AGA・薄毛

AGA治療をやめるとどうなる?治療の継続が必要な理由、減薬ややめるタイミングについて

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。
AGA・薄毛

AGA治療は継続が大切とされているだけに、やめられないと誤解している人もいらっしゃいます。

しかし、決してやめられないわけではありません。治療の経過により、選択肢はさまざまです。

こちらのページではこうした疑問や不安を解消するために、AGA治療をやめるとどうなるかについて詳しく解説していきます。

すでに治療中の人はもちろん、これからAGA治療を考えている人の参考になればと思います。

AGA治療をやめると元に戻る?

答えを先にお伝えすると、AGA治療を途中でやめてしまうと元に戻ります。

急激に元の薄毛状態になることはありませんが、6ヶ月以上かけて薄毛がふたたび目立つようになってきます。

AGA治療中は、薄毛が進行するのを防ぎ、発毛や育毛といった効果を多くの人が実感できます。

これは対症療法と呼ばれるもので、お薬の効果によって一時的に症状を改善する治療です。

つまり治療をやめてしまうとお薬の効果が切れるため、髪を維持するのが難しく、やがては元の薄毛状態に戻っていってしまいます。

次になぜAGA治療で完治が難しいのか、詳しく見ていきましょう。

AGAは完治の難しい症状

AGAの原因は活性化した男性ホルモンであるDHTになりますが、活性化には以下のようなさまざまな要因が考えられます。

  • 加齢
  • 遺伝
  • 栄養不足
  • ストレス
  • 頭皮トラブル
  • 睡眠
etc…

合わせて、AGAは進行性のため、放っておけば薄毛症状は進む一方です。

さまざまなことが複雑に絡み合ってAGAを発症・進行させるため、一度症状が現れてしまうと完治は難しいとされています。

AGAによる脱毛のしくみ

AGAによる脱毛は、髪をつくる器官である毛球の退縮によるものです。

以下の図のように、ヘアサイクルが乱れることで髪の成長期(2〜6年)が1年未満になってしまい、毛球が健康な髪を生やすだけの十分な大きさになれません。

AGAによる脱毛のしくみ

すると髪は発育不十分な状態に陥ってしまい、抜け毛や軟毛化(うぶ毛のような細く短い髪)した髪が増えるなどの症状がみられるようになります。

やがては地肌が透ける、生え際が後退するといったAGA特有の症状となって現れます。

また脱毛のスピードには個人差がありますが、大体3〜5年で進行度合いを示すグレードが1段階上がると言われています。

【写真で解説】AGA治療~やめたその後

AGA治療をやめた後に髪の状態がどのように変化していくのか、ここからは実際に症例写真を用いて解説していきます。

ビフォー・アフターを参考にしてもらい、これからのAGA治療の進め方に役立ててみてください。

Kさん(55歳男性)の場合

Kさんの場合は、頭頂部で地肌が見えるほどの薄毛の症状でした。

ミノキシジルタブレット(ミノタブ)とフィナステリド錠を同時に服用開始し、6か月ほどで地肌が見えなくなるまでの改善が見られます。

その後服用をやめ、8か月ほど経過すると再び頭頂部に薄毛の症状が見られるようになりました。

もちろん、やめた後にまたAGA治療を再開すれば上記のように薄毛が改善されます。

AGAの治療期間について

AGAの治療期間ですが髪の成長スピードには個人差があり、よく伸びる人でも1ヶ月で1cmほどです。

目に見えて効果が実感できるようになってくるのが2〜3cm前後なので、これに一度抜けて生えるまでの休止期3ヶ月を含め計算します。

髪の成長(2〜3ヶ月)+休止期(3ヶ月)=約6ヶ月

このように、髪が生えてくるまでには、約6ヶ月が一般的な目安になります。

ただし、ヘアサイクルは髪1本1本に備わっているため、治療のタイミングによっては3ヶ月ほどで効果を実感し始める人もいます。

また脱毛箇所の髪が、すべて同じスピードで生えてくることはありません。

タイミングもバラバラなため、生え揃うまでには12ヶ月ほど治療を続けるのがおすすめです。

服用を中止した場合は、半年から1年ほどで再びヘアサイクルが再び乱れ、薄毛の症状が見られるようになります。

AGA治療薬について

AGAの仕組みがわかったところで、次は治療の肝となるAGA治療薬についてのお話です。

これまで薄毛にまつわる製品はさまざま登場していますが、一般的に市販されているもので高い効果を期待するのは難しいと言えます。

理由としてAGAのほとんどの原因が、抜け毛に関わる男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)によるものなので、それに作用し効果を発揮する成分が含まれている医薬品が必要となります。

