
男性の性器ヘルペスは、亀頭や陰茎体部に症状が現れます。
またMSM(男性同性間性的接触者)であれば、肛門の周囲や直腸の粘膜に症状が現れることもあります。
【男性の性器ヘルペス概要】
原因 | 単純ヘルペスウイルス(HSV-1/HSV-2) |
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男性の症状 | 性器へのかゆみ・違和感・痛み、水ぶくれ、円形の浅い潰瘍 など |
感染経路 | 性行為(オーラル・アナルセックスを含む)、ウイルスが付着した生活用品 |
当院の治療薬 |
バルトレックス 500mg
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このページでは、男性の性器ヘルペスの症状について詳しく解説しています。
初発と再発時の違いや、症状を放置した際のリスクなどにも触れているので、今後の性器ヘルペス治療にお役立てください。
なお、フィットクリニックでは性器ヘルペスの治療を処方しております。
水ぶくれや潰瘍といった性器ヘルペスの特徴的な症状が現れている方は、以下のボタンより当院までお問合せください。
男性の性器ヘルペスの症状について
男性が性器ヘルペスに感染・発症すると、以下のような順で症状が現れます。
男性の性器ヘルペス症状 |
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性器にかゆみや違和感、痛み ↓ 直径1〜2mmほどの小さな水ぶくれが複数(数個〜多数)できる ↓ 円形の浅い潰瘍になる(水ぶくれができてから3〜5日後) |
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上記のような症状が現れている間、鼠蹊リンパ節の腫れ(太ももの付け根あたり)や尿道分泌物がみられることもあります。
また、人によっては性器への症状だけでなく「全身症状」を伴うことがあり、発熱、筋肉痛、倦怠感などインフルエンザに似た症状が現れる場合もあります。
なお、性器ヘルペスの症状は初感染時と再発時で同じですが、再発時の方が症状が軽いことが一般的です。
以下より初感染時と再発時の違いについて、さらに詳しく解説していきます。
初感染の症状
性器ヘルペスの症状がはじめて現れるのを「初発」と呼びますが、潜伏期間により2つに分けられます。
初感染初発 | 感染機会より2〜10日の潜伏期間を経て症状が現れる |
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非初感染初発 | 感染機会が不明で、既に感染・潜伏していたウイルスが再活性化されて症状が現れる |
初感染初発は発症してから1週間前後がもっとも重症化し、潰瘍により粘膜が露出しているため、他の細菌に感染しやすく二次感染による炎症などのリスクも高まります。
一方の非初感染初発は、再発と同じく症状が軽い傾向にあります。
なので、初発時に見られるリンパの腫れや発熱といった全身症状が現れないことも多いです。
非初感染初発は治癒までの期間も短いとされていますが、「高齢者」や「免疫抑制患者(免疫抑制薬を服用中の方など)」は症状が重くなることもあるのでご注意ください。
再発時の症状:軽いため見逃しやすい
性器ヘルペスは再発することが多く、性器ヘルペス患者の6〜7割が再発例とされています。
再発時には初感染時とほぼ同じ部位に症状が現れ、症状が軽いことも多いです。
一般的には水ぶくれや潰瘍は数個できる程度となり、治癒までの期間も1週間以内と短い傾向にあります。
ただ、病変が小さく、自覚症状に乏しいケースもしばしばみられ、再発時の症状は軽いゆえに気づかずパートナーに感染させてしまう恐れもあるのでご注意ください。
また、性器ヘルペスが再発する際には、以下のような前触れとなる前駆症状が性器に現れることがあります。
先発薬の特許が切れた後に製造できる後発医薬品です。
- チクチクやピリピリといった神経痛
- ムズムズなどの違和感
- ほてり
など
上記の症状が現れてから「1〜2日」でウイルス量がピークに達し、再発の症状が現れます。
男性の性器ヘルペスを放置するとどうなる?
男性の性器ヘルペスは放置していると、症状自体は自然と治ります。
自然治癒までの期間(目安) | |
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初発 | 発症から2〜4週間 |
再発 | 発症から1週間 |
ただし、自然治癒を期待してしまうと、予後の再発の頻度に影響することがあります。
またHIVへの感染リスクを約3倍に高め、HIV感染者であれば深刻な合併症を起こす場合もあるので注意です。
初発の時点で十分な治療により再発頻度を減らせる可能性があり、正しく治療すれば治癒期間も5〜10日間と上記の半分ほどの期間で症状も治ります。
不快な症状を長引かせ、後に再発で苦しめられないためにも、症状を放置するのはお控えください。
性器ヘルペス治療
男性の性器ヘルペスは完治しない?
