避妊の方法や種類について

更新日:2024/07/29
避妊の方法や種類について

性行為の際に行う避妊方法は、コンドームだけではありません。

コンドーム以外にも、時と場合に合わせた避妊方法がたくさんあります。

望まない妊娠は、特に女性にとって身体的・精神的に大きな苦痛をもたらします。

女性はもちろん、パートナーである男性も、避妊の方法について正しい知識を身につけておきましょう。

性行為前に行う避妊方法

性行為前にできる避妊方法を、以下の3種類に分けてご紹介します。

一般的な避妊方法

日本で多く使われる避妊方法を、パール指数やおおよその費用とあわせてご紹介します。

パール指数とは?
100人の女性がその避妊方法を1年間続けたときに妊娠する数。
パール指数が低いほど、避妊成功率が高いことを示す。

ちなみに避妊をしなかった場合のパール指数は85です。

避妊方法 パール指数 費用
コンドーム 2~13 10個約700円~
低用量ピル 0.3~7 1シート約2,200~3,000円
IUD(子宮内避妊具) 0.6~0.8 約30,000~40,000円
IUS(子宮内避妊システム) 0.5~0.7 約40,000~55,000円
避妊手術・不妊手術 0.1~0.5 約110,000~440,000円
リズム法 15 なし
参考サイト
”Mechanisms of action and effectiveness of contraceptive methods” . WHO. 2024年4月2日閲覧。

コンドーム(パール指数2~13)

避妊方法 コンドーム

コンドームは、ゴムもしくはポリウレタン製の袋を男性のペニスに装着し、精子が子宮内に侵入するのを物理的に防ぐ避妊具です。

日本では最も定番な避妊方法ですが、必ずしも妊娠を防ぐことはできません。

ただ、性感染症の予防もできるため、ほかの避妊法と併用することで安心して性交渉ができます。

メリット
  • コンビニやドラッグストアで安価に購入できる
  • 粘膜の接触を防ぐことで性感染症の予防に高い効果を発揮する
  • 素材のアレルギー以外の副作用がほとんどない
デメリット
  • 避妊の成功率は他の避妊方法に比べて低い
  • 使用には男性側の理解と協力が必要

低用量ピル(パール指数0.3~7)

避妊方法 低用量ピル

低用量ピルは、継続的に服用することで排卵を抑制し、避妊できる経口避妊薬です。

女性ホルモンの配合されたピルを毎日飲み続けることで、排卵を抑制し妊娠が起こらないようにします。

また、子宮頚管の粘液の粘度を高めて精子の侵入を防いだり、子宮内膜の増殖を抑えたりすることで、受精卵の着床を起こりにくくする効果もあります。

もともとは避妊薬として使用されていましたが、最近では生理痛や生理不順、PMSの軽減や改善のために服用する女性も多いです。

メリット
  • 正しく服用を行えば高い避妊効果がある
  • ニキビの改善、生理痛、生理不順、月経前症候群(PMS)の軽減にも効果がある
  • 子宮内膜症、子宮体がん、卵巣がんなどの婦人病の発生率を下げる
デメリット
  • 毎日忘れずに服用する必要がある
  • 喫煙者の服用は血栓症のリスクが上がるために、禁煙を行う必要がある
  • 軽度であるが、吐き気やむくみなどの副作用が一時的に現れることもある

IUD・子宮内避妊具(パール指数0.6~0.8)

IUD(子宮内避妊具) 避妊方法

IUD(子宮内避妊具)は、子宮内にプラスチック製の小さなT字器具を挿入することで、受精卵が着床するのを防ぐ避妊具です。

子宮リングと呼ばれることもあります。

挿入した避妊具が精子の運動機能を阻害したり、精子や卵子の受精機能を阻害するなどの効果があります。

一度装着すれば使用感がなく、女性の意志で避妊ができるのも特徴的です。

メリット
  • 一度装着してしまえば2年ほどは交換不要で、高い避妊効果を発揮する
  • ホルモンによる作用がないので、授乳中であっても使用ができる
  • 女性の意思で避妊できる
デメリット
  • 医師による装着や除去、交換が必要
  • 装着後は定期的な検診が必要
  • 出産経験のない女性には勧められない
  • 不正出血や、感染症の原因となる場合がある
  • 子宮外妊娠を防ぐことはできない

IUS・子宮内避妊システム(パール指数0.5~0.7)

