オキナゾール膣錠のカンジダへの効果や用法・副作用などについて解説

更新日:2025/04/18

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。

オキナゾール膣錠のカンジダへの効果や用法・副作用などについて解説|フィットクリニック渋谷笹塚院

オキナゾール膣錠は、カンジダの治療に用いる抗真菌薬です。

カンジダ菌の増殖を抑えることで、炎症やかゆみ、おりものの異常といった諸症状を改善することができます。

このページでは、オキナゾール膣錠の効果や副作用について詳しく解説しています。 使い方や使用上の注意点などにも触れているので、治療時の参考にしてください。

カンジダ症の基本情報については以下のページでご確認ください。

膣カンジダの症状について

性病の治療について

オキナゾール膣錠とは?

オキナゾール膣錠とは、真菌(カビの一種)を殺菌する作用があるイミダゾール系の抗真菌薬です。

膣内に直接挿入して使用する錠剤になり、カンジダを原因とする膣炎や外陰炎の治療に用いられます。

オキナゾール膣錠の概要
商品写真 オキナゾール膣錠
商品名 オキナゾール膣錠
有効成分 オキシコナゾール硝酸塩
処方価格 1錠7,700円
用量 600mg(1週1回)
効果効能 外陰膣カンジダ症(膣炎・外陰炎)
治療対象者 女性のみ
副作用 局所の発赤、刺激感、ひりひり感、掻痒感、疼痛

カンジダの薬について

オキナゾール膣錠の市販薬について

オキナゾール膣錠はこれまで医師のみが処方できる医療用医薬品でしたが、スイッチOTC化によって市販薬も登場しています。

<オキナゾール膣錠の市販薬>

オキナゾールL100 /フェミニーナ膣カンジダ錠

カンジダ治療にセルフケアという選択肢が加わり、いずれの市販薬も医療用と変わらない効果が期待できます。

ただし、市販薬の購入には注意点がいくつかあるので、購入する際は以下のことを参考にしてください。

オキナゾール膣錠の市販薬の注意点
  • 再発時のみ購入できる
  • 第一類医薬品となるので薬剤師の説明を受ける必要がある
  • 同じ治療効果を得るために医療機関で処方された成分と同じものを選ぶ

オキナゾール膣錠の市販薬の購入は、再発した場合のみとなり、カンジダの初発時には購入できません。

カンジダへの感染が疑わしい場合、最初は必ず医療機関で検査を受け、感染を確認する必要があります。

万が一、他の性病だった場合に効果が得られないので、確認をしてから購入してください。

オキナゾール膣錠の効果

オキナゾール膣錠は、膣内や外陰部で増殖するカンジダ菌の増殖を抑え、かゆみや不快感、炎症、おりもの異常などの症状を改善する効果があります。

カンジダ菌の増殖を抑えるしくみ(作用)

カンジダ菌の細胞膜に作用

細胞膜を合成するエルゴステロールの働きを阻害する
細胞膜を合成するエルゴステロールの働きを阻害する
カンジダ菌の増殖を抑える

人の細胞にも細胞膜はありますが、主にコレステロールで構成されています。
そのためカンジダ菌にのみ作用し、人の細胞にはほとんど影響させずに抗真菌作用を発揮させることができます。

通常は、使用開始から2〜3日ほどで症状は軽快します。

難治性のカンジダ治療に有効

カンジダは、通常1回の治療で90%前後が治癒します。

しかし原因となっているカンジダ菌の種類によっては、年4回以上の再発を繰り返してしまう難治性カンジダ(RVVC)になる場合があります。

カンジダ・アルカビンス 通常のカンジダの原因
カンジダ・グラブラータ 難治性カンジダの原因

オキナゾール膣錠は、以上のどちらのカンジダ菌に対しても有効とされています。
難治性カンジダになる方は1割ほどと決して多くはありませんが、不快な症状を繰り返さないためにもオキナゾール膣錠の使用がおすすめです。

