
デュタステリド(ザガーロ)は抜け毛の抑制効果や発毛効果のあるAGA治療薬ですが、場合によっては副作用が発現するため注意が必要です。
本ページではデュタステリド(ザガーロ)の主な副作用、併用禁忌・併用注意薬について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
デュタステリド(ザガーロ)の基本情報については、以下のリンクよりご覧いただけます。
デュタステリド(ザガーロ)の副作用
デュタステリドの副作用は、性欲減退や勃起不全、乳房の変化、肝機能障害などが挙げられます。
次の章から、具体的に解説します。
性機能への影響
デュタステリドの副作用として比較的よく報告されているのが、性機能への影響です。
具体的には、性欲減退、勃起機能の低下、射精障害などが挙げられます。
これらは服用開始後数週間〜数か月以内に現れることがあり、まれに服用を中止した後も持続するケースが報告されています。
頻度は高くはありませんが、気になる症状が現れた場合は医師にご相談ください。
乳房の変化
まれに、男性の乳房に痛みや腫れといった変化が現れることがあります。
これはホルモンバランスの影響によるとされ、軽度であれば経過観察となる場合もありますが、症状が続く場合は注意が必要です。
乳房にしこりを感じたり、分泌物が見られたりした場合は、必ず医療機関で検査を受けましょう。
ごく稀ですが、男性乳がんとの鑑別が必要になるケースもあります。
肝機能障害
デュタステリドの服用によって「AST(GOT)」や「ALT(GPT)」などの肝機能を示す値が上昇するケースがあります。
これはごく稀な副作用とされますが、肝機能に持病のある方や他の薬を併用している方は特に注意が必要です。
服用中に倦怠感、黄疸(後述)、尿の色の変化などが見られた場合は、早めに医師に相談してください。定期的な血液検査も予防として有効です。
黄疸
デュタステリドの副作用として、重篤な肝機能障害に伴う黄疸が報告されることがあります。
黄疸とは、肝臓の機能低下などにより「ビリルビン」という色素が体内にたまり、皮膚や白目が黄色くなる症状です。
肝機能に異常が生じている可能性があるため、ただちに服用を中止し、医師の診察を受けることが重要です。定期的な血液検査で肝機能をチェックしておくと、早期発見につながります。
発疹・かゆみ
皮膚症状として、発疹やかゆみなどのアレルギー反応が出ることがあります。
軽い湿疹程度で治まるケースが多いものの、まれに重篤な皮膚反応に発展することもあるため注意が必要です。
これらの症状は、デュタステリドの成分に対する過敏反応が原因とされており、服用後に異常を感じた際はすぐに使用を中止し、医師の診察を受けるようにしましょう。
精神症状・神経症状
デュタステリドの副作用として、抑うつ気分や不安感、めまいなどの精神・神経系の症状が報告されています。
頻度は低いものの、服用を開始してから気分が落ち込みやすくなった、集中力が続かないなどの変化を感じた場合は、我慢せずに医師へ相談してください。
薬の影響かどうかを特定するには、服薬状況や日常生活の変化などから総合的に判断する必要があります。
その他の副作用
そのほかにも、デュタステリドにより副作用としてさまざまな症状が報告されています。
たとえば頭痛は服用初期に現れることがあり、一時的な不調として見られることがあります。
また脱毛症や多毛症といった症状も、毛周期への影響による可能性も指摘されています。
腹痛や下痢などの消化器症状、倦怠感といった全身症状もまれに報告されており、体調の変化として現れることがあります。
これらの副作用は発生頻度が高いものではありませんが、少しでも異変を感じた場合には自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。
デュタステリド(ザガーロ)の副作用の確率
デュタステリド(ザガーロ)の副作用の発現率は以下のとおりです。
頻度 | 分類 | 副作用 |
---|---|---|
1%以上 | 生殖系 | 性機能不全※ (リビドー減退、勃起不全、射精障害) |
肝機能 | (重症の)肝機能障害や黄疸 | |
1%未満 | 乳房 | 乳房障害 (女性化乳房、乳頭痛、乳房痛) |
生殖系 | 射精障害 | |
精神神経系 | 浮動性めまい | |
消化器 | 腹部不快感 | |
皮膚 |
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その他 | 倦怠感 | |
頻度不明 | 精神神経系 |
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肝機能 |
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過敏症 | 蕁麻疹、アレルギー反応 | |
