そのため治す方法というのはなく、落ち着くのを待つというのが一般的です。
またストレスなどは決して髪に影響を与えないので、心身の健康を保つように心がけてみてください。
妊娠から出産にかけて、女性の体にはさまざまな変化が起こります。
そのうちの1つに産後の抜け毛があり、出産経験がある人でもその抜け毛の量には驚くでしょう。
このページでは産後の抜け毛が起こるタイミングやピーク、その期間や原因と対策について詳しく解説していきます。
すでに悩まれている人はもちろん、出産を控えている人も心の準備もかねて参考にしてみてください。
産後、急に抜け毛が増えることを「出産後脱毛症」や「分娩後脱毛症」などと呼びます。
髪は1日で50〜100本ほどでは抜け落ちていますが、産後の抜け毛は多い人で200本以上抜けてしまうと言われています。
髪全体のボリュームダウンや地肌の透け、額の生え際あたりが後退していくなど、びまん性脱毛症に似た症状が現れるため、急な見た目の変化に驚くママさんも多いです。
出産に伴い起こる症状ですが、いつ頃からはじまり、いつ終わるのか、気になるところです。
正しい知識を持っていれば不要に心配する症状でもないので、まずは産後の抜け毛の期間について確認しておきましょう。
産後の抜け毛が始まる時期には個人差がありますが、出産後2〜3ヶ月目が目安です。
ちょうど「魔の3ヶ月」と呼ばれる大変な時期に抜け毛が増えるため、追い討ちをかけるように抜け毛が一気に増えるようになります。
産後の抜け毛は、髪を洗っている時、ブラシをしている時、床のカーペットに目をやった時など、 育児の合間のふとした時に気づきやすいものです。
心も体も疲れている状態で経験したことのない量の抜け毛を目の当たりにして、ショックを隠しきれない人も珍しくありません。
ここで1つ覚えておきたいのが、出産した女性のほとんどが産後の抜け毛を経験します。
そのため、決して自分だけではないだけに、「今は仕方ない」と割り切ることも大切です。
産後の抜け毛がいつまで続くのか不安なところですが、そのピークは出産後4〜6ヶ月目だと言われています。
この時期が産後の抜け毛の峠になり、ここを乗り切れば抜け毛量は徐々に減っていきます。
この時期になると赤ちゃんにも変化が出て、ハイハイができるようになり、成長の早い子は伝い歩きをし始めるタイミングです。
自分で動き回ろうとするので片時も目が離せないだけに、髪の心配どころではないかも知れません。
意外と気がつけば産後の抜け毛が終わっていた、なんてこともあります。
産後の抜け毛のピークを抜け切ると体の回復とともに、本来の自然なヘアサイクルになり新たな髪の成長が始まります。
1ヶ月に平均で1cmほど髪は伸びるので、大体6ヶ月〜1年かけてボリュームダウンや地肌の透け感が目立たなくなります。
また出産を機に、ケアに時間がかけられない、授乳の邪魔、赤ちゃんの口に髪が入らないようになど、さまざまな理由から髪を短くするママさんもいます。
そのためショートヘアの人であれば、もう少し短い期間で新たな髪の成長を実感しやすいものです。
産後の抜け毛の原因として考えられているのが、次の3つです。
産後の抜け毛の原因 | |
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中でも特にホルモンによる原因は大きく、妊娠中と出産時ではホルモンバランスの変化により、体の中ではさまざま変化が起こります。抜け毛もその一つです。
ただし、産後の抜け毛はあくまでも疾患ではなく自然な症状だと覚えておきましょう。
ここからは産後の抜け毛の3つの原因について、もう少し詳しく見ていきましょう。
妊娠後期に入ってくると、女性の体内ではエストロゲン(卵胞ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンの分泌が一時的に増えます。
エストロゲンには以下の3つの種類があります。
中でもエストラジオールには、ヘアサイクルの成長期を延長させる働きがあることがわかっています。
ただし出産後は、エストロゲンの分泌が正常に戻ります。
抜け毛の増える理由は、それまで成長期にあった髪が休止期(抜ける時期)に入り、それらが抜け毛となって現れるためです。
ヘアサイクルとは毛周期とも呼ばれ、髪が生えてから抜けるまでの周期を指します。
ヘアサイクルのほとんどを占めているのが成長期になり、その長さはホルモンの関係から男女で異なるとされています。
男性:2〜5年 | 女性:4〜6年 |
成長期は髪全体の80〜90%ほどあり、成長スピードが緩やかになる退行期と、抜ける時期にあたる休止期はそれぞれ10〜20%ほどの割合です。
このように、今生えている髪がずっと生えているわけではなく、ヘアサイクルにより常に新しい髪に生まれ変わりながら一定の毛量が保たれている訳です。
特に1人目の不慣れな子育てとなると頑張りすぎてしまい、気付けばゴールのない迷路に迷い込んだような錯覚に陥ってしまうものです。
やがてはスムーズにいかない子育てをストレスに感じ、それが原因で髪を弱らせてしまうことがあります。
体がストレスを受けると、交感神経(自律神経)が働き続けてしまうため、休まることのない、ある種の緊張状態が続いてしまいます。
すると血管が収縮することで血流が悪くなり、細い血管を使ってエネルギーを補給している髪にとってもダメージになりかねません。
そのためストレスも、産後の抜け毛を悪化させている原因の1つと言えます。
産後は以下の理由から、栄養不足に陥りやすいと言われています。
この他にも育児に追われて、自分の食事内容をおろそかにしてしまうケースも見受けられます。
