
デコルテから胸にかけては皮脂腺が発達しているので皮脂が多く、汗もかきやすいためニキビができやすい部位です。
本記事では、胸ニキビ(デコルテニキビ)の原因を詳しく解説し、日常的なケアや薬を使った治し方についてもご紹介します。
胸にできたできもの(しこり)と内臓疾患・乳がんとの関連性にも触れているので、ご参考になさってください。
胸ニキビ(デコルテニキビ)が治らない原因
胸ニキビ(デコルテニキビ)の発生にはさまざまな原因が影響しています。
デリケートな胸元は、日常生活の些細な刺激でもニキビができやすいです。
主な原因について、次の章で詳しく見ていきましょう。
髪の毛や衣服、アクセサリーの刺激
髪の毛や衣服、アクセサリーは体に触れることで刺激となり、胸元にニキビを発生させる原因になります。
■胸ニキビが発生しやすい刺激

タイトや衣服は胸元を締め付けるため、摩擦が肌への刺激になって胸ニキビを発生させてしまうことがあります。
また、長時間の着用による蒸れが生じると、アクネ菌が好む高温多湿な環境がつくられ、胸ニキビがさらにできやすくなります。

髪の毛やアクセサリーに付着した皮脂や汚れ、汗による毛穴が詰まりが、胸ニキビの原因となります。さらに、こうした刺激が繰り返されると肌表面の皮脂膜が損なわれ、角質層の機能も弱まり、外部刺激に対しても敏感な状態になってしまいます(胸ニキビが繰り返し発生しやすくなる)。
こうしたダメージの蓄積が肌に負担をかけ、胸ニキビができやすい状態を引き起こします。
洗剤や汗の残留

胸ニキビの原因のひとつに、洗剤や汗の残留による肌への刺激があげられます。
以下のようなことが肌に負担をかけ、ニキビを発生させることがあります。
■洗剤の使いすぎによる肌への刺激
洗濯時に洗剤を過剰に使用すると衣類に成分が残りやすくなり、その成分が肌に触れることで刺激となります。この刺激が肌を敏感な状態にし、胸ニキビの原因となります。
■発汗量の多い胸元
胸などの体幹部は手足のような末梢部よりも発汗量が多く、汗がたまりやすい環境となっています。この汗が肌を湿らせた状態にし、胸ニキビを発生しやすくします。
■デコルテや谷間など、汗が溜まりやすい凹凸の部分
デコルテや谷間といった凹凸のある部位は汗が溜まりやすく、乾きにくい箇所です。
ここに汗が残ることで肌が蒸れやすくなり、胸ニキビが発生しやすくなります。
胸元の肌は汗や洗剤の影響を受けやすく、日常の些細なことが胸ニキビの原因になりやすいのです。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、胸ニキビができる大きな原因のひとつです。
私たちの体は、ホルモンの働きによって様々な機能をコントロールされており、中でも性ホルモンは皮脂の分泌を調節する働きもあります。
このバランスが崩れると、皮脂が過剰に分泌され、毛穴が詰まります。
性ホルモンのバランスは生理前や思春期の時期などに男女問わず乱れやすくなり、胸ニキビができやすくなります。
胸ニキビ(デコルテニキビ)の改善・予防法

胸ニキビ(デコルテニキビ)の改善には、生活習慣や日常の工夫が大切です。
胸元は刺激を受けやすい敏感なエリアのため、次のようなポイントを意識してケアしましょう。
こうした日常のケアを取り入れることで、胸ニキビのリスクが減るだけでなく、その他肌トラブルの予防にもつながります。
それぞれ解説していくので、できることから実践してみてください。
髪の毛や衣類、アクセサリーなど外部刺激を避ける

胸元のニキビは、髪の毛や衣類による摩擦で刺激を受けやすくなります。
髪の毛が直接触れないように結んだり、衣類は締め付けの少ないデザインを選んだりすると、肌への負担が軽減されます。
特におすすめの素材は、通気性と吸湿性に優れた「コットン」「リネン」「シルク」です。
これらの素材は汗を吸収しやすく、肌を乾燥させにくい特徴があります。
また、金属製のアクセサリーは汗で錆びやすく、肌荒れの原因となることもあります。
胸ニキビができた時はなるべく着用を避けるか、つけたままにせずに、使用後は丁寧にお手入れをして清潔に保ちましょう。
適量の洗剤を使う

洗剤が多すぎると、しっかりすすいでも衣類に残りやすく、これが肌への刺激となり胸ニキビの原因となります。すすぎは十分に行い、洗剤残りを防ぐよう心がけましょう。
また柔軟剤も肌に刺激を与えることがあるため、肌にやさしい敏感肌用や低刺激タイプの製品を選ぶと安心です。
特にデコルテ部分に触れる衣類や寝具は、肌に優しい洗濯方法でケアすることを推奨します。
こまめに汗を拭き取る

