こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。

クラミジア感染に気づかずに感染状態が続いてしまうと、さまざまな病気に発展し、将来的に不妊症の原因になるリスクが高まります。
これは女性だけでなく男性にも同じことが言えるため、人によっては男女を問わずライフプランの変更を余儀なくされてしまいます。
このページではクラミジアの放置がなぜ男女の不妊に影響するか、その詳しいメカニズムや検査・治療について解説しています。
また、放置してしまう原因についても触れているので、クラミジア感染を長引かせないための参考にしてください。
フィットクリニックではクラミジアの検査・治療を行っております。
便利なオンライン診療を行っていますので、検査キットやお薬が必要な方は以下のボタンからご予約ください。
クラミジア感染を放置すると不妊になる?
クラミジア感染を放置してしまうと、不妊になるおそれがあります。
まず、不妊症の原因としてあげられるのが以下です。
- 卵巣因子
- 卵管因子
- 男性因子
- 子宮因子
- 免疫因子
- その他
この中でクラミジアは卵管因子や男性因子の原因になることがあり、上記2つの不妊原因の割合は全体の約50%を占めています。
また「妊娠中のクラミジア感染に関する実態調査」の報告によれば、特に感染が多いとされる10代、20代前半の妊婦のクラミジア陽性率がとても高いことがわかっています。
〜19歳の陽性率:15.9%(854 / 5370)
20〜24歳の陽性率:7.5%(1953 / 26049)
25~29歳の陽性率:2.3%(1533 / 65503)
30~34歳の陽性率:1.2%(965 / 82194)
35~39歳の陽性率:0.8%(408 / 51937)
40歳~の陽性率:1.0%(129 / 13190)
合計の陽性率:2.3%(5880 / 250571)
40歳〜までを含めた全体の陽性率は2.3%になり、母親の感染が胎児や新生児にも影響してしまう可能性もあります。
クラミジアは身近な性感染症ではあるものの、このように感染が不妊だけでなく、妊娠後にも影響する怖い病気であることは覚えておきましょう。
クラミジアについて
そもそもクラミジアとは、国内感染者数がもっとも多い性感染症の1つで、10代、20代の感染者が中心です。
- 男性の約50%、女性にいたっては約80%もの人は感染による自覚症状がない
- 性器やのど、行為によっては肛門や眼にも感染する
- キャリア(保菌者)の粘膜や分泌物を介して感染する
無症状などで気づかず放置してしまうケースも珍しくないため、感染状態が長く続くケースが多くなっています。
感染状態が放置されると、菌が身体の奥へと入り込んでしまう「上行感染」を起こす危険があります。
また、パートナー間でのピンポン感染などにもつながりやすいとされています。
パートナーと自分のどちらもクラミジアに感染している場合、一方だけが治療してもいつまでもお互いに感染させあってしまうこと
日常生活(空気、飛沫、飲み回しなど)で感染する心配はありませんが、1回の性行為で感染する確率は30〜50%にもなります。
感染が将来に影響することもあるので、セーフセックスによって感染予防につなげていきましょう。
クラミジア感染による不妊症について
女性がクラミジアに感染しても、すぐに不妊症になるわけではありません。
はじめは子宮頸管(子宮の入り口)で炎症を起こし、感染が進むにつれ以下のように進行する可能性があります。
子宮内 ⇨ 卵管 ⇨ 腹腔内 ⇨ 肝臓
このように上行感染によって体の奥へと菌が入り込んで炎症を起こしてしまうと、妊娠に必要な器官にも影響を及ぼします。
感染が進行し卵管に炎症がみられると、卵管が閉塞や狭窄してしまうことや、人によっては卵管周囲の癒着が起こることもあります。
これにより卵子が取り込まれにくくなってしまい、不妊症や子宮外妊娠のリスクを高めます。
また、受精卵になったとしても、子宮内膜の炎症による着床障害によって妊娠しづらい状態になる恐れもあります。
クラミジア感染で男性の不妊も
男性は、クラミジアが尿道に感染して治療せずにいると、やがて睾丸にある精巣上体(副睾丸)にまで炎症が拡がります。
精巣上体には精子を成熟・輸送・貯蔵するなどの役割があり、男性の妊孕性(妊娠するための力)に関わる重要な器官です。
クラミジアによる精巣上体の炎症には以下のような障害があります。
造精機能障害
⇨ 精子の数が少なくなったり、精子の動きが悪くなることや、受精する力が低下する
精路通過障害
⇨ 精子を尿道に運ぶ精管を塞いでしまう閉塞性無精子症などを起こす
このような障害によって精子の働きに影響が及ぶことで、男性不妊の原因になるとされます。
なぜ感染後放置してしまうのか?
