鼻の下(人中)にできるニキビは、非常に目立ちやすく、早く治したいと感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、鼻の下ニキビの原因を解説しつつ、外用薬や内服薬、施術治療など、さまざまな治し方を取り上げています。
また、治療と併せて実践したい日々の肌ケアにも触れていますので、鼻下ニキビの早期改善と再発防止にお役立てください。
鼻の下ニキビの原因
鼻の下にニキビができる要因はさまざまです。
特に、以下の行動の影響が大きいとされています。
次の章では、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
ご自身に思い当たる節がないかを振り返りながら、鼻の下ニキビの改善に努めましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、皮脂の過剰分泌を引き起こし、鼻の下にニキビができる大きな原因のひとつです。
特に女性の場合、生理周期に伴ってホルモンの変動が起こりやすく、皮脂の分泌が増加してニキビができやすくなります。
さらに、睡眠不足や偏った食生活などもホルモンバランスを乱す原因となり、肌のターンオーバーにも悪影響を及ぼすことがあります。
鼻の下への刺激
鼻の下は日常生活の中で外部からの刺激を受けやすく、以下のような刺激がニキビの発生原因になってしまう場合があります。
- ティッシュ
- マスク
- 指
- 産毛処理のカミソリ
ティッシュで頻繁に鼻をかんだり、長時間マスクを着用したりしていると、摩擦で肌が傷つきやすくなってバリア機能が低下します。
無意識に指で触れることや、産毛処理でカミソリを使用する際の刺激も、毛穴に雑菌が繁殖しやすい環境を作り出します。
こうした外部刺激が積み重なり、鼻下の肌ダメージがニキビとなって現れてしまうのです。
ストレス
ストレスは「万病の元」と言われますが、ニキビも例外ではありません。
精神的に辛い日々が続いてしまうと、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌により、体に以下のような変化が起こります。
- 皮脂の過剰分泌
- 免疫力の低下
- ビタミンCの不足
- 生活習慣の乱れ
これらの変化により、ニキビの原因であるアクネ菌のエサとなる皮脂が増えてしまいます。さらに、免疫力の低下やビタミンCの不足、生活習慣の乱れも肌環境を悪化させ、ニキビができやすい環境を作り出してしまいます。
メイクや汚れを落とし切れていない
メイクや汚れを落とし切れていないと、毛穴詰まりを引き起こして鼻の下にニキビができる原因になってしまうことがあります。
メイクや汚れが残る
汗や皮脂と混ざって角栓ができる
毛穴詰まりによりアクネ菌が増殖
鼻の下にニキビが発生
角栓が毛穴を詰まらせることで、アクネ菌が好む高湿度の状態が保たれてしまい、最終的にニキビが発生してしまいます。
鼻の下ニキビは一日で治る?
鼻の下にできたニキビを一日で完全に治すのは難しいですが、適切なケアを行うことで治りを早めることができます。
冷やしたり、ビタミンを含むサプリメントの摂取など、自宅でできる簡単な対処法でも炎症を抑えるのに効果的です。
しかし、より早く気になるニキビを改善したい場合には、外用薬や内服薬の使用、さらに施術治療も効果的です。
これらをニキビの初期段階から取り入れることで、完治までにかかる時間を短縮したり、ニキビが広がらないよう予防する効果も期待できます。
詳しい治療方法や治療薬、施術については、次の章で解説していきます。
鼻の下ニキビの基本的な治し方
鼻の下にできたニキビの治りを早め、悪化させないためには、ニキビの状態に合わせた適切な治療が重要です。
最近のニキビ治療は軽症からでも受けることができ、症状の進行状況や症状に応じて、以下の治療法が選ばれます。
次の章では、それぞれの治療方法について詳しく解説していきます。
外用薬(塗り薬)
鼻の下(人中)のニキビに効果的な外用薬は、原因であるアクネ菌を殺菌する抗生物質や、古い角質を剥離させて毛穴詰まりを改善するものが使用されます。
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
ベピオゲル | 過酸化ベンゾイル |
抗菌作用・角質剥離作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
表皮のはがれ、肌の赤み、刺激感、乾燥など |
ディフェリンゲル | アダパレン |
面ぽう(コメド)の発生を抑制。 炎症性ニキビ(軽症〜重症)に有効 |
皮膚の乾燥や不快感、皮膚剥脱、肌の赤み、かゆみなど |
クリンダマイシンゲル | クリンダマイシン |
