薬剤性EDとは - 原因となる薬について徹底解説

更新日:2026/09/02
薬剤性EDとは - 原因となる薬について徹底解説

薬剤性EDとは、服用している薬の影響により、勃起しにくい、十分な硬さにならない、勃起を維持できないといった症状が現れるEDです。

病気の治療で服薬を始めることでEDなどの性機能障害となることから、若い世代でも薬剤性EDとなる可能性があります。

薬剤性EDについての概要

本記事では、薬剤性EDの原因となる薬や、症状が現れた場合の対処法について解説します。
薬剤性EDでお悩みの方や、常用薬がEDに関係しているか知りたい方は、是非参考にしてください。

ED(勃起不全)については、以下のページで詳しく解説しています。 ED(勃起不全)とは

このページの要点

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薬剤性EDの基礎知識と原因薬剤・改善方法の要点

服用薬の影響で起こるED

薬剤性EDとは、持病などの治療のために服用している薬の副作用によって、神経伝達や陰茎への血流が影響を受け、勃起しにくさや硬さの低下、中折れなどが生じる勃起不全のことです。

薬剤性EDを見分けるポイントと治療の流れ

原疾患と薬の副作用の判別
薬剤性EDか原疾患によるEDかを見分けるには、服薬開始・用量変更とED発症の時期を総合的に確認します。
降圧薬による勃起機能への影響
一部の降圧薬はEDと関連する場合がありますが、高血圧自体もEDのリスクが高い疾患です。
抗うつ薬・抗不安薬による性機能低下
一部の抗うつ薬では、性欲低下、勃起しにくさ、射精遅延などの性機能障害が起こる場合があります。
5α還元酵素阻害薬の副作用発現率
フィナステリドやデュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬では、勃起機能の低下や性欲低下、射精障害などが報告されています。
自己判断による服薬中断の回避と対処
急な服用中止や不規則な服用は、疾患の悪化や離脱症状につながる可能性があるため、自己判断を避けて処方医に相談します。

薬剤性EDに関するよくある質問(FAQ)

デュタステリドによる勃起不全は国内臨床試験でどの程度報告されていますか?
前立腺肥大症患者を対象にデュタステリド0.5mgを投与した国内臨床試験では、403例中13例(3.2%)に勃起不全が報告されています。これは5α還元酵素阻害薬全体の副作用発現率を示す数値ではありません。気になる症状がある場合は処方医に相談してください。
前立腺肥大症で処方されるα遮断薬は勃起に悪影響を与えますか?
α遮断薬には副作用として射精障害の報告が多いものの、勃起機能に関しては悪影響がないか、むしろ保護的に働くという調査結果が示されています。ただしED治療薬と併用する場合は注意が必要なため医師の指示に従ってください。
降圧薬を飲んで勃起しにくくなった場合、勝手に服用を止めても良いですか?
降圧薬を自己判断で中止せず、薬の変更や用量調整が可能か、ED治療薬を使用できるかについて、処方元の医師に相談してください。
精神科の薬(SSRIなど)を飲んでいる最中にED治療薬は併用できますか?
自己判断で併用せず、常用薬を医師に伝えてください。持病の薬と併用可能と医師が認めた場合は、ED治療薬の使用を検討できます。ED治療薬には併用禁忌薬や併用注意薬があります。

薬剤性EDとは

「薬剤性ED」は、常用している薬の副作用が原因で起きるED(勃起不全)の1つです。
持病で服用している薬が、性的興奮や性的機能に必要な神経伝達や血液流量に影響を及ぼす際に発症します。
このため、薬剤性EDと気づかずに精神的な問題や体調による原因だと思い込んで適切な治療が行われない場合があります。
それにより、症状が続いたり、心理的な負担につながることがあります。

精神科や心療内科で処方された薬を服用している方、基礎疾患があり治療薬を服用している方は、一部の薬により薬剤性EDの症状が現れる場合があります。
その他、薬だけでなく疾患自体が関係している場合もあります。

