女性の禁煙 - 効果や成功のポイント・喫煙と妊娠・不妊の関係も解説

更新日:2025/07/08
女性の禁煙 - 効果や成功のポイント・喫煙と妊娠・不妊の関係も解説

女性の禁煙は「見た目の若返り」「女性ホルモン低下の防止」「不妊リスクの軽減」といったメリットの大きい効果があります。
一方でタバコへの依存は女性のほうが強い傾向があることから、女性の禁煙は成功しにくいというデータもあります。

この記事では禁煙が女性のもたらす効果、禁煙成功のポイント、禁煙補助薬と女性の関係を紹介します。
後半では喫煙の影響による妊活、妊娠、不妊について解説しています。

なお、禁煙の方法については以下のページをご覧ください。 禁煙の方法について

禁煙が女性にもたらす効果

禁煙が女性にもたらす効果

禁煙が女性にもたらす効果はさまざまです。
味覚や嗅覚の変化によって食べ物が美味しく感じられたり、体そのものが健康に向かうことに加え、美容や女性機能の面でも嬉しい効果があります。
禁煙へのモチベーションをUPさせるためにも、どんな効果が期待できるのか詳しく見ていきましょう。

しみ・しわ改善し見た目が若返る

女性が喫煙を続けた場合と禁煙した場合の見た目の違いの図

禁煙によって見た目に良い変化が起こります。
最も早い変化として禁煙後2~3週間だけでも肌のくすみが改善されトーンアップに期待できます

禁煙による見た目の変化の関係
  • スモーカーズフェイスの改善
    喫煙によって老化が早く進み顔が変化することを「スモーカーズフェイス」と呼ぶが、禁煙で改善が可能
  • シミ、シワ、たるみ、色素沈着の改善
    タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、大量のビタミンCを破壊するが、禁煙で肌の栄養補給が円滑になることで肌トラブルが改善する
  • 髪質の改善
    禁煙による血流改善は髪への栄養や酸素の供給も改善するため、髪質が良化する
  • 口腔トラブルの改善
    禁煙で歯の黄ばみや口臭が改善する

女性ホルモンの低下を防ぐ

禁煙は女性ホルモンの低下を防ぐ点でも有効です。
これによって以下の点で女性にうれしい効果が見込めます。

女性ホルモン低下を防ぐ効果
  • 生理トラブル(生理痛の悪化や生理不順など)が改善する
  • 骨粗しょう症リスクの低下
  • 閉経が早まるのを防ぐ

など

喫煙は、卵巣から分泌される女性ホルモン(特にエストロゲン)に大きな影響を与えます。
分泌量の低下や必要とする器官で機能する前にホルモンが失活することで、本来の働きを果たせなくなります。
人によっては日常生活に支障が出るおそれもあります。

重大な病気のリスクが減る

女性が喫煙を続けた場合と禁煙した場合の病気リスクの違いの図

禁煙によって「子宮頸がん」をはじめ、脳、心臓、肺などの疾患、さらには歯周病など、多くの病気のリスクが低下します。
タバコを吸い続けてしまうと、こうした生命に関わる重大な病気のリスクが高まるだけでなく、吸い始めた年齢が若いほど死亡率も高くなることがわかっています

必ずしも喫煙だけが重大な病気のリスクを高めるわけではありませんが、禁煙が予防につながることは間違いありません。

不妊のリスクが減る

喫煙は卵子やホルモンの働きに影響を及ぼすことが知られているため、禁煙で不妊のリスクを低下させることができます。

禁煙による不妊リスク低減効果
  • 受胎までの期間が正常に戻る
  • 妊娠後の胎児への影響が減る
  • パートナーが禁煙した場合、精子の質が正常に戻る
  • お互いの受動喫煙による不妊リスクが減少する

