ピル(低用量ピル)はかなり高い確率で女性の妊娠を防いでくれるお薬ですが、服用していても妊娠する可能性はあります。
なぜ妊娠する可能性があるのか? このページでは失敗例や妊娠しないためにできることについて詳しくご紹介していきます。
ピルは100%避妊できるものではない
ピルは女性自らが望んで避妊できるホルモン剤で、正しく服用できれば約99.7%の避妊効果を期待できます。
ただ、限りなく100%に近いとはいえ確実ではなく、実際にピルを服用しているにも関わらず妊娠してしまったというケースもあります。
これからピルを取り入れようとする人にとって、服用前にこうした心配事を避ける方法については知っておきたいところでしょう。
まずは妊娠してしまう可能性としてどんなケースが考えられ、また注意が必要なのかをここから詳しくみていきましょう。
ピルの飲み忘れ
ピルを服用しているにも関わらず、妊娠してしまうケースとしてもっとも多いのが「飲み忘れ」です。
これは飲み始めなど、毎日の服用が習慣化できていないのが原因です。そのため服用のタイミングを「忘れていた」と後になって気づくようです。
ピルを飲み忘れた際の妊娠率にどれだけの差があるか、以下の表をご覧ください。
避妊法の種類 | 理想的な使用*(%) | 一般的な使用**(%) | 1年後の継続率(%) |
---|---|---|---|
経口避妊薬 | 0.3 | 9 | 67 |
男性避妊手術 (パイプカット) |
0.1 | 0.15 | 100 |
女性避妊手術 (卵管結紮) |
0.5 | 0.5 | 100 |
子宮内避妊具 (銅付加) |
0.6 | 0.8 | 78 |
ミレーナ | 0.2 | 0.2 | 80 |
コンドーム | 2 | 18 | 43 |
ペッサリー | 6 | 12 | 57 |
殺精子剤 | 18 | 28 | 42 |
リズム法 | 0.4~5 | 24 | - |
避妊無し | 85 | 85 | - |
*理想的な使用:選択した避妊法を正しく続けて使用している場合
**一般的な使用:飲み忘れも含め一般的に使用している場合
理想的な使用をすれば妊娠率がわずか0.3%なのに対し、一般的な使用では8%と30倍近くも変わり、危険率は一気に高まります。
望まぬ妊娠を避けるのであれば、ピルを飲んでいたとしても万が一のことも考え膣内射精(中出し)するのを受け入れるのは控えるようにしましょう。
またピルの飲み忘れを避けるためには毎日決まった時間に服用し、さらに決めた時間よりも12時間以上は超えないようにするのが理想的です。
加えて、忘れやすい場合としてお酒を飲んでいる事があります。
お酒とピルは飲み合わせ的に問題ありませんが、お酒を飲んで忘れる恐れがあるなら、時間をずらす(先に飲む)などの注意が必要です。
ピルの休薬期間
ピルを服用中に特に注意したいのが、休薬期間の前後です。
⇨ 第3週の終わり頃
休薬期間明け⇨ 新しいシートの第1週のはじまり頃
これらのタイミングで卵胞は大きく成長していくため、休薬期間前後で飲み忘れをすると排卵される可能性が高まります。
つまり身体が妊娠しやすい状態となっているので、「ピルを飲んでるから安心」ではなく、パートナーにコンドームを付けてもらい不用意な性行為は避けるようにしましょう。
またピルには休薬期間のある21錠タイプと、休薬期間中も偽薬の服用を続ける28錠タイプがあります。
休薬期間が7日間あると飲み忘れの不安がある人は、28錠タイプを選ぶようにしてみてください。
ピルの効果が得られないパターン
ピルを服用しても効果が得られないのは、成分が体に吸収されない場合です。
服用後3時間以内に以下の状態であれば、ピルの効果が得られない場合があります。
- 嘔吐
- 脱水症状を伴う下痢
避妊効果を得たい場合は、再度ピルの服用を行ってください。
低用量ピルの働きについて

低用量ピルは2種類の女性ホルモン(卵胞・黄体)が配合されている経口避妊薬になります。
避妊効果を持たせながらホルモン量を減らしているため"低用量"と呼ばれ、反対に中用量のものをアフターピル(緊急避妊薬)としています。
低用量ピルの主な効果は以下の3つです。
「3つ」の低用量ピルの主な効果 |
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|
避妊効果はもちろん、ホルモンバランスの乱れによる女性特有のトラブル改善にも役立てられます。
ちなみに避妊効果が得られるのは、服用したタイミングで異なってきます。
生理初日からの服用
⇨ その日から
その他のタイミング
⇨ 最低でも7日間の服用を続けてから
また飲み続けている間は避妊効果が得られるので、妊娠を望んだタイミングで服用を中止すれば服用前と変わらず妊娠することが可能です。
用途によっては避妊効果が得られない?
低用量ピルについては避妊目的だけでなく、生理移動を目的に使用することもあります。
旅行、受験、結婚式、スポーツ、etc…、こうした生理が重なると困るようなシチュエーションも低用量ピルを用いればコントロールできます。
生理開始の5日前までに服用をスタートし、希望する月経日の2〜3日前まで服用を継続
生理が訪れる予想日の5日前から服用をスタートし、月経を避けたい日まで服用を継続
このように特定の期間を狙って低用量ピルを服用するので、避妊効果は期待できません。
そのため生理日の移動のために服用するのであれば、別の避妊具を用いて妊娠しないよう心がけてください。
ピルは避妊具との併用が〇

