肥満妊婦はハイリスク?体重が増えるとどうなる?肥満の影響と対策について

更新日:2024/07/29
肥満妊婦はハイリスク?体重が増えるとどうなる?肥満の影響と対策について

肥満妊婦の場合、母体や赤ちゃんに様々なリスクがあります。

このページでは、「肥満妊婦は危険?」「出産や子供に影響が出る?」といった疑問にお答えし、肥満妊婦の基準やリスク、原因、対策について詳しく解説します。

妊婦やその家族が安心して妊娠期間を過ごせるよう、妊娠中の肥満へ対策しましょう。

肥満妊婦の基準は「BMI25以上」

肥満妊婦とは、妊娠前のBMIが25以上の妊婦のことを言います。

BMIは体格を表す指標で、以下のようにして求められます。

BMI=体重kg÷(身長m)²

BMIは、妊娠期間中の体重増加と健康のバランスを保つための大切な指針です。

なお、妊娠中の推奨体重増加量は、以下のようにBMIによって分けられています。

体格区分 非妊娠時のBMI 推奨体重増加量(妊娠全期間)
低体重(やせ) BMI18.5未満 9~12kg
ふつう BMI18.5~24.9 7~12kg
肥満 BMI25以上 個別対応(約5kgを目安)

妊娠中に体重が増えるのは自然なことであり、推奨される範囲内での体重増加は健康的とされます。

例えば、非妊娠時に「ふつう」だった女性は、妊娠全期間を通して7〜12kgの体重増加が推奨されます。

一方、肥満(BMI 25以上)の場合は個別に対応し、約5kgの増加が目安とされています。

肥満妊婦は体重が増えすぎると病気のリスクが高まるため、適切に体重をコントロールすることが重要です。

肥満妊婦になることのリスク

妊娠中の肥満は、母親だけでなく、お腹にいる胎児にも健康リスクが及ぶ可能性が高まります。

代謝異常によって全身に影響が及んだり、合併症の発生、さらに胎児も先天性疾患のリスクなどが増加します。

これらのリスクを避けるためには、「体重を減らすこと」よりも「増やしすぎないこと」が大切です。

以下より、肥満妊婦の具体的な健康リスクについて詳しく解説します。

妊婦が様々な病気に罹患しやすくなる

肥満の状態が続くことは、母親にとってさまざまなリスク因子となります。

具体的には以下の通りです。

肥満による妊婦のリスク
  • 妊娠糖尿病
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
  • 産後のさらなる体重増加

