
メトホルミンとはビグアナイド系の血糖値をコントロールする薬です。
2型糖尿病の治療薬として処方される一方で、食欲抑制や脂肪燃焼の効果から「ダイエット薬」として注目されています。
ここではメトホルミンの効果や副作用、飲み方など基本情報を詳しく解説します。
メトホルミンの基本情報 | ||
メトホルミンとは | ビグアナイド系経口血糖降下剤 | 確認 |
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効果 |
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確認 |
副作用 | 主に消化器系の症状が多い 重大な副作用に乳酸アシドーシスや低血糖 |
確認 |
飲み方 飲む タイミング |
1日2~3回食直前または食後に分けて服用 | 確認 |
服用 できない人 |
乳酸アシドーシスを起こしやすい方 など | 確認 |
併用禁忌 併用注意 |
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確認 |
若返り | 老化を抑制する可能性がある薬剤としても注目されている | 確認 |
痩せない 原因 |
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確認 |
処方して もらうには |
医療機関の受診が必須 目的により保険適用が異なる |
確認 |
処方価格 | 3,300~6,800円 | 確認 |
痩せ薬の効果や副作用について詳しくは以下をご覧ください。 痩せ薬の効果について
メトホルミンとは
メトホルミンとは、ビグアナイド系経口血糖降下剤に分類される、2型糖尿病の治療薬です。
メトホルミンは肝臓で糖の産生を抑える働きがあり、血糖値の上昇を抑制します。
血糖値を下げるほか、食欲の抑制や体重減少効果から、肥満治療やメディカルダイエットで処方されることもあります。
メトホルミンの作用機序

- 肝臓:糖の産生を抑制
- 骨格筋(筋肉・脂肪組織):インスリンの働きを強め糖の取り込みを促す
- 小腸:グルコース(ブドウ糖)の吸収を抑える
メトホルミンは3つの部位に作用し、血糖値を下げるように働きかけます。
メトホルミンのダイエット効果
メトホルミンは以下の効果から、ダイエットに有効であると考えられています。
食欲を抑制させる
メトホルミンにはGLP-1の分泌を促す働きがあり、食欲を抑える効果が期待できます。
GLP-1は、脳の中枢神経に作用して食欲を抑える効果や、胃の消化スピードを遅らせるといった働きがあるホルモンです。
メトホルミンによりGLP-1が分泌されることで、食欲を抑えられて少ない食事量でも満足できるようになります。
糖を排出させる
メトホルミンには、便と一緒に糖(ブドウ糖)を排出する効果が確認されています。
これは、尿と一緒に糖を排出するSGLT2阻害剤(フォシーガなど)と似た働きです。
余分な糖が便と一緒に排出されることで、身体に糖がため込まれにくくなります。
脂肪を燃焼させる
メトホルミンがAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を活性化させることで、脂肪燃焼につながります。
AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)は、細胞のエネルギーに反応して代謝を調整する酵素で、AMPKが活発になることで効率的な脂肪燃焼につながります。
メトホルミンで痩せる
と言われている理由
メトホルミンで痩せると言われる理由は、食欲抑制といった効果に加え、国内外の臨床試験で体重減少が報告されていることが考えられます。
国内外の試験では以下のような体重減少が報告されています。
【海外の試験】
- BMI27以上の非糖尿病肥満者
- 6ヵ月間 1日2,500mgまで服用
- 平均5.8㎏減量、なかには7~10kg以上痩せた例もある(5.8±7.0kg)
【国内の試験】
- 対象:2型糖尿病患者
- 12ヶ月間メトホルミンを投与
- 平均1.3kgの減量
メトホルミンは短期的な使用ではなく、服用を続けていくことで体重減少が期待できます。
メトホルミンの若返り効果
について
メトホルミンは血糖値の改善だけでなく、老化を抑制する可能性がある薬剤として注目されています。
これは、老化につながる酸化ストレスや炎症反応を抑える働きがあると考えられているためです。
メトホルミンは、細胞のエネルギー状態を察知して代謝の調整を行う酵素「AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)」を活性化させます。
AMPKが活性化することで、細胞の炎症反応の抑制やオートファジーが促進されるため、老化を抑制すると考えられています。
ただし、老化の抑制効果については研究が進められていますが、明確なエビデンスとして若返り効果が医学的に認められているわけではありません。
