カンジダとは‐主な原因と症状・治療や予防法を解説

更新日:2025/04/23
カンジダとは‐主な原因と症状・治療や予防法を解説

カンジダは常在菌であるカンジダ菌が過剰に増殖することで起こる感染症です。

カンジダの基本情報

カンジダとは 常在菌であるカンジダ菌の増殖による感染症 確認
症状
おりもの・陰部
かゆみ、灼熱感など
カッテージチーズ状やおかゆ状のおりもの
確認
男性の症状 かゆみ、排尿痛など 確認
感染リスク 性行為で男性にうつる場合がある
お風呂でうつることはほぼない
確認
原因 免疫力の低下や外陰部の蒸れなど
男性は包茎や糖尿病の場合、症状がでやすい
確認
治療 イミダゾール系の薬による治療 確認
市販薬 再発の場合のみ市販薬で治療できる
男性は市販薬を使えない
確認
注意 パートナーにうつす可能性があるため完治するまで性行為はしない
カンジダを放置しない
確認
予防法 生活習慣の見直しで免疫力を高める 確認

※症状やおりもの、原因は上記内容に当てはまらない場合もあります

カンジダは多くの女性が感染する可能性があるため、おりものや体調に異変がある場合はぜひご確認ください。性病治療について

カンジダとは

カンジダ(カンジダ症)とは、身体の常在菌であるカンジダ菌がなんらかの原因によって過剰に増殖することで起こる感染症です。
女性の場合、免疫力の低下や蒸れなどでカンジダ菌が増え、膣内環境のバランスが崩れると、かゆみやおりものの異常などが現れて、膣カンジダを発症します。
カンジダは女性に多い症状ですが、男性も発症することがあります。

女性の5人に1人は膣カンジダを発症したことがある

過去に膣カンジダ症になったことはありますか?

バイエル薬品が18歳~45歳の女性を対象に行った調査によると、女性の16.7%、約5人に1人が膣カンジダの発症経験があることがわかりました。
膣カンジダを発症したことがある100人に対して再発の経験があるかという質問には、54.0%が再発を経験していると回答しています。
これらの調査から、膣カンジダは一度治療しても再発しやすく、多くの女性が悩んでいることがわかります。

カンジダの症状|おりもの・陰部

膣カンジダを発症すると、陰部やおりものに以下のような変化があります。

おりもの・陰部の症状

<おりもの>

  • おりものの増加
  • カッテージチーズ状やおかゆ状へ変化

<膣や陰部の異常>

  • 激しいかゆみ、かぶれ
  • 灼熱感
  • 排尿痛
  • 性交痛

女性の場合、おりものの増加や膣や陰部の異常は他の性感染症でも見られるため、正確な判断をするためにも検査をおすすめします。

男性のカンジダの症状|亀頭・尿道

男性がカンジダに感染すると亀頭や尿道に症状が現れます。

亀頭・尿道の症状
  • かゆみ、灼熱感
  • 水ぶくれ
  • 白いカスが出る
  • 排尿痛
  • 性交痛

男性はカンジダ菌を保有していても、症状が出てくることは少ないと言われています。

カンジダと似た症状の疾患

カンジダ・膣カンジダと似た症状が出る疾患には注意が必要です。

カンジダと似た疾患

トリコモナス
<女性>
膣や外陰部:かゆみ、刺激感、発赤など
おりもの:泡状、悪臭

<男性>
尿道:排尿痛、かゆみ、尿道口からの分泌液など
細菌性膣症
膣や外陰部:まれにかゆみ(炎症は少ない)
おりもの:灰白色、悪臭
クラミジア
<女性>
膣や外陰部:かゆみ、痛みなど(無症状が多い)
おりもの:増加、悪臭

<男性>
性器・尿道:かゆみ、排尿痛、尿道からの分泌液など

カンジダを発症中は免疫力が下がっているため、ほかの感染症を併発している可能性もあります。

カンジダは男性にうつることもある

カンジダに感染している状態で、性行為やそれに類似する行為をすると男性にうつる可能性が十分にあります。

カンジダの感染経路
性行為・
オーラルセックス
性行為やオーラルセックスにより性器や口腔にカンジダ菌がうつる可能性があります。
コンドームを
着用した性行為
カンジダの感染予防に有効ですが、100%感染を防げるわけではないので、性行為は控えてください。

性行為によりカンジダがうつる確率は全体の5%と言われていますが、免疫の低下など状況によって感染しやすくなることもあるため、完治まで性行為は避けてください。
どちらかが感染していると、お互いに感染を繰り返してしまう場合もあります。
女性がカンジダに感染した場合は、念のため男性自身も検査を受けましょう。

カンジダはお風呂でうつる?