汗をそのまま放置してしまうと肌表面に残った汗や皮脂が毛穴を詰まらせ、胸ニキビの原因になることがあります。
また汗には皮脂や古い角質などが混ざっており、時間が経つと細菌が繁殖しやすくもなります。
この状態が続くと毛穴が詰まって炎症を引き起こし、胸ニキビへとつながる可能性があるため清潔な状態を保つことが重要です。
特にデコルテ部分は皮脂が溜まりやすく、外部からの刺激も受けやすい敏感なエリアです。汗をかいた際は、柔らかいタオルや汗拭きシートで押し当てるようにして優しく拭き取り、肌を清潔に保つよう心がけましょう。
ホルモンバランスを整える

ホルモンバランスの乱れは皮脂分泌を増加させ、胸ニキビの原因になることがあります。
日常生活の中でホルモンバランスを整えるために、次のような生活習慣を心がけましょう。
●バランスの取れた食事
栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。特にビタミンB群やビタミンC、食物繊維が豊富な野菜、たんぱく質を含む食材を積極的に摂ることを推奨します。
●十分な睡眠
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復や再生を助けます。毎日7〜8時間のまとまった睡眠を目安に、質の良い睡眠をとるようにしましょう。
●ストレス管理
ストレスはホルモンバランスを乱す大きな原因のひとつです。好きなことをしてリラックスできる時間を作る、深呼吸や趣味に打ち込むなど、自分に合ったストレス解消法を見つけてみましょう。
●適度な運動
適度な運動は血行を促進し、ホルモンバランスの調整をサポートします。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を取り入れることで全身の代謝も高まります。
1日トータル20分程度で構わないので、日常的に体を動かすことを意識しましょう。
市販薬を使用する

胸ニキビは汗や衣服の摩擦など、日常生活の影響を受けやすい部位であるため、セルフケアだけでは改善が難しい場合があります。
市販薬としては、デコルテ周りにも使用できる「クロマイ-n軟膏」などが挙げられますが、すべてのニキビに効果があるわけではありません。また、ステロイド成分を含む製品を誤った方法で使用すると、症状が悪化する可能性もあります。
そのため、胸ニキビの根本的な改善を目指すには、医療機関で処方される薬が有効です。
胸ニキビ(デコルテニキビ)を根本から改善する方法
胸やデコルテのニキビを根本から改善するには、医療機関での治療が効果的です。
以下は、医療機関で処方される薬の一例です。
胸やデコルテのニキビは衣服の摩擦による影響を受けやすいため、薬が落ちる心配のない「内服薬」での治療が推奨されます。
胸ニキビの主な治療薬・サプリメント
製品名 | 効果・特徴 |
---|---|
イソトレチノイン![]() |
皮脂の過剰分泌を抑制 ニキビの発生を根本的に抑制・再発予防 |
ハイチオール (飲み薬) |
酸化ストレスの予防 ニキビ跡の色素沈着予防 |
シナール (飲み薬) |
肌のターンオーバーを整え活性酸素を抑制 ニキビ跡の色素沈着を予防・改善 |
Lypo-C Vitamin C![]() ![]() |
活性酸素を抑制してニキビの炎症を軽減 肌のバリア機能向上 |
エピデュオゲル (塗り薬) |
抗炎症作用・抗菌作用 炎症性ニキビに有効 |
デュアックゲル (塗り薬) |
毛穴の閉塞を予防 炎症性、非炎症性どちらのニキビにも効果 |
ビタミンCサプリメントは肌の代謝をサポートするため、ニキビの改善にも効果的です。ビタミンは皮脂の分泌抑制や、肌のターンオーバー正常化にも作用します。
フィットクリニックのイソトレチノインニキビ治療
フィットクリニックでもイソトレチノインを用いた胸ニキビ・デコルテニキビ治療を行っております。
イソトレチノインはニキビの改善だけでなく再発抑制効果も報告されており、ニキビの根本治療に最適なお薬です。
オンライン診療のため、忙しい方でも通院の負担なく治療を開始できます。
詳細は以下のボタンからご覧ください。
胸ニキビ(デコルテニキビ)とカビの関係性

胸ニキビ(デコルテニキビ)はアクネ菌だけでなく、同じ常在菌の一種である「マラセチア菌」が関係していることもあります。
マラセチア菌は脂を栄養源とするカビの仲間で、皮脂腺が発達している部位で増殖しやすい傾向にあります。
この菌が毛穴で増殖してしまうと炎症が起き、「マラセチア毛包炎」と呼ばれる胸ニキビと似た症状を引き起こすことがあります。
そのため胸やデコルテ部分には、ニキビとマラセチア毛包炎の2つの皮膚疾患が混在している場合があるのです。
●あせも(汗疹)
汗腺が詰まり、汗が皮膚内に溜まることで起こる炎症
●粉瘤(アテローム)
皮脂や角質の蓄積により膨らむ袋状のしこり
炎症を起こすと赤く腫れる
胸ニキビ以外の皮膚疾患の疑いがある場合は、悩まず医師に相談することが望ましいです。
胸ニキビと内臓疾患の関係性
胸ニキビは必ずしも内臓疾患が原因で発生するわけではありません。
ただし、内臓の働きが低下すると代謝や老廃物の排出に影響を与え、結果として肌の調子の悪化に繋がりニキビが発生する可能性があります。
症状が長引く場合は、医療機関へご相談ください。
胸元のしこりニキビ(できもの)と乳がんの腫瘍の違い

