
ニキビが痛むのは、炎症によって神経が刺激されるためです。
毛穴に詰まった皮脂や汚れがアクネ菌の増殖を引き起こし、赤みや腫れ、さらに痛みを伴うことがあります。
放置すると症状が悪化しニキビが「しこり」や跡になる可能性もあるため、医療機関の受診が安心です。
本記事では、痛みの原因や炎症を抑える薬、悪化を防ぐセルフケア方法も解説しますのでご参考ください。
ニキビが痛い原因と「痛むニキビ」の特徴
ニキビが痛む主な原因は、毛穴で起こる炎症です。
皮脂腺から過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、詰まった毛穴内でアクネ菌(ニキビの原因菌)が繁殖します。それによって炎症が起こり、赤く腫れて痛みを伴う状態になります。
ニキビは大きく「非炎症性」と「炎症性」の2つに分けられますが、痛みを伴うニキビは「炎症性」です。種類は以下の3つで、色や形状で見分けることができます。
- 赤ニキビ
アクネ菌の繁殖が進行して炎症が起き、赤みや腫れが生じる段階です。直径5mm以下でも押すと軽い痛みを感じるようになります。 - 黄ニキビ
赤ニキビが悪化して化膿し、毛穴内部で膿が溜まった状態です。痛みが強まり、黄色い膿が見えるのが特徴です。 - 紫ニキビ
ニキビの炎症が真皮にまで達している段階で、化膿した部分に血液が混ざった状態です。触れると激しい痛みを伴います。
ニキビの進行によって炎症が肌の深い層まで広がると、赤みや腫れに加えて痛みが強くなります。特に、口周りや顎、小鼻など日常的に触れやすく動きの多い部位にできると、刺激によって痛みを感じやすくなってしまいます。
最終的に、膿や血液が皮膚の下に溜まり、患部が大きく腫れて硬くなる「しこりニキビ」となる恐れもあるため、炎症性のニキビまで進行した場合は早めの治療が必要です。
痛いニキビができた時・できそうな時の対策とセルフケア
痛みのあるニキビは、放置するとさらに悪化してしまいます。
ニキビができそうな段階から以下の対策を始め、症状の進行を防ぎましょう。
次の章で、具体的な方法を詳しく見ていきましょう。
ニキビの痛い部分を冷やす
炎症が強いニキビは、適度に冷やすことで腫れや痛みをやわらげる効果が期待できます。ただし、冷やし過ぎは逆に肌への刺激となることがあり、凍傷のリスクもあるためやり方には注意が必要です。
具体的な方法としては、以下をご参考ください。
- 清潔なタオルやガーゼで氷や保冷剤を包む
- 痛い部分に軽く当て、2〜3分ほど様子を見る
- 肌が冷え切る前に一度外して、しばらく肌の状態を確認する
- 必要に応じて、短い時間でこまめに繰り返す
冷やした後は肌表面が乾燥する場合があるため、保湿ケアをあわせて行いましょう。
丁寧にスキンケアをする、保湿をする
痛いニキビをケアする際、普段のスキンケアが刺激になりすぎていないかも見直しましょう。肌に優しい洗い方や十分な保湿を心がけるだけでもニキビの悪化を防ぎ、痛みを和らげることができます。
- 洗顔料をよく泡立てる
- 指の腹で撫でるように、やさしく泡を転がすイメージで洗う
- ぬるま湯でしっかりすすぎ、洗顔料を肌に残さない
- ゴシゴシこすらない、フェイシャルタオルで押さえるように水分を拭き取る
痛みを感じるニキビがある場合でも、洗顔後は保湿を疎かにせずしっかりと行いましょう。
乾燥から肌を守るセラミドやヒアルロン酸など、保湿成分が豊富に配合されたスキンケア用品や敏感肌向けの肌に優しい商品を選ぶと安心です。
生活習慣を改める
痛むニキビを早く改善するためには、食事や運動、睡眠などの生活習慣を整えることが大切です。規則正しい生活習慣は、ホルモンバランスや免疫力を維持し、痛みの原因となる炎症を抑制します。
- バランスの取れた食事
- 野菜や果物、タンパク質(肉・魚・大豆製品など)をバランス良く摂る
- ビタミンやミネラルを意識する(特にビタミンB群、ビタミンC、亜鉛など)
- 揚げ物やスナック菓子、甘い飲み物の摂取を控える
- 適度な運動
- ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなど、無理のない運動を習慣化する
- 運動後の汗はこまめに拭き取り、シャワーを浴びることで肌を清潔に保つ
- 良質な睡眠
- 1日7〜8時間を目安に、まとまった睡眠時間を確保する
- 就寝前のスマホやパソコンの使用を控え、寝付きやすい環境を整える
- ストレスケア
- アロマや音楽などリラックスできる方法を取り入れる
- 適度に休憩を取り、疲労を溜め込まない
健康的な生活リズムを心がけることで、ホルモンバランスが整いニキビの悪化を防ぎます。
医療機関を受診する
痛みを伴うニキビは既に悪化している状態なので、セルフケアや市販薬だけで対応しようとすると、かえって炎症が悪化したり、ニキビ跡が残ったりする可能性があります。
特に、痛みがひどい場合やニキビがしこり化していると感じたら、医療機関で医師に相談しましょう。
症状に応じて内服薬や外用薬が処方されます。適切な治療を行うことでニキビの悪化やニキビ跡を未然に防ぐことが可能です。
ニキビが痛い場合には、以下のような薬・サプリメントが処方されます。
