耳ニキビは顔や体にできるニキビと同じように、毛穴の詰まりや汚れが原因で発生します。
耳は普段手が届きにくく、日常的なケアを怠りがちなため、気づかないうちにニキビができやすい部位です。
本記事では、耳ニキビの主な原因やその予防法、さらにはできてしまった耳ニキビの治し方について詳しく解説します。
外用薬や内服薬を使用した治療法から、日常生活で簡単に取り入れられるケア方法まで幅広く紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
耳ニキビの原因
耳は複雑な形状をしているため、見えないところにも汗や皮脂が溜まりやすく、他の部位と比べてもニキビができやすいです。
- 耳たぶ
- 耳の中
- 耳の裏
- 耳の横
- 耳の下
- 耳の前
日常生活の中で何気なく行っている行動が、耳ニキビの発生につながることも少なくありません。
耳ニキビが発生する主な原因には、以下のようなことが考えられます。
◾️耳ニキビの主な原因
次の章で、これらの原因について詳しく解説します。
生活習慣の乱れ
日常生活の中での不規則な食事や睡眠不足、ストレスは、耳ニキビの原因となることがあります。
これらの原因は肌のターンオーバーを乱し、皮脂の分泌を過剰にさせることで、ニキビが発生しやすい環境を作ります。
耳ニキビを引き起こす生活習慣の乱れ | |
---|---|
暴飲暴食や偏食 | 不規則な食事や栄養バランスの乱れが、皮脂分泌を増やし、耳ニキビを誘発 |
睡眠不足 | 睡眠が不足すると肌のターンオーバーが乱れ、ニキビができやすい状態に |
ストレス | ホルモンバランスを崩し、皮脂の分泌を増加させ耳ニキビを誘発 |
このように、生活習慣の乱れが続いてしまうと、耳ニキビができやすく、場合によっては再発を繰り返すこともあるので注意が必要です。
イヤホンやマスク、装飾品による刺激
イヤホンやマスク、ピアスなどのアクセサリーが長時間皮膚に接触すると、摩擦や圧迫が発生し、これが耳ニキビの原因となることがあります。
これらの装飾品は皮脂や汗、外部の汚れが付着しやすく、清潔に保たれていないと毛穴が詰まりやすくなります。
その結果、毛穴の中でアクネ菌や雑菌が繁殖し、耳ニキビができやすい状態に陥ってしまうのです。
加えて、マスクを長時間着用すると、紐部分の摩擦による刺激や、耳周辺の蒸れが原因で皮脂の分泌が増え、ニキビの発生を助長します。
摩擦による刺激は肌のバリア機能を弱めてしまい、皮膚に炎症が起こりやすくなるため、耳周辺にニキビができやすいです。
耳掃除のしすぎ
頻繁に耳掃除を行ったり、強く耳かきをし過ぎたりすると、皮膚に刺激が加わり、小さな傷ができやすくなります。
この傷ついた部分から雑菌が入り込むことで炎症が発生し、耳ニキビを引き起こす原因となります。
耳の内部はデリケートであり、外部からの刺激によって肌のバリア機能が弱まりやすいため、雑菌が繁殖しやすい環境によりニキビができるリスクが高まるのです。
汗や汚れの洗い残し
耳はその複雑な形状から、汚れや皮脂、汗が溜まりやすい部位です。
特に運動後や暑い季節には、汗が増え、耳周辺に汚れがたまりやすくなります。
お風呂でしっかりと耳周辺を洗い流さないと、汚れや皮脂が残り、それが毛穴を詰まらせて耳ニキビの原因となることがあります。
また、耳の周りは目が届きにくく、洗浄が不十分になりがちです。
この洗い残しが蓄積すると、アクネ菌や雑菌が繁殖しやすい環境が整い、炎症やニキビを引き起こすリスクが高まります。
特に耳の後ろや内側など、洗い忘れやすい部分は、意識して洗浄することが重要です。
耳ニキビに似たできもの・しこり
耳ニキビと思っていたできもの・しこりが、実は他の疾患である場合もあります。
耳ニキビと間違えやすい代表的な症状は以下の通りです。
【耳ニキビと間違えやすい症状】
◾️粉瘤(ふんりゅう)
皮脂や垢が溜まってできる腫瘍。
しこりが次第に大きくなる場合、
ニキビではなく粉瘤の可能性があります。
◾️ホクロ
メラニン色素が集まったもの。
盛り上がっているホクロは
ニキビと見分けがつきにくい
