顎(以下 あご)やあご下に繰り返しできるニキビ・ニキビ跡は、多くの方が悩む肌トラブルのひとつです。
この部位にできるニキビは、生活習慣やホルモンバランス、外部からの刺激など、さまざまな要因が絡み合って発生します。
本記事では、一度できたらなかなか治らないあごニキビの原因を詳しく解説し、即効性のある治し方や日常生活で取り入れられるケア方法をご紹介します。
しこり状になった場合の対処法や、繰り返す痛みを伴うニキビに対する医療機関での治療の重要性についても触れています。
あごニキビにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
あご・あご下ニキビがなかなか治らない原因
あご・あご下にできるニキビはなかなか治りにくく、同じ場所に繰り返しできることが多い悩ましいトラブルです。
原因としては以下のようなことが考えられます。
◾️あごニキビが繰り返しできる原因
これらの原因が絡み合うことで、あごニキビが慢性化しやすくなります。
何故あごニキビを引き起こしやすいのか、ひとつずつ確認していきましょう。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、あごニキビの身近な原因のひとつです。
不規則な生活リズムや睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、アクネ菌のエサとなる皮脂の過剰分泌を招きます。
また、過度な飲酒や喫煙の習慣があると、栄養バランスが崩れやすくなり、特にビタミンCの大量消費や破壊を引き起こします。
こうした影響により肌のバリア機能が低下し、外部からの刺激に対する抵抗力が弱まり、ニキビができやすい肌環境が整ってしまいます。
ストレスの増加
ストレスの増加は、あごニキビの発生に深く関係しています。
あごニキビ発生のメカニズム
ストレスの発生
↓
自律神経(交感神経優位)のバランスが崩れる
↓
アンドロゲン(男性ホルモン)が過剰に分泌される
↓
皮脂腺が刺激され、皮脂分泌が過剰になる
↓
毛穴詰まりを引き起こしニキビが発生
このようにして毛穴が詰まりやすい肌環境に変化し、ニキビが繰り返し発生しやすくなります。また、ストレスが慢性化すると肌のターンオーバーも乱れ、治りにくいニキビやニキビ跡の原因となる場合があります。
手やカミソリ、マスクなどの外部刺激
手やカミソリ、マスクなどの外部刺激も、あごニキビの原因になりやすいです。
なりやすい 外部刺激
- 無意識にあごを触ってしまう(頬杖をつくなど)
- 強く洗顔してしまう
- カミソリによる産毛処理で肌を傷つけてしまう
- マスクによる刺激(サイズ感、湿気、摩擦など)
- 不衛生なタオルやシーツの汚れが付着する
など
こうした肌への直接的な刺激は肌のバリア機能を低下させ、肌の抵抗力を弱めてしまいます。
その結果、外部からの雑菌や汚れが入り込みやすくなり、あごニキビの発生や悪化を引き起こします。
紫外線によるダメージ
紫外線のダメージは、あごニキビの発生や悪化、ニキビ跡の形成に大きく関わります。
紫外線を浴びる
↓
ポルフィリン(アクネ菌の代謝産物)が活性酸素を発生させる
↓
皮脂の酸化により毛穴詰まりが起こる
↓
あごニキビの発生
また、紫外線を浴びた肌ではメラニン色素の生成が促されます。
この影響により、ニキビが治った後も色素沈着が残りやすく、ニキビ跡が目立ちやすくなってしまうことがあります。
女性に多いあごニキビの発生原因
女性に多いあごニキビの発生原因は、ホルモンバランスの乱れです。
女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)のバランスは、以下のタイミングで周期的に変化します。
変化するタイミング
- 生理前
- 妊娠
- 更年期
など
こうしたタイミングで増える黄体ホルモンは皮脂分泌を促すため、毛穴詰まりによりあごニキビが発生しやすくなります。
また、ハイライトやシェーディングなど、あご下辺りに使用する化粧品が肌に合っていない場合もあごニキビの原因になることがあります。
化粧品に含まれている成分が肌への刺激となり、毛穴を塞いでしまうことで、ニキビが発生しやすくなってしまいます。
あごニキビの即効性ある治し方は?
