一方、肥満症は病気の1つで、さまざまな健康障害を起こすリスクが高く、医師による治療を必要としている状態です。
肥満症とは?治療が必要なケースや肥満がもたらす健康障害について解説
「肥満症とは?」
「肥満症の原因は?」
「治療が必要だったり、肥満がもたらす健康障害は何?」
こうしたさまざまな疑問に答えるため、本記事では肥満症の基本的な定義から原因、治療法、および肥満が引き起こす健康障害まで詳しく説明します。
また、肥満を改善するダイエット法にも触れているので、体重管理や改善のためにぜひ参考にしてみてください。
肥満症とは
肥満症とは 単に太っているだけでなく、健康に悪影響を及ぼしたり、合併症のリスクが高かったりする場合に診断される症状です。
また、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)である場合も肥満症と診断されます。
対して肥満とは、体内に脂肪が過剰に蓄積した「太っている状態」を指し、以下のような違いがあります。
- 肥満
BMI25kg/m²以上 - 肥満症
BMI25kg/m²以上 + 健康障害または合併症のリスク or メタボリックシンドローム
つまり、肥満症は深刻な健康問題を抱えた病気になるため、自己管理による生活習慣の見直しだけでなく、減量治療が必要になることがあります。
ちなみに、BMI(体格指数)は以下の方法で求められます。
体重と身長から算出できるので、健康維持のために自身のBMIを把握することが大切です。
高度肥満症とは
高度肥満症とは、BMI35kg/m²以上の肥満症を指します。
日本人の平均身長171.5cmで計算すると、体重が約103kg以上ある計算です。
また食生活や生活習慣の乱れが高度肥満を招くだけでなく、「二次性肥満」といって遺伝や特定の病気、服用中の薬などが肥満の引き金になっていることもあります。
高度肥満は健康障害のリスクがいくつもあり、日常生活にも多くの影響がみられるため、QOL(生活の質)が大きく下がってしまいます。
メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームは「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、お腹周りに過剰な内臓脂肪が蓄積される肥満の状態を指します。
この状態はBMI25kg/m²未満であっても、以下の基準を満たしてしまうとメタボリックシンドロームと診断されます。
ウエスト ≥ 85cm(男性) ≥ 90cm(女性)
上記に加え、以下のいずれか2つ以上
中性脂肪 ≥ 150mg/dl かつ/または HDL < 40mg/dl
血圧 収縮期血圧 ≥ 130mmHg かつ/または 拡張期血圧 ≥ 85mmHg
血糖 空腹時血糖 ≥ 110mg/dlこのことから、メタボリックシンドロームは単なる「ウエスト周りの問題」ではなく、重大な健康問題の予兆となり得る生活習慣病予備軍となります。
肥満になる原因
肥満は、運動不足や暴飲暴食といった日頃の不摂生が原因と考えられがちです。
しかし、これだけでは説明がつかないことも多く、現代人のライフスタイルや社会環境の変化、遺伝、年齢など、さまざまな原因が複雑に絡み合って肥満を引き起こしています。
このため、肥満を単純に自己責任と片づけることが難しく、個人の体重コントロール以外の原因が影響している場合も少なくありません。
以下では、肥満に至るさまざまな原因を1つずつ詳しく解説します。
社会環境の変化
交通網の発展、車社会の広がり、ファストフード、コンビニの増加、そしてインターネットの普及などが生活を便利で快適なものにしています。
しかし、この便利さや快適さと引き換えに、身体を動かす機会は減り、手軽さを優先するあまり高カロリーで栄養バランスの偏った食品を選ぶ傾向が強くなっています。
また、現代はストレス社会であり、効率と生産性の要求が高まり、長時間労働や激しい競争が精神的な負担を大きくしています。
こうしたストレスは食欲を不規則にし、高カロリーな食べ物への欲求を増加させます。
さらに、ストレスが原因で睡眠の質が低下すると、体重増加につながるホルモンバランスが崩れることもあります。
遺伝によるもの
肥満の原因には、生まれ持った遺伝子が関係していることがわかりつつあります。
