ニキビダニ(顔ダニ)の症状とニキビの見分け方は?治し方と増殖の原因も解説!

更新日:2024/11/18
ニキビダニ(顔ダニ)の症状とニキビの見分け方は?治し方と増殖の原因も解説

顔に現れる赤みやかゆみなどの皮膚トラブルは、「ニキビダニ(顔ダニ)」が原因となっている場合があります。
ニキビに似た症状が数ヶ月以上続いたり、ニキビ治療を試しても改善しにくいときは、毛穴にいるニキビダニが影響しているかもしれません。

通常は誰の皮膚にも存在するニキビダニですが、特定の条件が重なると増殖し、毛包に炎症を引き起こしやすくなることがわかっています。

このページでは、ニキビダニの症状やニキビとの見分け方、さらに増殖の原因や治療法について詳しく解説していきます。

ニキビの原因

ニキビダニ(顔ダニ)とは

ニキビダニ(顔ダニ)は、毛根を包んでいる「毛包」と呼ばれる器官に生息する常在菌の一種です。

名称 ニキビダニ(顔ダニ)
学名 Demodex(デモデックス)
分類 常在菌(常在微生物)
大きさ 体長:約0.3mm
体幅:約0.05mm
生息場所 主に顔の額・鼻・顎・まつ毛などの毛包
見た目 イモムシ状
肌への影響 通常は無害であるが、増殖すると炎症などを引き起こすことがある

健康な肌にもごく自然に存在しており、他の常在菌とバランスを保ちながら共存していることから、通常は無害で肌トラブルを起こすことはありません。
そのため、日常的に意識したり特別な治療は必要ありませんが、赤みやかゆみなどの症状が長く続く場合には医療機関の受診を推奨します。

ニキビダニ(顔ダニ)の見つけ方

ニキビダニ(顔ダニ)の見つけ方

見つけ方は、ニキビダニが疑われる場合に患部からサンプルを採取し、顕微鏡で確認するのが一般的です。

ニキビダニは毛穴の中(毛包や皮脂腺)に生息しているため、肌表面から肉眼で見ることはできません。

ニキビダニ(顔ダニ)による毛包虫性ざ瘡とニキビの見分け方

毛包虫性ざ瘡は、ニキビダニが原因で発症するニキビとよく似た皮膚炎です。
ニキビとの見分け方のポイントとしては、毛包虫性ざ瘡では「かゆみ」や「ひりつき」といった症状がみられやすい傾向にあります。

以下の表に、毛包虫性ざ瘡とニキビ(尋常性ざ瘡)の特徴をまとめました。

名称 毛包虫性ざ瘡 尋常性ざ瘡(ニキビ)
原因 ニキビダニ アクネ菌
主な
症状
赤いぶつぶつ、炎症、かゆみ、ひりつき など 面ぽう(コメド)、丘疹(炎症)、囊胞(うみ)
症状の
特徴
局所的に集中して発生
かゆみを伴いやすい
皮脂の多いTゾーン
乾燥しやすいUゾーンや体に発生

それぞれの症状は似ているため、自己判断が難しいことが多いです。
ニキビと思って治療を続けても改善がみられず、検査してみると毛包虫性ざ瘡だったというケースもあります。
そのため症状が長引いたり、かゆみやひりつきが気になるようであれば、皮膚科での診察を推奨します。

ニキビダニ(顔ダニ)が増殖する原因

ニキビダニ(顔ダニ)が増殖する原因

本来、ニキビダニは毛包内の皮脂を分解して肌の状態を整えていますが、過剰な皮脂分泌に伴って増殖しやすくなります。
皮脂を栄養源とすることから、皮脂が増加するとニキビダニにとって栄養豊富な環境が整ってしまうためです。
皮脂の過剰分泌を招くのは、生活習慣の乱れやストレス、喫煙、不適切なスキンケアなど、日々の過ごし方が影響します。
また、生活習慣の乱れなどは免疫力の低下にもつながり、肌のバリア機能が弱まることでニキビダニがさらに増殖しやすい状態を招きます。