服部院長

疾患自体がEDの原因になる場合

薬を服用している方にEDが起きても、必ずしも薬の副作用だけが原因とは限りません。
治療中の疾患そのものが、勃起機能に影響している場合があります。

たとえば、高血圧や糖尿病、脂質異常症などは、血管や神経の働きを低下させ、陰茎への血流を妨げることでEDにつながることがあります。

また、うつ病や不安障害などでは、性欲の低下や心理的な負担が勃起機能に影響する場合があります。

薬剤性EDかどうかを判断するには、薬を飲み始めた時期や用量を変更した時期、EDが現れた時期、基礎疾患の状態などを総合的に確認することが重要です。

基礎疾患などが原因の器質性EDについては以下のページで解説しています。 器質性EDについて

薬剤性EDの原因となる薬

薬剤性EDの原因となる薬には、以下のような種類があります。
詳細は次の章で順に説明していきます(薬の種類をクリックすると説明に飛びます)。

薬の種類 薬剤名
降圧剤
  • ヒドロクロロチアジド(降圧利尿薬)
  • ニフェジピン(カルシウム拮抗薬)
  • メチルドパ、クロニジン(中枢作用性交感神経抑制薬)
  • プロプラノロール、アテノロール(β遮断剤)
抗うつ薬・
抗精神病薬・
抗不安薬・睡眠薬
  • トフラニール(三環系抗うつ薬)
  • パキシル、ジェイゾロフト(SSRI ※1
  • トレドミン(SNRI ※2
5α還元酵素阻害薬
  • フィナステリド(プロペシア)
  • デュタステリド(ザガーロ)
その他の薬剤
  • ゴセレリン(アンドロゲン除去療法で用いられる)
  • ステロイド剤、抗ヒスタミン薬、β刺激薬・抗コリン薬(呼吸器官・アレルギー用剤)
  • スタチン系、フィブラート系(脂質異常症治療薬)
など

※1・・・「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」の略称
※2・・・「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」の略称

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非ステロイド性抗炎症薬は、2012年度版のEDガイドラインでは薬剤性EDを引き起こす可能性があると記載がありましたが、その後の試験で他の薬剤や関節炎などの交絡因子による可能性が高いとされました。現在ではEDとの関連性は薄いと考えられています。

なお、薬剤性EDの原因となる薬の一部は、ED治療薬の併用注意薬に指定されています。

降圧薬によるED

そもそも高血圧は動脈硬化になりやすいため、EDになるリスクが高い疾患です。
降圧剤の服用中にEDを発症している場合、薬剤性EDの可能性があります。

主な降圧剤
  • ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、フロセミド、スピロノラクトン(降圧利尿薬)
  • ニフェジピン(カルシウム拮抗薬)
  • メチルドパ、クロニジン(中枢作用性交感神経抑制薬)
  • プロプラノロール、アテノロール(β 遮断剤)
  • アンジオテンシンII受容体拮抗薬
  • アンジオテンシン変換酵素阻害薬

降圧剤がEDに影響を及ぼす原因は諸説ありますが、動脈硬化による血圧の低下が陰茎への血流を悪くさせ、結果的にEDにつながるというのが通説です。
また、降圧剤を服用している高血圧の方と降圧剤を服用していない高血圧の方では、降圧剤を服用している方がEDとの関連が報告されているという研究結果が出ています。

抗うつ薬・抗精神病薬・抗不安薬・睡眠薬によるED

一部の抗うつ薬や抗精神病薬では、性欲の低下や勃起しにくさ、射精の遅れ、オーガズムに達しにくいといった性機能障害が現れることがあります。

性機能に影響する可能性がある主な薬には、以下のようなものがあります。

該当する主な医薬品
  • 三環系抗うつ薬(アモキサン、トフラニール など)
  • SSRI※1 (パキシル、ジェイゾロフト など)
  • SNRI※2 (トレドミン など)
  • 一部の抗精神病薬(リスペリドン、スルピリド など)
  • 一部の抗不安薬・睡眠薬(アルプラゾラム、エチゾラム など )

※1・・・「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」の略称
※2・・・「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」の略称

SSRIやSNRIなどの抗うつ薬、一部の抗精神病薬では、脳内の神経伝達やホルモンに影響し、性欲低下、勃起しにくさ、射精遅延などが起こる場合があります。
抗不安薬や睡眠薬でも、眠気や倦怠感によって性機能が間接的に低下することがあります。