これらは合併症のリスクもあり、場合によっては肝臓や腎臓など他の臓器にも影響を及ぼします。

また健康リスクは出産後にも影響し、将来的に以下の病気にかかりやすくなります。

将来的な病気のリスク
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脳卒中

この他にも体重による負担によって、膝や腰の関節・骨が変形しやすくなります。

肥満は母親自身の健康に影響するため、十分な注意が必要です。

出産時のリスクにつながる

肥満妊婦は、出産時にいくつかの重大なリスクを抱えることになります。

肥満による出産時のリスク
  • 不育症
  • 帝王切開率の上昇
  • 創部感染症
  • 出産時の出血量増加

肥満は不育症を引き起こしやすく、流産や早産のリスクを高めます。

自然分娩も難しくなり、帝王切開の必要性が増すことで、手術後の創部感染症のリスクも上昇します。

また、肥満によって出産時の出血量が増える傾向があり、大量出血によって母体の健康を脅かす可能性があります。

このように、肥満状態にある妊婦は、出産時に多くのリスクを抱えてしまいます。

お腹の赤ちゃんの健康リスクにつながる

母親の肥満の影響は、お腹の赤ちゃんにも及ぶことがあります。

肥満による赤ちゃんへのリスク
  • 早産、死産
  • 自然流産
  • 巨大児

巨大児(出生体重4,000g以上)であれば難産になったり、合併症に繋がったりするなど、赤ちゃんの命に関わる大きなリスクがあります。

また、早産で低体重出生児(出生体重2,500g未満)の場合、医療サポートが必要になることもあります。

将来的に赤ちゃんの肥満やメタボにつながる可能性がある

妊娠期にある母親の過剰な体重増加は、赤ちゃんの肥満やメタボの将来的なリスクに関連することがわかりつつあります。

喫煙者の場合、さらに体重増加のリスクを上昇させることがあり、特に男の子にその傾向がみられるとされています。

肥満妊婦になる原因

肥満妊婦になる原因は、主に日常の食生活や生活リズムとなります。

肥満妊婦になる原因
  • カロリーの過剰摂取
  • 栄養バランスの乱れ
  • 運動不足

過剰なカロリー摂取や栄養バランスの崩れに加え、運動不足などが肥満の主な原因です。

特に、妊娠中は食欲が増し、食事の量が増えやすくなります。

さらに、妊娠による日々の体調の変化や疲れやすさから、運動量も減少しやすいです。

また、ストレスやホルモンバランスの乱れも食欲を増進させる原因となります。

これらの原因が重なり体重が過剰に増加した結果、肥満に繋がります。

なお、一般的には、妊娠中の体重増加の原因は、赤ちゃんの成長や胎盤・羊水の増加などにともなったものが多いです。

肥満妊婦の対策・予防策

すでに妊娠している場合、過度なダイエットは流産のリスクを高めるため非常に危険です。

そのため、妊娠中は体重を増やしすぎないよう心がけることが大切です。

肥満妊婦の対策
  • 栄養バランスに気を付けた食事をとる
  • 楽しめる範囲で有酸素運動をする
    (ウォーキングや水泳など)

理想的なのは、妊娠前にあらかじめ体重を落としておくことです。

肥満妊婦のリスクを減少させ、不安なく妊娠期間を健康的に過ごすためにも、妊娠前のBMIが25以上の方はダイエットすることをおすすめします。

妊娠前であればメディカルダイエットがおすすめ

妊娠中は使用できないものの、妊娠前であれば効率的に痩せられるメディカルダイエットがおすすめです。

食欲がストレスになっていたり、運動が苦手という方でも続けるだけで効果が期待でき、自己管理をサポートします。

肥満妊婦は母子ともに健康リスクがある上に、妊娠中は心身のバランスも崩れやすいため体重管理は容易ではありません。

妊娠前にしっかりと体重を管理し、健康的な妊娠期間を迎えるためにも、メディカルダイエットを検討してみてください。

肥満妊婦についてまとめ

肥満妊婦についての要点をまとめると、以下となります。

  • BMI25以上は肥満妊婦
  • 母子ともに健康リスクがある
  • ホルモン変化や過食、運動不足、ストレスなどが原因
  • 妊娠中の過度なダイエットは避ける
  • 妊娠「前」に体重を落としておくのが理想的
  • 妊娠前ならメディカルダイエットで痩せるのも1つ

肥満妊婦は母と子の健康リスクを高め、場合によっては生まれてきた子供の将来にも影響します。

推奨体重増加量(妊娠全期間)を超えないよう心がけ、医師のサポートも受けながら健康的な体重管理を行うことが重要です。

また、妊娠前であれば、メディカルダイエットも効果的です。

フィットクリニックではオンライン診療にも対応しているので、BMI25以上の方は自己管理サポートの一環として、健康的な妊娠期間を迎える準備を整えていきましょう。

肥満妊婦に関するよくある質問

Q1
妊娠中に痩せることは可能ですか?
A1
妊娠中の過度なダイエットや無理な減量は非常に危険なため、やめましょう。
母体や胎児に必要な栄養が不足することで、妊娠合併症や胎児の発育不全を引き起こす可能性があります。
妊娠中に体重管理を行う場合は、医師の指導のもとで栄養バランスの取れた食事や適度な運動を心がけることが重要です。
推奨される体重増加量を超えない範囲での健康的な体重管理を行いましょう。
Q2
肥満だと妊娠糖尿病になりやすいですか?
A2
肥満だと妊娠糖尿病のリスクが高まります。
妊娠糖尿病になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。
  1. 糖尿病の家族歴
  2. 肥満
  3. 35歳以上の高年齢
  4. 巨大児分娩既往
  5. 原因不明の習慣流早産歴
  6. 原因不明の周産期死亡歴
  7. 先天奇形児の分娩歴
  8. 強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
  9. 妊娠高血圧症候群
  10. 羊水過多症
これらのリスク要因を持つ女性は、妊娠中に定期的な検査を受け、早期発見と適切な管理を行うことが重要です。
Q3
肥満は帝王切開のリスクを高めますか?
A3
肥満は帝王切開のリスクを高める要因となります。
肥満妊婦は自然分娩が難しくなることが多く、結果として帝王切開の必要性が高まります。
帝王切開にもリスクがあるため、適切な体重管理が必要です。
Q4
出産後は、いつからダイエットを始めたら良いですか?
A4
産後のダイエットは、産後2~3ヶ月ごろからスタートすると良いです。
この時期は身体が妊娠前の状態に戻ろうとしているため、ダイエットの効果が現れやすいです。
この時期までは身体の回復を優先しましょう。