禁煙

タバコヤニによる歯の黄ばみ・汚れの落とし方を紹介

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。
タバコヤニ歯アイキャッチ 禁煙

タバコヤニによる歯の黄ばみ問題は、喫煙者のよくある悩みのひとつです。

このページでは、以下の内容について詳しく解説しています。

ここでは、白い歯をキープする方法と具体的な落とし方について詳しく解説します。

適切なケアによってタバコによる黄ばみ汚れを効果的に予防・除去しましょう。

タバコヤニで歯が黄ばむ・汚れる理由

喫煙イメージ

タバコヤニで歯が黄ばむ・汚れる原因は、タバコに含まれているタールによるものです。

タールは非常に粘着性が高く、タバコの煙といっしょに口内に入り込みます。

これが歯の表面を覆うペリクルという薄い膜と結びつくことで、徐々に歯が黄ばんでいきます。

【タールで歯が黄ばむしくみ】 ①喫煙でタールが口内に入る
②タールが歯の表面の膜であるペリクルと結びつく
③繰り返しの喫煙でタールが歯に蓄積されて黄ばむ

タールは粘着性や着色性が強い物質で、壁紙や衣類、家電など部屋全体が黄ばむのと同じ現象が口の中にも起こります。

また、歯の黄ばみによって口内環境を悪化させることで、口臭や虫歯、歯周病など見た目以外のリスクにもつながります。

タバコヤニによる歯の黄ばみの取り方

タバコヤニによる黄ばみは通常のブラッシングでは簡単に除去できないため、以下のような特別なケアが必要です。

タバコヤニによる歯の黄ばみは見た目に大きな影響を与えるため、多くの喫煙者が悩む問題です。

喫煙歴や喫煙本数によっても黄ばみの度合いは異なり、ホームケアでは限界もあります。

必要に応じて歯科医への相談も検討してみてください。

タバコヤニ専門の歯磨き粉を使う

タバコヤニ専門の歯磨き粉は、タバコヤニやステイン汚れ(着色汚れ)を落として元の歯の色に近づける製品を指します。

一般的には化粧品ではなく、以下のような成分を含んだ「医薬部外品」の歯磨き粉を選ぶことがおすすめです。

<ホワイトニング
歯磨き粉の成分>

成分 効果
ポリリン酸ナトリウム 歯の表面に付着した着色汚れを効果的に除去する

※短鎖ポリリン酸や分割ポリリン酸とも呼ばれることもあります

ポリエチレングリコール タバコヤニを溶かす
ヒドロキシアパタイト
(ハイドロキシアパタイト)
エナメル質に近い成分で、歯の表面の小さな傷を埋め表面を整える

これらの歯磨き粉を毎日の歯磨きに取り入れることで、徐々に歯の白さを取り戻すことが期待できます。

しかし、過度な使用は歯のエナメル質を傷つける可能性があるため、使用方法や頻度には注意が必要です。

超音波歯ブラシで歯を磨く

超音波歯ブラシは高速振動を利用して歯を効率的に磨き、タバコヤニによる黄ばみを除去するのに効果的です。

以下のようなメリットで、日々の歯磨きに取り入れるとタバコヤニの除去がより効果的になります。

  • 高速振動で徹底的に汚れを除去
    毎分数万回の高速振動を発生させ、歯の表面や歯間、歯茎の境目の汚れを除去。
    通常のブラッシングでは届かない部分の汚れを効果的に浮かせて落とします。
  • ペリクルの除去
    歯の表面に付着した薄い膜であるペリクルを取り除きます。
    ペリクルに付着しているタバコヤニを除去し、口内をより清潔にしつつ白い歯を保ちます。
  • 歯に対する圧力が一定
    力の入れ具合で磨き方に差が出ないので、磨き残しが少なくなり効率的に歯を磨けます。