抗菌作用 炎症性ニキビ全般に有効 |
肌のつっぱり感、かゆみ、発赤、刺激感、ヒリヒリ感など |
デュアックゲル | クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル |
抗炎症作用・抗菌作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
乾燥、皮膚炎(接触皮膚炎、湿疹を含む)、皮膚剥脱、紅斑、適用部位反応(疼痛、皮膚刺激、発赤、変色を含む)、かゆみなど |
エピデュオゲル | アダパレン/過酸化ベンゾイル |
コメド発生を抑制・抗菌作用・角質剥離作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
皮膚刺激、皮膚疼痛、アレルギー性皮膚炎など |
※スクロールしてご覧ください
ニキビの状態によって使い分けられ、すでに炎症を起こしたニキビだけでなく、ニキビの初期段階である面ぽうに対しても使用することも可能です。
また、ぶつぶつが多数みられる場合、次に解説する内服薬(飲み薬)と併用するケースもあります。
内服薬(飲み薬)・サプリメント・漢方薬
鼻の下のぶつぶつが複数みられる場合、抗生物質や皮脂の分泌を抑える内服薬(飲み薬)が使用されます。
また、体質改善を目的としてビタミンCを主成分としたサプリメントや、漢方薬を処方することもあります。
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
イソトレチノイン | ビタミンA誘導体 |
皮脂分泌を抑えてニキビの発生や炎症を防ぐ。 重度のニキビに用いられる。 |
全身の皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、吐き気、嘔吐など |
ビブラマイシン | ドキシサイクリン | 抗菌作用でアクネ菌を増殖を抑える | 吐き気・嘔吐、食欲不振、発疹、発熱、腹痛、下痢など |
ミノマイシン | ミノサイクリン | アクネ菌の数を減らし、炎症を抑える | めまい感、吐き気、食欲不振、腹痛、嘔吐など |
ハイチオール | L-システイン | 酸化ストレスを防ぎ、色素沈着の予防をサポート | 吐き気、下痢など |
Lypo-C Vitamin C Lypo-C Vitamin C+D |
アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5) ビタミンD |
肌のターンオーバーを促し、ニキビによる色素沈着を防ぐ働きを持つ。 | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) | ケイガイ・レンギョウ・トウキ・シャクヤク・センキュウなど | 面ぽう(コメド)に他の治療が無効、または他の治療できない場合の治療として推奨 | 発疹・発赤、かゆみ、食欲不振、胃部不快感など |
※スクロールしてご覧ください
なお、抗生物質やイソトレチノイン(ビタミンA誘導体)は、耐性菌の発生や副作用から長期的な服用には適していません。
理想は1〜3ヶ月服用を続け、その後はベピオゲルなどの外用薬でニキビ改善を目指すのが一般的です。
施術治療
施術治療は、炎症を抑えたり、肌のターンオーバーを促すだけでなく、ニキビの後遺症である肌の凹凸(クレーター)や色素沈着などにも効果的な治療です。
■レーザー治療
炎症を抑え、肌ターンオーバーを促進。アクネ菌の除去や皮脂腺の縮小により、ニキビを減少させる。毛穴引き締めにより肌の凹凸改善にも効果的。
■ケミカルピーリング
トリクロロ酢酸や高濃度グリコール酸などを用いて、皮膚表面の古い角質を取り除き、毛穴詰まりの改善によりニキビの発生を防ぐ。ニキビ後遺症であるクレーターや色素沈着にも有効。
■イオン導入
ビタミンCやアミノ酸など、美白や抗炎症成分を肌の奥に浸透させてニキビ跡や炎症を抑える。肌回復をサポートし、敏感肌にも適した治療法。
こうした施術治療は、美容皮膚科(自由診療)で受けられます。
施術方法や肌に注入する成分などにも種類があるので、より効果的な方法を選ぶためには医師に相談することが大切です。
鼻の下ニキビのケア方法
ニキビの治療だけでなく、日々のケアによってニキビの悪化を防ぎ、再発を防止することも重要です。
鼻の下にニキビができやすい人は、生活習慣やスキンケアを見直すことで、肌の状態を整えることができます。
以下のケア方法を取り入れることで、ニキビの改善をサポートし、健康な肌を維持することが期待できます。
次の章で、それぞれのケア方法について詳しく解説していきます。
食事・睡眠・運動でホルモンバランスを整える
ホルモンバランスが乱れは皮脂の過剰分泌につながり、ニキビができやすくなります。