男性の性器ヘルペスの症状は、治療して症状を改善できますが、完治は困難とされています。
一度ウイルスに感染してしまうと、現代の治療では体内から完全にウイルスを取り除く方法がないためです。
性器にウイルスが感染
↓
治療後も神経節(脊髄近くにある神経細胞の集まり)に潜伏
↓
何らかの原因で再びウイルスが再活性化し増殖
↓
ウイルスが神経繊維をたどって以前と同じ部位に症状が現れる
ただし、完治しないからといって治療しなければ、日常生活に影響することもあります。
再発が繰り返されれば心身のストレスになり、人によってはQOL(生活の質)の著しい低下を招きます。
体調管理などの予防によりウイルスをある程度はコントロールできるので、「完治しない=治療しない」と諦めないでください。
女性の性器ヘルペスも同様に完治が難しい症状です。
詳しくはこちらをご覧ください。
女性の性器ヘルペスについて
パートナーや家族への感染
性器ヘルペスは症状こそ自然治癒しますが、症状が現れている間は病変には大量のウイルスが排泄されています。
ウイルスの感染力は非常に強く、性行為により粘膜に直接触れてしまうだけでなく、体液の触れた物を介して粘膜に触れることで感染する可能性があります。
- トイレ(便器)
- バスチェア
- タオル
など
また「無症候性排泄」といって、無症状でも尿道からウイルスを排泄していることがあります。
決して多い例ではないので神経質になる必要はありませんが、知らずに感染させてしまう可能性もあることは覚えておいてください。
症状を放置するのは、ご自身が感染源となって身近なパートナーや家族にウイルスを感染させる可能性があります。
身近な大切な人を守る意味でも、積極的に性器ヘルペス治療を受けることが望ましいです。
性器ヘルペスへの感染の原因
性器ヘルペスの感染原因は「HSV(単純ヘルペスウイルス)」になり、感染部位ごとで2種類のタイプに分けられています。
HSV-1 | 口唇ヘルペスの原因になりやすいウイルス |
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HSV-2 | 性器ヘルペスの原因になりやすいウイルス |
感染部位により区別されていますが、実際のところ性器ヘルペス初感染の約70%はHSV-1となっています。
またHSV-1であれば再発することは稀で、HSV-2に感染していると再発を繰り返しやすくなるとされています。
ニキビと口唇ヘルペスの違い、見分け方
初感染時は主に性的な接触が原因
男性の性器ヘルペス初感染の主な原因は、性行為やそれに類似する行為です。
- セックス(膣性交)
- オーラルセックス(口腔性交)
- アナルセックス(肛門性交)
上記の感染経路からもわかるように、必ずしも性器同士の接触で感染するとは限りません。
「口→性器」「肛門→性器」といったように感染することがあり、感染者の病変と粘膜が触れる行為であれば性器ヘルペスに感染する場合があります。
性器ヘルペスが再発する原因
性器ヘルペスが再発する原因には、以下が挙げられます。
- 風邪などの病気や他の性感染症にかかるなど(免疫力の低下)
- 疲労
- セックスによる皮膚の摩擦や損傷
- 紫外線
- 飲酒
- ストレス
など
肉体面や精神面から身体がウイルスに負けてしまうだけでなく、セックスなどの物理的な刺激が引き金となって性器ヘルペスを再発することもあります。
ただ、再発原因がはっきりしない場合や、個人差が生じやすい特徴があります。
性器ヘルペスには決まった再発パターンがないため、症状がふたたび現れた際には直近の生活習慣などを振り返りながら今後に活かしていくことが大切です。
フィットクリニックで処方する治療薬
フィットクリニックでは、性器ヘルペス治療薬としてバルトレックスを取り扱っています。
自然治癒までの期間(目安) | 錠数 | 価格 |
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バルトレックス500mg
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10錠 | 7,700円 |
11錠 | 13,200円 |
バルトレックスは抗ウイルス薬で、ヘルペスウイルス(HSV-1/HSV-2)の増植を抑える薬です。
性器ヘルペスの初発・再発を問わず治療効果が期待でき、身体への吸収率が良いことから1日2回の服用(従来1日5回)となるため服用上の負担も抑えられるのが特徴です。
性器の違和感や、性器ヘルペスを疑うような複数の水ぶくれや潰瘍といった症状がみられている場合は当院までお気軽にご相談ください。
再発が多い場合は長期投与が有効
おおむね年6回以上の再発を繰り返してしまう場合には、症状が出た時ではなく長期的に抗ウイルス薬の服用を続ける「再発抑制療法」も選択肢の1つとしてあります。
バルトレックスジェネリック500mgを1日1回1ヶ月服用
↓
再発抑制の状態や副作用などを確認し治療継続を医師が判断
↓
再発抑制治療中に再発した場合には1日2回に増量
↓
治癒後は元の用法用量に戻す
↓
1年間継続する
1年間も薬を服用するのは負担に感じるかもしれませんが、再発抑制療法の大規模臨床試験からは、以下のような結果が得られています。
- 再発頻度の低下
- 無症候性排泄の頻度の低下
治療により再発や無症候性排泄の頻度が低下することで、再発に悩まされたり「パートナーに感染させるかも…」と、性行為を億劫に感じることも減っていきます。
性器ヘルペスの症状に繰り返し悩まされている方は、是非一度ご相談ください。
性器ヘルペスの検査について
性器ヘルペスの検査には、「抗原検査」と「抗体検査」の2種類があります。
ただ、当院では、以下の理由から性器ヘルペスの検査を実施していません。
- 病変が小さいと「陰性」になることがある
- 過去に水疱瘡や帯状疱疹の経験があると「陽性」になることがある
人に感染するヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV-1/HSV-2)だけでなく、水痘・帯状疱疹ウイルスのほか8種類あります。
そのため区別が難しく、過去の既往歴が検査結果に影響することもあるので、視診による検査のみとしています。
ただし、水ぶくれやただれ、潰瘍といった、性器ヘルペスと似た症状を起こす性感染症は他にもいくつかあります。
- 梅毒
- トリコモナス症
男性がトリコモナス症にかかるのは稀ですが、梅毒は感染者数が急増しているので感染の可能性がゼロではありません。
少しでも不安が残るのであれば、一度に複数項目の検査を受けておくと安心です。
性器ヘルペスの市販薬での治療はできる?