AGAに対して効果が認められているのは医師が処方するAGA治療薬のみなだけに、まずはどんなお薬が使われているのか簡単にご紹介していきます。

フィナステリド(プロペシア)

フィナステリドとは、脱毛を抑えるAGA治療薬「プロペシア」の主成分名です。主にプロペシアのジェネリック薬がこの名前で呼ばれています。

脱毛の原因となるDHTの発生を抑えることで、乱れたヘアサイクルを元に戻すことで脱毛の進行を止める働きがあります。

AGA治療のガイドライン(日本皮膚科学会発表)でも推奨度は最高ランクの「A」と評価されているだけに、治療には欠かせないお薬であることは覚えておきましょう。

またフィナステリドは、髪が生え揃った後の維持治療にも使われます。

それだけに、治療を通じてAGAから髪を守ってくれるお薬と言えるでしょう。

デュタステリド(ザガーロ)

デュタステリドとは、AGA治療薬「ザガーロ」の成分名です。

主にザガーロのジェネリック薬がこの名前で呼ばれています。

フィナステリドと同様に、抜け毛を防ぐために用いるお薬です。

AGA治療薬の新しい選択肢として登場したことから、"第2のAGA治療薬"とも呼ばれています。

より強くDHTの発生を抑えられるため、新たな髪の成長も期待できる点がフィナステリド(プロペシア)との違いです。

ただし効果が強い分、副作用のリスクが若干ですが高まる傾向があります。

そのため、処方への強い希望やフィナステリド(プロペシア)で十分な効果が得られなかった場合に推奨されるお薬になります。

ミノキシジル(錠剤・外用薬)

ミノキシジルは、国内で唯一発毛効果の認められている発毛剤になります。

脱毛を起こしている箇所や周辺の血流を促し、髪に必要な栄養や酸素が十分に供給することによって髪の発毛をサポートします。

さらに毛包を大きくし、太く丈夫な髪の成長へと導く育毛効果によって抜け毛の減少も期待できます。

また先ほどお伝えした、フィナステリドやデュタステリドとの相性も良いとされています。

予防と発毛を掛け合わせた相乗効果によって、より効率的にAGA治療を行うことができます。

その他の治療

AGA治療は飲み薬や塗り薬といった治療だけでなく、施術と呼ばれる特殊な治療もあります。

メソセラピー ⇨ 成長因子を毛根内部に直接注入し、髪細胞の働きを活性化させ髪の成長を促す治療
植毛 ⇨ AGAの影響を受けない後頭部・側頭部の健康な髪を脱毛箇所に移植手術する治療

メソセラピーは1回あたりが数万円〜と、AGA治療の中でもかなり高額な施術になります。

しかもクリニックごとで独自の配合をしているので、治療効果に差が出やすい特徴があります。

また植毛に関しては、一度髪を植え替えてしまえば半永久的に生えてきます。

しかし、手術を受けるタイミングが難しく、植え替えられる株(クラフト)には上限があります。

また、移植したクラフト部分が新たにAGAを発症する場合や、お薬で生える余地がある毛根も移植によって失うこともあるため、AGA治療の最終手段として考えるのが望ましいといえます。

当院では症状に合わせたAGA治療を行っていますので、現在お悩みの方は是非ご相談ください。

AGA治療薬は一生飲み続ける必要はある?

