つむじ(てっぺん)はげは、早い人で10代後半から悩まされる薄毛です。
若いうちは特に見た目を意識するため、将来に不安を感じている人もいることでしょう。
このページではつむじ(てっぺん)はげの基準や原因、それにあわせた改善方法などを詳しくお伝えしていきます。
なお、つむじはげが気になる際に疑われるのが、AGA(男性型脱毛症)です。
AGAは放っておくと悪化してしまう可能性が高く、「つむじが薄いかも…」と思ったら早期に対策することが重要です。
AGA治療について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
つむじはげの基準
自分ではなかなか確認しづらい、つむじはげ。
しかも「どこからがつむじはげ」なのかという基準がわかっていないと、進行初期の段階で気づくのはなお難しいです。
もしつむじはげが気になる人は、次の基準を目安に定期的(月1回程度)にセルフチェックを行うようにしましょう。
基準は次の通りです。
頭頂部はスマホのカメラで撮影すれば誰でも簡単に確認できるので、日々の身だしなみチェックの中に加えてみてください。
ここからはそれぞれの基準について、もう少し詳しく解説していきます。
①つむじ周りの頭皮が透けて見える
つむじは、本来きれいな渦を巻いています。
人によって渦が右回り・左回りとありますが、どちらであっても健康なつむじは渦の中心のみ地肌が見えている状態です。
しかしつむじはげが進んでくると渦がほころびはじめ、中心から地肌が透ける面積が広がってきます。
これは髪が弱っていたり毛量が減ったりしているサインになるので、つむじはげになっている可能性が高くなります。
②つむじ周りの頭皮が赤っぽいor茶色っぽい
普段気にしたことはないかもしれませんが、頭皮にも色があるのをご存知でしょうか。
右に進むに連れて、頭皮のコンディションは悪くなっていきます。
赤や茶色になってくると、乾燥や日焼け、炎症などを起こしている可能性が考えられます。
頭皮環境の悪化は薄毛を招く原因になるため、頭皮の色もつむじはげの予兆の1つとして覚えておいてください。
③つむじ周りの髪の毛が細く短い
つむじはげは抜け毛の量ばかりに目が行きがちですが、実は1本1本の髪の状態からも判断できます。
⇒ それぞれ一定の太さ・長さが保たれている
薄毛⇒ 細い髪・短い髪など、成長不十分な髪が混ざっている
うぶ毛のような髪が増えてくるので髪密度を保てなくなり、頭皮が透けるようになってきます。
つむじ周りに細く短い髪が増えてきていれば、ヘアサイクルが乱れはじめているだけにつむじはげの可能性は高まります。
④毛の流れがわかりづらい
正常なつむじは渦を巻いているため、毛流れ(右回り・左回り)がはっきりしています。
しかしつむじはげになってくると、毛量が減ったり、うぶ毛のような髪が増えたりすることで、毛流れを維持することができなくなります。
すると簾(すだれ)のような状態になってくるため、毛流れの崩れはつむじはげの始まりと言えるでしょう。
つむじはげの原因
つむじはげの基準がわかったところで、次は原因について見ていきましょう。
主に以下の4点が原因として考えられます。
ただし、どれが原因とは言い切れないこともあり、複数の原因が重なることでつむじはげになっている可能性もあります。
AGA
つむじはげとしてまず疑われるのが、AGA(男性型脱毛症)です。
生え際・前頭部・頭頂部(つむじはげ)の3つのパターンから薄毛を進行させるAGAは、発症頻度も日本人男性の3〜4人に1人と高めです。
AGAが発症する仕組みは以下のとおりです。
- 男性ホルモンであるテストステロンと、頭皮に存在する5αリダクターゼが結合する
- DHT(ジヒドロテストステロン)が作られる
- 毛乳頭(毛のもと)にある男性ホルモン受容体とDHTが結合する
- 抜け毛が起こる
AGAの進行スピードは人それぞれで、1~2年のうちに大量の毛が抜ける人もいれば、じわじわと進行し気づいたときにはハゲていたという人もいます。
また最近ではホルモン以外に遺伝の影響もあるとされ、家族や親戚から特定の遺伝子を引き継ぐことがAGAを発症させやすくするとも考えられています。
AGAは一度進行すると、自然に治ることはありません。
仮に20代前半でAGAの進行が認められ何もしなければ、40代以降で前頭部から頭頂部にかけてハゲ上がってしまうこともあるため注意したいところです。
生活習慣の乱れ