など

喫煙による妊活への影響の詳細は以下でも詳しく解説しています。 喫煙による妊活への影響

女性の禁煙が男性より難しい理由

一般的に女性は男性より1日の喫煙本数が少ない傾向にあるため、禁煙に成功しやすいと思われがちです。

しかし実際には、次のような理由から女性は禁煙が難しいと考えられています。

女性の禁煙が難しい理由
  • 1本に対する喫煙の満足度が男性より高い
  • 離脱症状が強く出やすい
  • 喫煙以外のストレス発散方法に乏しい
  • 禁煙による体重増加への不安
  • 家族内に他の喫煙者がいる確率が高い
  • 女性がターゲットのメンソール入りタバコは禁煙しづらい

個人差はありますがタバコ1本に対する依存度が高く、ストレスや環境、太りやすさなどが女性の禁煙への足枷になりやすい傾向です。
以上の理由で女性は一度喫煙習慣がつくとやめにくくなり、人によってはタバコ離れに苦労すると考えられています。
そのため女性の禁煙はタバコを吸わないだけでなく、禁煙に伴う心と身体の変化をうまく乗り越えていくことが成功の鍵と言えます。

女性が禁煙する時の成功のポイント

女性が禁煙する時のポイント

女性が禁煙する時の成功のポイントは「卵胞期の早い段階で禁煙を始める」「生理予定日を確認する」「体重よりも禁煙を優先する」「周りの人に協力してもらう」の4つが重要です。

卵胞期の早い段階で禁煙を始める

卵胞期の早い段階で禁煙を始める

生理(月経)初日が卵胞期の1日目。生理痛などの様子を見ながら卵胞期の早い段階で禁煙を始めると良い

海外の研究からは「喫煙欲求」と「生理周期」には関連があることがわかっており、卵胞期の早い段階で禁煙を始めることが勧められています。

これは排卵後の黄体期に離脱症状(イライラや落ち着かないなど)が強く出やすく、PMS(月経前症候群)もあいまって再喫煙率が高くなってしまう傾向にあるためです。

少しでも禁煙しやすくするためにも、やみくもに禁煙をはじめるのではなく、ご自身の生理周期に合わせて禁煙日を設定するようにしてみてください。

生理予定日を確認する

禁煙の離脱症状と生理のつらさが重なることで生理中の再喫煙率が高くなる傾向にあるため、生理予定日を毎月確認して離脱症状に備えれば禁煙成功に近づきます。
その上で、離脱症状が悪化した場合、喫煙の代わりにどのような行動をとるか決めておくと、吸いたい気持ちもコントロールしやすくなります。 禁煙の離脱症状について

体重よりも禁煙を優先する

体重よりも身体の健康を考えて、まずは禁煙を最優先しましょう。
禁煙すると基礎代謝の低下による体重増加や口寂しさから食べすぎてしてしまうことがあります。
禁煙中の体重増加を防ぐために、以下を意識してみましょう。

体重の増加を防ぐポイント
  • 口寂しいときは間食を昆布など低カロリーのものに限定する
  • 早食いは肥満の原因にもなるためよく噛んでゆっくり食べる
  • 食事内容や食べ方に気を付つける

禁煙1年目は平均して2kgほど体重が増えるものの、その後は徐々に減少する傾向が見られるという研究データもあるため気にしすぎないことが大切です。

体重増加が気になる方はこちらの記事をご覧ください。 女性のダイエットについて

周りの人に協力してもらう

女性は離脱症状の出方が強い分、1人よりも周りを巻き込んだ禁煙の方がうまくいきやすい傾向にあります。
禁煙は孤独との戦いでもあり、孤独感を少しでもやわらげるため禁煙を応援・協力してくれるサポーターを周囲に増やしましょう。

禁煙の協力を得るためにできること
  • 禁煙宣言をする
  • 禁煙仲間を見つける
  • 医療機関に相談する
  • 禁煙セラピーを利用する

サポーターを増やす行動は「つい1本」を防ぐ状況を作る目的にも繋がり、後ろめたさからも禁煙を続けやすくなります。

禁煙補助薬と女性の禁煙の関係

自力で禁煙するより禁煙補助薬の利用がおすすめ

女性の禁煙は男性よりも難しいという報告があるため、禁煙補助薬を利用するのが有効です。
禁煙補助薬には「非ニコチン製剤」と「ニコチン製剤」の2種類があり、どちらも離脱症状の緩和に効果があるほか、それぞれに特性があります。

