
フィナステリドは現在、AGA(男性型脱毛症)の治療薬として多くの男性に利用されています。
しかし、服用を検討する上で気になるのが「副作用」の存在です。
どんな薬でも効果がある反面、副作用もあります。フィナステリドも同様に副作用のリスクは0ではありません。
こちらのページではフィナステリドの副作用について、性欲減退や肝機能への影響、初期脱毛などについてわかりやすく解説しています。
フィナステリド(プロペシア)についての詳細は以下のページをご確認ください。
フィナステリドの副作用
フィナステリドの副作用は比較的少ないとされていますが、有名なものに性機能障害や肝機能障害などがあります。
特に性機能障害は報告数が多いため、気になる方は服用中に身体の変化を観察することが重要です。
以下はフィナステリドの主な副作用をまとめたものです。
フィナステリドの主な副作用
1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
---|---|---|---|
生殖器 | リビドー(性欲)減退※1) | ED(勃起不全)※1)、射精障害※1)、精液量減少 | 睾丸痛、血精液症、男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)※2) |
肝臓 | AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇 | ||
過敏症 | そう痒症、じん麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽喉及び顔面腫脹を含む) | ||
その他 | 乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい など |
※1)市販後において、投与中止後も持続したとの報告がある。
※2)本剤の投与中止後に、精液の質が正常化又は改善されたとの報告がある。
フィナステリドの副作用の発症率は高くなく、全体的に重篤なケースは少ないと考えられます。
しかし、副作用の発現には個人差があるため、まったく症状が出ない人もいれば、他の要因(ストレスや生活習慣)と重なって深刻化する人もいることも十分に考えられます。
症状の見極めが難しいため、気になる症状がある場合には早めに医師に相談し、服用の継続や中止などの対策を検討してください。
性欲減退
フィナステリドでよく取り上げられる副作用として、性欲減退(リビドー減退)やED(勃起不全)などの性機能障害が挙げられます。
この副作用の原因は、性機能に関わる男性ホルモンの働きを部分的に抑制することで、一部の方に性機能へ影響が出るものと考えられます。
臨床試験のデータでは1~5%未満の発生率とされていますが、体質や精神的な要因も影響するため、現れ方に個人差があります。
症状が出たとしても軽度であることが大半ですが、性機能障害になることに心理的な不安を強く感じるケースもあります。
肝機能障害
肝臓は薬を代謝する際に使われる臓器のため、フィナステリドを使用することで肝臓へ負担がかかり、軽度の肝機能障害が起こる可能性があります。
肝機能に障害がある方や、肝疾患を持っている方は使用する際に注意が必要です。
非常にまれではありますが、服用により肝酵素(AST・ALTなど)の値が上昇するケースが報告されています。
ただし症状が重篤化するケースはまれで、定期的な血液検査で早期に把握できることが多いでしょう。
ポストフィナステリド症候群(PFS)とは
フィナステリドを含む薬の服用により起こる副作用(性機能障害や鬱症状など)が、服用の中止後も続いてしまう症状をポストフィナステリド症候群(PFS)といいます。
はっきりとした原因や明確なメカニズムが解明されておらず、精神面から身体へ影響を及ぼしている説が有力とされます。
多くの方はフィナステリドを服用してもPFSを経験しない場合もあるため、服用を避けるほどではないと言えます。
ただし、メンタルヘルス障害などの既往歴がある方は、PSFになるリスクが高まる可能性があるため、必ず医師にご相談ください。
その他の副作用
ごくまれなケースとして、過敏症(アレルギー症状)、めまいや倦怠感、気分の落ち込みなどが副作用として報告されることがあります。
これらは日常生活の中でも起こり得る症状であり、薬の影響と断定しにくいのが特徴です。
一方、うつ症状や認知機能への影響を訴える報告も少数ながら存在します。
データの蓄積が進んでいない部分もありますが、万一精神面での不調を感じ始めたら放置せずに医療機関に連絡するようにしてください。
いずれの症状も頻度は低いですが、個人差が激しいため、自分の身体に合わないと感じたら早めに専門家のアドバイスを受けることが安心です。
副作用の発生率とリスク管理
多くのデータを見る限り低頻度ですが、フィナステリドによる副作用のリスクは0ではありません。