超音波歯ブラシを使うことで、タバコヤニによる黄ばみを効果的に除去し、健康で白い歯を保つことができます。

喫煙者にとっては、日々の口内ケアとして取り入れる価値のあるアイテムです。

クリーニングでヤニ汚れを除去する

ホームケアが難しい場合は、歯科でタバコヤニの除去も検討してみてください。

歯科医がスケーリングやポリッシングといった手法を用いて、歯の表面に付着した頑固なヤニを徹底的に除去します。

これにより、通常のブラッシングでは取り除けない汚れもきれいに取り除くことが可能です。

また、歯のクリーニングであれば保険が適用される場合も多く、費用の負担を軽減することができます。

定期的なクリーニングは、歯の健康を維持するだけでなく、ヤニの再付着を防ぐための予防措置としても効果的です。

ホワイトニングをおこなう

ホワイトニングは、タバコヤニによる黄ばみを効果的に除去する方法として非常に有効です。

タバコのタールは歯に深く染み込んでしまうため、通常のブラッシングや簡単なクリーニングでは完全に除去できません。

ホワイトニングであれば、クリーニングでなかなか取れない汚れも取り除くことが可能です。

ホワイトニングには「オフィスホワイトニング」と「ホームホワイトニング」の2種類があります。

<オフィスホワイトニングと
ホームホワイトニングの特徴>

特徴 オフィスホワイトニング ホームホワイトニング
実施場所 歯科医院 自宅
効果が現れるまでの時間 即時 数週間〜数ヶ月
使用薬剤 高濃度のホワイトニング剤 低濃度のホワイトニング剤
メリット 医師が行うので1回でも歯の白さを実感しやすい 自宅で自分のペースで手軽に行える
デメリット コストがかかる 歯の白さを実感するまでに時間がかかる

オフィスホワイトニングは、歯科医院で高濃度のホワイトニング剤を使いすぐに歯を白くできる確実な方法です。

一方、ホームホワイトニングは自宅で行えるものの、低濃度のホワイトニング剤を使うため、効果を実感するまでに時間がかかることがあります。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり治療にかかる費用も異なるので、喫煙による歯の黄ばみ具合などから自分に合った方法を選ぶのがポイントです。

歯のタバコヤニ汚れを予防する方法

歯のケアイメージ

喫煙を続ける以上、歯のケアを心がけることが大切です。

タバコヤニによる歯の汚れを予防するために、以下の方法を実践しましょう。

これらの方法を取り入れることで、タバコヤニの影響を最小限に抑えることができます。

歯の表面を傷つけないように磨く

歯に傷が付くとタバコヤニ汚れが溜まりやすくなるため、歯を傷つけないように丁寧に磨いていくことが重要です。

特に、オーバーブラッシング(歯を強く磨く)には注意が必要です。

以下の手順で正しいブラッシングを行いましょう。

  • 柔らかい毛の歯ブラシを選ぶ
  • 歯ブラシを歯と歯茎の境目に45度の角度で当てる
  • 毛先を当てるイメージで軽い力で磨く
  • 2〜3分ほど時間をかけて磨く

歯ブラシだけで歯の隙間を綺麗に磨くことは難しいです。

歯磨き前に歯間ブラシやフロスを行い、正しいブラッシングを習慣づけることでタバコヤニの付着を最小限に抑えることができます。

タバコを吸ったら歯を磨く

タバコを吸った後に歯を磨くことは、歯の黄ばみを防ぐために非常に重要です。

タバコに含まれるタールと唾液に含まれるペクリルが結びつくには、半日から1日ほどかかるとされています。

この2つの成分が結びつく前に歯を磨くことで、ヤニの付着を最小限に抑えられます。

タバコを吸うたびに磨くのは現実的ではないので、口をすすぐなどして汚れの蓄積を減らし歯をタールによる黄ばみから守っていきましょう。

ヤニ取りパイプを使ってケアする

タバコのフィルターに装着するにヤニ取りパイプをつけることで、吸入するタールの量を減らすことが可能です。

ヤニ取りパイプはタバコの煙が通過する際にタールやニコチンを吸着し、歯に付着するヤニを軽減させる効果が期待できます。

なお、ヤニ取りパイプは手軽に使用でき、100円ショップなどでも購入可能です。

コストも高くないので、定期的に交換することで効果を持続させることができます。

加熱式タバコに切り替える

加熱式タバコはタバコ葉を加熱した蒸気を吸うため、紙タバコよりも燃焼によるタールの発生量が抑えられます。

歯に付着するタバコヤニの量が減り、歯が黄ばみにくくなるので、黄ばみ予防として紙タバコから切り替えを検討してみるのも1つです。

加熱式タバコの代表的な製品には、以下のものがあります。

  • アイコス (IQOS)
  • グロー (glo)
  • プルームテック (Ploom TECH)