場合があります。
◾️尋常性疣贅(いぼ)
HPVウイルスが原因でできる一般的ないぼ。
自然治癒は難しいですが、
良性なら取り除く必要はありません。
これらは自然に治ることはありませんが、ホクロやいぼが外見的に気になるようであれば取り除くことを検討してみてもよいでしょう。
一方、粉瘤に関しては適切な治療が必要です。
ニキビがなかなか治らない、またはできもの・しこりのサイズが大きくなっているようであれば、早めに医療機関で診断を受けることが大切です。
耳ニキビの治し方
耳ニキビの治療には、さまざまな方法があります。
症状の程度に応じて、以下の治療方法が適用されます。
◾️耳ニキビの主な治療方法
次の章で、これらの治療方法について詳しく解説します。
外用薬(塗り薬)
耳ニキビの治療に用いる外用薬(塗り薬)は、ニキビの程度(軽症〜最重症)や状態(炎症や化膿)に合わせて使い分けられます。
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
ベピオゲル | 過酸化ベンゾイル | 抗菌作用により赤ニキビを減らす。また皮膚の角質を剥がれやすくすることで毛穴詰まりを改善。 | 表皮のはがれ、肌の赤み、刺激感、乾燥など |
ディフェリンゲル | アダパレン | ニキビのはじまりである面ぽう(コメド)の形成を抑制。白・黒・赤ニキビの数を減らす。 | 皮膚の乾燥や不快感、皮膚剥脱、肌の赤み、かゆみなど |
クリンダマイシンゲル | クリンダマイシン | 殺菌作用があり、化膿した炎症性ニキビを減らす。 | 肌のつっぱり感、かゆみ、発赤、刺激感、ヒリヒリ感など |
アクアチムクリーム | ナジフロキサシン | 殺菌作用があり、化膿した炎症性ニキビを減らす。 | かゆみ、刺激感、発赤、ほてり感など |
ゼビアックスローション | オゼノキサシン | 抗菌作用により化膿したニキビの数を減らす。 | 乾燥、刺激感、かゆみなど |
デュアックゲル | クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル | 抗炎症作用と抗菌作用の成分を含んだ配合剤。 | 抗炎症作用と抗菌作用の成分を含んだ配合剤。 乾燥、皮膚炎(接触皮膚炎、湿疹を含む) |
エピデュオゲル | アダパレン/過酸化ベンゾイル | コメドの発生を防ぎ、アクネ菌の増殖を防ぐ成分を含んだ配合剤。 | 皮膚刺激、皮膚疼痛(うずく痛み)、アレルギー性皮膚炎など |
※スクロールしてご覧ください
内服薬(飲み薬)・サプリメント・漢方薬
耳ニキビは外用薬だけでなく、内服薬(飲み薬)や、治療のサポートとしてサプリメントや漢方薬が選ばれることもあります。
名称 | 有効成分 | 効果・特徴 | 副作用 |
---|---|---|---|
イソトレチノイン | ビタミンA誘導体 | 皮脂分泌を抑えてニキビの発生や炎症を防ぐ | 全身の皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、吐き気、嘔吐など |
ビブラマイシン | ドキシサイクリン | 抗菌作用でアクネ菌を増殖を抑える | 吐き気・嘔吐、食欲不振、発疹、発熱、腹痛、下痢など |
ミノマイシン | ミノサイクリン | アクネ菌の数を減らし、炎症を抑える | めまい感、吐き気、食欲不振、腹痛、嘔吐など |
シナール | アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5) | 肌のターンオーバーを整えて活性酸素を抑制する、ニキビ跡の色素沈着の予防・改善をサポート | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
ハイチオール | L-システイン | 酸化ストレスを防ぎ、色素沈着の予防をサポート | 吐き気、下痢など |
ユベラ | トコフェロール酢酸エステル | 肌のターンオーバーにより色素の排出を促すことでニキビ痕が薄くなる効果が期待できる | 便秘、胃の不快感、下痢、発疹 |