ただし、うつ病や不安障害、不眠症などの症状自体が性機能に影響している場合もあり、薬だけが原因とは限りません。
必要に応じて、用量の調整や薬の変更、ED治療薬の使用を検討します。

5α還元酵素阻害薬によるED

フィナステリドやデュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬では、副作用としてEDを含む勃起機能の低下や性欲低下、射精障害などが報告されています。

EDに影響する5α還元酵素阻害薬
  • フィナステリド(プロペシア)
  • デュタステリド(ザガーロ)

5α還元酵素阻害薬は前立腺肥大を抑える用途だけでなく、AGA(男性型脱毛症)治療薬としても使用されています。

前立腺肥大症患者を対象にデュタステリド0.5mgを投与した国内臨床試験では、403例中13例(3.2%)に勃起不全が報告されています。 ※5α還元酵素阻害薬全体の副作用発現率を示すものではない

薬剤性EDの発現割合は比較的低いですが、服用の際は医師の判断を仰ぎましょう。

また、前立腺肥大症治療薬にはα遮断薬も用いられます。
射精障害の副作用が多く報告されているものの、勃起機能については影響がないか、むしろ保護的に働くという調査結果が出ています。

とは言っても服用の自己判断は危険なため、ED治療薬とα遮断薬を併用する場合は必ず医師の指示を守ってください。

その他の薬剤によるED(EDになりやすい薬)

その他、以下のような薬剤によって薬剤性EDが起こる場合があります。

分類 薬剤名・療法名
ホルモン剤 男性ホルモン抑制剤(GnRHアゴニスト・GnRHアンタゴニスト )・抗アンドロゲン剤
抗潰瘍薬 スルピリド、メトクロプラミド、シメチジン
呼吸器官・
アレルギー用剤
ステロイド剤、抗ヒスタミン薬、β刺激薬・抗コリン薬
脂質異常症
治療薬
スタチン系、フィブラート系
その他 髄腔内バクロフェン療法
(脊髄損傷患者の痙性治療)

※脂質異常症治療薬は一方でED改善の報告もあり、影響に個人差があります
※報告されている研究は小規模であり、すべての患者に起こるわけではありません

薬剤性EDは、薬の影響と疾患による影響を区別することが難しい場合があります。
そのため、高血圧やうつ病など持病がある方は、服薬開始後に性機能の変化がないかの確認や、医師に相談して健康状態をチェックする必要があります。

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薬剤性EDの改善方法

薬剤性EDの治し方は「医師の相談のもと薬の種類や用量の変更、休薬」「必要に応じてED治療薬の使用」となります。

薬の変更、減量、休薬が可能かどうかは自己判断せず、まず処方した医師に相談してください。
原因となる病気や薬の種類によって対応が異なるため、急な薬の服用中止や不規則な服用があると、疾患の悪化や離脱症状につながる可能性があります。

医師の診断により、持病の薬と併用可能と認められた場合はED治療薬の服用も有効です。
ただし、ED治療薬には併用禁忌薬や併用注意薬があるため、常用薬がある方は必ず自己判断は避け医師に報告する必要があります。 ED治療薬について

なお、EDの治し方について詳しくは以下のページで解説しています。 EDの治し方について

薬剤性EDが疑わしい場合は医師に相談する

ここまで、薬剤性EDについて解説しました。
最後に、本記事の内容をまとめてお伝えします。

薬剤性EDについてのまとめ
  • 薬剤性EDは、薬の副作用によって勃起不全となる症状を指す
  • 年齢が若くても発症する可能性がある
  • 薬とEDが発症した時期や疾患自体による影響を確認する
  • 処方薬の変更や用量調整は、医師に相談して検討する
  • 必要に応じてED治療薬を使用する

薬を飲み始めた後にEDの症状が現れた場合は、薬剤性EDの可能性があります。

ただし、EDの症状は、薬だけでなく、高血圧や糖尿病、うつ病、ストレス、睡眠不足など複数の要因が重なって起こる場合があります。

原因を正しく判断するためにも、自己判断で薬を調整せず、まずは処方した医師やEDを扱う医療機関に相談してください。

当院ではオンライン診療・対面診療によるED治療を行っています。気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。

