日々髪が伸び成長するのは、毎日の食事から摂れる栄養がエネルギーとなっているからです。
またいくつかの特定の栄養素が髪の成長に機能することもわかっているため、育毛や薄毛予防の基本は食事にあると言えます。
このページではどんな栄養が髪の成長に必要なのか、さらにやってはいけない食習慣についても詳しく解説していきます。
もし「髪が細くて困っている…」という方は、食生活を改善しつつAGA治療を取り入れるのが最も効果を実感しやすいです。
AGA治療について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【栄養別】育毛に良い食べ物
髪の成長(育毛)は栄養をエネルギーとしており、今この時も細胞が活発に働き成長を続けています。
そのため、エネルギーの消費が激しく、栄養が不足してくれば髪もその影響を受けます。
しかし、髪は無くても生命に関わらないため、栄養配分の優先順位が低く身体の中で一番後に栄養が回ってくる器官と言われています。
そのため育毛に必要な栄養を髪にまで行き届かせるためには、十分な栄養補給が欠かせません。
これを踏まえ、ここからは育毛に良いとされる栄養素が含まれる食べ物をご紹介していきます。
たんぱく質 | 亜鉛 |
ヨウ素 | ビタミンE |
ビタミンB群 | EPA |
カプサイシン | ポリフェノール |
たんぱく質
たんぱく質は多くのアミノ酸が結合してできたもので、髪の毛の元になる物質です。
髪の元になるアミノ酸の中には「必須アミノ酸」と呼ばれる体内で合成出来ないものがあり、食べ物から摂取する必要があります。
たんぱく質には「動物性」と「植物性」の2種類があります。
食材
動物性たんぱく質:牛肉、鶏肉、卵 など
植物性たんぱく質:大豆製品(納豆、豆腐)、えんどう豆 など
機能
髪の材料(髪の80%以上はたんぱく質(ケラチン)で作られている)
注意点
動物性たんぱく質には髪の材料となるアミノ酸が豊富に含まれますが、脂質が多い食材もあるので注意が必要
現代人の食生活でたんぱく質が不足することはほぼありませんが、1日の食事量が少ない人は意識的に摂りましょう。
亜鉛
毎日の食事だけでは補いづらいのが、ミネラルの1つである亜鉛です。
髪のように細胞の生まれ変わりが活発なところに特に必要な栄養になり、育毛には欠かせない栄養素です。
食材
牡蠣、鶏レバー、牛赤身肉、種実(アーモンドやナッツ) など
機能
髪の主成分となるケラチン(たんぱく質)の生成を助ける
注意点
過剰摂取により、さまざまな症状を起こす恐れがある
サプリメントの不適切な使用や高濃度の亜鉛を摂取すると、銅欠乏、吐き気・嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。
また良性の前立腺肥大のリスクを増加させる可能性もあります。
食べ物から摂取した亜鉛は、吸収率が30%と多くを吸収することができません。
吸収率を良くする方法として、ビタミンCやクエン酸を含んだ食品と併せるのがオススメです。
また、お酒の飲み過ぎは亜鉛を消費してしまうので、育毛を考えるならほどほどにしましょう。
ヨウ素
ヨウ素は、身体に必要不可欠なミネラルの一種です。
"ヨード"とも呼ばれ、殺菌作用があることから消毒液などにも使用される成分となっています。
たんぱく質の生成を促す甲状腺ホルモンの元となる成分です。甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を促す働きがあります。
食材
海藻類(昆布・わかめ・海苔など)
機能
新陳代謝を促進することで毛母細胞の分裂を促し、髪の成長をサポートする
注意点
ヨウ素は、とり過ぎても、不足しても、甲状腺機能低下症を起こします。
甲状腺機能低下症によって脱毛が生じることもあるので、1日の摂取量(18歳以上は130μg)には注意したいところです。