ニキビダニ(顔ダニ)の症状

ニキビダニ(顔ダニ)の増殖をきっかけに、肌には以下のような症状がみられることがあります。

【ニキビダニ(顔ダニ)の症状】
  • 酒さ(赤ら顔)
  • 炎症を伴う赤いブツブツ
  • かゆみ
  • ひりつき

酒さ(赤ら顔)の原因は明らかになっていませんが、高い確率でニキビダニが見つかる皮膚病のひとつです。
顔がほてったように赤くなり、毛細血管の拡張や炎症により頬や鼻周りに赤みが集中します。

またニキビダニによって皮膚表面には赤いブツブツができますが、ニキビの初期症状である面ぽう(皮脂がたまった状態)が形成されることはありません。

ニキビダニ(顔ダニ)の治し方

ニキビダニ(顔ダニ)の治し方

ニキビダニ(顔ダニ)の治し方には、以下の塗り薬や飲み薬が効果的です。

【ニキビダニ(顔ダニ)の治し方】

■イベルメクチンクリーム
イベルメクチンクリームは、アメリカ食品医薬品局(FDA)で承認された塗り薬です。抗炎症作用と抗寄生虫作用の2つの作用によって、ニキビダニの増殖を抑えます。ニキビダニは常在菌のため完全に駆除はできませんが、菌バランスを整えることでニキビダニによる肌トラブルを改善します。特に酒さでは、使用開始から約2週間で改善がみられることが多いです。

■ロゼックスゲル
有効成分のメトロニダゾールは、ニキビダニをはじめとする寄生虫や嫌気性菌に対して強い抗菌作用があります。これによりニキビダニの数を減らすことで赤いブツブツや炎症、かゆみなどを改善します。

■イソトレチノイン
イソトレチノインは皮脂腺を小さくし、ニキビダニの栄養となる皮脂の分泌を抑えて症状を改善する飲み薬です。また、酒さが重症化している場合やアクネ菌が原因のニキビが併発している際にも推奨されます。

肌荒れが一向に治らない場合や、かゆみやひりつき感が増してくる場合には、医師に相談して最適な治療方法を選ぶことが大切です。

イベルメクチンクリームの効果と副作用

ニキビダニ(顔ダニ)の市販薬はある?

ニキビダニ(顔ダニ)に効く成分を含んだ市販薬はいくつかあります。

【ニキビダニ(顔ダニ)の市販薬】
  • クロタミトン:かゆみを抑える成分
  • イオウ:抗菌作用と角質軟化作用を持つ成分
  • ビタミンB2・B6:皮脂分泌のコントロールに役立つ栄養素

ただし、いずれの成分もニキビダニの増殖を抑えるものではなく、一時的に症状をやわらげる対症療法にとどまります。
また、かゆみが気になる場合でも、ステロイドの使用は避けるべきです。
ステロイドは症状を悪化させるリスクがあるため、ニキビダニが原因の肌トラブルでは推奨されません。

ニキビダニによる症状が疑われる場合や、市販薬では症状が治らない場合は、皮膚科などの医療機関を受診することが重要です。
医師の診察により、ニキビダニに直接アプローチできる薬の使用が根本的な改善につながります。

ニキビダニ(顔ダニ)の治療期間

ニキビダニ(顔ダニ)の治療期間は、通常1〜2ヶ月かかります。
治療期間に差が生じるのは、以下のような要因が影響することがあるためです。

【ニキビダニ(顔ダニ)の治療期間の要因】
  • 症状の重症度
  • 適切な薬剤の選択
  • 継続的な薬の使用
  • ライフスタイル

可能な限り短い期間で治すためにも、医師の指導に従って治療を続けるようにしてください。

ニキビダニ(顔ダニ)増殖の予防方法

ニキビダニ(顔ダニ)増殖の予防方法

ニキビダニ(顔ダニ)の増殖を予防するには、治療だけでなく、日々のスキンケアや生活習慣が大切です。
以下のポイントを意識することで、ニキビダニの増殖を抑え、肌の健康を保つことが期待できます。

