アフターピルは、望まない妊娠を避けるための最後の避妊方法といわれています。
「避妊に失敗したけど、アフターピルを飲むと将来不妊になる可能性が増えると聞いた…」
「アフターピルで検索すると“不妊”と出るから服用を迷っている…」
など、アフターピルと不妊の関係性について不安を抱いている方もいるでしょう。
もしアフターピルの内服が不妊に繋がるのであれば、服用をためらうのは当然のことです。
本記事ではアフターピルを服用することで不妊になるのかや、アフターピルの飲みすぎによる負担・影響について詳しく解説します。
アフターピルを服用しても不妊にはつながらない
まずはじめに、アフターピルを服用しても不妊にはつながりません。
厚生労働省が出している、ECP(Emergency Contraceptive Pill)のファクトチェックでは、以下のような記載がされています。
妊孕性(にんようせい)とは、妊娠するために必要な力のことです。つまりアフターピルを服用したからといって、その先妊娠する力が弱くなることはありません。
服用後、万が一妊娠しても胎児に影響を与えない
アフターピルは正しく服用すればおよそ99%近くの避妊率になりますが、服用後に万が一妊娠しても、胎児の先天性異常などに影響を与えることはありません。
またある一定の危険因子を満たすと起こり得る“ハイリスク妊娠”ですが、その項目に「アフターピルの服用」は含まれていません。
さらに公益社団法人 日本産科婦人科学会の緊急避妊法の適正使用に関する指針では、以下の記載があります。
A:今まで知られている限りでは、生まれた赤ちゃんに異常があったということはありません。
引用元:緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)
つまりアフターピル服用後に妊娠したとしても、アフターピルの成分が、胎児の成長過程に影響を与えることはありません。
アフターピルを使用せずに妊娠した人、アフターピルを使用後妊娠した人で妊娠結果を比べた時、出生体重や流産率、奇形や出生時の性比に差はなかったといわれています。
アフターピルの高頻度の使用は避けるべき?体への負担は?
アフターピルは高い避妊率を誇ることから、性行為の度に使用すればいいと思っている方もいるかもしれません。
実際に人工妊娠中絶による健康リスクに比べると、アフターピル服用の方がはるかに安全といえます。
しかし性行為ごとにアフターピルを服用するのは、体にとって大きな負担になります。
アフターピルは黄体ホルモンを使ってホルモンバランスに変化をもたらし、妊娠を阻止する仕組みです。高頻度で使用すれば、生理周期やホルモンバランスが乱れる可能性があります。
連続服用しなければならない場合は、事前に医師にご相談ください。
アフターピルの働き
アフターピルは、主に黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を用いた緊急避妊薬です。
別名、モーニングアフターピルと呼ばれることもあります。
含まれているホルモンには、排卵前であれば排卵を抑制し、排卵後であれば受精卵の着床を阻害する効果があります。
またお薬によって避妊効果が有効な時間は異なります。当院で処方しているレボノルゲストレル錠は性行為から72時間以内、エラは120時間以内に服用することで避妊効果が得られる仕組みです。
処方薬ごとに有効な服用時間
処方薬の種類 | 服用時間 |
---|---|
レボノルゲストレル | 72時間以内(3日) |
エラ | 120時間以内(5日) |
避妊に失敗したときは、速やかにアフターピルを内服することが重要です。服用時間の遅れとともに妊娠阻止率も低下します。
アフターピルの副作用
アフターピルの服用は不妊にはつながらないものの、下記のような副作用が現れる場合があります。
- 吐き気・嘔吐
- 倦怠感
- 腹痛
- 不正子宮出血
- 眠気
- 頭痛
- 乳房の張り
- 胃腸障害
副作用には個人差があるので、全くでない人もいれば、服用から数時間後に出る人もいます。お薬が作用している証拠でもあるので、症状が出てもさほど心配はいりません。
アフターピルによる副作用の多くは、およそ24時間以内には治まることがほとんどです。
また副作用により服用後2~3時間以内に嘔吐した場合、アフターピルの成分が体内に吸収されず、避妊効果が低下してしまいます。
その際はできるだけ早く同じお薬をもう1錠飲むなどの対応を行いましょう。嘔吐が不安という方は市販の吐き気止めを飲むほか、予備用として1錠余分に処方してもらうと安心です。
まとめ:アフターピルを服用しても不妊にはつながらない
本記事ではアフターピルの服用と不妊の関係性について簡単にまとめました。
以下の要素を覚えておきましょう。
- アフターピルを服用しても不妊にはつながらない
- アフターピルを服用しても胎児に影響はない
- 高頻度で使用する場合は体への負担がかかる可能性がある
- アフターピルには副作用があるので適切に使用すべき
アフターピルは正しく服用することで、およそ99%と高い避妊率を有します。
これは避妊方法の定番であるコンドームよりも、はるかに高い数値です。
またアフターピルを内服したからといって、将来の妊娠計画や子どもに影響するといった報告はありません。そのため不妊について気にせず利用できます。
しかし、アフターピルは女性ホルモンを使い、体のホルモンバランスに変化をもたらすことで避妊へと導きます。
連続服用すると生理周期やホルモンバランスが乱れることもあります。また副作用が現れる可能性もあるので、体に負担がかかることを理解しておきましょう。
アフターピルの使用方法や不明点は、医師の指示を仰ぐと安心です。
当院では、わざわざ来院しなくても初診からオンライン診療でアフターピルの処方が受けられる、アフターピルオンライン診療を行っております。
誰とも会うことなくご自宅から診療が受けられるのでぜひ検討してみてください。