AGA治療はお薬の服用によって、脱毛を抑え発毛を促し、その状態を維持することができます。

そのため、髪が生えた状態を維持したいとお考えの方は、服用を続ける必要があります。そして服用を中止してしまうと再び薄毛の状態に戻ってしまいます。

これが、「AGA治療薬を一生飲み続ける必要がある」と言われる所以になります。

ただ一生というのは、少し誤解があると言えるでしょう。

減薬したり、休薬期間を設けたり、満足度によってはお薬の服用を中止する人もいます。

髪が生え揃った後の選択肢はいくつもあるだけに、ここから髪が生え揃った後の治療について解説していきます。

減薬を推奨する場合

AGA治療を受けるほとんどの方で、健康状態や体質に問題がなければ「フィナステリド+ミノキシジル」をセットで服用します。

そこから治療経過も良好で、髪が十分に生え揃ってくれば、発毛効果については必要なくなります。

このタイミングで、ミノキシジルの服用をやめるのも1つです。

毛量を維持するだけであれば予防薬のフィナステリドのみで十分であり、髪の状態によっては2日ないし3日おきと服用間隔を空けることもできます。

AGA治療スタート時と同じ治療を続ける必要はなく、なにより経済的な負担も軽減できます。

髪の状態を見極めながら減薬していけば、服用上だけでなくコスト面での負担も減らせるだけに予後に合わせて減薬も検討してみてください。

フィナステリドのみ継続する場合

フィナステリドはAGAの原因を頭皮から減らし、薄毛の進行を予防する効果が期待できます。

治療により一度髪が生え揃ってしまえば、脱毛を抑えるためフィナステリドで現状を維持するだけで良いのです。

AGA治療を行っている方の多くは、その後この方法を選択しています。

ただし場合によっては、見た目は改善されていても肝心の毛根の状態が安定していないことがあります。

タイミングが早すぎると薄毛に戻るのも早まる可能性もあるため、医師と相談し様子を見ながらフィナステリドのみへと切り替えていきましょう。

AGA治療に大切なのはゴールの設定

AGA治療は長い治療期間が必要になるだけに、ゴールがあると治療が続けやすくなります。

  • 年齢的に薄毛が気にならなくなるまで
  • 子供が学校を卒業するまで
  • 結婚できたら
  • 頭皮の透け感がなくなるまで
etc…

このように治療をどこまで続けるかは、ライフスタイルや心境によってさまざまです。

また髪の成長には個人差もあることから、他の人のゴール設定は必ずしも自分に当てはまるとは限りません。

減薬や治療のやめ時のタイミングも異なるだけに、いつまで続けるのか自分だけのゴールを設定してみてください。

「現状維持」か「やめる」を選ぶ際は医師に相談

髪や頭皮の状態の変化を一般の人が見極めるのは、そう簡単なことではありません。

判断を誤れば、ふたたび薄毛の悩みを抱えることにもなりかねず、気づけば悪化していたということもあります。

それだけに現状維持のための治療を続けるのか、きっぱり治療をやめるのか、このタイミングについては医師に適切に判断してもらうようにしましょう。

今後の治療について検討したい人は、お気軽にご相談ください。

AGA治療をやめた・減薬した理由

AGA治療をやめた・減薬した人の理由について、当院に寄せられた内容を簡単にご紹介していきます。

  • 結婚して薄毛が気にならなくなった
  • スキンヘッドにした
  • 薬が体に合わなかった
  • 改善された現状に満足した(減薬)
  • 周囲に薄毛の人が増えたから

など

髪を生えることをゴールにしている人や、環境の変化を治療のやめ時の理由としている人もいます。

他にもいろいろな理由がありましたが、共通して言えるのが「他人の目線が気にならなくなった」ということです。

薄毛は他人の視線が悩みやストレスにつながりやすく、QOL(生活の質)を低下させてしまうことがあります。

それだけに、悩みやストレスから解放された時にどうしたいか、で判断している人が多いのかもしれません。

まとめ

最後にこのページのポイントをまとめてくと、

  • AGA治療をやめると元の薄毛状態に戻る
  • 髪の状態にあわせて治療内容を変更できる
  • 一生治療を続ける必要はない
  • ゴールを決めると治療が続けやすくなる

AGA治療は髪や頭皮の状態に応じて、減薬や中止といったいくつかの選択肢があります。

ただ自己判断すればそれまでの治療効果を失いかねないだけに、治療内容を変更する際は必ず医師に相談するようにしましょう。