あごニキビを1日でも早く治すためには、セルフケアよりも皮膚科に相談することが効果的です。
悪化してから相談するのではなく、ニキビの初期症状であるコメドの段階から適切な治療を行うことで、重症化を防いで早期の改善が期待できます。
ニキビは市販薬を使えばセルフケアできる皮膚の病気ですが、ニキビ症状によっては思わぬ悪化を招くリスクもあります。
症状を長引かせないためにも自己判断に頼らず、医師の治療を受けることが大切です。
また自由診療(美容皮膚科)では、海外の最新の医療技術や治療薬の処方も行っています。重症ニキビや再発しやすいニキビ、ニキビ後遺症に対応しているため、悩みに応じて適切な治療を受けることを推奨します。
あごニキビが悪化して「しこり」になってしまったら?
あごニキビが「しこり」になっている場合、炎症が深部に及んでいる可能性が高いです。
発生のメカニズム
毛穴の深部でアクネ菌が増殖
↓
膿や血がたまるが排出できない
↓
慢性的な炎症
↓
皮膚組織が変化により「しこり」が形成される
しこりは外部からのケアだけでは改善が難しく、1ヶ月以上続いてしまうとさらに治りにくくなります。
そのため、医師による内服薬や塗り薬の処方が効果的で、炎症を抑えながらターンオーバーを促進することが重要です。
医師処方の薬については、次の章で詳しくご紹介します。
繰り返す・痛みを伴うあごニキビには医療機関の薬を推奨
繰り返しできるあごニキビや痛みを伴うニキビは、セルフケアだけでは改善が困難です。
医療機関で処方される内服薬や外用薬は、あごニキビの根本的な原因にアプローチでき、再発を予防する効果も期待できます。
治っては再発してしまうニキビには、症状に合わせて以下のような治療薬を処方してもらい、早期に効果的なケアを行うことが推奨されます。
<外用薬>
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
デュアックゲル | クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル | 抗炎症作用・抗菌作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
乾燥、皮膚剥脱、紅斑、かゆみなど |
エピデュオゲル | アダパレン/過酸化ベンゾイル | コメド発生を抑制・抗菌作用・角質剥離作用 炎症性ニキビ(中等症〜重症)に有効 |
皮膚刺激、皮膚疼痛、アレルギー性皮膚炎など |
ゼビアックスクリーム・ローション | オゼノキサシン | 抗菌作用 炎症性ニキビ全般に有効 |
乾燥、刺激感、かゆみなど |
※スクロールしてご覧ください
<内服薬・漢方薬>
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
イソトレチノイン | ビタミンA誘導体 | 皮脂分泌を抑えてニキビの発生や炎症を防ぐ 重度のニキビに用いられる |
全身の皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、など |
ビブラマイシン | ドキシサイクリン | 抗菌作用でアクネ菌を増殖を抑える | 吐き気・嘔吐、食欲不振、下痢など |
ユベラ | トコフェロール酢酸エステル | 肌のターンオーバーにより色素の排出を促すことでニキビ痕が薄くなる効果が期待できる | 便秘、胃の不快感、下痢、発疹 |
Lypo-C Vitamin C | アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5) | 肌のターンオーバーを促し、ニキビによる色素沈着を防ぐ働きを持つ | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
Lypo-C Vitamin C+D | ビタミンC、ビタミンD | 肌のターンオーバー促進に加え、抗炎症作用によりニキビの悪化を予防 | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) | ケイガイ・レンギョウ・トウキ・シャクヤク・センキュウなど | 面ぽう(コメド)に他の治療が無効、または他の治療できない場合の治療として推奨 | 発疹・発赤、かゆみ、食欲不振、胃部不快感など |
※スクロールしてご覧ください
あごのニキビやニキビ跡をケアする方法
あごニキビやニキビ跡を効果的にケアするためには、日々の習慣やスキンケアの見直しが重要です。
普段の生活やケア方法を工夫することでニキビの発生を抑え、ニキビ跡を目立ちにくくすることができます。