避妊にはお互いの理解が必要です。正しい知識を持つことは望まぬ妊娠を避けることに繋がります。
ここまでご紹介してきた低用量ピル以外にも、飲まない避妊具としてIUD/IUSなどのいわゆる"避妊リング"と呼ばれるものもあります。
子宮内に装着することで低用量ピルと同様の避妊効果が期待でき、飲み忘れの心配もありません。
一方で男性ができるもっともポピュラーな避妊方法として、コンドームの使用があげられます。
正しく使えば約85%の避妊効果が期待でき、なにより性感染症予防としても装着はマナーと言えるでしょう。

後になってから後悔しないためにも、男女ともに避妊具を使用し不用意な性行為は控えるようにしましょう。
間違った避妊法は行わない
避妊の選択肢がわかったところで、これを機に誤った避妊法についても知っておきましょう。
以下で紹介する方法はいずれも避妊効果が不確実なもので、決して推奨できるものではありません。
・膣外射精
膣外射精は、射精前から出る分泌物に精子が含まれているため、妊娠する可能性があります。
・オギノ式
ちなみにオギノ式とは「安全日」を把握する方法と思っている人もいますが、これは不妊治療で排卵日を予測するものです。
・炭酸で洗う
炭酸の含まれる飲料で膣内を洗浄する方法も、効果はありません。確かに精子は酸に弱いですが、人が飲める程度の酸性では死滅することはありません。
もし誤って実践してしまっていれば、妊娠を避けられない可能性もあるので今日からでも中止してください。
これを読んでドキッとした人は今からでも遅くないので、避妊具を使用しない性行為に安全な日はないと覚えておきましょう。
間違った避妊法についてのより詳しい内容は下記のページで解説していますので、併せて参考にしてみてください。
不安な方はアフターピルで緊急避妊

避妊に失敗した、または避妊せずに性行為をしてしまった場合、妊娠という不安がよぎるでしょう。
不安を抱えたままでは次の生理日を迎えるまでは気が気ではなく、精神的な負担も大きいです。
そんな時のためにも、アフターピルの存在は覚えておきましょう。
性行為後に72時間以内であれば避妊効果を期待することができ、服用タイミングは早ければ早いほど避妊効果は高まります。
なのでタイムリミットいっぱいで服用するのではなく、できるだけ早く性行為後24時間以内に医師に処方してもらい服用するのが望ましいです。
ただしあくまでも緊急の際に服用するもので、毎回の性行為後に服用するものではないので「アフターピルがあるから大丈夫」とは誤解しないようにしてください。
アフターピルの注意点
アフターピルのタイムリミットについて少し触れましたが、時間経過による避妊率は次を参考にしてみてください。
24時間 ⇨ 99% |
48時間 ⇨ 98% |
72時間 ⇨ 97% |
100%妊娠を阻止できるわけではありませんが、24時間以内であれば限りなく100%に近い確率で避妊できます。
またその他の注意点として、低用量ピルよりも女性ホルモンの配合量が多いため副作用が出やすいです。
服用から2時間以内に嘔吐や下痢を起こしてしまうと、避妊効果を失うおそれもあります。
対処方法がケースバイケースなこともあるので、必ず処方した医師の指導を守るようにしてください。
アフターピルのオンライン処方

フィットクリニックでは、オンライン診療によってアフターピルの処方も行っています。
来院しなくてもスマホなどで問診を行い、服用に問題がなければすぐに処方が可能です。
通常配送
⇨ 地域によって翌日の到着(自宅または局留め可)
緊急時
⇨ 最短60分でお届けできるバイク便でのお届け
服用後の副作用に備えて2錠処方もでき、もし使わなくともお守りとして持っておけば万が一の時にも安心です。
「通院が難しい」「抵抗がある」といった人は、望まない妊娠を選ばないためにも当院のオンライン診療をご利用ください。
よくある質問
まとめ
低用量ピルやその他の避妊法についても簡単に解説してきましたが、最後に覚えておきたいことをまとめます。
- 100%避妊できる方法はない
- 低用量ピルは使用によっては避妊効果は得られない
- 妊娠を望まない場合はお互いが避妊具を用いるのが理想的
- 誤った避妊方法は避ける
- 「妊娠したかも」の場合は急いでアフターピルを使用する
性行為は愛情表現の1つとして大切な行為ですが、妊娠のリスクが付いて回ります。
だからこそ避妊に対する意識を高くもち、心身の負担になるような選択は避けなければなりません。
妊娠を望むその日まで、お互いで正しい避妊を実践してみてください。