Lypo-C Vitamin C+D Lypo-C Vitamin C |
アスコルビン酸(ビタミンC)、パントレン酸(ビタミンB5)、ビタミンD | 肌のターンオーバーを促し、ニキビによる色素沈着を防ぐ働きを持つ。 | 胃の不快感、吐き気・嘔吐、下痢など |
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) | ケイガイ・レンギョウ・トウキ・シャクヤク・センキュウなど | 面ぽう(コメド)に他の治療が無効、または他の治療できない場合の治療として推奨 | 発疹・発赤、かゆみ、食欲不振、胃部不快感など |
※スクロールしてご覧ください
抗生物質は、赤みニキビや化膿したニキビがたくさんある場合に使用し、場合によっては外用薬との併用も推奨されます。
ただし、耐性菌(抗菌薬が効かない菌)の問題から、長期使用は望ましくありません。
ニキビ改善の程度に応じて、医師の指示に従って適切な服用期間を守ることが大切です。
施術治療
耳ニキビの治療では、外用薬や内服薬に加えて、施術治療が行われることもあります。
施術治療は耳の中や特殊な部位では難しい場合があるため、医療機関で確認することが望ましいです。
名称 | 効果・特徴 |
---|---|
レーザー治療 | 炎症を抑え、皮膚の再生を促進。アクネ菌の除去や皮脂腺の縮小により、ニキビを減少させる。毛穴の引き締めや皮膚の凹凸改善にも効果が期待される。 |
ケミカルピーリング | トリクロロ酢酸や高濃度グリコール酸などを用いて、皮膚表面の古い角質を取り除き、毛穴詰まりを改善してニキビの発生を防ぐ。ニキビ跡や色素沈着にも有効。 |
イオン導入 | ビタミンCやアミノ酸など美白や抗炎症成分を肌の奥に浸透させ、ニキビ跡や炎症を抑える。肌回復をサポートし、敏感肌にも適した治療法。 |
ダーマペン | 極細の針で肌表面に無数の細かい穴をあけ、美容成分を浸透させることで自然治癒力を促す。ニキビによる色素沈着やクレーター、ケロイドに効果的。 |
こうした施術治療は自由診療となるため、一般的な皮膚科では実施されていないことも多いです。
基本的には、美容クリニックでの施術となります。
耳ニキビのケア方法
耳ニキビは、日常生活の中での工夫や適切なケアを行うことで予防や改善が期待できます。効果的なセルフケアを実践するためには、以下のポイントが重要です。
◾️耳ニキビ改善のためのセルフケア
次の章では、これらの具体的なケア方法について詳しく解説していきます。
日々の少しの工夫により耳ニキビができづらい環境が整うので、ぜひ参考にしてみてください。
生活習慣・スキンケアを見直す
耳ニキビを予防するためには、まず生活習慣を整えることが重要です。
規則正しい食事や十分な睡眠、そしてストレス管理を心がけることで、肌の健康を保ち、ニキビの発生を抑えることができます。
また、スキンケアでは、耳周辺のデリケートな皮膚に優しい、低刺激の製品を選ぶことが効果的です。
- 無香料、無着色
- アルコールフリー
- 防腐剤不使用
- 低pH値(弱酸性)
- 保湿成分が豊富
ニキビが気になるとスキンケアをやりすぎてしまいがちですが、これは逆効果となる場合があります。
刺激の強い製品は避け、肌に優しいケアを心がけることが大切です。
イヤホンや寝具、装飾品の清潔を保つ
耳ニキビを予防するためには、イヤホンや装飾品、寝具を清潔に保つことが大切です。
以下のポイントを意識しましょう。
◾️イヤホン
皮脂や汗が付着しやすいため、除菌シートでこまめに拭き、清潔を保つ。
◾️ピアス・イヤリング
耳たぶに直接触れるため、定期的にアルコールや専用クリーナーで掃除し、雑菌の繁殖を防ぐ。
◾️枕カバーやシーツ
汗や皮脂が蓄積しやすい寝具は、少なくとも週に一度は洗浄して清潔に保つ。
耳がよく触れるものは、清潔に保つことが耳ニキビの予防につながります。
耳や耳周辺を刺激しない
耳ニキビを予防するためには、耳やその周辺に過度な刺激を与えないことが重要です。
過度な耳掃除は皮膚に傷をつける可能性があるため、耳かきの使用を控え、代わりにソフトな綿棒を使って優しくケアすることが推奨されます。