お風呂でカンジダが感染することは、ほぼないといわれています。
洗う・流す・拭き取る、さらに発汗もするため、菌が身体に付着したままであることが考えにくいためです。
免疫力が弱っている場合は別ですが、健康な状態での入浴であれば、神経質になる必要はないでしょう。
ただし、タオルの共有はカンジダが感染するリスクがあるため避けてください。

カンジダの原因

カンジダの原因

カンジダの原因は体調の変化や生活習慣などで起こる「自己感染」が挙げられます。

女性の膣カンジダの原因
  • 抗生物質の服用
  • 風邪やストレスによる免疫力の低下
  • 生理や妊娠によるホルモンバランスの乱れ
  • 陰部の洗いすぎ
  • 蒸れ
  • 性行為
男性のカンジダの原因
  • 抗生物質の服用
  • 風邪やストレスによる免疫力の低下
  • 包茎
  • 糖尿病
  • 副腎皮質ステロイド投与中
  • 性行為

性行為が原因となることもありますが、性行為による感染の割合は全体のうち5%と多くはありません。
男性の場合は、糖尿病や副腎皮質ステロイドなどを使用している場合、健康な人に比べてカンジダを発症しやすくなります。

ストレスや免疫力の低下が原因になることもあり、生活習慣を変えないと簡単に再発する恐れがあります。
そのため、原因となる生活習慣を変えれば、再発の可能性を大きく下げることができます。

カンジダの検査

カンジダは以下の検査を行います。

女性
  • 腟分泌物検査
    おりものや膣内の分泌物を綿棒で採取して検査します。
  • 皮膚擦過検査
    性器や皮膚を綿棒で採取して検査します。
男性
  • 尿検査
    男性は尿道に症状がでることもあり、尿を採取して検査します。
  • 皮膚擦過検査
    性器や皮膚を綿棒で採取して検査します。

なお、検査は医療機関ではもちろん、検査キットを使えば自宅で行うことも可能です。

医療機関・検査キットの特徴

医療機関
  • 問診を受けられる
  • 検査によっては即日で結果が出る
  • 膣内の分泌物は医師が採取する
検査キット
  • 自分で検査できる
  • 病院に行かなくていい
  • 結果がわかるまで数日かかる

性器周辺の検査はデリケートなものなので、ご自身に合った方法を選択すると安心です。

カンジダの治療方法

カンジダの治療は主にイミダゾール系の抗真菌薬を投与する治療になります。

カンジダの治療薬

剤型は、膣錠や膣坐剤、経口薬、外用薬(軟膏やクリーム)があります。
それぞれの使い方について、詳しく解説します。

膣錠、膣坐剤

膣錠や膣坐剤は、膣内に薬を直接入れて溶け崩れることで作用するお薬です。

膣錠や膣坐剤には、①連日投与する方法、②週1回投与する方法があります。

①連日投与する方法

クロトリマゾール、ミコナゾール硝酸塩、イソコナゾール硝酸塩、オキシコナゾール硝酸塩のいずれか100mgを1日1錠、6日間連続で投与する

②週1回投与する方法

イソコナゾール硝酸塩300mgを1回2錠、またはオキシコナゾール硝酸塩600mgを1回1錠投与する

効き目は連日投与の方が週1回投与よりもやや優れています。

経口薬

経口薬は、身体の内側から抗真菌薬として作用します。
投与の仕方は、フルコナゾール150mgを1回投与するのみです。
男性の場合は、尿道に炎症がある際に、内服薬を処方することがあります。
効果は膣錠とほとんど変わりません。
ただ、妊娠中の方は服用できないため、膣錠や膣坐剤で対処する必要があります。

外用薬

軟膏やクリームなどの外用薬は、性器や皮膚のかゆみ、炎症を治療するために使用します。

イミダゾール系のお薬を1日2~3回に分けて塗布します。

イミダゾール系の外用薬
  • クロトリマゾール
  • ミコナゾール硝酸塩
  • エコナゾール硝酸塩
  • オキシコナゾール硝酸塩

女性は膣錠や膣坐剤と併用して治療を進めるのが理想的です。

当院のカンジダ治療薬

当院ではカンジダ治療薬として、オキナゾール膣剤とクリームをご用意しています。

当院のカンジダ治療薬
女性 オキナゾール膣錠 600mg オキナゾール膣錠
女性・男性 オキナゾールクリーム 1% 10g オキナゾールクリーム
処方数/日 膣錠:1錠 / 1日間
クリーム:1本 / 7日間
費用 各7,700円
用法用量 膣錠:1週1回1錠を膣深部に挿入
クリーム:1日2~3回患部に塗布
副作用 膣錠:局所発赤、皮膚刺激感 など
クリーム:発赤、過敏症、発疹 など

治療をご希望の方はオンライン診療にて診察を行います。
カンジダ治療薬の購入について詳しくは、下のボタンからご確認ください。

再発の場合のみ市販薬で治療できる

再発の場合のみ市販薬で治療できる

膣カンジダは、再発の場合のみ市販薬で治療することができます。
初回から市販薬を使用してはいけない理由は、初めて炎症が出た際にそれが膣カンジダによるものか、別の感染症によるものか自分で判断するのは危険なためです。
また、薬を選ぶ際は、以前医師に処方された薬と同じ成分のものにしましょう。
自己判断で薬を変えた際に身体に合っていないと、以前はなかった副作用が出る可能性があります。
なお、市販の膣カンジダ治療薬は第1類医薬品なので、購入の際は薬剤師の説明を受ける必要があります。