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 |
---|---|---|
イソトレチノイン(内服薬) | ビタミンA誘導体 | 強力な抗炎症作用 皮脂分泌を抑制しニキビの発生を予防 |
シナール(内服薬) | アスコルビン酸(ビタミンC)・パントテン酸カルシウム(ビタミンB5) | 肌のターンオーバーを整え活性酸素を抑制、ニキビ跡の色素沈着の予防・改善をサポート |
ハイチオール(内服薬) | L-システイン | 酸化ストレスを防ぎ、色素沈着の予防をサポート |
ユベラ(内服薬) | トコフェロール酢酸エステル | 肌のターンオーバーにより色素の排出を促すことでニキビ痕を予防 |
Lypo-C Vitamin C Lypo-C Vitamin C+D (サプリメント) |
ビタミンC ビタミンC/D |
肌のターンオーバー促進に加え、抗炎症作用によりニキビの悪化を予防 |
エピデュオゲル(外用薬) | アダパレン/過酸化ベンゾイル | コメド発生を抑制・抗菌作用・角質剥離作用 抗菌作用 |
ゼビアックスクリーム・ローション(外用薬) | オゼノキサシン | 炎症性ニキビ全般に有効 |
中でもイソトレチノインは炎症性ニキビに対して大きな効果が期待でき、欧米ではニキビ治療の「切り札」として認識されています。
フィットクリニックでもイソトレチノインを取り扱っておりますので、詳細は次の章をご覧ください。
痛みが悪化ししこりになった場合の対処法
既にしこりニキビまで症状が進行している場合、セルフケアだけでの改善は難しくなります。
放置したままにするとニキビ跡が肌に残ってしまう可能性も高くなるので、医療機関で肌の状態を確認してもらい、医師のアドバイスに従った適切な治療を行いましょう。
治療法の一例として、ビタミンA誘導体を有効成分とした内服薬のイソトレチノインがあげられます。
重症化したしこりニキビにも効果が期待でき、皮脂の分泌を抑えることで炎症を和らげ、長引くニキビを改善するお薬です。
ただし、高い効果に対して副作用のリスクがあるため、必ず医師の指示を仰ぎ、定期的に経過を観察しながら安全に使用する必要があります。
なお、フィットクリニックでもイソトレチノインのオンライン処方が可能です。詳細は以下のリンクをご覧ください。
まとめ:痛いニキビが長引くようなら医療機関へご相談を
痛いニキビは、初期症状から炎症にまで進行していることが原因です。
セルフケアでは十分な処置が難しいこともあり、肌の深い層に炎症ダメージが及んでしまうと将来的に跡が残ってしまうこともあります。
- 痛いニキビ=炎症性ニキビ
- ニキビの悪化が原因で痛みが生じる
- 痛みが悪化していくとしこり化したりニキビ跡が残る
- 炎症が進めば進むほど、セルフケアでは対処しきれない
- 早めの医療機関受診で重症化を防ぐ
ニキビが痛み、なかなか治らない場合は早めに医療機関に相談すると安心です。
正しい治療やケア方法を知っておけば、症状の進行を抑えるだけでなく、再発予防にも大いに役立ちます。
痛いニキビに悩んでいる方は、医療機関の力を借りて健やかな肌を取り戻しましょう。
痛いニキビに関するよくある質問
-
- Q
ニキビができそうで触ると痛いです。予防方法はありますか?
- A
まだ炎症が起こっていなくても、皮脂や角質が毛穴に詰まり始めると押すと痛みを感じることがあります。予防のためには以下のケアや対処をしましょう。
- 正しい洗顔と保湿
- 生活習慣の見直し
- 医療機関へ相談
- Q
-
- Q
指にニキビみたいなものができて痛いのですが、なぜですか?
- A
指先にできる痛みを伴う吹き出物は、以下のような原因が考えられます。
- ひょうそ(化膿性爪囲炎)
- 毛包炎
- 粉瘤
指にニキビみたいなものができて痛いという場合、皮膚科の受診をご検討ください。 皮膚科に行くべきニキビの詳細
- Q
-
- Q
痛いニキビとそうでないニキビの違いはありますか?
- A
痛みの有無は、ニキビの炎症の度合いに大きく左右されます。
痛いニキビ(炎症性ニキビ):赤みや腫れが強く、触ると痛みを感じる。
痛くないニキビ(非炎症性ニキビ):毛穴に皮脂や角質が詰まり始めた初期段階で、痛みはまだ感じにくい。
ニキビが悪化(炎症)することで、ニキビに痛みが生じやすくなります。
- Q
イソトレチノインについて | |
---|---|
未承認医薬品等であることの明示 | イソトレチノインは日本国内では未承認医薬品となります。 |
入手経路等の明示 | 厚生局の正式なプロセスを経て、当院医師の判断により輸入しています。 |
国内の承認医薬品等の有無の明示 | 同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。 |
諸外国における安全性等に係る情報の明示 |
|
医薬品副作用被害救済制度について |
---|
万が一重篤な副作用が出た場合は、日本国における医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。 |