製品ごとに吸い応えなども異なるので、ご自身が満足できる製品を選んでみてください。

研磨剤入り歯磨き粉を使用する

研磨剤入りの歯磨き粉は、タバコヤニによる汚れを効果的に落とすのに役立ちます。

歯磨き粉に含まれる研磨剤が歯の表面の汚れを物理的に削り取ることで、歯の黄ばみを軽減します。

【歯磨き粉の研磨剤成分】
  • シリカ
  • アルミナ
  • リン酸カルシウム
  • 炭酸カルシウム
  • パーフルオロヒドロキシアパタイト など

ただし、研磨剤は歯の表面を微量に削るため、強く磨きすぎるとエナメル質を傷つけてしまう可能性があります。

普段からゴシゴシと力強くブラッシングする習慣があると、長期的にみた時に歯が大きく削られてしまうことにもなりかねません。

歯の健康を損ねてしまい、知覚過敏を引き起こすこともあるので、適度な力で優しく磨くことが重要です。

禁煙を意識する

ゆくゆくは禁煙を目指すことも効果的な方法です。

歯の汚れが気になり、白い歯を保ちたい方にとって、禁煙を考える価値は大いにあります。

禁煙をすればタールによる黄ばみそのものの心配はなくなり、根本的な解決につながります。

タバコを吸わないことで黄ばみケアの効率も上がり、より効果的に歯の美しさをキープでき、なにより禁煙は健康面においてもメリットづくしです。

タバコをやめるなら禁煙治療も検討

タバコをやめるなら、禁煙治療を受けるのもひとつです。

禁煙治療には、以下のような方法があります。

  • ニコチン製剤
    ニコチン置換療法と呼ばれる治療で、ニコチンパッチニコチンガムから少量のニコチンを摂取することでタバコ離れをサポートします。
    ニコチンを摂取するので禁煙時に起こる辛い離脱症状を緩和させることが可能です。
  • 非ニコチン製剤
    非ニコチン製剤は、ニコチンを含まない飲み薬を使った禁煙治療です。
    離脱症状を和らげるだけでなく、喫煙欲求を低下させる効果もあります。
    禁煙時の辛さと吸いたい気持ち両方にアプローチしてタバコ離れをサポートします。
  • 禁煙治療を受けることで、自力での禁煙よりも成功率が高まり、離脱症状や喫煙欲求そのものを抑えることが可能です。

    禁煙を考える際は専門の医療機関に相談し、最適な治療法を見つけることをおすすめします。

    まとめ:自分でケアが難しい場合は歯医者に相談してみましょう

    この記事のまとめは以下となります。

    • タバコヤニはペリクルと結びついて歯に黄ばみが生じる
    • 歯の表面を傷つけないように磨くことが重要
    • タバコを吸ったら歯を磨く習慣をつける
    • ヤニ取りパイプを使ってタールを減らす
    • 加熱式タバコに切り替えてタールの発生を抑える
    • 研磨剤入り歯磨き粉でヤニ汚れを効果的に落とす
    • 禁煙を意識することで根本的に黄ばみを防ぐ
    • 禁煙治療を利用することで成功率が高まる

    ご自身でのタバコによる黄ばみケアが難しい場合は、歯医者に相談してみてください。

    タバコヤニによる歯の黄ばみは、専門の治療を取り入れることで除去することが可能です。

    また禁煙は、タバコヤニによる歯の黄ばみの根本的な解決になります。

    白い歯を維持していくためにも、禁煙も選択肢のひとつとして考えてもいいでしょう。

    よくある質問

    歯に付いたタバコヤニは自分でなんとかできますか?
    タバコヤニは、専用の歯磨き粉や超音波歯ブラシを使えば自宅で除去できます。
    ただし、ホームケアには限界もあるため、頑固な汚れは歯科医が行うクリーニングやホワイトニングがより効果的です。
    どうしてタバコを吸うと歯が黄色くなるのですか?
    タバコに含まれるタールが、歯の表面にある薄い膜であるペクリルと結びついて黄ばみを引き起こします。
    タールは粘着性が高く、タバコを吸い続けることで蓄積されていき歯の色を変えてしまいます。
    タバコを吸っても歯を白く保つにはどうすればいいですか?
    タバコを吸いながらでも歯を白く保つには、こまめな歯磨きとホワイトニング成分や研磨剤入りの歯磨き粉、ヤニ取りパイプの使用などが有効です。
    喫煙歴や1日の喫煙本数が多いと、それだけ黄ばみやすくもなります。
    毎日のホームケアだけでは黄ばみを抑えられない場合には、歯科に相談することも検討してみてください。