また、市販薬は基本的に女性用になるため、男性の場合はカンジダの市販薬は使用できません。
男性のカンジダ治療薬をお求めの場合は、医療機関に受診してください。

カンジダの再発について

カンジダの発症中に性行為や放置をしない【注意点】

カンジダを発症している時の注意点は以下の通りです。

  • 発症中は性行為を控える
    カンジダに感染している状態で性行為をするとパートナーにうつす可能性があります。
    完治するまでは性行為を控えるようにしましょう。
  • カンジダの放置はしない
    カンジダを放置するとかゆみや炎症が悪化して重症化・慢性化する恐れがあります。
    症状が似ている別の感染症の場合もあるため、まずは検査を受けましょう。
  • 軽症の場合は自然治癒することがあるが治療を推奨
    症状が軽い場合は免疫力や体調が戻ることで自然治癒する場合があります。
    ただし、軽症の場合でも、症状を早く抑えるために治療を行った方が安心です。
  • 妊娠中にカンジダが発覚した場合はすぐに受診
    妊娠中に膣カンジダが発症すると、出産時に新生児に感染してしまう可能性があります。
    膣カンジダのような異変を感じたら医師にすぐ相談しましょう。

カンジダの自然治癒について カンジダ感染後の妊娠について

カンジダの予防方法

カンジダの予防方法
  • 通気性の良い綿素材などの下着を付ける
  • ナプキンやおりものシートはこまめに変える
  • 締め付けの強い衣類は避ける
  • 洗いすぎに気を付ける
  • 入浴後は陰部が乾いてから下着を付ける
  • ストレスはこまめに発散する
  • きちんと睡眠をとる
  • 栄養バランスのよい食事をする

カンジダ菌の増殖には、性器周辺や膣内の環境の悪化が関係しています。
まずは性器周辺を清潔に保ち、刺激を避けることを心がけましょう。
膣内環境の改善には、基本的に免疫力を維持するために健康的な生活を送ることが大切です。
生活習慣を整えるためにも、今の生活の見直しから始めてみてください。

カンジダ(膣カンジダ)かも…と思ったらまずは検査を

カンジダは、きちんと対処しないと慢性化する可能性もあります。
また、症状を調べる中でカンジダ・膣カンジダの感染が疑わしい場合でも、実際は違う疾患だったというケースも考えられます。
現状を正しく判断するためにも、まずは検査を受けることから始めてください。

カンジダのよくある質問

  • Q
    カンジダの症状があります。市販薬を使ってもいいですか?
    A
    前提として、カンジダの市販薬は「再発の場合にのみ」購入することができます。カンジダの症状は他の性感染症と似ており、確実な判断が難しいためです。初めてカンジダを発症した場合は医療機関に受診してください。また、市販薬は女性専用になり男性は市販薬を使用できません。
  • Q
    男性のカンジダ症の症状はありますか?
    A
    男性の場合、亀頭のかゆみや灼熱感、排尿痛などが現れる場合があります。包茎や糖尿病、副腎皮質ステロイド投与中の場合症状が現れやすいと言われています。
  • Q
    カンジダになるとおりものに変化がありますか?
    A
    カンジダを発症すると、おりものの増加やカッテージチーズ状やおかゆ状へ変化することがあります。
  • Q
    膣カンジダは男性にうつる?うつる確率はどれくらいですか?
    A
    膣カンジダを発症中に性行為をすると男性にうつる可能性があります。性行為での感染は5%程度と言われていますが、包茎、糖尿病、副腎皮質ステロイド投与中の場合症状が出やすくなるため注意が必要です。
  • Q
    カンジダは自然治癒しますか?
    A
    カンジダは軽症の場合は自然治癒することがあります。ただし、軽症でも症状を早く抑えるために治療をおすすめします。
  • Q
    膣カンジダはお風呂でうつりますか?
    A
    お風呂での感染は、ほとんどありません。
    カンジダ感染した乳児が病院で沐浴をしていた際に共用の浴槽から感染した例はありますが、大人の場合は極端に免疫が落ちてない限り感染することはほとんどありません。
  • Q
    膣カンジダは妊娠のしやすさに影響しますか?
    A
    不妊症への影響はないと言われている一方で、カンジダ菌は精子の運動を妨げる可能性があるという説もあります。
    膣カンジダが疑われる場合は治療をするとともに、免疫力を下げないように日常生活でも気を付けましょう。
  • Q
    カンジダを見分ける方法はありますか?
    A
    カンジダの症状は他の性感染症と似ているため完璧に見分けるのは困難です。自己判断で対処すると適切な処置が遅れてしまうことがあります。疑わしい症状が現れた場合はまず検査を受けましょう。
  • Q
    口腔カンジダとはどんな症状ですか?
    A
    口腔カンジダは主に舌や口腔粘膜に白い苔が現れ、口の中が痛む、口角に炎症が起きるといった症状が現れます。

その他よくある質問はこちらをご確認ください

参考サイト

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