【ニキビダニ(顔ダニ)増殖の予防方法】
  • 自分に合ったスキンケア
  • 規則正しい生活習慣
  • ビタミンAやビタミンB群の摂取

こうした毎日のケアは、積み重ねが重要です。
できることから実践していき、肌環境を整えていきましょう。

ニキビダニ(顔ダニ)についてのまとめ

ニキビダニ(顔ダニ)は通常は無害な常在菌ですが、増殖すると「毛包虫性ざ瘡」と呼ばれるニキビに似た肌トラブルを引き起こすことがあります。
赤いブツブツやかゆみといった症状が続く場合、ニキビダニが原因となっていることもあるため、自己判断せず医療機関で診察を受けることが推奨されます。

また治療にはイベルメクチンクリームなど医療機関で処方される薬が効果的で、ニキビダニの増殖を抑えるだけでなく、炎症の改善も期待できます。
治療開始から2週間ほどで効果も実感できるので、肌トラブルが長引く場合には、早めに医師に相談して適切な治療を受けるようにしてください。

ニキビダニ(顔ダニ)のよくある質問

  • Q
    ニキビダニ(顔ダニ)は犬や猫から人へ、人から犬や猫へ移りますか?
    A
    ニキビダニ(顔ダニ)は、人間と動物の間で移ることはありません。
    また、犬や猫などの動物同士、例えば犬同士であっても、ニキビダニを移すことはないとされています。
    それぞれの種ごとに特有のニキビダニが存在しているため、人間のニキビダニが犬や猫に移ることも、逆に犬や猫から人に移ることもありません。
  • Q
    ニキビダニ(顔ダニ)は洗顔で落とせますか?
    A
    ニキビダニ(顔ダニ)を洗顔で直接的に落とすことはできません。
    ニキビダニは毛包や皮脂腺に生息しているため、表面を洗うだけでは除去できないからです。
    しかし、洗顔は余分な皮脂を落とすことにつながるので、ニキビダニの養分となる皮脂の過剰な蓄積を防ぐことは可能です。
    ただし、洗顔のしすぎや強い成分を含んだスキンケアは、逆に皮脂の過剰分泌を招くことがあるので注意してください。
  • Q
    ニキビダニ(顔ダニ)がいない人もいますか?
    A
    ニキビダニ(顔ダニ)がまったくいない人はいません。
    通常1つの毛穴に約5匹ほどいるといわれています。
    基本的に無害であり、毛包で皮脂を分解して健康な肌環境を維持するのに役立っています。
  • Q
    ニキビダニ(顔ダニ)は顔を刺しますか?
    A
    ニキビダニ(顔ダニ)が顔を刺すことはほとんどありません。
    人を刺すダニには、ツメダニ、イエダニ、マダニの3種類が知られており、これらが刺すことでかゆみや炎症が起こります。
    一方、ニキビダニは毛包や皮脂腺に生息し、皮脂を栄養源としているため、人を刺すことはないとされています。
  • Q
    ニキビダニ(顔ダニ)にオロナインは効きますか?
    A
    オロナインはニキビダニ(顔ダニ)には効果がありません。
    オロナインは軽度の傷やニキビに対しての殺菌・消毒効果がありますが、ニキビダニの増殖を抑える効果はないため、ニキビダニによる肌トラブルには適していません。
  • Q
    ニキビダニ(顔ダニ)は完全に駆除できますか?
    A
    ニキビダニ(顔ダニ)は完全に駆除することはできません。
    毛穴に生息する常在菌なので駆除する必要もなく、通常は無害で肌の健康に役立つ一面もあります。
    過剰に増殖すると肌トラブルの原因になることがありますが、他の菌とバランスを保ちながら存在している限り害はありません。

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