イベルメクチンクリームは酒さ治療に効果のある医薬品になり、ニキビダニの増殖を抑えることで「酒さ(赤ら顔)」の症状を和らげることが知られています。
酒さは、顔の赤みや丘疹膿胞(ニキビのような赤いぽつぽつ)がみられる慢性的な皮膚疾患です。
本記事では、イベルメクチンクリームの効果や具体的な使用方法、副作用について詳しく解説します。
また市販や通販での購入方法にも触れ、どのようにして手に入れることができるのか注意点を含めてわかりやすくご紹介します。
イベルメクチンクリームとは
イベルメクチンクリームとは、抗寄生虫薬の一種です。
製品名 | イベルメクチンクリーム |
---|---|
有効成分 | イベルメクチン1% |
系統 | マクロライド系寄生虫駆除剤 |
適応 | 酒さ・赤ら顔 |
主に酒さ(赤ら顔)の治療に使われる外用薬となり、有効成分イベルメクチン1%が酒さの原因となるニキビダニに作用することで炎症や赤みの緩和が期待されます。
また、新型コロナウイルス感染症の初期にイベルメクチンが有効である可能性が示唆された研究も存在しますが、臨床試験の結果、有効性は確認されていません。
国内では未承認薬となりますが、2014年にはFDA(アメリカ食品医薬品局)から「酒さ治療薬」として正式に承認されました。
今のところ日本での承認の目処は立っていませんが、美容皮膚科に受診することで、医師の判断によって処方を受けることが可能です。
イベルメクチンクリームの効果
イベルメクチンクリームは、酒さの標準治療薬に位置付けられる「ロゼックスゲル(メトロニダゾール0.75%)」よりも高い効果があることがわかっています。
臨床試験では使用開始わずか2週間で改善がみられ、その後も酒さの病変が継続的に改善したことが報告されています。
酒さの原因である毛包内のニキビダニを減らす
イベルメクチンクリームの作用の1つである抗寄生虫作用には、酒さ(赤ら顔)の原因であるニキビダニを殺菌する効果があります。
ニキビダニは顔に生息するダニの一種で「顔ダニ」とも呼ばれ、多くの人の顔に存在しています。通常はトラブルを起こすことはありませんが、過剰に増殖をすると、赤みやニキビのような丘疹といった酒さの症状が現れることがあります。
普段は共生している微生物なので、イベルメクチンクリームの治療目的は完全に駆除することではありません。
過剰に増殖したニキビダニの数を減らし、バランスを整えることで、酒さの症状の改善を目指して使用されます。
丘疹膿胞型酒さ(ニキビのような赤いポツポツ)を改善する
イベルメクチンクリームは、抗寄生虫作用だけでなく抗炎症作用もあります。
この作用により、酒さ特有の炎症や赤みを抑える効果が期待でき、見た目の悩みも緩和されるのは大きなメリットです。
特に「丘疹膿胞型酒さ」に有効で、このタイプは持続的なほてりや紅斑に加え、赤いポツポツとした丘疹や膿疱が繰り返し現れるのが特徴です。
ニキビと似ていますが、コメド(毛穴の詰まり)がない点で異なり、乾燥感も伴うため肌への負担も大きくなります。
イベルメクチンクリームは、このような症状に対して炎症を抑え、肌の状態を落ち着かせることで酒さの症状改善に役立ちます。
イベルメクチンクリームの塗り方
イベルメクチンクリームの塗り方は、以下のとおりです。
- 1日1回、顔(額・顎・鼻・頬)に豆粒大の量を塗布します。
- 洗顔後、目や唇、粘膜部位は避けながら顔全体に薄く塗り広げます。
- スキンケア製品を使用する場合、スキンケアが乾いてからの使用となります。
イベルメクチンクリームとロゼックスゲルの違い
イベルメクチンクリームとロゼックスゲルの違いは、以下の表をご参考ください。
イベルメクチンクリーム | ロゼックスゲル | |
---|---|---|
薬の分類 | 抗原虫薬 | 抗生物質 |
有効成分 | イベルメクチン1% | メトロニダゾール0.75% |
主な作用 | 抗寄生虫作用・抗炎症作用 | 抗菌作用 |
適応 | 酒さ(特に丘疹膿胞型) | 酒さ全般 |
使用頻度 | 1日1回 | 1日2回 |
保険適用 | 適用外(未承認薬) | 保険適用 |
いずれもニキビダニが原因で引き起こされる酒さの治療に使用される外用薬となり、原因や症状に応じて適切な薬剤を選択することが重要です。
また2つの比較臨床試験では、イベルメクチンクリームは3週目以降からより効果的であることがわかっています。
イベルメクチンクリームの購入方法
イベルメクチンクリームは医薬品となるため、購入にあたっては医師の診察と処方を受ける必要があります。
皮膚に赤みが出ているからといって酒さとは限らず、またイベルメクチンクリームの適応ではない場合も使用はできません。
適切な診断と治療のために、必ず皮膚科医に相談するようにしましょう。
イベルメクチンクリームは薬局に市販品はある?