感染後のクラミジアを放置してしまう一番の理由は、自覚あるいは他覚できずに医療機関を受診する機会を欠いてしまうためです。
女性で約80%もの人が感染に気づかず、それにより長い期間にわたって感染を持続させてしまい不妊症などの後遺症のリスクを高めてしまいます。
しかし、自覚がある場合でも放置してしまう場合もあります。
- 自然治癒への期待
- ピンポン感染
- 自己判断での間違った治療
こうした誤った情報や自己判断が治療につながりにくくなり、感染を放置してしまうケースもあります。
特に感染者が多い10代や20代は性的な関心・興味も強い時期であり、その場の雰囲気や勢いで無防備な性行為に及んでしまうこともあるものです。
ただ、その一時の感情で将来が左右されてしまう恐れもあるだけに、リスクがある行為があれば念のため検査は受けるようにしてください。
不妊以外にもリスクがある
クラミジアは不妊以外にも、症状悪化のリスクがあります。
感染が身体の奥へと広がっていくため、以下のように症状が進みます。
- ①子宮頸管炎
- ②子宮内膜炎
- ③卵管炎
- ④卵巣炎
- ⑤骨盤内腹膜炎
このように炎症が進んでいき、最終的には肝臓にまで達してしまい肝周囲炎(フィッツ・ヒュー・カーティス症候群)を起こすこともあります。
また⑤まで感染が届いてしまうと下腹部や上腹部に激痛が走り、人によっては救急搬送された例もあるほどです。
さらに妊娠中であれば、痛みや発熱を起こすとされるプロスタグランジン(PG)という脂質が活性化されます。
すると子宮収縮が促されてしまい、流産あるいは早産の原因になることもあるので深刻です。
放置期間が長いほど不妊確率は上がる?
クラミジアは感染後1〜3週間で発症し、この期間中に子宮や卵管、腹腔内にまで感染が広がっていきます。
感染状態が続いてしまうほど卵管への影響は大きくなり、具体的なデータこそないものの、感染した菌の量によって症状の進行スピードにも個人差も生じてきます。
また卵管の癒着によって妊娠できなくなることはありませんが、治療手術の術後妊娠率は決して高くはなく、再閉塞してしまうケースも多いとされています。
卵管通過性回復率:約80%
術後妊娠率:約30%
そのため自然妊娠が難しくなってしまうことがあり、妊娠を希望している場合には不妊治療の1つとして体外受精を検討する必要も出てきます。
クラミジアは薬で完治させられますが、後遺症である卵管の癒着は治療によって自然妊娠できる保証はありません。
「あの時の性行為が原因で・・・」とならないためにも、定期的に検査を受け、早期発見・早期治療につなげるようにしてください。
妊娠したとしても赤ちゃんに感染の危険がある
クラミジアは妊娠後にも危険が潜んでおり、妊婦が感染すると出産時に母子感染(産道感染)を起こすおそれがあります。
万が一新生児に感染させてしまうと、以下の新生児疾患が発症する可能性があります。
潜伏期間:5〜12日
発症時期:生後30日以内
無治療での感染率:18〜50%
症状:まぶたの腫れ、多量の膿を含んだ水っぽい目やに など
潜伏期間:3〜4週間
発症時期:生後3ヶ月以内
無治療での感染率:3〜20%
症状:呼吸数の増加、無呼吸、末梢の冷感、発熱 など
このような病気を発症するおそれがあり、特に低出生体重児は重症化しやすく、失明や最悪のケースでは死にいたることもあります。
赤ちゃんに感染させないためには、妊娠30週目までにPCR法による感染症検査が推奨されています。
もし陽性であれば妊娠中であっても治療が可能なことから、必ず検査を受けるようにしてください。
クラミジアの検査方法
クラミジアの検査方法はいくつかあり、検査のタイミングや症状の有無、感染部位によって検体の採取方法も異なってきます。
また症状が似ている性感染症もあり、感染した病原体を特定するには複数項目の検査を受けるのが望ましいと言えます。
最近では自宅で検査ができる検査キットなども購入できるので、ここからは検査について詳しく見ていきましょう。
フィットクリニックのクラミジア検査キット
フィットクリニックでは、クラミジアに対応した検査キットを取り扱っております。
検査キット | 価格 (税込) |
クラミジア | 淋菌 |
---|---|---|---|
女性2項目セット | 6,600円 | ● | ● |
男性2項目セット | 6,600円 | ● | ● |