当院が2023年に行った禁煙に関する調査でも、禁煙に成功した人200名から成功した理由に対する回答で、約30%が「薬やパッチ、ガムなどのサポート」と答えています。

禁煙成功の理由は『自制心が強かった』(60.5%)、『薬やパッチなどのサポート』(30.5%)、『周りの協力があった』(21.0%)など

チャンピックスは、ニコチンを含んでいない「非ニコチン製剤」にあたる禁煙補助薬です。
禁煙補助薬を扱うクリニックや禁煙外来で処方を受けることができます。
使用を試みた方の65.4%が禁煙に成功しており、日本で販売開始された2008年以降、禁煙治療において主力の薬となりました。

チャンピックスの詳細
  • 有効成分バレニクリンがニコチンの代わりとなって作用
  • 決まった服用方法により離脱症状を緩和する
  • 喫煙による満足感も抑制する(不味いと感じたり、嫌いになる効果)
  • チャンピックス先発薬は現在出荷停止中でチャンピックスジェネリックが利用される
  • 体質や健康状態によっては服用できないため、必ず医師の診察を受ける必要がある

チャンピックス、およびチャンピックスジェネリックの詳細は以下で詳しく解説しています。

チャンピックスの詳細

ニコチンパッチ、ニコチンガムは少量のニコチンを摂取することで、禁煙時の離脱症状をやわらげるのがニコチン製剤です。
ニコチンパッチやニコチンガムは市販でも入手できますが、ニコチンパッチは医療用もあるため、ニコチン依存度が高い場合は病院で処方を受けるのが望ましいです。

治療のハードルが低いニコチン製剤ですが、有効成分が「ニコチン」のため、胎児や乳児に影響を及ぼすおそれがあることから妊娠中や授乳中の女性は使用できません。
なお、当院ではニコチン製剤は取り扱っておりません。

妊娠前の禁煙補助薬の使用について

妊娠前であれば、禁煙補助薬の使用ができます。
むしろ自力での禁煙よりも成功しやすくなり、特にチャンピックスという飲み薬は、服用した方の2人に1人以上が禁煙に成功したというデータもあります。

約3ヵ月の服用が一般的なので、妊娠を考えたタイミングから内服をはじめ、妊娠4週目までには治療を終えているのが望ましいです。

妊娠中や妊活でも利用できる禁煙補助薬はチャンピックス

チャンピックスは原則として妊娠中の服用が推奨されていません。
ただし、禁煙治療のメリットが服用上のリスクを上回る場合にのみ服用が認められます。

薬剤が胎児に影響を及ぼす可能性があるので、禁煙補助薬を使用するのであれば、必ず医師に相談して治療に取り組むようにし、服用しないという選択肢もご一考ください。

妊娠中にニコチン製剤は使用できない

妊娠中にニコチンパッチやガムなどのニコチン製剤は使用できません。
妊娠中は胎児への影響が懸念されるため、妊娠している可能性がある段階で使用を中止してください。

喫煙による妊活への影響

喫煙はタバコに含まれるニコチンや一酸化炭素、その他の化学物質により卵子や精子の質を低下させ妊娠率に影響を与えます。
また、タールの入っていない加熱式タバコや電子タバコにも有害成分が含まれ、不妊リスクがあることが近年わかっています。
喫煙による妊活への主な影響を簡潔にまとめると以下となります。

喫煙による妊活への影響

受胎待ち時間が長くなる

喫煙を続けていると、受胎待ち時間(妊娠が成立するまでの時間)が長くなることがわかっています。

喫煙と受胎の関係
  • 喫煙者は非喫煙者と比べ、妊娠するまでに1年以上かかった可能性が3.4倍
  • ある研究では、最初の月経周期で妊娠した女性の割合が非喫煙者は38%であるのに対し、喫煙者では28%に留まったと報告
  • 受胎待ち時間が長引くことで妊娠適齢期を超える可能性がある

