器質性EDの原因と治し方を解説

更新日:24/07/08

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。

器質性EDの原因と治し方を解説

「器質性ED」とは、神経障害などの身体的な要因で発症するEDのことです。

器質性EDは放置していると症状が悪化し、勃起自体ができない「重度のED」になる可能性があります。

今回は器質性EDの症状や原因、治療方法を解説します。

自分が器質性EDかもしれない、と不安を感じている方や、器質性EDの改善法・治療法について詳しく知りたい方は、参考にしてみて下さい。

■この記事を読んでわかること

※クリックすると説明に飛べます

器質性EDとは

器質性EDとは、神経障害や血管障害といった身体的な原因によって引き起こされる勃起障害です。

具体的には、糖尿病などの生活習慣病での動脈硬化による血液循環の悪化や、脊髄損傷などによる神経の損傷が原因となります。

その結果、脳からの勃起命令が正常に伝達されない状態を指します。

以下は、器質性EDの特徴です。

●器質性EDの特徴
  • 性交時に勃起しない、または時間がかかる
  • 勃起時に十分な硬さが得られない
  • 朝立ちをしない
  • 中折れする

さらに、EDは器質性EDを含め以下の4つに分類されます。

名称 特徴
器質性ED 動脈硬化や神経の損傷などが原因のED
心因性ED 心理的、精神的なストレスが原因で起こるED
混合性ED 器質性EDと心因性EDが密接に関わったED
薬剤性ED 特定の薬剤の服用で起こるED

器質性EDの原因

器質性EDは、身体的な原因によって引き起こされます。

具体的には、神経障害、血管障害、内分泌機能障害が主な原因です。

これらの身体的なトラブルにより、陰茎への血液流入が阻害され、十分な勃起が得られない状態となります。

神経障害による器質性ED

神経障害は、神経に障害が生じることで、脳が興奮を感じても勃起命令が伝達しないために起こります。

神経障害によるEDの仕組み イメージ画像

器質性EDを発症しやすい神経障害は、以下の通りです。

神経障害による器質性EDの原因
不慮の事故
自動車やバイク事故などで脊髄損傷や骨盤を損傷し、神経が傷ついたり断裂してEDを発症
椎間板ヘルニア
器質性ED使用画像ヘルニア
椎間板の組織が脊髄や神経を圧迫することで、中枢からの神経伝達に影響が出てEDを発症
外科手術
器質性ED使用画像(外科手術)
前立腺がん、直腸がんなどの骨盤内外科手術の手術の際に神経が切断されてEDを発症
糖尿病
器質性ED使用画像(糖尿病)
糖尿病により骨盤神経の障害(糖尿病性抹消神経障害)が起こると、脳からの興奮が伝わりづらくなりEDを発症
脳梗塞
器質性ED使用画像(脳梗塞)
脳梗塞を経験したことで精神的なストレスやうつ状態になり、その結果性欲の減退や身体機能の低下が起こりEDを発症
パーキンソン病
ドパミンの物質の減少による運動障害。疾患に付随する肉体的なストレス及び精神症状(うつ・不安・無感動)によりEDを発症
多発性硬化症
器質性ED使用画像(多発性硬化症)
中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患。神経に損傷があり、陰茎まで通常通りに信号が送られずEDを発症

以上の表のように、器質性EDでも発症の要因は多岐にわたります。

中でも、糖尿病の患者のED発症率は高いです。

米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の調査によれば、糖尿病患者のEDの発症率は、正常な方の2〜3倍に昇り、さらに糖尿病ではない男性に比べて10〜15年も早くEDを発症する可能性があるとされています。