避妊方法 IUS・子宮内避妊システム

IUS(子宮内避妊システム)は、黄体ホルモンを持続的に放出する小さな器具を子宮内に設置することで効果を発揮する避妊方法です。

子宮内に黄体ホルモンを放出することで、子宮内膜の増殖を抑制し、着床を防ぎます。

また、子宮頚管の粘液の粘度を高め、精子の侵入を防ぎます。

IUD(子宮内避妊具)よりもさらに高い避妊効果が、長期にわたって持続するのが特徴です。

メリット
  • 装着後は5年ほど交換不要で、高い避妊効果を発揮する
  • 生理痛、生理不順の軽減にも効果がある
  • 血栓症のリスクなどで低用量ピルが服用できない方でも使用できる
デメリット
  • 医師による装着や除去、交換が必要
  • 装着後は定期的な検診が推奨される
  • 出産経験のない女性には勧められない
  • 不正出血や、感染症の原因となる場合がある

避妊手術・不妊手術(パール指数0.1~0.5)

卵管結さつ パイプカット

避妊手術・不妊手術は、男性なら精管、女性なら卵管を糸で結ぶか、切断する避妊法です。

一度手術することで、ほぼ確実に避妊することができます。

子どもが欲しいと思ったときに、生殖機能を回復することが難しいので、将来的に子どもを望んでいない方に推奨できます。

メリット
  • 一度手術をするとほぼ100%避妊できる
デメリット
  • 手術をする必要がある
  • 費用が高い
  • 術後、子供が欲しくなっても再度機能を回復するのは難しい

リズム法(パール指数15)

避妊方法 リズム法

リズム法とは、月経周期や毎朝の基礎体温をもとに、妊娠しやすい時期を避けて性交する避妊法です。

月経周期日から排卵日を予測する「オギノ式」、毎日基礎体温を計測することで排卵日を予測する「基礎体温法」があります。

どちらかというと、避妊ではなく妊娠のために使われる考え方です。

ただ月経不順や性行為の刺激により排卵してしまう可能性もあるので、リズム法での避妊はあまり確実とは言えません。

メリット
  • 副作用がない
  • 自分の月経周期や基礎体温を把握できる
デメリット
  • 月経周期の乱れや体調の変化もあるため確実な予測は困難
  • 生理不順の女性には適さない
  • 基礎体温法では毎朝体温を量る必要がある

その他の避妊方法

避妊方法には、ほかにもペッサリー殺精子剤を用いた方法があります。

ペッサリー(パール指数6~12)

避妊方法 ペッサリー

ペッサリーは、子宮の入口に蓋をすることで精子の侵入を防ぐゴムやシリコン製のドーム型の器具です。

避妊目的に使われる場合と、骨盤臓器脱に伴う臓器を膣内に留める保存治療にも使われます。

パール指数は6~12と確実性は低く、避妊目的としては日本ではあまり普及していません。

メリット
  • 性行為前に余裕をもって装着できる
  • 洗浄して繰り返し使用ができる
  • ホルモンを使わない自然な避妊方法
  • 女性が自分の意志で避妊できる
デメリット
  • 避妊の成功率が低い
  • 使用ごとにケアやメンテナンスが必要

殺精子剤(パール指数18~28)

避妊方法 殺精子剤

殺精子剤は精子を死滅させる効果がある薬品で、性行為の前に膣内に入れて使用します。
ゼリーやフィルム、錠剤などの形状があります。

コンドームやペッサリーなど他の避妊方法との併用が効果的ですが、日本ではあまり普及していません。

メリット
  • 簡単かつ手軽に避妊できる
  • 副作用がほとんどない
  • 性感染症の予防にも一定の効果がある
デメリット
  • 避妊の成功率は他の避妊方法と比べて低い
  • 体位によっては薬剤が流れ出してしまう
  • 効果の時間が限られている