医薬品の中でもフィナステリドは比較的安全性が高く、リビドー減退が1~5%未満、性機能障害が1%前後、それ以外の副作用はさらに稀という結果が示されています。 ただし、リスクを十分に理解しておくことで、万が一のときに早期発見と対策が可能になります。
少ない確率ではあっても、ご自身の体調やライフスタイルとの相性によっては副作用が出やすくなる人もいます。特に生活習慣が乱れていたり、元々の体質に不安要素があったりする場合は、より慎重なリスク管理が必要です。
副作用を恐れて治療を敬遠するより、正しい知識と定期的なチェックを組み合わせることで、効果的にAGA治療を行いつつリスクを軽減できます。
フィナステリドの初期脱毛
初期脱毛とは、フィナステリドを服用し始めて1〜2か月の間に一時的に抜け毛が増える現象です。
初期脱毛はフィナステリドによるヘアサイクルの改善過程で起こる現象と考えられており、古い髪が抜け落ちて新たなサイクルに移るときに一時的に抜け毛が増えることがあります。
タイミングにより、服用開始から6ヶ月〜1年くらいにもう一度まとめて脱毛が起こる「2回目の初期脱毛」を経験される方もおられます。
多くの場合、AGA治療が順調なサインとも言われており、数週間〜数か月で落ち着くことがほとんどですので、焦らずに続けることがAGA治療成功のカギとなります。
もし抜け毛の量が著しく増えたり他に気になる症状が出たりした場合は、早めに専門医に相談し状況を見極めることが賢明です。初期脱毛と別の要因による抜け毛悪化を混同しないようにしましょう。
フィナステリドの副作用が出た場合の対処法
副作用が出たからといって、必ずしも服用を中止しなければならないわけではありません。症状が軽度であれば、経過観察をしながら継続することも可能です。
その際は以下のような対応が考えられます。
- 医師に症状を正確に伝える
- 血液検査やホルモン検査を受ける
- 他のAGA治療薬(例:デュタステリド)への変更を検討
- 副作用が重い場合は中止も視野に入れる
肝機能に障害がある方は定期的な血液検査を受けることで、異常を早期に察知することができます。
特に長期的にフィナステリドを服用する場合は、定期検査を習慣化することをおすすめします。
副作用が治まらない場合は自己判断での中断は避け、必ず専門医のアドバイスを受けましょう。
フィナステリドの基本情報
フィナステリドは、5αリダクターゼという酵素を阻害することで、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの生成を抑える働きがあります。
DHTはAGAの主な原因とされており、フィナステリドの服用により薄毛の進行を防ぎ、発毛を促す効果が期待されます。
フィナステリドの副作用のまとめ
このページのまとめです。
- フィナステリドの主な副作用には、以下がある
性機能障害(リビドー減退・ED)
肝機能障害
過敏症(アレルギー症状) - 出現頻度は高くなく、重症化する症状もあまりないが、症状により注意が必要な場合もある
- 服用して1~2か月ほどで、初期脱毛が表れる場合がある
- 副作用が治まらない場合は、自己判断はせずに必ず医師に相談する
フィナステリドはAGA治療において有効な選択肢ですが、少なからず副作用のリスクがあります。特に性機能や肝機能に不安がある方は、服用前に医師との十分な相談が不可欠です。
正しい知識と適切な管理のもとで使用すれば、多くの方にとって安全かつ効果的な治療が可能です。副作用への不安がある方こそ、専門クリニックでの診断とサポートを受けることをおすすめします。
フィナステリドの処方については以下のページをご覧ください。
フィナステリドの副作用でよくある質問
-
- Q
フィナステリドの副作用を抑えるため治療をやめたらどうなりますか?
- A
フィナステリドでのAGA治療は、今出ている薄毛症状を薬によってストップさせている状態です。 そのため副作用の不安から治療をやめれば治療効果を失い、ふたたび元の薄毛状態に戻っていきます。
- Q
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- Q
フィナステリドは性欲に影響しますか?
- A
フィナステリドは、副作用の中に「リビドー(性欲)減退」の記載があります。そのため、服用中に性に対して消極的になるかもしれませんが、ED発症頻度でも1%未満なので大きな心配はありません。
- Q
-
- Q
フィナステリドは肝臓に負担をかけますか?
- A
フィナステリドに限らず、医薬品は肝臓で代謝されるため、長期的に薬を服用する場合は少なからず肝臓に負担となります。肝機能の疾患がある方で、長期的に服用する際は肝機能の数値をチェックしながら医師にご相談ください。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
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この記事の監修

(はっとり けいた)医師
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務