生殖系 | 精巣痛、精巣腫脹 | |
皮膚 |
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消化器 | 下痢 | |
その他 | 倦怠感、血中CK増加 |
※ 性機能不全についてはごくまれに服用中止後も症状が持続するケースが報告されています。異常を感じた際は、早めに医師へご相談ください。
副作用には個人差があり、多くの方は問題なく服用を続けられていますが、体調に異変を感じた場合は自己判断せず医師の指示を仰ぎましょう。
デュタステリド(ザガーロ)の副作用は治るのか
デュタステリドの副作用は、多くの場合服用を中止することで自然に改善することが多いとされています。
たとえば、性欲減退や軽度の皮膚症状などは、服用停止後に徐々に回復するケースが一般的です。
ただし、前述した通り、まれに性機能に関する副作用が服用中止後も一定期間持続する例が報告されています。個人差がある点には注意が必要です。
重篤な肝機能障害や黄疸などが見られた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
症状が軽いうちに医療機関へ相談することで、早期の改善が期待できます。
デュタステリド(ザガーロ)で副作用が起きたときの対処法
デュタステリドの服用中に、息苦しさ・全身のじんましん・顔や喉の腫れ・激しいめまい・意識の混濁など、通常とは明らかに異なる症状が突然あらわれた場合は、アレルギー反応や急性の副作用の可能性があります。
このような症状は放置すると危険なため、すぐに服用を中止し、救急も含めて医療機関に連絡してください。
また、明らかに体調に異変があるものの原因がわからない場合も、副作用が関係している可能性があります。
服薬中であることを医療機関に必ず伝え、適切な診断と対応を受けるようにしましょう。
デュタステリド(ザガーロ)を長期で飲み続けると副作用はあるか
デュタステリドは長期服用が基本となる薬ですが、現在までの臨床データでは長期服用によって重大な健康被害が発生する明確なエビデンスは報告されていません。
ただし、性機能の変化や軽度な肝機能異常など、体調に影響を及ぼす副作用が出る可能性はあります。また、継続服用によって血中濃度が高まりやすいため、症状の有無にかかわらず定期的な検査を受けましょう。
自己判断での継続や休薬はお控えください。
「ザガーロの副作用でがんになる」という情報について
ザガーロの服用でがんになるという情報が目に入ることがありますが、ザガーロががんを引き起こすというのは誤りです。
ザガーロとがんに関わる情報として、正しいのは以下の内容です。
- ザガーロの内服により、前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSAの数値が低下する可能性がある
- 乳がんリスクが高まるという情報はまちがい
健康診断の腫瘍マーカー検査などで前立腺がんの値「PSA」の数値が高いと前立腺がんが疑われるようですが、ザガーロを内服すると数値が下がってしまうので、もし前立腺がんだった場合、発見が遅れてしまう可能性があります。
対策としては、PSA検査を受ける際はザガーロの服用を必ず医師にお伝えください。
乳がんのリスクが高まるという噂は、海外でのザガーロの成分デュタステリド臨床試験の結果から広がった誤った情報だと考えられます。
臨床試験での4,000例の前立腺肥大症患者の対象のうち、3例の乳がんが報告されたためですが、 実際に2例はデュタステリドの投与があったものの、1例は偽薬(投与されていない)でした。
デュタステリド(ザガーロ)を服用できない人
デュタステリドを服用できない人は、女性、小児(18歳以下)、デュタステリドのアレルギー既往歴のある方です。服用すると思わぬ副作用が現れる可能性があるためご注意ください。
服用できない人
- 女性
(特に妊娠中または妊娠の可能性がある方) - 18歳以下の方
- デュタステリドに対して過敏症の既往がある方
デュタステリドは女性には原則として使用できない薬です。
特に妊娠中の女性が錠剤の内容物に触れると、胎児(特に男児)の生殖器の発達に悪影響を及ぼす可能性があるとされ、触れること自体が禁忌とされています。取り扱いには十分注意が必要です。
また、小児に対しても安全性や有効性は確立されておらず使用経験も乏しいことから、成長過程にある子供への使用は避けるべきとされています。
さらに、過去にデュタステリドや錠剤の添加物などでアレルギー症状を起こした経験がある方も、重篤な副作用が生じるおそれがあるため、服用はできません。
これらの条件に当てはまらないかを確認し、必要に応じて医師に相談しましょう。
デュタステリド(ザガーロ)の併用禁忌・併用注意薬
デュタステリド(ザガーロ)は、一般的には他の薬剤との重大な相互作用は少ないとされていますが、併用に注意が必要な薬や医師への申告が求められるケースも存在します。