オキナゾール膣錠の使用方法

当院ではオキナゾール膣錠600mgを処方しています。
使用方法は以下を参考にしてください。

<オキナゾール膣錠600mg>

1週1回1錠を膣のもっとも深いところまで挿入する

オキナゾール膣錠の使用方法

膣錠の入れ方は上のイラストのように、指で膣錠を膣口から奥の方まで入れます。
入れる前と入れた後には必ず手を洗い、清潔な状態で行ってください。

挿入後30分ほどは運動をお控えください。
体を動かしいきんだ拍子に膣錠が出る場合があるので、就寝前の挿入がおすすめです。

膣錠は膣内に留まることで効果を発揮する薬ですので、溶け崩れた錠剤が少しずつ膣外へと排泄されます。

その際、白いかたまりやペースト状のものが出ますが、おりものの異常ではないので心配ございません。

なお、生理中でのオキナゾール膣錠の使用はお控えください。
経血と共に薬剤が洗い流され、十分な効果を得られない可能性があります。
使用中に生理になった場合は、必ず医師にご相談ください。

症状が改善しても治療は最後まで行う

オキナゾール膣錠の使用により症状が無くなっても、自己判断で薬の使用を中止しないでください。

症状が治まっても菌が除去できたとは限らず、わずかな菌でも感染力があれば再発するおそれがあります。

また、パートナーへ感染させてしまい、お互いに菌を移し合うピンポン感染の原因にもなります。

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ピンポン感染とは
パートナーとの感染において、どちらかが完治しないまま性行為を行い再び感染させ合う、卓球のピンポン玉のラリーのような感染の状態。

症状の有無に関わらず、決められた期間は治療を続けてください。

オキナゾールクリームについて

オキナゾールクリーム

オキナゾールは膣錠にくわえ、クリームタイプもあります。
カンジダによる皮膚症状に用いられ、男女ともに使用が可能です。

女性 男性
⇨外陰部のかゆみ ⇨亀頭や包皮への症状
(かゆみ、カサつき、赤み、ただれ など)

主に男性のカンジダ症に用いられることが多いですが、女性もかゆみが強い場合には膣錠と併用します。

なお、オキナゾールクリームは、膣内や尿道には使用はできません。
粘膜部分は薬剤の吸収がよく、必要以上に作用が強くなるおそれがあります。
かゆみが出ている部分と、その周囲にのみ使用してください。

オキナゾールクリームの詳細

オキナゾール膣錠の副作用

オキナゾール膣錠は外用薬のため、膣内と外陰部以外にはほとんど作用しません。

そのため、副作用の発現率も0.37%(26例/6,995例)と低く、比較的安全な使用が可能です。

オキナゾール膣錠の主な副作用
  • 局所の発赤
  • 刺激感
  • ひりひり感
  • 掻痒感(かゆみやチクチクする感じ)
  • 疼痛(痛み)