消化・吸収・代謝をコントロールするホルモンの分泌や腸内環境には個人差があり、同じ量を食べても太る人と太らない人がいるのは遺伝の影響が少なからずあります。
また遺伝的な影響は生理機能の面だけでなく、遺伝性肥満と呼ばれる特定の病状にもみられます。
- Prader-Willi症候群
- Bardet-Biedl症候群
- Alstrom症候群
- Carpenter症候群
- Cohen症候群
- レプチン・レプチン受容体遺伝子異常
- POMC遺伝子異常
- メラノコルチン4型受容体(MC4-R)遺伝子異常
- プロホルモン変換酵素1(PC-1)遺伝子異常
肥満が必ずしも遺伝的なものだけではないことは確かですが、脂肪を溜め込みやすい体質であったり、自己管理ではどうにもならなかったりする原因もあることは覚えておくとよいでしょう。
加齢によるもの
加齢によって、身体は変化していきます。
なにもせずともエネルギーを消費する基礎代謝量の変化もその1つで、男性は18歳ごろ、女性は15歳ごろをピークに低下をはじめます。
この理由は、成長期では必要だった高いエネルギー消費が、身体が成熟するにつれて不要になるためです。
また加齢により細胞も老化していき、筋肉量も減ってしまうことも肥満の原因につながってきます。
実際、男女ともに30代を境に肥満の割合は増えていき、男性は40代、女性は60代がもっとも肥満者が多くなります。
20歳代:23.1%(男性)/8.9%(女性)
30歳代:29.4%(男性)/15.0%(女性)
40歳代:39.7%(男性)/16.6%(女性)
50歳代:39.2%(男性)/20.7%(女性)
60歳代:35.4%(男性)/28.1%(女性)
70歳以上:28.5%(男性)/26.4%(女性)こうしたデータからも、加齢が肥満の原因になることは明らかです。
食べすぎ
もっとも一般的な肥満の原因は、「食べすぎ」です。
カロリー消費量を超えた食事を続けていると、消費しきれなかったカロリーは体内に脂肪として蓄積されていきます。
このように蓄積された余分なカロリーは、時間とともに肥満へとつながります。
また運動不足は体重増加に拍車をかけ、食べたものが効率よくエネルギーとして利用されにくくなり、結果として体重は増加する一方です。
特に現代の食生活の環境では、どこでも簡単に高カロリーな食品を手に入れることができ、無意識のうちにカロリーオーバーしていることも珍しくありません。
食べすぎや間食は肥満に直結し、さらには慢性的な健康問題に発展するリスクも高まります。
肥満がもたらす健康障害
肥満は体型の問題だけにとどまりません。
多くの健康障害を起こすリスクファクターとなっており、以下のような病気は肥満が原因で引き起こされる可能性があります。
肥満がもたらす健康障害は以下の通りです。
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症や痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞や一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常や女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群や肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症・膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病
これらの健康障害は、長期的に影響を及ぼす可能性があるものばかりになるので、発症することでQOL(生活の質)を著しく低下させます。
肥満症で行う治療・療法
肥満症の治療は、ただ見た目を改善することだけでなく、体重管理を通じた減量により将来的な健康リスクを下げるのが目的です。
BMIを正常な範囲にまで戻すことをはじめ、臓器の周囲についた内臓脂肪を落とすことで健康障害の予防・改善を図ります。
治療の基本は食事と運動ですが、医師の診断によっては、肥満度や健康状態に応じて薬物療法や外科療法といった複数のアプローチが必要とされる場合もあります。
ここからは、肥満症で行う各治療について1つひとつ詳しく解説していきます。
食事療法
肥満症の治療でもっとも有効とされる治療の一つが食事療法です。
食事療法によるアプローチでは、1人ひとりの生活習慣や健康状態に合わせた食事プランを提案し、日常生活に自然に取り入れることが重要です。