閉経が早まる

タバコを吸う女性は、閉経が平均2年早まる と言われています。
これは女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されにくくなり、卵巣機能が低下するためです。
またエストロゲンの減少は、他にも以下のような影響があります。

エストロゲンの減少による影響
  • 骨粗鬆症
  • 動脈硬化
  • 不妊治療(体外受精)の成功率低下
  • 月経トラブル(生理不順など)
  • 脂質代謝異常

など

妊娠中の喫煙の影響について

妊娠中の喫煙は、低体重児や早産、流産、死産、妊娠・出産時の合併症(胎盤早期剥離、前置胎盤、出血など)のリスクが通常よりも1.5~2倍高くなると言われています。

妊娠中の喫煙の影響

種類 関連性の確からしさ* 相対危険度
低出生体重 2.0倍
早産 1.5倍
周産期死亡 1.3倍
妊娠・分娩合併症** 1.5~2.0倍***
自然流産 1.5倍
先天奇形 1.5倍
生後の発育・発達 -
小児がん -
受動喫煙による低出生体重 1.5~2.2倍

*:喫煙との関連性の確からしさ
◎:因果関係を立証する疫学的基準をほぼ満たしており、喫煙との関連は確実。
〇:喫煙との関連は認められるが、因果関係を立証するほど十分な疫学的証拠は得られていない。
△:研究数が少ない、または研究によって一致した見解が得られておらず、喫煙との関連が示唆される程度。
**:胎盤早期剥離、前置胎盤、出血などを含む。
***:1日20本以上の喫煙者の相対危険度

妊娠中の喫煙の具体的な影響は以下で解説していきます。

喫煙者と非喫煙者の母親の胎児を比較

研究によって、妊娠中に喫煙した母親と非喫煙者の母親の胎児とでは、動きが異なることがわかっています。

ダラム大学とランカスター大学の科学者が行った研究では、妊婦20人から合わせて80枚の高解像度の超音波スキャン画像を撮影しました。

この研究から、タバコを吸う母親の胎児は、通常よりも手や口を動かす頻度が著しく多いことがわかりました。

喫煙者と非喫煙者の母親の胎児の比較
喫煙者と非喫煙者の母親の胎児の比較

引用:Durham University
10秒間の観察期間にわたる、喫煙している母親の生後32週の胎児(上の線)と非喫煙者の母親の生後32週の胎児(下の線)の4Dスキャンフレームの例。

■研究内容
  • 妊婦20人から合わせて80枚の高解像度の超音波スキャン画像を撮影
  • 妊娠24週と36週の胎児の口と手の動きを観察
  • 被験者のうち4人は1日平均14本のタバコを吸う妊婦、それ以外はタバコを吸わない妊婦
■研究結果

=タバコを吸う母親の胎児は、通常よりも手や口を動かす頻度が著しく多いことが判明

妊娠中に喫煙すると、胎児の顔の動きを司る中枢神経系の発達に障害を引き起こします。

胎児の手や口の動きに及ぼす影響は、強いストレスを感じている妊婦や、うつ状態にある妊婦の胎児にも見られますが、喫煙によってニコチンにさらされた胎児により大きな影響が出るといえます。

低体重児が生まれやすい

妊娠中の喫煙は、赤ちゃんの発育に直接的な悪影響を及ぼします。

喫煙による胎児への影響
  • ニコチン
    ⇨胎盤を通じてニコチンの影響が赤ちゃんにも及び、血管が収縮して酸素や栄養補給を妨げる。
  • 一酸化炭素
    ⇨一酸化炭素は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンと結びつき、赤ちゃんが酸素不足に陥る。

タバコの代表的な有害物質の影響によって、赤ちゃんの成長を著しく損ない、結果として低出生体重児のリスクが高まります。

低出生体重児は、新生児期だけでなく、将来の健康をも脅かすことがあり、妊娠中の喫煙が招く深刻な結果の1つです。

流産や早産・死産をしやすい

妊娠中の喫煙は、流産や早産・死産のリスクを増加させます。

妊娠中の喫煙による流産や早産・死産のリスク
  • ニコチンや一酸化炭素によって子宮などへの血液循環が悪くり、胎盤機能が低下する
  • 喫煙が原因の1つとされる「乳幼児突然死症候群(SIDS)」は4,000人に1人の割合で発生
  • 乳幼児突然死症候群のリスクは、両親が喫煙していると、タバコを吸わない場合と比べて発症率が約4.7倍も高くなる