日本人は気付かぬうちに必要量を超えてヨウ素を摂取していると言われ、これは世界的にも稀なケースとなっています。
そのため普段からヨウ素を意識する必要はなく、育毛に必要な栄養であることだけ覚えておいてください。
ビタミンE
ビタミンEとして働く成分は8種類(トコフェロール4種 / トコトリエノール4種)あり、その中でも作用が強く、体内に存在する量も多いのが「α-トコフェロール」になります。
そのため厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」もα-トコフェロールをビタミンEとしています。
食材
植物油、ナッツ類、ツナ缶、魚介類(サケやウナギ)、緑黄色野菜 など
機能
頭皮の皮脂分泌を調整し、頭皮の炎症や抜け毛を防ぐ
血流を促し、発毛を促進させる
抗酸化作用によってアンチエイジング(老化防止)も期待できる
注意点
特になし
ビタミンEは脂溶性ビタミンになることから、油と一緒に摂ると吸収が良くなります。
またビタミンA・C・E(エース)をセットで摂ると、抗酸化作用を強めることができます。
ビタミンB群(B2・B6・ビオチン)
ビタミンB群には8種類ありますが、その中でも髪の材料となるたんぱく質の代謝をスムーズにするのがB2・B6・ビオチン(B7)になります。
食材
B2:レバー、卵、チーズ など
B6:肉や魚介といった動物性食品
ビオチン(B7):種実類(ピーナッツやアーモンド)や大豆製品 など
機能
髪細胞の再生や新生、ホルモンの働きを調整、髪の健康維持をサポートする
注意点
特になし
ビタミンB群は、体内に蓄積させられないビタミンになります。
そのため毎日摂取する必要があり、またビタミンB群は互いに助け合うことで機能するのでバランス良く摂るのが望ましいです。
EPA(エイコサペンタエン酸)
EPA(エイコサペンタエン酸)は、体内でほとんど作ることができない必須脂肪酸になります。
食材
青魚など脂の多い魚(まいわし、あじ、さば、さんま など)
機能
血中の中性脂肪を減し動脈硬化の予防や血栓をできにくくするため、血液をサラサラに保ち、頭皮の血行を良くする働きがある
注意点
血液をサラサラにすることから出血が止まりにくくなるおそれや、降圧剤と併用すると過度に血圧を低下させる可能性があるので過剰摂取には注意
EPAは酸化しやすいことから、ビタミンA・C・E(エース)が豊富に含まれる食材と合わせて摂るようにしましょう。
カプサイシン
カプサイシンは生命活動には必須の栄養素ではないものの、健康維持に役立つ機能性成分になります。
食材
唐辛子
機能
末梢血管の血流が改善され、頭皮の細い血管にも栄養や酸素が行き渡りやすくなる
注意点
カプサイシン(辛い料理)を食べすぎると粘膜が傷つきやすくなり、胃が荒れたり、下痢を起こす原因にもなるのでほどほどに。
唐辛子は調味料(お酒、酢、油など)に浸けると、カプサイシンが溶け出しやすくなります。
また生で食べると10%程度しか吸収されないため、加熱すると吸収率を30〜70%にまで高められるので効率よく摂取できます。
ちなみに辛さの指標である「スコヴィル値」とは、カプサイシンの含有量によって決まっています。
ポリフェノール
ポリフェノールは、植物のほとんどに含まれている"色素"や"苦味"の成分になります。
8000種類以上あると言われていますが、身近な成分としてはイソフラボン、カテキン、アントシアニンなどがあげられます。
食材
コーヒー、緑茶、赤ワイン、豆類、ブルーベリー など
機能
強い抗酸化作用により、細胞の老化を抑え、毛細血管を強くする働きがある
注意点
飲料として口にする機会が多いので、コーヒーや緑茶をとり過ぎてしまうとカフェイン過多によって不眠や下痢、吐き気などの原因になるので注意してください。
ポリフェノールは身体の中に貯めておけない成分なので、毎日コツコツ摂ることを意識してみてください。
栄養摂取にはサプリメントを活用