単純に摂取カロリーを減らすのではなく、栄養不足を避け、リバウンドのリスクを低減するために以下のようなポイントに注意を払います。
腹八分目:過食を避け、腹八分目で食事を終えること
糖質の管理:主食の量を適切に制限し、糖質の摂取を抑える
咀嚼を意識する:食べ物をよく噛むことで、満腹感を得やすくする
間食の控制:不必要な間食を避け、次の食事までの空腹感を管理する
これらのポイントを意識することで、持続可能かつ健康的な方法で体重を管理し、肥満を予防するための基盤を築くのに役立ちます。
薬物療法
薬物療法は、食事療法や運動療法だけでは減量が不十分な場合に、体重管理をサポートするために用いられる治療方法です。
本治療は、肥満に関連する健康リスクが高いと判断された場合に限り行われ、痩せ願望を叶えるための美容目的では治療の対象になりません。
日本で保険診療として使用される肥満治療薬は、主に食欲をコントロールする薬です。
■マジンドール(サノレックス)
中枢神経に作用し、食欲を抑えることで無意識の過食を防ぐ薬です。
GLP-1ホルモンを補うことで、食欲や胃のぜん動運動、食後血糖値の急上昇を抑えて、脂肪を溜め込みにくい体質へと改善する薬です。
これらの薬の保険適用には厳しい条件が設けられており、肥満症だけでなく、すでに高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などの健康障害が起きている方に限定されます。
外科療法
外科療法は、特定の条件を満たす肥満症に対して推奨される治療方法です。
この治療では、胃の一部を切除するなどして胃の容量を物理的に小さくし、長期的な食事量の減少による摂取カロリーのコントロールを目指します。
外科療法の適用対象は、以下の基準を満たす方のみです。
- 18〜65歳
- 原発性肥満
- 6ヶ月以上の内科治療で有意な体重減少および肥満関連健康障害の改善が得られない高度肥満症(BMI35以上)
- 糖尿病または糖尿病以外に2つ以上肥満関連健康障害を合併したBMI32以上
手術は肥満症による健康問題が深刻であり、他の治療方法では改善が不十分な場合に限られています。
また、通常の肥満症治療よりもリスクを伴うため、手術を受けるメリットと慎重に比較考慮し、手術後も医師による長期的なフォローアップが必要です。
運動療法
運動療法は食事療法と並んで、肥満症治療の基本です。
このアプローチでは、有酸素運動を中心に行い、可能であればレジスタンス運動(筋肉に抵抗をかける運動)も併用することが望ましいとされています。
ウォーキング、速歩、水泳、スロージョギング、サイクリングなどが推奨されています。これらは主に心肺機能の向上とカロリー消費が期待できます。
■レジスタンス運動バランス運動、コンディショニング・エクササイズ、ストレッチなどが推奨されます。これらは筋肉を強化し、基礎代謝を高めて、エネルギーの効率を良く使用できる体づくりを行います。
体重管理と健康改善のためには、週に150分以上の運動が推奨されています。
週150分未満の運動では十分な体重減少がみられないため、「1日30分以上」を「毎日あるいは週150分以上」で行うことが効果的となっています。
短時間の積み重ねでも良く、日常生活での身体活動も時間に含まれるので、運動の種類・頻度・強度については医師と相談しながら続けられる範囲で計画することが重要です。
手軽に痩せたいときはメディカルダイエットを検討してみよう
肥満治療は太っていることが治療の対象ではなく、特定の肥満症の条件を満たさなければ治療を受けられません。
そんな時、「少し痩せたい」「体型をスッキリさせたい」というニーズに応えるためにはメディカルダイエットが役立ちます。
メディカルダイエットとは、医師のサポートのもとで行われるダイエット治療です。
薬物療法で効果的かつ安全に目標の体重達成をサポートします。
一般的なダイエットがうまくいかない方、食事や運動といった自己管理が苦手な方に選ばれており、治療を続けるだけでストレスフリーに体重減少を実現できます。
体重管理にお悩みの方は、メディカルダイエットの検討を推奨します。
より詳しい情報やどんな薬が用いられるかについては、以下のページもご参照ください。
フィットクリニックのメディカルダイエット一覧
フィットクリニックでは、ダイエットの悩みに応じたメディカルダイエットプランを提供しています。