そのため、国内で若返り治療薬として処方されることはありません。
メトホルミンの副作用
メトホルミンの主な副作用は消化器系の症状になります。
- 下痢
- 食欲不振
- 腹痛
- 悪心、嘔吐
- 腹部膨満感
- 便秘
- 発疹
- 倦怠感
- 頭痛 等
胃腸障害は投与初期や増量のタイミングで起こりやすく、服用を続けることで症状が治まってきます。
ただし、胃腸障害は「乳酸アシドーシス」の初期症状にも当てはまるため、異常を感じた場合は、速やかに医師にご相談ください。
メトホルミンの重大な副作用と
乳酸アシドーシスのリスク
メトホルミンの重大な副作用として低血糖や乳酸アシドーシスが起こる場合があります。
重大な副作用 | 症状 |
---|---|
乳酸アシドーシス | 胃腸障害、筋肉痛、倦怠感、過呼吸 等 |
低血糖 | 脱力感、強い空腹感、発汗 等 |
肝機能障害や黄疸 | 目や皮膚、粘膜に黄疸が現れる 等 |
横紋筋融解症 | 脱力感、筋肉痛や手足のしびれ 等 |
乳酸アシドーシスは血液中の乳酸濃度が上がることで起こります。
メトホルミンの肝臓で糖の産生を抑える働きによって、血中の乳酸が増加して、乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があり注意が必要です。
初期症状である胃腸障害(吐き気、嘔吐など)や筋肉痛、過呼吸などが現れた場合は、服用を中止して医師に相談してください。
メトホルミンの飲み方・
飲むタイミング
1日2~3回食直前または食後に分割して服用する
メディカルダイエットで服用する場合、1日250mgからスタートすることが多いです。
※1日の投与量を2〜3回に分けて、食事の直前か食後に服用してください。
経過に合わせて増量することが可能です。ただし、自己判断で増量はできませんので、必ず医師にご相談ください。
※フィットクリニックでは、GLP-1ダイエットを使用していた方で効果が見られない方を対象に処方しています。詳しくはクリニックにご相談ください。
メトホルミンを食前・食後で
服用する違い
メトホルミンは食前でも食後でも、効果に大きな違いはないと考えられています。
ライフスタイルに合わせて、飲み忘れないタイミングで服用しましょう。
食前に投与する場合、副作用の胃腸障害が出やすくなる可能性があり注意が必要です。
メトホルミンを処方して
もらうには
メトホルミンを処方してもらうには、糖尿病治療やメディカルダイエット(肥満治療)を行っているクリニックに受診してください。
メトホルミンは処方薬になるため、必ず医師の診察を受ける必要があります。
メトホルミンの保険適用
メトホルミンの保険適用は以下によって異なります。
- 2型糖尿病の治療で処方される場合:保険適用
- メディカルダイエット(肥満治療)の場合:保険適用外
当院で処方しているメトホルミンも自由診療のため、保険適用外になります。
メトホルミン500mgの処方
について
当院でもメトホルミン500mgの処方を行っています。
確認される項目
- 持病や健康状態
- 現在服用中の薬
- 体重やBMI
- 血圧 等
当院では、GLP-1ダイエットを行っている方を対象に、GLP-1で効果が見られない場合にメトホルミンを処方しています。
患者様に合わせて、1日最大2,500mgで服用量を調整いたします。
メトホルミン500mg
錠数 | 価格 (税込) |
定期配送 |
---|---|---|
30錠 | 3,500円 | 3,300円 |
60錠 | 6,800円 (3,400円/30錠)(3,400円/30錠) |
6,500円 (3,250円/30錠)(3,250円/30錠) |
自宅で診察できるオンライン診療も行っておりますので、ご来院が難しい方もお気軽にご相談ください。
メトホルミンを服用できない人
メトホルミンを処方できない人は以下の通りです。
- 乳酸アシドーシスを起こしやすい
- 重症ケトーシス
- 糖尿病性昏睡又は前昏睡
- 1型糖尿病
- 重症の感染症
- 手術前後
- 重い外傷がある
- 栄養不良状態の方、飢餓や衰弱状態
- 脳下垂体機能不全や副腎機能不全
- 妊娠中、妊娠している可能性がある
- メトホルミンの成分やビグアナイド系の薬に過敏症の既往歴がある 等
起こしやすい方
- 乳酸アシドーシスの既往歴がある
- 重度の腎機能障害
(eGFR 30mL/min/1.73m2未満) - 腹膜透析を含む透析患者
- 重度の肝機能障害
- 心血管系や肺機能に障害がある
- 低酸素血症を引き起こしやすい
- 脱水症や下痢、嘔吐などの胃腸障害があり脱水状態がある
- 経口摂取が困難
- 大量にアルコールを飲んでいる 等
メトホルミンの重大な副作用として乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があります。
乳酸アシドーシスには死亡例もあるため、発症リスクがある方は服用できません。
メトホルミンの服用に
注意が必要な人
メトホルミンの服用に注意が必要な人は以下の通りです。