子どもに発達異常が起こる可能性がある

妊娠中の喫煙の影響は、母親のお腹にいる間だけでなく、生まれてから長期にわたってみられることがあります。

タバコに含まれる200種類を超える有害物質の影響は、以下のような子どもの発達異常の引き金になりかねません。

■喫煙による子どもの発達異常
  • 行動異常
  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • うつ病
  • 学習障害

これらの障害は、子どもの学業成績、社会関係、さらに将来の職業選択にも影響を及ぼしかねず、その影響が一生続いてしまう可能性もあります。

したがって、子どもが健全に成長していくためにも、医師と相談しながら積極的に禁煙に取り組むことが推奨されます。

受動喫煙も妊娠に影響を与える

妊娠中の受動喫煙は、妊婦本人が直接タバコを吸っていない場合でも、パートナーや家族の喫煙が赤ちゃんに深刻な健康被害を及ぼすリスクがあります。

受動喫煙の妊娠への影響
  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)の要因となることは確実視されている
  • 低出生体重や発育遅延などのリスクとの関連も指摘される
  • 空気清浄機などを使っても有害物質を完全に取り除くことはできない

電子タバコやIQOS(アイコス)などの加熱式タバコも、紙巻きタバコと比較して健康への影響が少ないと断言はできません。
これらの喫煙具から発生するエアロゾルや蒸気にもさまざまな有害物質が含まれ、受動喫煙の原因になる可能性もゼロではありません。

妊娠している女性の周囲での喫煙は控え、胎児が健やかに成長できる環境を整えることが大切です。 受動喫煙の詳細

妊娠が分かった時点で禁煙してもリスクは減少する

妊娠が発覚してから禁煙に取り組んでも、お腹の赤ちゃんにとって遅いことはありません。

妊婦の禁煙の効果

禁煙時期 禁煙の効果
妊娠前に禁煙 出生体重は非喫煙者とほぼ同じレベルになる
妊娠3~4ヵ月までに禁煙 低出生体重、早産、周産期死亡のリスクが低下する
妊娠5ヵ月以降~出産前に禁煙 低出生体重のリスクが低下する
出産後に禁煙 子どもの受動喫煙と将来の喫煙を減らす

禁煙に取り組むタイミングは早いほど効果的ですが、妊娠後期以降であっても、これ以上の害を与えないという意味で禁煙することを強く推奨します。

また、出産後の禁煙であっても、子どもの受動喫煙を避けられるので、より健康的な成長環境を整えるという意味でも禁煙は大切です。

一般的にタバコをやめることは決して簡単なことではありませんが、新しい命を授かる大きなライフイベントを機に禁煙をはじめてみてください。

妊娠中でも吸えるタバコはあるのか

結論としては、妊娠中に安全といえるタバコや代替品はありません。
電子タバコやニコチンを含まない代替品は従来のタバコに比べて健康被害が少ないとされます。
しかし、電子タバコの販売元は、一般的なタバコの成分を含まないとしながらも、妊娠中や授乳中は使用を避けるようにとアナウンスしています。

まとめ:女性特有の問題を理解し、禁煙を成功させよう

女性はホルモンバランスや生活環境、体型の変化など、禁煙のハードルが多くあります。
さらに男性よりも離脱症状が強く長引く傾向があり、依存度が高いほど禁煙は難しくなります。
だからこそ、女性特有の課題を理解しながら禁煙に取り組むことが成功のカギです。