※単品での販売は行っておりません(治療薬との販売)。
※過去に取扱いがあったその他の検査キット(HIV・カンジダなどを含むセット)は現在販売を終了しております。
なお、検査キットに関する詳しい内容については、以下のページをご確認ください。
潜伏期間と感染期間の違い
クラミジアは発症を境にして、2つの期間に分けられています。
⇨ 感染してから発症するまでの期間
感染期間⇨ 発症してからの期間
ちなみにクラミジアの潜伏期間は男女ともに1〜3週間とされていますが、無症状や無自覚なケースもあるので感染時期をはっきりさせるのが難しいこともあります。
ただ、クラミジアの検査では、症状が出ているかは検査結果に影響しません。
不安があった性行為から24時間以上が経過していれば、感染部位に関わらずクラミジアの菌が存在しているか検出が可能です。
そのため発症を待つ必要はなく、上記経過時間以降、気になったタイミングで検査を受けて構いません。
検査方法
検査方法についてですが、種類によって結果が出るまでのスピードや検査精度、調べられる部位などに違いがあります。
検査の種類:イムノクロマトグラフィー法
感染部位:性器のみ
結果(日数):検査日当日
特徴:検査精度が精密検査にくらべ劣るものの、すぐに結果が判明する
対象者:明らかに症状があり、すぐに治療が必要な人向け
検査の種類:PCR法
感染部位:性器、咽頭、肛門
結果(日数):検査後2〜3日
特徴:もっとも検査精度が高い方法で、細菌のDNAから感染を調べる遺伝子検査
対象者:不安行為があった人や、妊娠中の人の感染症検査でも推奨されている
検査の種類:TMA法
感染部位:性器、咽頭、肛門
結果(日数):当日または翌日
特徴:精密検査とほぼ同等の精度があり、細菌のrRNAから感染を調べる遺伝検査
対象者:症状の有無に関わらず、より早く結果を知りたい人向け
クラミジア検査はPCR法による精密検査がポピュラーであり、取り扱っている医療機関は多く、自宅でできる検査キットにも採用されています。
結果がわかるまでに時間はかかるものの、行政に届け出をしている外部の専門機関(登録衛生検査所)が調べてくれるので安心です。
その他の感染確認の方法
女性のクラミジアは症状を自覚しにくいものの、初期症状を知っておけば検査を受けるきっかけにもなるはずです。
- おりもの異常
- 不正出血(生理以外の出血)
- 下腹部痛
- 性交痛
など
※ただしクラミジアと断定はできないので性病感染の目安とする
ここでポイントになるのが、おりもの異常です。
量が増えることや、臭いのキツさ、さらに色も黄色に変化するため、おりものチェックはとても大切になります。
他の症状については生理時の症状にも似ており、痛みや出血の違いでクラミジアと疑うのは難しいでしょう。
またいずれの症状も他の性病である可能性が考えられ、特に淋病とは検査以外で見分ける術がないほど似ています。
人によっては淋病と合併しているケースもあるだけに、2つの性病はセットで検査するのがおすすめです。
クラミジアの治療方法
クラミジアの治療方法は、細菌を壊したり、増えるのを抑える抗菌薬が使われます。
また重症化している際には医師の判断で、ミノサイクリンという抗菌薬を点滴によって投与することがあります。
容態にもよりますが3〜5日の投与後、内服薬に切り替えるのが一般的です。
フィットクリニックのクラミジア治療薬
フィットクリニックではクラミジア治療薬の「ジスロマックジェネリック」「クラビット」をオンラインで処方しております。
- 電話で全国どこからでも診療を受けることができる
- 最短当日発送(到着は地域による)
- 治療薬とわからない梱包でプライバシーを守ったまま治療可能
フィットクリニックのクラミジア治療薬
治療薬 |
ジスロマックジェネリック 250mg
![]() |
---|---|
成分 | アジスロマイシン |
価格 | 7,700円 |
用法用量 | 4錠/1回経口投与する |
副作用 | 下痢、蕁麻疹、皮膚そう痒症 など |
治療薬 |
クラビット 500mg
![]() |
---|---|
成分 | レボフロキサシン |
価格 | 7,700円 |
用法用量 | 1日1錠 7日間経口投与する |
副作用 | 発疹、不眠、めまい、頭痛 など |
ただし、クラミジアは必ず完治するというわけではありません。
そのため、治療後2週間以上あけたのち、必ず再検査を受けるようにしてください。