注意が必要な人
- メトホルミンによる合併症や既往歴がある
- 低血糖を引き起こす可能性がある
(激しい筋肉運動や不規則に食事を摂るなど) - 感染症にかかっている
- 重度の腎機能障害、腹膜透析を含む透析がある
(eGFR 30mL/min/1.73m2未満) - 軽度の腎機能障害
- 中等度の腎機能障害
(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満) - 肝機能障害(軽度・中等度・重度)
- 妊婦
- 授乳中
- 小児
- 高齢者
メトホルミンの併用禁忌薬・
併用注意薬
過度なアルコール摂取はメトホルミンの併用禁忌となります。
大量にアルコールを摂取すると肝臓で乳酸の代謝が悪くなり乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があります。
併用に注意が必要な薬は以下の通りです。
|
乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があります。 |
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血糖値を下げる効果を増強する場合があります。 |
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血糖値を下げる効果が減弱する場合があります。 |
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メトホルミンの血中濃度が上がり、作用が増強する場合があります。 |
イメグリミン塩酸塩 | 消化器系の症状が発現する場合があります。 |
メトホルミンダイエットで
痩せない原因と対処法
メトホルミンで痩せない原因としては以下が考えられます。
- 効果が出る前にやめている
- 全く運動していない
- 食べ過ぎや高カロリーな食事が多い
- 投与量が合っていない
- 体質に合っていない
メトホルミンは長期服用することで徐々に体重が減少していきます。
そのため、効果がすぐにでるわけではないので、継続的な服用が必要です。
また、メトホルミンを飲んでいるからと言って、高カロリーな食事を沢山食べたり、毎日満腹以上に食べていれば効果は感じにくくなります。
適度な運動とバランスの取れた食事を摂ることで、より効率的にダイエットができます。
他にも体質に合っていない場合や、適切な量で服用できていない可能性もあります。
薬が合っていないと思ったら、まずは医師にご相談ください。
メトホルミンについてまとめ
メトホルミンは血糖値の改善だけでなく、食欲の抑制や脂肪燃焼効果からメディカルダイエットで処方されています。
体質によっては服用できない場合があるため、自己判断で服用せずに必ず医師に相談してください。
当院では、オンライン診療でメトホルミンの処方を行っています。
まずはお気軽にご連絡ください。
メトホルミンについてよくある質問
-
- Q
メトホルミンはなぜ痩せるんですか?
- A
メトホルミンには食欲の抑制や糖の排出、脂肪の燃焼効果が期待できるため、ダイエット効果につながると考えられています。
また、服用を続けることで体重減少も報告されています。
- Q
-
- Q
メトホルミンの服用は食前・食後で違いがありますか?
- A
メトホルミンを食前・食後で飲むことで効果に違いはないと考えられています。
ご自身の飲みやすいタイミングで続けてください。
- Q
-
- Q
メトホルミンの副作用はいつまで続くんですか?
- A
メトホルミンの主な副作用として挙げられる消化器系の症状は投与初期や増量のタイミングで現れやすく、使用していると徐々に治まっていきます。
ただし、乳酸アシドーシスの初期症状の可能性もあるため、不調があれば医師に相談してください。
- Q
-
- Q
メトホルミンによる抜け毛はありますか?
- A
メトホルミンの添付文書では抜け毛に関する記載はなく、メトホルミンが抜け毛を引き起こすというエビデンスはありません。
ただし、糖尿病の場合は抜け毛や薄毛になる場合があります。不安があれば医師にご相談ください。
- Q
-
- Q
メトホルミンで乳酸アシドーシスを引き起こす可能性がありますか?
- A
メトホルミンの重大な副作用として乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があります。
そのため、過去に乳酸アシドーシスの既往歴がある方や発症リスクがある方は服用禁忌に該当します。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
参考サイト
2 型糖尿病治療におけるメトホルミンの使用実態に関する観察研究(MORE study)
Benefits of Metformin in Attenuating the Hallmarks of Aging
医療用医薬品 : メトホルミン塩酸塩