胸元にできたしこりが乳がんではないかと不安になるかもしれませんが、乳がんのしこりと胸ニキビのしこりは特徴が異なります。
胸元にできたニキビが悪化すると、しこり(結節)となって腫れあがることがあります。
これは慢性的な炎症と毛穴の閉塞により、内容物が排出できなくなってしまうためです。
胸ニキビのしこりは触ると痛みを伴うことが多く、放置すると治るのに時間がかかったり、ニキビ跡が残ったりする可能性があります。
しこりニキビと乳がんの腫瘍の違い | |
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しこりニキビ | 触ると痛む、色素沈着する(ニキビ跡になる) |
乳がん | 痛みは無い、硬い、押しても動かない |
乳がんのしこりは乳腺の内部にできるため、通常は痛みがありません。
しこりに不安があるようであれば、専門的な診断を受けることが安心です。
まとめ:胸ニキビ(デコルテニキビ)の原因はさまざまなので医師に相談が安心
胸ニキビ(デコルテニキビ)は日常生活の些細な習慣や外部からの刺激など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、セルフケアだけでは改善が難しい場合もあります。
- 胸元はデリケートなため日常生活の影響を受けやすい
- アクネ菌とは別の「マラセチア菌」が原因となる場合がある
- 悪化するとしこり(結節)になり、ニキビ跡になる場合がある
- しこりのある胸ニキビは痛みを伴いやすく、乳がんによるしこりとは異なる
- 市販薬では対応できるニキビ症状が限られる
- セルフケアよりも医療機関処方の薬を使う方が効率的に治せる
- ライススタイルの見直しが胸ニキビの回復をサポートする
胸ニキビ(デコルテニキビ)は、原因を正確に見極めることが大切です。
セルフケアで改善がみられない、または悪化しているようであれば、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けることを推奨します。
胸ニキビのよくある質問
-
- Q胸ニキビの原因は内臓ですか?
- A胸ニキビの原因が内臓そのものの不調とは限りませんが、内臓の働きが代謝に影響を与え、老廃物が体内に溜まることでニキビができやすくなる可能性はあります。
特に、腸や肝臓の働きが鈍くなると老廃物が排出されにくくなり、肌に影響を及ぼすことがあります。
- Q
-
- Q胸やデコルテのニキビに効く最強の市販薬はありますか?
- A胸やデコルテのニキビに効果的な市販薬として、以下の成分を含む製品があげられます。
ベンゾイル過酸化物(BPO):強力な殺菌作用がある
サリチル酸:角質を柔らかくし、毛穴の詰まりを解消する効果がある
イオウ:抗菌作用と角質軟化作用がある
ただし、これらの成分が肌質に合わないケースもあるため、購入時には薬剤師に相談することを推奨します。
また、胸やデコルテのニキビは、マラセチア菌が原因で炎症が発生する場合もあります。
市販薬で改善が見られない場合や症状が悪化する場合は、皮膚科専門医に相談して適切な治療を受けると安心です。
- Q
-
- Qデコルテのニキビが治らないのはなぜですか?
- Aデコルテのニキビが治らない理由には、いくつかの要因が考えられます。
- 外部刺激による悪化
- 原因菌の違い
- 生活習慣やホルモンバランスの乱れ
- 適切な治療がされていない
必要に応じて医療機関で診察を受け、症状に合った適切な治療で効果的かつ効率的に改善を目指せます。
- Q
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- Q胸にできたぶつぶつはニキビですか?
- A胸にできたぶつぶつはニキビのほか以下のような皮膚疾患の可能性があります。
- マラセチア毛包炎
- あせも(汗疹)
- 粉瘤(アテローム)
ニキビ以外の皮膚疾患が疑われる場合は、専門医にご相談ください。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
イソトレチノインについて | |
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未承認医薬品等であることの明示 | イソトレチノインは日本国内では未承認医薬品となります。 |
入手経路等の明示 | 厚生局の正式なプロセスを経て、当院医師の判断により輸入しています。 |
国内の承認医薬品等の有無の明示 | 同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。 |
諸外国における安全性等に係る情報の明示 |
・FDA(米国食品医薬品局)など諸外国において承認されています。 ・胎児の催奇形性、鬱、肝機能障害、皮膚や粘膜の乾燥などの副作用のリスクがあります。 ・妊娠中の方・授乳中の方は使用できません。 |
医薬品副作用被害救済制度について |
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万が一重篤な副作用が出た場合は、日本国における医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。 |
専門の医師の診察を受け、胸ニキビの原因に合わせた効果的な治療を進めていきましょう。