性器ヘルペスを治療できる市販薬は販売されていません。
内服薬による治療が基本となるので、必ず医療機関に受診し、医師の診断に基づいた処方を受ける必要があります。
なお、口唇ヘルペスについては、市販薬の塗り薬(クリーム)が販売されています。
いくつかのメーカーからの販売が確認できますが、いずれも「再発治療用」なので初発では購入できません。
性器ヘルペスの病変に使用することもできず、口唇にヘルペス症状がみられない方は薬剤師から販売を断られるのでご注意ください。
性器ヘルペスの市販薬について
男性の性器ヘルペスの予防方法について
男性の性器ヘルペスの予防方法は、以下を参考にしてください。
- コンドームの使用
- 感染あるいはその疑いがあるパートナーとの性的接触を控える
- 不特定多数の人の性行為を避ける
- 免疫力の維持
- 感染リスクの共有
性器ヘルペスを100%予防するのは難しいですが、万が一を考えたセーフセックスをお互いに心がけることが大切です。
またウイルスへの抵抗力を弱めないためにも、バランスの取れた食事や十分な休息、適度な運動を取り入れるなどして免疫力の維持や向上にも気をつけてみてください。
よくあるご質問
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- Q放っておいても治りますか?
- A性器ヘルペスの症状自体は、放っておいても自然治癒します。
しかし初感染である場合、治療を行わなかったことで予後の再発頻度に影響する恐れがあります。
再発を繰り返しやすくなると心身のストレスにつながりやすく、QOL(生活の質)を著しく低下させることもあるので、治療を受けるようにしてください。
- Q
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- Q市販薬での治療はできますか?
- A性器ヘルペスは内服薬による治療が基本となるので、市販薬を使って治療することはできません。
必ず医療機関を受診し、適切な薬の処方を受けるようにしてください。
なお、ヘルペス治療薬は、外用薬(クリーム)であれば市販薬として販売されています。
しかし、「口唇ヘルペスの再発治療用」となり、購入に制限があることから内服薬の代わりの薬としての使用はできないのでご注意ください。
- Q
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- Q男性の性器ヘルペスは性行為以外でも感染しますか?
- A男性の性器ヘルペスは、パートナーの感染部位によってはオーラルセックスやアナルセックスによっても感染します。
また稀ではありますが、感染者の体液が付着した生活用品(タオル、便座など)などを介して感染することがあります。
- Q
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- Q完治しなくても性行為はできますか?
- A性器ヘルペスの症状が現れている間は、病変から大量のウイルスが排泄されているため性行為はお控えください。
また治癒後は性行為が可能ですが、「無症候性排泄」といって無症状でもウイルスを排泄することがあります。
必ずコンドームを装着して感染予防を心がけ、性器に異変を感じる時は行為自体を控えるなどしてください。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
まとめ
ここまで男性の性器ヘルペスについて解説してきましたが、最後にページの要点をおさらいしておきます。
- 男性の症状は性器にかゆみや違和感、痛み、水ぶくれ、円形の浅い潰瘍が現れる
- 初感染初発がもっとも重症化しやすい
- 性器ヘルペスの6〜7割が再発
- 症状は自然治癒するものの、治療しないと予後の再発頻度に影響する
- 性行為だけでなく、体液のついた生活用品から感染することもある
- おおむね年6回以上再発する人は「再発抑制治療」も検討する
- 完治することはないので再発させないための予防が大切
- 市販薬で性器ヘルペスは治療できない
男性の性器ヘルペスは完治しないため、再発するケースもしばしば見受けられます。
しかし、完治しないからと消極的に放置すると、身近な大切な人に感染させかねません。
生活習慣の見直しや、予防のための治療を受けるといった、再発をコントロールする選択肢はいくつかあります。
時にはパートナーの理解も得ながら、性器ヘルペスと上手く向き合っていくことをお考えください。