薬剤性EDに関するよくある質問

  • Q
    薬の副作用で勃たなくなることはありますか?
    A
    はい。薬の副作用として、ED(勃起不全)になる場合があります。
    薬によっては性機能に影響することがあり、特に以下のような薬の場合、勃起不全や性的欲求低下の副作用として報告されています。
    • 降圧剤
    • 抗うつ薬・抗不安薬
    • 抗ヒスタミン薬
    これらは一般的な例であり、他にも多くの薬が性的機能に影響を与える可能性があります。
    しかし、個々の薬剤によって影響の程度やリスクは様々です。
    薬を処方してもらう場合は、必ず医師に相談してください。
  • Q
    薬を飲むと勃たなくなるのはなぜですか?
    A
    薬物が身体のさまざまな生理学的プロセスに影響を与えるためです。
    薬を飲むと勃たなくなる原因は複雑で、一般的なメカニズムには以下のようなものがあります。
    • 神経伝達物質の変化
    • 血管の収縮
    • ホルモンの変化
    • 心理的要因
    これらは一般的な原因であり、薬物によっては他のメカニズムによっても性的機能に影響を与えることがあります。
    重要なのは、薬物が個々の人に異なる影響を与えることであり、副作用のリスクを評価する際には医師との相談が不可欠です。
  • Q
    EDになりやすい薬はなんですか?
    A
    EDになりやすい薬として、降圧剤、抗うつ薬、前立腺肥大症治療薬などが挙げられます。
    降圧剤は血管収縮によりEDのリスクが高く、抗うつ薬も脳内神経伝達物質を変化させ、性的機能に影響を与える可能性が高いです。前立腺肥大症治療薬は、副作用として射精障害が多く報告されています。
    他にも、抗潰瘍薬、呼吸器官・アレルギー用剤、脂質異常症治療薬など、薬剤性EDの原因となる薬は多く存在します。
  • Q
    頭痛薬などの鎮痛剤はEDの原因になりますか?
    A
    一般的な解熱鎮痛薬とEDとの明確な因果関係は確認されていません。ただし、鎮痛薬の種類や基礎疾患、併用薬によって状況は異なります。服用後に勃起機能の変化を感じた場合は、自己判断で中止せず医師や薬剤師に相談してください。
  • Q
    風邪薬(抗ヒスタミン薬)でEDになりますか?
    A
    一部の風邪薬(抗ヒスタミン薬)では、眠気や抗コリン作用などが性行為や性機能に間接的に影響する可能性があります。ただし、抗ヒスタミン薬とEDとの明確な因果関係を示すデータは限られています。
  • Q
    デュタステリドによる勃起不全は国内臨床試験でどの程度報告されていますか?
    A
    前立腺肥大症患者を対象にデュタステリド0.5mgを投与した国内臨床試験では、403例中13例(3.2%)に勃起不全が報告されています。これは5α還元酵素阻害薬全体の副作用発現率を示す数値ではありません。気になる症状がある場合は処方医に相談してください。
  • Q
    前立腺肥大症で処方されるα遮断薬は勃起に悪影響を与えますか?
    A
    α遮断薬には副作用として射精障害の報告が多いものの、勃起機能に関しては悪影響がないか、むしろ保護的に働くという調査結果が示されています。ただしED治療薬と併用する場合は注意が必要なため医師の指示に従ってください。
  • Q
    降圧薬を飲んで勃起しにくくなった場合、勝手に服用を止めても良いですか?
    A
    降圧薬を自己判断で中止せず、薬の変更や用量調整が可能か、ED治療薬を使用できるかについて、処方元の医師に相談してください。
  • Q
    精神科の薬(SSRIなど)を飲んでいる最中にED治療薬は併用できますか?
    A
    自己判断で併用せず、常用薬を医師に伝えてください。持病の薬と併用可能と医師が認めた場合は、ED治療薬の使用を検討できます。ED治療薬には併用禁忌薬や併用注意薬があります。

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この記事の監修

フィットクリニック院長 服部圭太
フィットクリニック院長
服部 圭太
(はっとり けいた)

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務

参考サイト