◾️あごニキビのケア方法
それぞれのポイントについて詳しく解説していくので、あごのニキビ・ニキビ跡にしっかりアプローチしていきましょう。
生活習慣を改善する
生活習慣の見直しは、ニキビのできにくい肌の土台づくりです。
良質な睡眠、栄養バランスの取れた食事、そしてストレス管理を心がけることで、肌のターンオーバーやホルモンバランスが整い、健やかな肌環境を保つことができます。
特に女性の場合、ホルモンバランスの変動に肌が影響を受けやすいため、生活リズムを整えることはニキビの発生を抑えることに役立ちます。
あご(患部)に触れる癖を直す
できる限り患部を触らないようにすることが大切です。
無意識にあごを触る癖があると炎症が悪化しやすくなるため、触れずに清潔な状態を保ちましょう。
普段から意識して手を清潔にし、むやみにあごに触れない習慣をつけることが、ケアの効果を高めるポイントです。
カミソリを低刺激なものに変え清潔に保つ
あごニキビを防ぐためにはカミソリの選び方や使用方法に注意して、余計な負担を肌にかけないことが大切です。
- 保護ガード付きの肌当りの負担を軽減したカミソリ
- ぬるま湯で毛をやわらかくしてからシェービングする
- フォーム(泡)やジェルを塗ってから剃る
- 定期的に刃を交換して清潔な状態で使う
- シェービング後は保湿する
肌への直接的な負担をやわらげるのはもちろん、刃を定期的に替えることで雑菌が肌に付着するのを防げます。
こうしたケアを徹底することで、あご周りの肌トラブルを予防しやすくなります。
スキンケアや化粧品を見直す
あごニキビやニキビ跡を防ぐためには、毎日使用するスキンケアや化粧品を見直してみましょう。
- 低刺激の洗顔料
- 肌質にあった保湿
- ノンコメドジェニック化粧品を選ぶ
- 古い化粧品の使用を避ける
- 外出時は日焼け止めを使用する
洗浄力や保湿力は大切ですが、人それぞれ肌質が異なるため、ご自身の肌に合ったアイテムを選ぶことがポイントです。
また化粧品には使用期限(保管方法にもよるが数ヶ月〜1年ほど)があるので、開封後長期間が経過したものは使用を避けるようにしてください。
まとめ:あごニキビは繰り返し発生し、治りにくい。根本治療するなら医療機関へ
あごニキビは繰り返し発生しやすく治りにくいという特徴があります。
さらに症状によってはニキビ跡が残ってしまうこともあるため、適切な治療とケアが重要です。
ここまでの内容から、重要なポイントを以下にまとめます。
- あごニキビは生活習慣や環境、外部刺激などが原因
- 女性はホルモンバランスの影響であごニキビができやすくなる
- あごニキビは医療機関で治療することで治りが早まる
- 「しこり」になると外部からのケアだけでは改善が難しい
- 日々のケアや習慣を見直すことが肌の回復のサポートとなる
あごニキビはさまざまな原因が絡み合って発生し、特に女性はホルモンの影響で周期的にできやすいです。
あごニキビのよくある質問
-
- Q
あごのニキビが痛いのですが治し方はありますか?
- A
あごニキビに痛みを伴う場合、早めに医療機関(皮膚科または美容皮膚科)で治療を受けることを推奨します。
通常痛みは炎症によるものであり、抗炎症作用のある外用薬や内服薬などで炎症を鎮めることが可能です。悪化を防ぎながら早期に症状を改善できます。
- Q
-
- Q
女性にできるあごニキビの原因は何ですか?
- A
女性にできるあごニキビの原因は、ホルモンバランスの変動です。
生理前、妊娠期、更年期など、ホルモン(プロゲステロン)の影響で皮脂の分泌が増え、あごニキビが発生しやすくなります。
また、ストレスや生活習慣の乱れ、スキンケア製品が肌に合わないこともニキビの原因となります。
- Q
-
- Q
あごニキビは内臓に問題がありますか?
- A
あごニキビは直接的に内臓に問題があるわけではありませんが、消化器系(胃腸)の不調が影響する場合があります。
体内の老廃物がうまく排出されないことが、あごニキビや肌荒れの原因となる可能性があるためです。
胃が荒れていたり、便秘が続いたりするようであれば、消化器のケアも合わせて行うと肌トラブルの改善につながります。
- Q
-
- Q
あごニキビが急に増えたのはなぜですか?
- A
あごニキビが急に増える原因として考えられるのは、以下のようなケースです。
- ホルモンバランスが乱れている
- 生活習慣が変わった
- スキンケアが肌に合っていない
- Q
セルフケアにも限界があり、場合によっては悪化させてしまうこともあるため、根本的な治療を目指すなら医療機関に相談することを推奨します。