育毛はもちろん、髪や頭皮のコンディションの健康を保つためには、その材料となる栄養素が大切です。
とはいえ、毎日の食事を完璧に準備するのはとても難しいものです。
そこで活用したいのが、栄養を補助してくれるサプリメントです。
食事に置き換わるものではありませんが、普段の食生活から摂りにくい栄養を補うのには役立ちます。
不足しがちな亜鉛
育毛の中でも特に必要となる亜鉛ですが、不足しがちな理由には次のようなことがあげられます。
- 他の食材のように「これを食べればOK!」という決め手になる食材がない
- 亜鉛が含まれている食材も普段口にしないものが多い
こうした理由に加え、忙しい時に頼りがちな加工食品の添加物には亜鉛の吸収を抑えるものが含まれている場合があります。
その他、亜鉛はアルコールの分解に使われるため、お酒を良く飲む方は特に不足しやすくなります。
亜鉛の不足した状態が続いてしまうと、髪の成長が困難になるため、普段の食事で亜鉛の摂取が不安な方は、サプリメントの使用をお勧めします。
薄毛がすでに進行している場合
薄毛がすでに進行している場合、サプリメントや食事は有効な改善方法と言えません。
もしAGA(男性型脱毛症)であれば原因があり、それを取り除かないことにはいくら栄養をとっても髪は弱っていきます。
しかも進行性の脱毛症なだけに、自己流でサプリメントを使い続けていては悪化の一途を辿ることにもなりかねません。
基本的にAGAの治療は、AGA治療薬と呼ばれる薬を使って治療します。
次のようなお薬が治療に用いられます。
プロペシア | ザガーロ | ミノキシジル (リキッド・タブレット) |
---|---|---|
抜け毛の原因となるDHT(悪性男性ホルモン)の働きを阻害し、ヘアサイクルの乱れを改善して抜け毛や薄毛の進行を抑えるAGA治療薬です。 | プロペシアと同様、DHTの働きを阻害し、抜け毛や薄毛の進行を抑えるAGA治療薬です。 プロペシアより抜け毛を抑える酵素が3倍強く働く。 |
血管拡張作用により、血流を改善する。 毛乳頭の細胞分裂を活性化させ、発毛を促す働きがあるAGA治療薬です。 |
こうしたお薬は治療効果がある反面、人によっては好ましくない症状が副作用として現れることもあります。
また服用がNGのケースもあるだけに、地肌が透ける、抜け毛が多いといった薄毛症状の悩みを抱える男性は医師の診察を受けるようにしてください。
避けたい食習慣
食べ物に含まれる栄養素の中で、髪に悪さをするものはありません。
むしろ摂れるなら、さまざまな食材からバランス良く栄養補給するのが理想的です。
ただし避けたい食習慣があります。
いくら髪に必要な栄養素でも、毎日の食事内容やタイミングによっては薄毛を助長する可能性があります。
ここからは避けたい食習慣について、具体的に髪にどんな影響があるかも併せてご紹介していきます。
高カロリーで脂肪分が多い食事
丼もの、麺類、コンビニ飯、ファーストフード、etc…、時間がない時についつい手を伸ばしたくなるメニュー。
ただ髪のことを考えるなら、食べる機会を減らすのが理想的です。
その理由としてあげられるのが、
- 皮脂の過剰分泌により、頭皮環境が悪化
- 血流の悪化や、動脈硬化の原因
頭皮に必要以上に皮脂が増えてしまうと、毛穴詰まりや炎症によって毛根がダメージを受け髪の成長を妨げることがあります。
また動脈硬化は文字通り、血管が硬くなる状態です。
血管が硬いと髪のライフラインである血流が滞り、本来送られるはずの栄養や酸素が髪まで行き届かず薄毛の原因になることも。
食事の影響は良い意味でも悪い意味でも遅れて現れるだけに、できる限り高カロリーで脂肪分の多い食事は避けるようにしましょう。
塩分や糖分
塩分や糖分の摂り過ぎは、高カロリーな食事と同じことと言えます。
ただ糖分に限って言えば、体内に余った糖がたんぱく質と結びついてしまい糖化しやすくなります。