糖尿病をはじめとする神経障害とEDには、深い関係があるのです。

血管障害による器質性ED

血管障害によるEDの仕組み

血管が細くなり血流が悪くなることで、性器の海綿体に十分な血液が流れ込まなくなり、器質性EDを引き起こします。

この障害の主な原因は動脈硬化です。

動脈硬化は、陰茎の海綿体内の微細な血管でも起こります。

脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)も血管障害の一因です。

脂質異常症により血液がドロドロになり、血流が悪化してEDを引き起こします。

具体的な仕組みについては、以下の図1を参照ください。

血管障害

さらに、糖尿病は神経障害だけでなく、血管障害による器質性EDの原因にでもあります。

糖尿病によって動脈硬化や高血圧が起こり、血管が細くなることでEDに繋がるという仕組みです。

内分泌機能障害による器質性ED

EDの原因として挙げられるのが、内分泌機能の低下です。

内分泌機能の低下は、男性ホルモンのテストステロンが減少することで起こります。

テストステロンが減少する主な原因は、加齢やストレス、喫煙、飲酒などです。

テストステロンが低下することで起こる症状をまとめて「LOH 症候群(男性更年期障害)」と呼びます。

器質性EDは20代も発症するのか

20代であっても、器質性EDの発症の可能性はあります。

生活習慣が極端に悪かったり、極度の肥満であったりすることが主な原因です。

これらの因子があると、糖尿病や高血圧のリスクが高まり、結果的に器質性EDにもつながります。

●20代で器質性EDを発症する主な原因
  • 生活習慣が極端に悪い
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 高血圧

若いからと油断せず、健康に配慮した生活習慣を身に付けていきましょう。

なお、EDの発症を疑う初期症状については以下で解説しています。

器質性EDの治し方

器質性EDの改善には、原因となる疾患の治療や生活習慣の改善が必要です。

ただし、それらの根本治療には時間がかかるため、ED治療薬を併用しましょう。

神経が完全に切断されていると、ED治療薬での治療は期待できません。
投薬治療ではなく、海綿体・陰茎注射(ICI療法)が効果的です。

器質性EDの治し方は、以下の3つです。

以下、順に説明していきます。

ED治療薬の服用

先ほど説明した通り、生活習慣の改善には時間を要するため、並行してED治療薬による治療を行うことで改善が見込めます。

加齢によって血流の流れが悪くなっている場合や動脈硬化などの場合は、ED治療薬が効果的です。

当院で取扱いのあるED治療薬は以下の通りです。

有効成分によって、勃起力の強さや持続時間が異なります。

※スクロールしてご覧ください
※感じ方には個人差があります

       
  バイアグラ
バイアグラ
レビトラ(ジェネリック)
レビトラ(ジェネリック)
シアリス
シアリス
ステンドラ
ステンドラ
ザイデナ
ザイデナ
価格
(後発薬含む)
270円~1,600円 900円~1,200円 700円~1,600円 1,300円 1,000円
主な特長 一番知名度の高いED治療薬 即効性と強い勃起力が特長 持続時間が他の治療薬より長め バイアグラの効果はそのままに、より効果が持続アジア人向けに作られた新しいED治療薬
勃起の強さ 強い 最も強い マイルド 強い やや強い
効果持続時間 3~5時間 5~8時間 30~36時間 3~6時間 11~13時間
効果開始時間 30分~1時間 15~30分 1~4時間 15~30分 30分~1時間
食事の影響 受けやすい やや受けにくい 受けにくい 受けにくい 受けにくい
副作用 出やすい 出やすい 出にくい 出にくい 出にくい
有効成分 シルデナフィルクエン酸塩 バルデナフィル塩酸塩水和物 タダラフィル アバナフィル ウデナフィル

自分に適したED治療薬を、医師の判断のもと安全に処方してもらいましょう。

ED治療薬は血流促進効果が高いため、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヶ月以内の方は服用できません。
症状を確認してED治療薬を使用する必要があるので、必ず医師の判断を仰ぎましょう。