イベルメクチンクリームは、薬局やドラッグストアなどで市販薬としては販売されていません。
この薬は日本では未承認薬となるので、自由診療(美容皮膚科)での処方となるためです。
また医薬品である以上、使用にあたって副作用のリスクもあり、他の薬との併用にも注意が必要なので医師の管理下での使用が求められます。
イベルメクチンクリームは個人輸入(通販)で購入可能?
イベルメクチンクリームは海外製になるため、個人輸入(通販)でも購入は可能です。
しかし、個人輸入の利用にはいくつかのリスクを伴います。
偽造薬の混入、保管状態による薬剤の劣化、また品質が保証されていないため、使用により肌の症状がさらに悪化する可能性がゼロではありません。
さらに、注文しても手元に届くまでには10日から2週間というタイムラグにより治療の遅れにもなりかねません。
安全性と有効性の面から、イベルメクチンクリームは医療機関で処方を受けることが推奨されます。
イベルメクチンクリームの副作用・注意点
イベルメクチンクリームの副作用は、主に皮膚症状となります。
- かゆみ
- 乾燥
- 熱感
- 酒さの一時的な悪化
治療開始初期に、酒さの症状が悪化する場合があります。
これはニキビダニに対する反応になるので、1週間ほどで落ち着くのが一般的です。
その他の症状についても一過性ではありますが、症状がひどくなるようであれば治療を中止し医師に相談するようにしてください。
イベルメクチンクリームの使用ができない人
以下に該当する方はイベルメクチンクリームの使用ができません。
- 妊娠またはその可能性がある人
- 授乳中の人
- 有効成分または添加剤(セチルアルコール、ステアリルアルコール、プロピレングリコールなど)にアレルギーがある人
この他にも医師の判断によっては使用できないこともあるので、健康状態や服用中の薬があれば申し出るようにしてください。
イベルメクチンクリームについてのまとめ
イベルメクチンクリームは、ニキビダニが原因で引き起こされる酒さ(赤ら顔)に対して、これまでの治療薬よりも効果が期待できるとして注目されています。
日本では未承認薬ではあるものの、自由診療(美容皮膚科)であれば処方を受けることが可能です。
個人輸入も選択肢には入ってきますが、自己判断によるリスクがあるため、医師に相談の上で安全に使用することが推奨されます。
イベルメクチンクリームに関するよくある質問
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- Qイベルメクチンクリームは何に効きますか?
- Aイベルメクチンクリームは、主に酒さ(赤ら顔)の治療に使われる抗寄生虫薬です。
特に「丘疹膿疱型酒さ」に効果が期待され、ニキビダニの増殖を抑え、赤みや炎症を軽減する作用があります。
- Q
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- Qイベルメクチンクリームを塗る期間は?長期使用は可能ですか?
- Aイベルメクチンクリームを塗る期間や長期間の使用可否には個人差があります。
2週間ほどで効果を実感できるケースもありますが、使用を続けることで継続的な改善がみられたこともわかっているため、医師と相談の上で使用継続を判断するようにしてください。
- Q
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- Qイベルメクチンの錠剤の効果はありますか?
- Aイベルメクチンの錠剤は、主に寄生虫感染症(疥癬や糞線虫症など)の治療に使用されます。
また、ニキビダニが関与する皮膚疾患の改善にも効果がある場合があります。
ただし、酒さに対しての効果は十分に確立されていないため使用はできません。
- Q
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- Qイベルメクチンクリームはアトピーに効きますか?
- Aイベルメクチンクリームは、主に酒さの治療に使用される薬であり、アトピー性皮膚炎には効果が認められていません。
アトピー性皮膚炎の治療には、別の抗炎症薬や保湿剤が一般的に用いられます。
代替薬としては使用できないので注意が必要です。
- Q
抗炎症作用と抗寄生虫作用の2つが期待できる、イベルメクチンクリームの効果について詳しく見ていきましょう。