特に、睡眠不足や偏った食生活はホルモンバランスに大きな影響を与えます。
適切なケアとして、以下のポイントに注意してホルモンバランスを整えることが大切です。
■食事
ビタミンやミネラルをバランス良く摂取し、特にビタミンB群やC、亜鉛がニキビの予防に効果的です。また加工食品や糖分・脂質の過剰摂取は控え、栄養価の高い食事を心がけてください。
■睡眠
十分な睡眠をとることで、ホルモンのリズムが整い、肌のターンオーバーも正常に働きます。質の良い睡眠を確保するために、夜更かしは避け、1日7時間前後のまとまった睡眠を意識してみてください。
■運動
適度な運動は血行を促進し、肌の回復を助けることにつながります。ホルモンバランスも整い、ストレス解消にも効果的なため、ウォーキングやジョギングなど軽めな有酸素運動を取り入れてみてください。
これらの生活習慣を見直し、規則正しい生活によってニキビの予防につなげましょう。
ティッシュやマスクを天然素材のものに変える
日常的に使うティッシュやマスクが、肌に負担をかけている可能性があります。
肌が敏感、あるいはニキビができやすい方は、オーガニックコットンのティッシュや、綿やシルクコットンなどの天然繊維のマスクに変えることで、肌への刺激を軽減できます。
また、ウレタン製のマスクなど、比較的肌当たりが優しい素材を選ぶことも効果的です。
肌に触れるアイテムを見直すことで、鼻の下ニキビの予防につなげましょう。
むやみに鼻の下に触れない
むやみに鼻の下を触ってしまうと、指に付着している雑菌や汚れが移ったり、刺激がニキビを悪化させる原因になることもあります。
そのため、気になっても「触らない」ことを意識して、患部を安静に保つことが大切です。
また清潔に保つためにも、こまめに手を洗い、外用薬の使用時や無意識に触れた際に鼻の下に雑菌や汚れがつかないよう心がけましょう。
メイクや汚れをきちんと落とす
ニキビを発生・再発しやすい環境を作り出さないためには、メイクや汚れはその日にしっかり落とすことが欠かせません。
洗顔する際は、患部の負担にならないよう、以下のポイントを意識してみてください。
- ぬるま湯で洗う(人の体温ほどの温度)
- 泡で包み込むように優しく洗う
- ゴシゴシ洗わない
- 肌の刺激にならないメイク落としや洗顔成分を選ぶ
- 朝と晩の1日2回洗う
ニキビがあると、ついゴシゴシ洗ってしまったり、洗顔頻度を増やしてしまいがちですが、これは逆効果です。
適切な方法で肌に負担をかけず、清潔を保つよう意識しましょう。
まとめ:鼻の下は外部の刺激でニキビができやすい。こまめにケアしよう
ここまでの内容を簡潔にまとめると、以下のポイントが重要です。
- 鼻の下のニキビは、生活習慣やストレス、メイクや汚れの残留が原因になる
- 外用薬や内服薬での治療が基本
- 施術治療は、ニキビ跡やしつこい症状に対して効果的
- 日々の適切なケアを行うことで、ニキビの予防や再発防止につながる
鼻の下(人中)にニキビができやすい環境を作らないためにも、早めの対策と継続的なケアが重要です。
また、ニキビ治療は軽症からでも受けられるため、再発を繰り返している場合や気になるようであれば早めに医療機関に受診することをおすすめします。
鼻の下のニキビのよくある質問
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- Q
鼻の下ニキビの即効性ある治し方はありますか?
- A
鼻の下ニキビをすぐに治すことは難しいです。
少しでも早く直したい場合には、セルフケアだけでなく、皮膚科や美容皮膚科で処方される医薬品(内服薬・外用薬)や施術治療が有効です。
- Q
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- Q
鼻の下ニキビが繰り返しできるのはなぜですか?
- A
鼻の下ニキビが繰り返しできるのは、外部刺激やホルモンバランスの乱れなどがあげられますが、体質的な問題も影響している可能性があります。
ニキビの原因は必ず1つに限らず、生活習慣やスキンケアが不十分な場合も再発を引き起こす引き金になります。
- Q
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- Q
人中ニキビの原因は何ですか?
- A
人中ニキビの原因は、ホルモンバランスの乱れ、皮脂の過剰分泌、メイクや汚れの洗い残し、ストレス、外部からの摩擦(ティッシュやマスクなど)があげられます。
特に鼻の下は外部刺激を受けやすい部位であり、これらのさまざまな原因が重なることでニキビが発生しやすくなります。
- Q
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