原因となる疾患の治療

糖尿病や高血圧など、原因となりうる疾患の治療を行うことで器質性EDを改善できる可能性があります。

糖尿病の場合、食事や運動、薬物療法などによる血糖管理が重要です。

また、高血圧の場合も同じく、適切な薬物療法や生活習慣の改善が必要となります。

これらの治療を行うことで、血管や神経の健康を維持することが可能です。

ただし、個々の症例によって治療方法や効果は異なります。

まずは専門の医療機関で検査を行い、根本の原因が何かを診断してもらいましょう。

生活習慣の見直し

生活習慣を見直すことでも器質性EDは改善できます。

●ED改善に有効な生活習慣
  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • 睡眠の質を向上させる
  • ストレスを解消する
  • 飲酒を減らす
  • 禁煙する
  • など

小さな試みでも、日々の積み重ねがEDの改善に繋がります。ぜひ今日から生活習慣の改善を心掛けましょう。

器質性EDについてまとめ

ここまで、器質性EDの原因や治し方について解説してきました。

以下、本記事の内容をまとめます。

  • 器質性EDは、神経障害、血管障害、内分泌機能障害によるEDのことを指す
  • 主な原因として、ヘルニア、糖尿病、脳梗塞、男性ホルモンの低下などが挙げられる
  • 20代でも器質性EDになる可能性がある
  • 生活習慣の見直しやED治療薬の服用によって、器質性EDは改善できる

器質性EDは命にかかわる疾患が絡んでいる可能性があるため、医療機関での診察が不可欠です。

フィットクリニックではED治療薬による治療を行っているため、人の目を気にせず受診できます。

医療機関はハードルが高いと思っている方にも推奨できる治療方法です。

ドクター
オンライン診療の診察料は無料です。ぜひ当院へお気軽にご相談ください。

器質性EDについてよくある質問

Q1
器質性EDの治し方は?
A1
器質性EDは、ED治療薬の使用と生活習慣の見直しによって改善できると考えられています。
ただ、生活習慣の見直しによるED改善は時間を要するため、投薬治療と併せて行うことが望ましいです。
また、器質性EDは糖尿病や脳梗塞などの疾患が潜んでいる場合もあるため、自己判断してはいけません。
必ず医療機関に相談の上、ED治療を行ってください。
Q2
器質性EDはどの科を受診すればいいですか?
A2
器質性EDを治療するためには、泌尿器科や男性専門のクリニックを受診しましょう。
器質性EDの場合、脳梗塞や糖尿病などの潜在的な健康問題が関与していることがあります。
そのため、医師の専門的な判断が欠かせません。
自己判断は避け、必ず医療機関で適切なED治療を受けましょう。
Q3
神経障害はEDの原因になりますか?
A3
神経障害はEDの原因のひとつです。また、神経障害によるEDを「器質性ED」と呼びます。神経に障害が生じることで、脳が興奮を感じても勃起命令が伝わらずEDを引き起こすのです。
器質性EDとなりうる神経障害は、糖尿病やヘルニアなどの身近な疾患も含まれます。
Q4
器質性EDの特徴は?
A4
器質性EDは、神経障害や血管障害による勃起不全の総称です。
主に糖尿病や動脈硬化など神経や血管に異常をきたす疾患が原因となり発症します。

具体的な特徴としては、

  • 性交時に勃起しない、または時間がかかる
  • 勃起時に十分な硬さが得られない
  • 朝立ちをしない
  • 中折れする
などが挙げられます。
器質性EDはEDの中でも原因がさまざまで自己判断が難しいため、必ず医療機関で医師の診断を受けましょう。
Q5
糖尿病でペニスが立たなくなるのはなぜですか?
A5
糖尿病が、血管障害や神経障害を引き起こすからです。
糖尿病によって動脈硬化や高血圧が起こり、血管が細くなることでEDを発症します。
また、糖尿病はこのような血管障害だけではなく、骨盤神経の障害(糖尿病性抹消神経障害)も引き起こします。
神経の損傷により脳からの興奮が伝わりづらくなり、EDを発症するという仕組みです。