肥満と肥満症‐高血圧・糖尿病・妊娠へのリスクも解説

更新日:2025/04/17

こちらの記事はフィットクリニック服部圭太院長が監修しています。

肥満と肥満症‐高血圧・糖尿病・妊娠へのリスクも解説

肥満は見た目だけでなく、健康にも大きく影響する重要な体のサインです

中でも「肥満症」と診断される状態は、高血圧や糖尿病、妊娠合併症などのリスクが高まっており、放置すると生活の質を損ないます。

本記事では、肥満症とは何か、どのような影響があるのかをわかりやすく解説し、無理なく改善していくための医療的な選択肢についてもご紹介します。ぜひ参考にしてください。 フィットクリニックのメディカルダイエット

肥満症とは

肥満症とは、体重が増えているだけでなく、肥満が原因で高血圧や糖尿病などの健康障害が起きている状態を指します。

日本肥満学会では、BMI25以上で、かつ健康リスクがある場合に「肥満症」と診断します。見た目の変化にとどまらず、内臓や血管、代謝機能に悪影響が及ぶため、早期の対応が必要です。

高度肥満症とは

高度肥満症とは、BMI35kg/m²以上の肥満症を指します。
日本人の平均身長171.5cmで計算すると、体重が約103kg以上ある計算です。

高度肥満の主な要因は生活習慣の乱れによるものですが、中には「二次性肥満」といって遺伝や特定の病気、服用中の薬などが高度肥満の引き金になっていることもあります。

高度肥満は健康障害のリスクが高く日常生活にも支障をきたすため、肥満症と同様に早期の治療が必要です。

肥満と肥満症の違い

肥満とは体脂肪が多い状態で、BMIの数値に基づいて判定されます。
一方、肥満症は肥満によって生活習慣病や健康障害がすでに発生しているケースを指します。

つまり、単なる見た目の太り過ぎとは異なり、医療機関での治療が必要な状態
です。放置すると合併症が進行する恐れがあります。

  • 肥満
    BMI25kg/m²以上
  • 肥満症
    BMI25kg/m²以上 + 健康障害または合併症のリスク or メタボリックシンドローム

次の章から、肥満症に多い合併症や、妊娠する上での肥満のリスクなどを詳しく解説します。

肥満と高血圧の関係

肥満症の代表的な合併症の一つが高血圧です。

国民栄養調査の報告からは、肥満者は非肥満者に比べて高血圧の割合が2〜3倍多く、若いうちからの肥満傾向が高血圧に関係することがわかっています。

特に内臓脂肪型の肥満(お腹に脂肪が集中して内臓まわりに蓄積している状態)は血圧の上昇と深く関わっています。

皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満について

これは、脂肪組織が増えることで交感神経が刺激され、血管が収縮しやすくなるためです。特に末梢血管が圧迫されることで血圧が上昇します。

また、過食や塩分過多により血液量が増えることも血圧上昇の一因となるため、食生活の見直しは高血圧だけでなく、肥満症の改善においても欠かせないポイントです。

肥満と糖尿病の関係

肥満は2型糖尿病の発症リスクも高めます。

食後は血糖値が上昇するのが一般的ですが、すい臓から分泌される「インスリン」の働きにより、一度上昇した血糖値は正常な範囲に戻ります。

しかし、肥満症になると脂肪細胞が増えることで体内のインスリンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)、血糖値が高くなりやすい状態が続くことで、糖尿病に進行するケースが多く見られます。

さらに、膵臓のインスリン分泌能力も低下するため血糖値のコントロールが難しくなり、治療が必要な状態となる場合もあります。

糖尿病が進行する前に、早期の減量、医療的措置が必要です。

肥満と妊娠の関係

妊娠中の肥満は「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などのリスクを高めます。

肥満による妊婦のリスク
  • 妊娠糖尿病
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
  • 産後のさらなる体重増加

出産時のトラブルや胎児の発育異常にもつながる可能性があり、注意が必要です。 胎児が将来的に肥満体質になりやすくなるなど、長期的な健康への影響も指摘されています。

肥満による胎児へのリスク
  • 早産、死産
  • 自然流産
  • 巨大児
  • 体重増加(肥満やメタボ)

肥満(BMI 25以上)の方の場合、妊娠後の体重は約5kgの増加が目安とされています。 肥満の妊婦の方は体重が増えすぎると病気のリスクが高まるため、妊娠中は適切に体重をコントロールすることが重要です。

妊娠前に限り(妊娠中は不可)、効率的に痩せられるメディカルダイエットが利用可能です。詳細は以下のリンクをご覧ください。 メディカルダイエットについて見る

肥満症を放置するリスク

肥満症を放置することで起こりうるリスクは以下のとおりです。

肥満症を放置するリスク
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病
  • 心筋梗塞・脳卒中などの重篤な循環器疾患
  • 睡眠時無呼吸症候群・関節への負担増加
  • 妊娠合併症(妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病など)