特に、他の5α還元酵素阻害薬との重複や、肝代謝に影響する薬剤との併用は慎重な判断が必要です。
具体的には、以下のような薬剤が挙げられます。
併用禁忌・併用注意薬
- フィナステリドなど、他の5α還元酵素阻害薬
- 肝機能に影響を与える薬剤
(抗てんかん薬、一部の抗菌薬など) - CYP3A4阻害薬
(ケトコナゾール、リトナビルなど)
まず、フィナステリドなどの同系統薬(5α還元酵素阻害薬)との併用は推奨されていません。
DHT(ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの一種)の過度な抑制による副作用リスクが高まる可能性があります。
また、肝代謝に影響を与える薬剤もデュタステリドの代謝や排出に影響が出ることがあるため注意が必要です。
肝機能障害の既往がある方も含め、医師に服薬中の薬を必ず申告しましょう。
さらに、CYP3A4という代謝酵素を強く阻害する薬剤との併用で、血中デュタステリド濃度が上昇する可能性が報告されています。
現在は特に重大な禁忌はないとされていますが、併用する薬剤はよく確認しましょう。
デュタステリド(ザガーロ)の副作用のまとめ
デュタステリドはAGA治療において高い効果が期待できる一方で、性機能への影響や皮膚症状、肝機能障害などの副作用が報告されています。
すべての人に起こるわけではありませんが、まれに重篤なケースが見られるため、服用中は体調の変化に注意し、気になる症状があれば早めに医師に相談することが大切です。
フィットクリニックでもデュタステリドを取り扱っております。
医師の判断のもと、安心して治療を続けていきましょう。
デュタステリド(ザガーロ)の副作用に関するよくある質問
-
- Qデュタステリド(ザガーロ)はやばいって本当ですか?
- Aいいえ、正しく使えば「やばい」薬ではありません。副作用のリスクはありますが、多くは一時的・軽度で、医師の管理下で安全に使用されています。不安な方は医師に相談の上、使用可否を判断しましょう。
- Q
-
- Qデュタステリド(ザガーロ)は太りますか?
- Aデュタステリド自体に体重増加の副作用は確認されていません。
ただし、ホルモンバランスの変化によって代謝に影響が出る可能性や、AGA治療のストレスによる体重増加の可能性もゼロではありません。生活習慣との関係も考慮する必要があります。
- Q
-
- Qデュタステリドの副作用の確率はどれくらいですか?
- A性機能への影響は1〜5%前後、肝機能異常や皮膚症状はごく稀とされています。添付文書に基づく報告はありますが、多くの人は副作用なく使用できています。
症状には個人差がありますので、必ず医師の定期的な診察を受けましょう。
- Q
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- Q副作用が出た場合、服用を中止すべきですか?
- A症状の重さや種類によります。軽度なものは経過観察となることもありますが、生活に支障が出る状態であれば服用を中止し、医師に相談することが大切です。自己判断での中断は避けましょう。
- Q
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- Q長期服用による副作用・リスクはありますか?
- A現在までに重大な長期服用のリスクは報告されていませんが、肝機能やホルモンの影響には注意が必要です。
定期的な検査や医師との相談でリスクを最小限に抑えることができます。
- Q
-
- Qデュタステリド(ザガーロ)の副作用で脱毛はありますか?
- A副作用として脱毛症が報告されることはごく稀ですが、服用初期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。
これは副作用ではなく、ヘアサイクルが正常化する過程で古い毛が抜け落ちる自然な反応と考えられています。
通常は数週間~1か月で落ち着きますので、治療を継続して様子を見ることが推奨されます。
- Q
-
- Qデュタステリド(ザガーロ)は精子に影響しますか?
- A一部の報告では、デュタステリドが精子の運動率や精液量の一時的な低下に関連する可能性があるとされています。
ただし、通常の服用量であれば精子の数や男性不妊に直接つながるリスクは低いと考えられています。
妊活中の方は、事前に医師に相談すると安心です。
- Q
その他よくある質問はこちらをご確認ください
参考サイト・文献
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この記事の監修

(はっとり けいた)医師
【略歴】
- 平成17年
- 医療法人財団 河北総合病院 勤務
- 平成29年
- ゴリラクリニック 池袋院 管理者
- 令和5年~
- フィットクリニック院長 勤務