つむじはげは、身近な生活習慣の乱れが原因になることがあります。
- 栄養不足
- 睡眠不足
- 喫煙
- 飲酒
など
髪は血余(けつよ)とも呼ばれ、文字通り身体の中で余った血液によって作られています。
そのため血液が行き渡らず栄養不足が長く続くと真っ先に切り捨てられ、抜け毛や弱った髪がつむじはげのサインになっていることも。
また、栄養不足のほかには以下の原因も抜け毛に繋がります。
⇒ 髪の成長に不可欠な成長ホルモンを不足させる
喫煙⇒ 血管を収縮させ、頭皮に必要な栄養が運ばれなくなる
飲酒⇒ アルコールの分解で髪に必要な栄養が使われてしまう
髪は正しい生活習慣が送れているかを現す1つのバロメーターになっており、身体にとって良くない習慣は髪にとっても良くありません。
特に日本人は頭頂部から薄毛になりやすい傾向があるだけに、生活習慣の乱れに思い当たる節があれば整えていくのが望ましいでしょう。
頭皮環境の悪化
つむじはげは、頭皮環境が悪化することでも起こります。
- 乾燥
- 日焼け
- 皮脂やフケ
- 炎症
以上の原因から頭皮環境が悪化し、抜け毛に繋がります。
また、皮脂の分泌量が身体の中でもっとも多いと言われているのは、頭皮です。
ゆえに髪を洗わない、洗いが不十分など、きちんとケアができていないと溜まった汚れが酸化したり、雑菌の繁殖によって頭皮トラブルを招きます。
すると毛根がダメージを受けたり、蓄積された汚れが毛穴を塞いでしまったりと、つむじはげを助長することにつながっていきます。
髪を作物に例えるなら、頭皮は土です。
良い土には美味しい作物が実るように、健康な髪を育てるには清潔な頭皮環境を保つことが大切になります。
ストレス
「ストレスでハゲる」なんて言われるように、つむじはげの原因にはストレスも含まれます。
その理由としてあげられるのが、自律神経の乱れです。
まず自律神経には身体を緊張させる「交感神経」と、身体をリラックスさせる「副交感神経」の2種類があり、それぞれがアクセルとブレーキの役割を果たしています。
しかしストレスがかかってくると交感神経(アクセル)が活発な状態が続いてしまい、髪には次のような影響が現れます。
⇒ 髪細胞に栄養が届かなくなる
睡眠不足⇒ 成長ホルモンの分泌低下により、発毛が阻害される
内臓機能の低下⇒ 髪に必要なタンパク質などの栄養の吸収が悪くなる
ストレスによって髪は栄養不足の状態に陥ってしまい、さらには髪の発育に関わる成長ホルモンまでもが阻害されてしまいます。
すると抜け毛が増えたり、成長できずにいる髪が増えたりすることで、つむじはげを進行させる原因となってしまいます。
原因別・つむじはげの対策方法
最後は、ここまでご紹介してきたつむじはげの原因への対策方法についてです。
原因に合わせて適切な対策を取ることが、つむじはげ改善の第一歩となります。
日常的なケアとしてできることも多いため、つむじはげが気になる人は今日からでも実践してみてください。
AGAの場合
つむじはげの原因がAGAの場合は、薬を使った治療が効果的です。
「抜け毛を抑える治療」と「発毛を促進する治療」を並行して行うことで効率的につむじはげを改善していくことができます。
治療に使用するのは、以下の薬です。
抜け毛を抑える治療薬「プロペシア」
AGAによる抜け毛は、テストステロンと5αリダクターゼが結合してできる「DHT(ジヒドロテストステロン)」によって起こります。
しかしプロペシアの服用によって、有効成分「フィナステリド」が5αリダクターゼの働きを阻害することで、抜け毛を防ぐことができます。
AGAによるつむじはげの場合、対処せずに放っておくと悪化するばかりです。
まずは頭頂部の抜け毛を抑えることが大切なので、プロペシアは欠かせません。
なお、フィナステリドは女性にとって禁忌とされており、触れることすら危険です。
おうちに女性がいる場合は、気を付けて扱いましょう。
発毛を促進する治療薬「ミノキシジル」
ミノキシジルはプロペシアと違い、発毛を促進する治療薬です。
ミノキシジルによって体内の血管が拡張され、頭皮に血液や栄養が行き渡りやすくなります。
さらに毛のもととなる毛母細胞の細胞分裂を促し、発毛に繋げることがミノキシジル最大の効果です。
抜け毛を防ぐプロペシアだけでの治療だと、髪の毛を増やすことができません。
つむじはげが進行している場合はプロペシア・ミノキシジルを合わせて使うことをおすすめします。
AGA治療は早めのスタートが肝心