以下は、当院が治療に用いるダイエット薬の種類と効果、価格をまとめた一覧表です。
フィットクリニックで扱っているダイエット薬
タイプ | 種類 | 効果・働き | 価格 |
---|---|---|---|
GLP-1受容体作動薬 | サクセンダ/リベルサス | 食欲抑制・満腹感の持続・脂肪がつきにくい体質へと変化 | 16,800円(1本)~/7,200円(30錠) |
脂肪吸収阻害薬 | オルリファスト | 食事に含まれる脂質の約30%をカット | 4,930円(42錠)~ |
糖質吸収阻害薬 | フォシーガ | 体内の余計な糖を体外に排出 | 7,200円(30錠)~ |
漢方薬 | 防風通聖散 | 代謝を上げて脂肪の燃焼を促進する | 4,930円(90包)~ |
サプリメント | BBXサプリ | ストレスによる過食を防ぐ・脂肪の蓄積を防ぐ | 6,800円(30錠)~ |
医師と十分に相談した上で、もっとも適したメディカルダイエットを選択し、健康的かつ効果的に体重管理を進めていきましょう。
メディカルダイエットにかかる費用
メディカルダイエットを受ける際にかかる費用は、以下のとおりです。
初診料・問診料 | 無料 |
---|---|
送料 (オンライン診療利用時) |
385円(1万円以上で無料) |
支払い方法 | 現金、銀行振込、クレジットカード(VISA、Master、JCB、Diners、Amex、Suica、PayPay)、コンビニ払い |
※オンライン診療の場合はVISAとMasterCardのみ
当院では、一般的な対面診療のほかにオンライン診療も実施しており、郵送による処方の場合は送料が発生しますが、1万円以上の購入で無料となります。
これにより、実質薬代のみで治療が受けられるため、治療を続けやすく、コスト面の負担も少なく抑えられます。
余計なコストがかからず気軽にはじめられるので、自己管理によるダイエットに苦戦している方はぜひ一度フィットクリニックまでご相談ください。
まとめ
肥満症は体重増加を超え、さまざまな健康障害のリスクを増大させる病気の1つです。
そのため自己管理だけでは対応が難しく、医師の指導のもとで食事・運動療法を基本に、必要に応じて薬物療法や外科療法が検討されることもあります。
しかし、肥満症ではなく、より手軽に体重の管理・維持したい美容目的である場合、肥満症治療を受けることはできません。
このような場合には、メディカルダイエットが適しています。
この治療では、薬物療法を中心に効率的な減量をサポートし、食事や運動といった負担を軽減した減量が可能です。
病気か美容目的か、治療目的によって、肥満へのアプローチ方法や保険適用などの条件も異なります。
ダイエットの助けを必要としている方は、ぜひ当院のメディカルダイエットでその一歩を踏み出しましょう。
肥満症に関するよくある質問
一方、肥満症は病気の1つで、さまざまな健康障害を起こすリスクが高く、医師による治療を必要としている状態です。
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症や痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞や一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常や女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群や肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症・膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病
BMI = 体重kg ÷ (身長m)²
BMIが25以上であり、肥満に関連する健康問題があると肥満症の可能性が高いと考えられています。気になる場合、医療機関に相談することを推奨します。
基本は食事と運動としつつ、減量の経過も見ながら健康状態にあわせた治療が必要になります。
通常のダイエットとは異なり、厳しい食事制限や強度の高い運動を必要としないので、治療を続けることで体重減少を促します。
具体的には、母親は妊娠高血圧症や妊娠糖尿病、赤ちゃんは早産や死産などです。
肥満妊婦に関する詳しい内容は以下のページをご覧ください。