また、妊活、妊娠中ともに喫煙は悪影響がありますが、妊娠がわかった時点で禁煙をはじめても喫煙によるリスクは低減できます。

禁煙補助薬を活用するなども女性の禁煙には有効です。当院でもニコチンを含まない「チャンピックスジェネリック」の処方を行っています。 禁煙治療について

女性の禁煙に関するよくある質問

  • Q
    加熱式タバコだったら健康上のリスクが減りますか
    A
    加熱式タバコであっても、健康上のリスクが減ることはありません。
    紙タバコに含まれるタールなどの有害物質は含まれていませんが、加熱式タバコにはその他にも多くの化学物質が含まれています。
    健康を意識しているのであれば、タバコの種類を変えるのではなく、禁煙に挑戦してみてください。
  • Q
    妊活を始める場合、いつから禁煙しないといけませんか
    A
    妊活に入る前に禁煙するのが理想的です。
    妊娠前の禁煙で平均出生体重は非喫煙妊婦とほぼ同じになり、妊娠早期に喫煙していても妊娠3~4ヵ月までに禁煙すれば、低出生体重、 早産、周産期死亡のリスクが低下します。
    妊活の予定に合わせて早めに禁煙するようにしましょう。
  • Q
    禁煙したいのですが、パートナーが吸っていてやめられません
    A
    禁煙の成功は喫煙環境にも左右されるので、パートナーと話し合って一緒に禁煙することをおすすめします。
    頭ごなしに「禁煙して」は逆効果にもなりかねないので、禁煙の必要性について理解を得るようにしてみてください。
    またパートナーがタバコを我慢できた時は、自分の事のようにその努力を認めてあげることが大切です。
    もし折り合いがつかないようであれば、共有スペースでタバコを吸わないようにしてもらったり、喫煙具を目の届かないところに置くよう協力してもらいましょう。
  • Q
    妊活中のストレス発散方法は喫煙以外に何がありますか?
    A
    喫煙以外でのストレス発散方法としては、趣味や興味のあることに時間を割くのが効果的です。
    また、無理のない範囲であれば、少し身体を動かすことで気分転換になり、禁煙による離脱症状をやわらげる助けにもなります。
  • Q
    妊娠中にタバコを吸い続けた結果どうなりますか?
    A
    妊娠中にタバコを吸い続けると、低出生体重児のリスクや流産、早産・死産、発達異常といったリスクが増加します。
    また、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率も高まることが知られています。
    これらのリスクは、ニコチンや一酸化炭素などの有害物質によって胎盤機能が低下し、結果として赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が妨げられるために発生します。
  • Q
    妊娠中にタバコを一本だけ吸ってもだめですか?
    A
    妊娠中は、たとえ一本のタバコであっても避けるべきです。
    タバコに含まれる有害物質の影響は母親の胎盤を通じて胎児にも及ぶため、一時的なものであっても健康を害するリスクは拭えません。
  • Q
    タバコを吸うと胎児にどんな影響がありますか?
    A
    タバコによる影響は胎児の正常な発育を妨げることで、以下のような悪影響が及ぶ可能性があります。
    • 低出生体重児
    • 流産、早産・死産
    • 乳幼児突然死症候群(SIDS)
    • 発達異常(ADHD、学習障害など)
    生まれる前から生涯にわたって影響することもあるので、妊娠がわかった時点で早めに禁煙に取り組むことが推奨されます。
  • Q
    ベイプ(VAPE)を妊娠中に吸うのは問題ありますか?
    A
    殺虫剤のベープが妊娠、授乳中も利用できることから、べイプ(VAPE)を吸えるという誤情報となっている場合がありますが、べイプは製造会社からも妊娠中の使用は控えるようアナウンスされています。
  • Q
    妊娠中でも吸えるタバコやタバコの代わりになるものはありますか?
    A
    妊娠中に安全といえるタバコや代替品はありません。
    ニコチンやタールを含まない電子タバコであっても、妊娠中や授乳中の使用は推奨されません。
    そのため代替品を探すのではなく、これ以上の害が胎児に及ばないよう積極的に禁煙に取り組むようにしてください。

その他よくある質問はこちらをご確認ください

参考サイト

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この記事の監修

服部圭太院長画像
服部 圭太
(はっとり けいた)医師

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務