて無理のない負荷で行いましょう。
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運動や筋トレよりも即効性のあるED対策
運動や筋トレはあくまでもセルフケアであり、長期的な継続が必要です。
ED治療では、PDE5阻害薬と呼ばれるED治療薬が一般的な第一選択の治療法です。
ED治療薬は性的刺激によって起こる陰茎への血流を補助し、服用した日に効果が期待できます。
運動とED治療薬はどちらか一方に絞る必要はなく、治療を受けながら運動や筋トレをして生活習慣を整えることも効果的です。
ただし、ED治療薬は健康状態や併用薬によって使用できない場合もあるため、医師の判断が必要です。
当院では、ED治療として各種ED治療薬の処方を行っています。ED治療薬について詳しくはこちらをご確認ください。
ED治療薬について
運動はEDの予防や改善をサポートする
運動は血流の改善や健康維持につながり、EDの予防や改善をサポートする可能性があります。
- 有酸素運動はED改善への良い影響が比較的多く報告されている
- 筋トレは体重管理や全身の健康維持を通じてED改善に役立つ可能性がある
- 骨盤底筋トレーニングは一部のEDに有効な可能性がある
- 改善しない場合は、原因に合わせてED治療を検討する
ただし、即効性は期待できず、ED改善にも個人差があります。あくまでもセルフケアとして考えましょう。
運動・筋トレなどを続けてもEDの症状が改善しない場合や、繰り返し起こるなどのお悩みがある方は、ぜひ当院の医師にご相談ください。
運動や筋トレとEDのよくある質問
-
- Q
ED改善で避けた方がいい運動や筋トレはありますか?
- A
EDの改善を目指す際は、体力や健康状態に合わせて運動を行うことが大切です。
過度な負荷や長時間の運動は、疲労やけがにつながる場合があるため、無理のない範囲で取り組みましょう。(例)
- 長時間のサイクリング
- 高強度の有酸素運動
- 過度の重量挙げ
- Q
-
- Q
運動によるEDの改善にはどれぐらいかかりますか?
- A
運動によるED(勃起不全)の改善には個人差があり、一律の目安はありません。
骨盤底筋トレーニングの効果を検討した一部の臨床試験では、3か月時点で勃起機能の改善が報告されていますが、すべての方が同じ時期に改善するわけではありません。
- Q
-
- Q
運動してもEDが改善しない場合はどうすればよいですか?
- A
運動を続けても改善しない場合は、EDの原因を確認したうえで治療を検討しましょう。
ED治療薬の服用だけでなく、糖尿病や高血圧などの原因疾患の治療、服用薬の見直し、心理的要因への対応などがあります。EDは複数の原因が重なって起こることも多いため、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
- Q
-
- Q
PC筋やBC筋を鍛えると勃起にどのようなメリットがありますか?
- A
PC筋(恥骨尾骨筋)やBC筋(球海綿体筋)は勃起時に陰茎の根元を支え、排尿や射精にも関わる筋肉です。これらを鍛えることで射精機能や性行為時の勃起維持に役立つ可能性があります。
- Q
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- Q
ケーゲル体操はどのような手順で行いますか?
- A
リラックスした状態で、ひざを立てて仰向けになるか椅子に座ります。肛門を5秒間締めた後、ゆっくりと緩めます。この動作を10回繰り返します。
- Q
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この記事の監修
(はっとり けいた)
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務


エアロバイクやサイクリングは有酸素運動として有効ですが、長時間サドルに座ることで会陰部が圧迫され、しびれが生じる場合があります。
サドル部分が勃起に関わる神経や血管を圧迫するため、長時間乗る場合はこまめに休憩するか、サドルの高さや形を調整するなどの対策を取りましょう。