また、マスクの着用時には、耳への圧迫を避けるため、ゆるめのものを選ぶのが効果的です。
耳や耳周辺に圧力や摩擦をかけることは、ニキビの発生を助長する原因になることがあります。
耳を頻繁に触ると、手に付着している雑菌が耳に移り、炎症やニキビを引き起こすリスクが高まります。
悪化させないためにも、手は清潔を保ち、むやみに耳やその周辺には触らないように注意しましょう。
お風呂できちんと洗う
耳ニキビを予防するためには、入浴時に耳や耳周辺を丁寧に洗い、汗や汚れをしっかりと落とすことが大切です。
耳は複雑な形状をしているため、汚れが溜まりやすい部位です。
特に運動後や暑い季節には汗が増え、耳周辺が汚れやすくなります。
入浴時には、耳の後ろや耳の内側を意識して優しく洗浄し、汚れを残さないようにしましょう。
また、入浴後に水分を拭き取らないと、湿気により耳に雑菌が繁殖しやすくなります。
きれいなタオルで水分を拭き取って、ニキビができにくい環境を整えるよう心がけてください。
耳ニキビが潰れた場合の対処法
何かの拍子に耳ニキビが潰れてしまった場合は、できるだけ触らずにしておけば、自然に治ることが多いです。
潰れてしまった際には、以下の対処法を心がけましょう。
- 漏れた浸出液を優しく洗い流し清潔を保つ
- 抗菌成分が含まれるスキンケア用品や消毒液で消毒する
- 乾燥しすぎないように保湿する
- できるだけ触らずに放置する
気になって頻繁に触ってしまうと、手に付着している雑菌が患部に入り込み、さらにニキビが悪化するリスクがあります。
まとめ:耳は汚れやすくニキビもできやすい。常に清潔な状態にしよう
この記事では、耳ニキビの原因や対処法について詳しく解説してきました。
最後に、耳ニキビについて要点を振り返ります。
- 耳ニキビは皮脂や汚れだけでなく、外部刺激によっても発生する
- イボやほくろ、粉瘤といった別の症状の可能性もある
- ニキビは外用薬や内服薬を使い分けたり、併用することもある
- 状況によっては漢方薬やサプリメントを用いることもある
- 施術治療は美容クリニックでの相談となることが多い
- 耳ニキビが潰れたら触らないのが基本
常に耳や耳周辺を清潔に保ち、適切なケアを行うことで、耳ニキビの発生リスクを減らすことができます。
気になる症状がある場合や症状が悪化している場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
耳ニキビのよくある質問
-
- Q
耳ニキビは潰していいですか?
- A
耳ニキビは基本的に潰さない方が良いです。
潰すことで雑菌が入り込み、炎症が悪化するリスクが高まります。
自然に治るのを待つか、症状がひどい場合は医療機関での治療を検討しましょう。
- Q
-
- Q
耳ニキビが潰れたらどうしたらいいですか?
- A
耳ニキビが潰れてしまった場合は、患部を清潔に保ち、抗菌成分の含まれた消毒液で消毒し、できるだけ触らないようにしましょう。 症状が悪化する場合は、早めに医師に相談することが重要です。
- Q
-
- Q
耳の中にニキビがあるようですがどうしたらいいですか?
- A
耳の中のニキビは自分では確認しにくいため、症状が気になる場合は医療機関で診察を受けると安心です。
耳の中にできたものは、ニキビではなく粉瘤や疣贅(いぼ)など、別の症状の可能性もあります。
自己処置を避け、専門医に相談することで、正確な診断と適切な治療を受けることができます。
- Q
-
- Q
耳ニキビは耳鼻科で診てもらうのですか?
- A
耳の中にできたニキビや症状がひどい場合は、まずは皮膚科で診てもらうことが適切です。皮膚の専門医である皮膚科が一般的な対応を行いますが、症状によっては耳鼻科での診察が必要になることもあります。
どちらの診療科にかかるべきか迷う場合は、皮膚科で相談すると良いでしょう。
- Q
症状に応じて、「ディフェリンゲル+内服抗菌薬」や、軽症〜最重症に対して「エピデュオゲル+内服抗菌薬」などセットで用いることがあります。