糖化もはじめの内は糖分を減らすことで元のたんぱく質に戻りますが、糖が増え続けてしまうと「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる物質に変わってしまいます。
このAGEは老化を引き起こす物質で、特に髪はその80%以上がたんぱく質で作られているだけに影響を受けやすいです。
糖分をとり過ぎは細胞の働きを鈍くし、細胞死によって薄毛を進行させる原因になってくるので、思い当たる方は改善に努めましょう。
就寝前の食事
髪の成長や頭皮のターンオーバー・修復には、成長ホルモンが関わっています。
この成長ホルモンは、就寝してから3時間の深い眠り(レム睡眠)についた時が分泌のピークとなります。
しかし就寝前に食事を摂ってしまうと、胃や腸の働きが活発になります。
消化が落ち着くまでには最低でも3時間程度かかるとされ、遅い夕食や夜食をとってしまうと睡眠の質を下げてしまいます。
すると就寝時してからの3時間が阻害され、成長ホルモンの分泌が阻害されます。
そのため夕食を食べるのであれば、髪のためにも就寝の3時間前に済ませるように心がけるのが大切です。
極端なダイエット
体重を一気に落とそうと急に食事量を減らすような極端なダイエットをすれば、身体全体の栄養バランスは崩れます。
特に髪への栄養は最後に回ってくるだけに、エネルギー不足が毛母細胞(髪になる細胞)の働きを低下させます。
するとそのサインとしてうぶ毛のような弱った髪や抜け毛が増え、薄毛を助長する結果に。
しかも極端なダイエットをやめても正常な毛髪を取り戻すのが難しく、さらに食事制限のストレスにより自律神経の乱れから頭皮への血流を悪くすることもあります。
健康な髪は栄養があってこそ。ダイエットをするなら、軽い食事制限や運動を取り入れて無理のない範囲で行いましょう。
よくある質問
薄毛を改善するためには、原因となっている男性ホルモンを抑える必要があります。
ただし栄養を摂らないというわけではなく、健康な髪を増やしていくためにも薄毛治療と平行してバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
特定の栄養が髪の発育に良い働きがあることはわかっていますが、何より大切なのは栄養バランスです。
髪に良いからといって同じものばかり口にしていれば、今度はその他の栄養が足りなくなり悪影響を及ぼします。
太く丈夫な髪を育てるためにも、栄養バランスを意識した食事を習慣づけてみてください。
これらの飲み物に含まれる「カフェイン」や「イソフラボン」は髪の成長期を伸ばす働きがあることで注目されています。
ただし、飲みすぎや糖分が多いものを選んでいると、AGE(終末糖化産物)を増やしてしまい髪や細胞にとって逆効果になることも。
また、アルコール類はほどほどであれば血流が良くなるので問題ありませんが、飲みすぎると髪に必要な栄養が分解されてしまうので注意です。
激辛料理といえばカプサイシン(唐辛子)が代表的ですが、強い発汗作用があるので代謝や血流が促されることで育毛にはプラスに働きます。
ただし、汗をたくさんかけば皮脂分泌も多くなるので、頭皮環境を悪化させないためにもきちんと洗髪するようにしましょう。
まとめ
育毛に大切な栄養について解説してきましたが、最後におさらいをしておきましょう。
- 髪は栄養をエネルギーとして成長している
- 特定の栄養が育毛に対して機能する
- 食事の内容・量・タイミングが大切
- AGAであれば栄養を補っているだけでは改善されない
またバランスの良い食事と言われますが、
主食
⇨ ごはん
主菜
⇨ 肉・魚・卵・大豆製品などのおかず
副菜
⇨ 野菜・きのこ・海藻など
これらにプラスして「果物・乳製品など」を1日1回とれていると、過不足ない栄養補給が可能になります。
いつまでも、ハリ・コシのある健康な髪を保つための基本は食事です。
今日からでも遅くはないので、将来の髪の毛の量を気にするのであれば、意識的に食事内容に気をつけてみてください。