中途半端な服用や自己判断の服用中止では、薬の効かない「薬剤耐性」菌が生まれてしまうおそれがあります。
クラミジアの予防方法
クラミジアの予防方法は、キャリア(保菌者)との粘膜の接触を避けるのが基本です。
- コンドームの使用
- 不特定の相手との性行為は控える
いたってシンプルな方法ではあるものの、コンドームを正しく使用できれば大幅に感染リスクを下げられます。
さらにオーラルセックス時ものどへの感染を防ぐためにコンドームを装着し、挿入時には新しいものに付け替える・二重にするといった予防を行ってください。
ただし、コンドームも100%の予防効果ではありません。
また、不特定の相手と性行為を繰り返してしまうと、パートナーの数だけ感染するリスクを高めます。
複数人とのピンポン感染よって感染を繰り返す恐れもあるだけに、性行為は特定の相手とだけ行うようにしましょう。
クラミジアは予防接種などはなく、感染が治ったとしても免疫がつくことはありません。
何度でも感染するしつこい病気なので、無防備な性行為だけは控えるようにしてください。
治療後にも検査するのが重要
クラミジアを治療したからといって、安心してはいけません。
- 治療期間を終えても菌がすぐに消えることはない
- 一度の治療で治らないことがある
人によっては菌が残っている可能性があるため、治療後には必ず菌が消えたか検査を受けなければなりません。
つまり、クラミジアの検査は「感染確認」と「治癒確認」の少なくとも2回は受ける必要があることは覚えておきましょう。
また治癒確認の検査によって陰性と出れば完治となりますが、それまでは性行為やそれに準ずる行為などの性的な接触はお互いに控えるようにしてください。
よくある質問
-
- Q
クラミジアに感染するとなぜ不妊になるのでしょうか?
- A
クラミジアは悪化すると上行感染といって菌が奥へと侵入してしまい、さまざまな器官に影響を及ぼすため不妊のリスクがあります。
女性:卵管の閉塞・狭窄・癒着
男性:無精子症など
またそれぞれの治療を行っても自然妊娠できる確率は高いとはいえないため、日頃からセーフセックスを心がけるのはもちろん、定期的な検査で早期発見・早期治療につなげるようにしていきましょう。
- Q
-
- Q
クラミジア感染をどのくらい放置すると不妊になりますか
- A
具体的にどのくらいという期間はわからないものの、感染状態が続くほど炎症によるダメージが蓄積されてしまうので長期的に放置するのは避けるべきです。
そのため性器などに異常を感じたり、不安に感じる程度でも検査を受けるのが望ましいとされ、もし感染していればパートナーにも検査・治療を勧めるようにしてください。
- Q
-
- Q
放置していた場合、二度と妊娠できなくなるのでしょうか
-
A
二度と妊娠できないということはありませんが、自然妊娠の可能性は低くなります。
子供が授かりにくい場合には不妊治療も必要になるだけに、クラミジアの治療が遅れてしまうと後遺症が残る可能性があることは覚えておきたいところです。
- Q
-
- Q
クラミジア感染で男性の不妊になる可能性はあるのでしょうか
-
A
男性はクラミジアを放置してしまうと、男性の妊孕性(妊娠するための力)に関わる重要な器官である精巣上体に感染が広がります。
人によっては精管が塞がってしまったり、無精子症になることもあるため、クラミジアが男性不妊の原因になる可能性は十分に考えられます。
- Q
-
- Q
治療中の妊活は行っても良いでしょうか
-
A
クラミジア治療中の妊活はNGです。
これは感染部位に菌が残っている可能性が考えられ、パートナーとのピンポン感染によって再発のリスクを防ぐためです。
一般的には治療後2〜3週間を目安に再検査を受け、お互いに陰性の結果が得られるまでは性行為やそれに準ずる行為は控えるようにしてください。
- Q
-
- Q
どこで治療すればいいのでしょうか
-
A
クラミジアは性病科目を取り扱うクリニックで治療を行うことができます。フィットクリニックでもクラミジア治療薬の処方のほか、検査キットを購入し検査することができます。
※検査結果は自宅で分かるのではなく、検査機関に送って判明します。
※検査結果が陽性の場合は飲み薬(抗菌薬)での治療となります。
- Q
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