AGAは放っておくとどんどん悪化してしまうのが特徴です。
しかし、対処が早ければ早いほど改善が見られるのも早いという傾向があります。
当院でもAGA治療を行っておりますので、治療を始めようか悩んでいる方はお気軽にご相談ください。
受診はオンライン・来院のどちらでもお選びいただけます。
また、当院のAGA治療についてより詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
生活習慣の乱れからくる抜け毛の場合
生活習慣の乱れによってつむじ周りの抜け毛が増えている時は、インナーケアに目を向けていきましょう。
⇒ 肉・魚・野菜をまんべんなく食べ、栄養バランスの偏りをなくす
睡眠⇒ 1日7時間は睡眠を取る。
睡眠の質を考えて就寝3時間前までに夕飯は済ませる
⇒ 運動は全身の血の巡りを良くしてくれるため、週2〜3を目安に20分程度取り入れる
飲酒&喫煙⇒ 禁酒・禁煙が望ましいが、それがストレスになる場合は量を減らす
中でも食事は、髪への影響が特に出やすいです。
ビタミンB群やミネラル(亜鉛・鉄分)は意識的に摂るのが望ましいでしょう。
また染み付いた生活習慣を直すことは簡単ではないため、一気にやろうとすれば長続きしないことが多いです。
なにより大切なことは"継続"です。
1つひとつできることから始めてみてください。
頭皮環境の悪化による抜け毛の場合
ヘアケア製品は数え切れないほどの種類がありますが、ヘタに選んでしまうと頭皮環境をさらに悪化させることもあります。
大切なのは頭皮を清潔に保つこと。
そのためのシャンプーの正しい選び方と洗髪方法についてお伝えしていきます。
■シャンプーの選び方
シャンプーにもさまざまな種類があり、頭皮の肌質によって適したものが異なってきます。
⇒ 高級アルコール系や石けん系といった洗浄力の強いシャンプー
乾燥した頭皮⇒ アミノ酸系やベタイン系といった低刺激のシャンプー
1つ注意しておきたいのが、脂っぽさが気になるからといって洗浄力の強いシャンプーを毎日使うことはおすすめできません。
洗浄力の強いシャンプーは週に1〜2回のスペシャルケアとして使いましょう。
普段は低刺激のシャンプーがおすすめです。
①予洗い
⇒ まずはお湯だけで汚れを浮かせ落とす
②シャンプー
⇒ 手のひらでシャンプー液を泡立て、泡でやさしく洗い上げる
③すすぎ
⇒ すすぎはシャンプー時間の3倍くらいを目安にしっかり行う
④タオルドライ
⇒ 長時間のドライヤーは髪を痛めてしまうため、乾きやすいようタオルドライを丁寧に行う
⑤ドライヤー
⇒ 水分が残らないようしっかり乾かす
ストレスによる抜け毛の場合
ストレスによる抜け毛によってつむじはげが起きているのであれば、次のようなことを実践してみてください。
ストレス発散
ストレスの原因がなにかわかっているなら、その原因から距離を取ることで緩和されることがあります。
また運動したり、気分転換に遠出したり、好きなことをして気持ちを切り替えてみるのも良いでしょう。
髪型を変える
つむじ周りがどうしても気になる際に、すぐにできる対処として髪型を変えるのも1つです。
- パーマによって頭頂部にボリュームを持たせる
- 短髪にして長さを揃えることでつむじはげを目立たなくさせる
また極端ではありますが、思い切って坊主にするのも1つです。
つむじはげを隠すために髪を伸ばすのは逆効果なため、理美容師さんと相談しながらイメチェンもかねて髪型を変えてみてください。
ウィッグを付ける
つむじはげが気になりすぎてQOL(生活の質)が低下しているようであれば、ウィッグも検討してみてください。
部分的に隠せるタイプもあり、髪質にあったものを選べば自然な仕上がりになります。
ただウィッグもピンキリで、通気性の悪い安価なものなどはつむじはげを助長させることもあるので慎重に選ぶようにしてください。
よくある質問
AGAが原因の場合はAGA治療薬が1番効果的ですが、薬の使えない体質の方、10代の方、女性は生活習慣や髪型の変更などで対処すると良いでしょう。
まとめ
つむじはげは普段目にする機会のない頭頂部で起こる薄毛なため、他人からの指摘で気づくケースもあります。
特にAGAの発症は低年齢化してきており、「若いから大丈夫」というのは過去の話になりつつあります。
誰にでも起こる可能性があるつむじはげ。
意識的に予防していくのはもちろん、もし気になるようであれば原因にあわせた適切な対処によって改善を目指していきましょう。