覚えておきたいのが、髪のほとんどはタンパク質によって造られています。
栄養が不足していると生命維持に必要な器官に優先的に回されるため、髪への栄養補給は後回しになります。
すると髪の健康は損なわれてしまい、発育が不十分な細く短い髪が増えたり、抜け毛となって産後の抜け毛を加速させる原因になってしまうのです。
産後の抜け毛は個人差があるものの、ほとんどのママさんが避けて通ることはできません。
自然現象なので、気に病むことも特にありませんが、「もしこのままだったら…」と思う方もいるかも知れません。
なるべく日常生活でできる対策やケアを行いたいものです。
こちらでは、今日からでもできる正しい対策・ケアをいくつかご紹介させていただきます。
「髪にはどんな栄養が必要?」と聞かれても、意外と答えられる人は少ないです。
まずは髪の健康を整えてくれる栄養にはどんなものがあるのか、簡単に表にまとめたので確認してみましょう。
タンパク質 | 髪を構成するケラチンの元になる成分。 |
シスチン | 髪にハリコシを与え強くする働きがあるアミノ酸。 |
亜鉛 | ケラチンの合成を助け、薄毛の要因5αリダクターゼを抑制するミネラル。 |
ヨード | 毛母細胞を活性化させる働きのあるミネラル。 |
ビタミンC | 血流を改善し、亜鉛の吸収を助ける働きのあるビタミン。 |
ビタミンB2 | 皮脂の分泌を抑え、毛母細胞の分裂を促す働きのあるビタミン。 |
ビタミンB6 | ケラチンの合成を補助する働きのあるビタミン。 |
イソフラボン | 5αリダクターゼを抑制し、女性ホルモンと似た働きのある大豆ポリフェノール。 |
コラーゲン | 頭皮環境を整え、血流を改善する働きのある成分。 |
タンパク質は髪の材料になり、それをスムーズにしてくれるのがビタミンやミネラルの役割です。
つまりどれが髪に良いというわけではなく、バランスのとれた食事が大切です。
ただし、育児に追われて座ってご飯を食べる暇がないという人もいるはずです。
育児をしていない時でも完璧な食生活というのはそう簡単ではないので、小分けにして食べたり、余裕がある時にはバランスを意識して食事を摂るようにしてみましょう。
睡眠は髪の成長のゴールデンタイムと言われるため、まとめて6〜7時間の睡眠を摂るのが理想的です。
しかし赤ちゃんは、大人とはまったく異なる睡眠リズムを持っています。
そのため"こま切れ睡眠"の日々が続き、1人でぐっすり眠れる日はないに等しいでしょう。
短時間でも熟睡できる方法として抑えておきたいのが、以下の3つのポイントです。
これらを実践することで、睡眠の質はだいぶ変わってくるはずです。
またワンオペ育児を無くし、夜の授乳はミルクに替えて夫に任せるなど、少しでも睡眠時間を増やすように夫婦での協力が必要です。
産後にホルモンの分泌が減っていくことで、肌質が乾燥性敏感肌に変わることがあります。
もちろん頭皮も肌(皮膚)の一部なので同じことが言えます。
そのため、今まで使っていたシャンプーが頭皮に合わなくなる場合もあります。
そのまま使い続けてしまうと頭皮トラブルの原因にもなり、人によっては脂漏性皮膚炎による脱毛の原因にもなりかねません。
乾燥性敏感肌には、できるだけ低刺激なシャンプーがおすすめです。「アミノ酸」や「ベタイン系」のものを選んでください。
また保湿成分も一緒に入っていると頭皮の乾燥も防げ、髪にまとまりも出るので試してみると良いでしょう。
乾燥した頭皮はとてもデリケートな状態なため、頭皮を潤してくれるローションを使うのも有効なケアと言えます。
また頭皮への血流を良くするために、次のような頭皮マッサージも試してみてください。
続けることで血流量の増加も確認されており、頭皮がほぐれることで顔のむくみスッキリするのでおすすめです。
産後は思い切って長い髪を、ばっさりカットして髪型を変えてみるのも1つです。
・ボブ(ひとつ結びができるくらいの長さ)
・ショートカット
髪を短くすることで産後の薄毛が目立たなくなり、髪の毛のパサつきや広がりも抑えやすくなります。
また長い時にくらべケアの必要がなく、なにより楽なため短めのヘアスタイルを支持するママさんも少なくありません。
また産後の抜け毛のピークも迎え、新たな髪が成長してくる時に気になるのが前髪のアホ毛です。
ツンツンと立つアホ毛が気になるようであれば、帽子やバンダナなど被り物でアレンジしたり、スプレーで少し固めてあげるだけでも目立ちにくくなります。
もし産後の抜け毛が1年経っても気になる場合、他の薄毛の可能性もあります。
考えられる症状には以下があります。
⇨ 症状の1つに抜け毛がある
薄毛にはさまざまな原因が考えられるため、治らない方は専門のクリニックに相談し症状に合わせた治療を受けるようにしてください。
また産後すぐに職場復帰する場合、特に接客業などで髪が気になる方は治療薬を使って改善を早めるのも1つの方法です。
フィットクリニックでは女性の薄毛診療も行っていますので、是非ご相談ください。
産後の抜け毛は、出産を経験した多くの女性が経験する症状です。
一時的なホルモンの変化による生理現象であるため、必要以上に悩み、塞ぎ込んでしまう必要はありません。
自然に落ち着き、少し時間はかかりますが毛量も元に戻るので、一時的と割り切って変にストレスを抱えないことが一番です。
ただし出産から1年以上経っても抜け毛が治らない場合、別の原因による薄毛の疑いがあります。
専門の医師に相談して気持ちが落ち着く場合もあるので、気になる人は女性の薄毛を診療しているフィットクリニックまでご相談ください。