肥満症を放置すると、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を次々と合併する可能性があります。

さらに、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった命にかかわる病気のリスクも増大します。

見た目だけの問題ではなく、健康への深刻な影響を及ぼす危険性があるため、早めに医師に相談し健康状態を見直しましょう。

肥満症の改善・予防方法

肥満症の予防・改善には、まず日々の生活習慣の見直しが不可欠です。
特に食事・運動・睡眠の3つの柱を整えることが基本となります。

体重管理だけでなく、内臓や代謝への負担を軽減する意味でも、長期的な視点で習慣を見直すことが重要です。

【肥満症を改善・予防するポイント】

具体的な対策 解説
食事 糖質・脂質の摂取量を抑える
野菜やたんぱく質を意識する
栄養バランスを整え、内臓脂肪の蓄積を防ぐ
運動 ウォーキング・軽い筋トレを週3〜4回 有酸素+筋トレで基礎代謝アップと脂肪燃焼を促進
睡眠 6〜7時間以上の睡眠を毎日確保 睡眠不足は食欲増進ホルモンを活性化し肥満を助長
ストレス 趣味やリラクゼーション時間を意識的に確保 ストレスによる過食・暴飲暴食を防ぐ効果
医師へ相談 メディカルダイエットを検討 生活習慣の改善だけでは難しい場合は、医療の力も選択肢に

改善が難しければ「メディカルダイエット」という選択肢も

前述の通り、肥満症の改善には、食事・運動・睡眠などの生活習慣の見直しが基本です。
しかし、「わかっていても続かない」「何をすればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

そのような場合には、医師の診察をもとに処方される「メディカルダイエット」という選択肢もあります。
当院では、食欲を抑える薬や脂肪の吸収・燃焼を助ける薬、糖の排出を促す薬などを、体質や目的に合わせてご提案しています。

フィットクリニックのメディカルダイエット薬

リベルサス 食欲抑制・血糖値の上昇抑制・基礎代謝向上(内服薬)
サクセンダ 食欲抑制・血糖値の上昇抑制・基礎代謝向上(注射薬)
フォシーガ 糖を尿から排出
オルリファスト 脂肪の吸収を抑制
防風通聖散 脂肪の分解・燃焼
BBXサプリ 食欲抑制のサポート

※処方の可否や適応は医師の診察により決定いたします。

ご興味のある方は、以下のリンクをご覧ください。 メディカルダイエット薬の詳細

まとめ:肥満症は「体のサイン」。医療の力を借りて改善しよう

肥満症は見た目の変化にとどまらず、さまざまな病気のリスクを高める可能性があります。
最後に、本記事の重要な点をまとめました。

本記事のまとめ
  • 肥満症は、肥満によって高血圧や糖尿病などの健康障害が起きている状態
  • 特に内臓脂肪が多い場合、血圧や血糖値が上がりやすく注意が必要
  • 妊娠中の肥満は、母体と胎児の両方にリスクを及ぼす
  • 放置すると生活習慣病や循環器疾患の原因になることも
  • 改善には生活習慣の見直しが基本だが、難しい場合は医療の介入も検討を

「何をしても痩せない」「健康が心配だけど続かない」という方も、無理せず進められる方法があります。

当院では、医師の診察をもとに、体質や症状に合わせたメディカルダイエットをご提案しています。ぜひご検討ください。 フィットクリニックのメディカルダイエット

よくあるご質問

  • Q
    肥満と高血圧は関係ありますか?
    A
    肥満と高血圧には密接な関係があります。肥満は非肥満者にくらべ高血圧のリスクが2〜3倍に高まります。
    特に、お腹まわりに脂肪の蓄積がみられる内臓脂肪型肥満は、血圧を上げる原因になりやすいです。
  • Q
    体重を減らすことで本当に血圧は下がりますか?
    A
    体重を1kg減らすと血圧が約2mmHg下がるとされています。
    血圧を正常範囲内にとどめるためにも、肥満解消のための適切な体重管理を行うことをおすすめします。
  • Q
    肥満なのと糖尿病になりやすいのは関係がありますか?
    A
    肥満の場合は糖尿病にもなりやすいため、関係はあるといえます。
    近年の日本では、運動不足や食習慣の欧米化によって肥満の方が増加傾向にあります。
    肥満は「万病のもと」といわれるほどで、糖尿病以外にもさまざまな病気の原因になりえます。
  • Q
    肥満を改善することで糖尿病のリスクは減りますか?
    A
    肥満を改善することでインスリン抵抗性が改善され、糖尿病のリスクを減らすことができます。
    適切な食事療法と運動療法を続けることで血糖値のコントロールがしやすくなり、糖尿病の予防にもつながります。
  • Q
    肥満と糖尿病以外に、肥満が原因で発症しやすい病気はありますか?
    A
    肥満は糖尿病だけでなく、高血圧、脂質異常症、心疾患、脳血管疾患、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、そして特定のがん(乳がん、大腸がんなど)のリスクも高めます。
    その他、肥満妊婦は出産時のリスクが高まります。
    これらの健康リスクを軽減するためにも、適切な体重管理が重要です。
  • Q
    肥満だと妊娠糖尿病になりやすいですか?
    A
    肥満だと妊娠糖尿病のリスクが高まります。
    妊娠糖尿病になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。
    1. 糖尿病の家族歴
    2. 肥満
    3. 35歳以上の高年齢
    4. 巨大児分娩既往
    5. 原因不明の習慣流早産歴
    6. 原因不明の周産期死亡歴
    7. 先天奇形児の分娩歴
    8. 強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
    9. 妊娠高血圧症候群
    10. 羊水過多症
    これらのリスク要因を持つ女性は、妊娠中に定期的な検査を受け、早期発見と適切な管理を行うことが重要です。

その他よくある質問はこちらをご確認ください

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