かゆみについてはカンジダの症状にもあるため、副作用との判断がつきにくいです。
使用中にかゆみが強くなった場合は、すぐに医師にご相談ください。

オキナゾール膣錠を使用する際の禁忌や注意点

オキナゾール膣錠には、禁忌(使用できない)や注意点がいくつか決められています。
誤った使用をしないためにも、以下のことには十分ご注意ください。

【禁忌】
  • オキシコナゾール硝酸塩製剤にアレルギーの経験がある方
  • ステロイド外用薬やかゆみ止めとの併用

成分が身体に合わなかった経験がある場合、ふたたびアレルギー症状が出るおそれがあります。

また、一時的に炎症やかゆみの症状は治るものの、ステロイド外用薬やかゆみ止めとの併用はお控えください

ステロイドの免疫抑制作用により、カンジダ菌が増殖するおそれや、かゆみ止めの使用によって治癒の判断が難しくなることがあります。

【注意点】
  • 妊娠12週未満の妊婦または妊娠している可能性のある女性
  • 授乳婦

妊婦中や授乳中は、治療するメリットが「危険性を上回る」と医師が判断した場合にのみ使用が可能です。

またオキナゾール膣錠の見た目は錠剤なので間違えやすいですが、服用はできません

下痢や吐き気などの胃腸障害を起こす可能性があるので、膣内以外への使用はお控えください。

治療中の性行為はNG

カンジダの治療中はパートナーへの感染リスクがあるため、完治するまで性行為やそれに類似する行為(オーラルセックスなど)は控えてください。

コンドームを使用した場合も同様で、ピンホールや破損などによる感染リスクが考えられます。

また、患部を清潔な状態に保つのもカンジダ治療の1つです。

性行為により症状を悪化させ、治癒までの期間を長引かせる場合があるので、完治するまでは患部を安静にすることが大切です。

カンジダは治る?完治までの期間について

カンジダを検査した方がいい理由

カンジダの症状としてみられやすい「おりもの」や「かゆみ」などを起こす性感染症は、他にもいくつかあります。

カンジダと似た症状の性病
  • トリコモナス症
  • 細菌性膣症
  • クラミジア
  • 淋病

自覚している症状だけでは区別するのが難しく、原因となる病原体も細菌や原虫などさまざまです。

原因が異なればオキナゾール膣錠を使用しても効果は得られず、誤った治療を続けると悪化するおそれがあります

また性感染症の種類によっては不妊や早産・流産などのリスクもあるので、初発時はもちろん、再発時も念のため検査を受けるようにしてください。

オキナゾール膣錠についてのまとめ

最後にこのページのまとめとして、オキナゾール膣錠についておさらいしておきましょう。

オキナゾール膣錠についてのまとめ
  • オキナゾール膣錠はカンジダの治療薬に使用される
  • 再発を繰り返す難治性カンジダにも効果がある
  • 市販薬もあるが再発治療用
  • かゆみに対しては男女兼用のオキシナゾールクリームがある
  • ステロイド外用薬やかゆみ止めは併用しない
  • 検査キットを使えば自宅でもセルフチェックできる

オキナゾール膣錠を正しく使用すれば、6日間の治療で約90%の方は治癒します。

治療前には必ず感染を確認するため検査が必要になるので、おりものの異常やデリケートゾーンのかゆみなどが気になる際は医療機関までご相談ください。

よくある質問

  • Q
    オキナゾール膣錠を使用すると、どのくらいで症状が改善しますか?
    A
    個人差がありますが、自覚症状は治療から2〜3日ほどで軽快してきます。
    ただし、症状が改善されても菌が残っている場合があり、再発するおそれもあるので、治療期間は6日間となります。
    なお、6日目以降も症状が続いている場合には他の疾患の可能性もあるため、症状が長引くようであれば医師にご相談ください。
  • Q

    妊婦や授乳中の方でもオキナゾール膣錠を使用できますか?

    A
    オキナゾール膣錠は外陰部や膣内にピンポイントで作用する外用薬となるため、妊婦や授乳中の方でも使用が可能です。
    ただし、妊娠12週未満の妊婦や妊娠の可能性がある女性や授乳中は、治療するメリットが危険性を上回ると判断される場合にのみ使用できます。
    カンジダ感染後の妊娠について
  • Q
    他の薬を併用しても大丈夫ですか?
    A
    オキナゾール膣錠の使用中に、市販されているステロイド外用薬やかゆみ止めを併用するのはお控えください。
    症状を悪化させ、オキナゾール膣錠が効果を発揮しているか正しい判断ができなくなるおそれがあります。
    かゆみやかぶれが気になる場合は、オキナゾールクリームを併用します。
  • Q
    症状が改善したので、オキナゾール膣錠の治療を途中で止めてもいいですか?
    A
    自覚症状が改善されても、処方された分は使用を続けるようにしてください。
    治療を途中で止めると、残った菌の増殖により再び症状をぶり返す可能性があります。
    また、残った菌に感染力が残っていれば、性行為によってパートナーへの感染リスクもあるのでご注意ください。

その他よくある質問はこちらをご確認ください

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