海外で使われるその他の避妊方法

海外ではほかにも以下のような避妊方法が用いられています。

  • 女性用コンドーム
  • 避妊注射
  • 避妊インプラント
  • 避妊パッチ

しかし避妊注射や避妊インプラントなど、ホルモン剤の注射や体内への埋め込みによって行う避妊は日本では認可されていません。

間違った避妊方法

下記は間違った避妊方法となり、避妊を行ったつもりでも妊娠する可能性があります。

  • 膣外射精(外出し)
  • 生理中の性行為
  • シャワーで洗浄する
  • コンドームの再利用

射精前から分泌されているカウパー腺液にも精子が含まれているため、膣外射精のように直前にペニスを抜いても妊娠する可能性があります。

また「生理中は妊娠しない」と考えられていますが、体内で精子が生き延びていれば次の排卵で受精する場合もあり、絶対に妊娠しないわけではありません。

膣内洗浄やコンドームの再利用も間違った避妊方法になるため注意が必要です。

下記のページでは、間違った避妊法の例や避妊できない理由を詳しく解説しています。

性行為後に行う避妊方法は「アフターピル(緊急避妊薬)」のみ

性行為後に行える、唯一の避妊方法は「アフターピル(緊急避妊薬)」です。

アフターピルは多量のホルモンを含んだ錠剤を服用することで、体内のホルモンバランスに変化をもたらします。

排卵前であれば排卵の時期をずらし、排卵後であれば子宮内膜の剥がすことで受精や着床を防ぎます。

従来は、中用量ピルを合計4錠服用する「ヤッペ法」が多用されていましたが、近年では「レボノルゲストレル錠」「エラ」などの緊急避妊薬が多く用いられています。

アフターピルはあくまでも緊急的な避妊法であり、常用すべきではないことを心に留めておきましょう。

また、当院ではアフターピルの処方も行っております。受診をご希望の方は、こちらからご予約が可能です。

レボノルゲストレル錠

アフターピル レボノルゲストレル錠

レボノルゲストレル錠は、WHOが緊急避妊における必須薬に指定しているアフターピルです。

リスクがあった性交渉の後、72時間以内に服用することで高い避妊効果を発揮します。

海外製であれば2錠/回、日本製であれば1錠/回で服用が完了する点や、ヤッペ法よりも副作用の発現率が少ない点が優れています。

メリット
  • 性交後に避妊できる
  • 24時間以内の服用で95%と高い避妊率がある
デメリット
  • 吐き気や頭痛、下腹部痛、乳房の張り、不正出血などの副作用が起こる場合がある
  • 性行為後4日以上経過すると十分な効果が得られない

エラ

アフターピル エラ

エラ(ウリプリスタール酢酸エステル)は、リスクのあった性行為後120時間以内に服用することで高い避妊効果を得られるアフターピルです。

服用を迷っている間に時間が経過してしまった方や、アフターピルの入手までに時間がかかる方に推奨できます。

またBMI30以上の肥満体質の方が服用した場合、レボノルゲストレルよりも避妊効果が高いことも特徴のひとつです。

メリット
  • 性交後に避妊できる
  • 性行為から5日経っていても避妊効果がある
  • BMI30以上の方にも効果的
デメリット
  • 吐き気や頭痛、下腹部痛、乳房の張り、不正出血などの副作用が起こる場合がある
  • 性行為後6日以上経過すると十分な効果が得られない

まとめ

様々な避妊の方法がありますが、どなたにも勧めやすく、安全かつ確実に避妊を行うのであれば、性行為前の対策を組み合わせた「低用量ピルの服用+コンドームの装着」が理想的です。

低用量ピルの正しい服用でほぼ妊娠を防ぐことができることに加え、コンドームによって性感染症も高い確率で防ぐことができます。

このように事前の確実な避妊ができていれば申し分はありませんが、万が一にも妊娠のリスクのある性行為があった場合は、直ちにアフターピルによる緊急避妊を行う必要があります。

アフターピルによる避妊の確率は時間が経つほど低下してしまうため、早急な対応が何よりも求められます。

フィットクリニックではアフターピルオンライン診療も行っていますので、緊急の際はご連絡ください。

避妊方法に関するよくある質問

Q1
確実な避妊方法はありますか?
A1
性行為前の対策+コンドームなど、避妊方法の併用を推奨します。

それでも避妊に失敗した場合は、アフターピルを服用すると安心です。
当院では即日発送のアフターピルオンライン処方を行っております。

Q2
アフターピルにはどんな種類がありますか?
A2
当院で扱っているアフターピルは2種類です。
服用時間が72時間以内のレボノルゲストレル錠と、120時間以内のエラです。
その他のピルの種類については下記の記事を参考にしてください。
Q3
各避妊方法の値段について教えてください。
A3
  • コンドーム 10個約700円~
  • 低用量ピル 1シート約2,200~3,000円
  • IUD(子宮内避妊具) 約30,000~40,000円
  • IUS(子宮内避妊システム) 約40,000~55,000円
  • 避妊手術・不妊手術 約110,000~440,000円
  • リズム法 無料
  • アフターピル 7,000~12,000円

アフターピルに関する詳しい費用については下記記事をご確認ください。

Q4
女性の意志でできる避妊方法には何がありますか?
A4
  • 低用量ピル
  • IUD(子宮内避妊具)
  • IUS(子宮内避妊システム)
  • ペッサリー
  • 殺精子剤 などが挙げられます。

性行為後、避妊できたか不安な場合は、アフターピルの使用を検討しましょう。

この記事の監修

フィットクリニック院長
服部圭太

【略歴】

平成17年
医療法人財団 河北総合病院 勤務
平成29年
ゴリラクリニック 池袋院 管理者
令和5年~
フィットクリニック院長 勤務
フィットクリニック院長・服部圭太